商品市況展望 割愛版

平成14年9月8日記

 

 先週号は『外務員講習会』のため、縮小版として会員にはレポートを送付しているが、この週間レポートはお休みとさせていただいた。

 今までは『外務員講習会』と言っても、10年以上外務員を続けている者には講習会は免除であった。しかし今年からは、すべての外務員が登録有効期間6年間の前の年には(つまりは登録5年後に)講習が義務付けられたようである。

 我々商品先物会社(正式には商品取引員)の営業マンは、正式には登録外務員と言われる。この登録を受けずして、商品取引所に顧客への勧誘活動や売買を行う事は違法である。登録外務員の定義は、法的には以下の通りとなっている…

 『商品取引員の役員又は使用人であって、その商品取引員のために商品市場における取引の委託を受け、又はその委託の取次ぎを受ける事(以下「商品市場における取引の受託等」という。)若しくは委託の勧誘を行う者として、主務大臣の登録を受けたもの』(法第136条の4第1項)

 …中略…

 役員又は使用人が登録外務員ゆえ、当然○○商事・○○フューチャーズ等の社長なども外務員登録をしていれば講習の義務がある。しっかりいらしていた役員さんの姿もお見かけ致しました。(笑)

 離職率の高い業界ゆえほとんどが20代、30代の人間でしたが、中には50代、60代の人もおり、どこかのフルコミのお仲間さんか?という方々も…

 会場は新橋からゆりかもめに乗って、お台場を通って「国際展示場駅」での下車。9時スタートは会社に出るよりも1時間も早く家を出る必要があった。もっとも当方は、出勤日であろうが休みであろうが、朝5時過ぎには起床する人間ゆえ、苦になったわけではないが…

 さて上記の定義を見てもらって気が付くだろう事は、外務員は傍線の如く所属する商品取引員のために仕事をせねばならないのである。法的には、決して顧客のためにではないのである。

 外務員の受託契約準則には様々な規定が盛り込まれているが、そのほとんどは○○をしてはいけない、○○のような行為を行ってはいけない…等の顧客保護の条文が盛り込まれてはいるが、前提となる定義で商品取引員のためにとなっていてはどうなのであろうか?あくまでもトラブル回避の為の方策、裁判沙汰になったら勝てるための方法である。

 本当に顧客のために営業活動を行うためには、本来は登録外務員を商品取引員のためにから切り離して、独自の資格制度に持ってゆく必要があるのではないかと当方は考える。ご覧のみなさんはどう思うであろうか?

 次回にまた続きを…

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

9月2日

\19,680

220

\18,760

170

9月3日

\19,520

-160

\18,570

-190

9月4日

\18,860

-660

\17,950

-620

9月5日

\19,440

580

\18,520

570

9月6日

\19,920

480

\19,130

610

 

 まずは原油から…米国以外の世界中がイラク攻撃に対しておそらく反対であるにもかかわらず(英国と日本の政府のみは消極的な賛成?と見られるが)ブッシュは株価低迷から米国民の目をそらすためか、振り上げたこぶしを下ろそうとはしない。昨年テロが起こった9月11日を前にして、ヘタった姿は見せられないのかもしれないが…米国流の独善的な正義の前に、成すすべ無しが世界の現状のようである。

 当方の見方は、世界中の反対と戦費の問題から考えて開戦はなしとの考えなのであるが、NY市場の上昇を見ると同市場参加者は開戦あり!との見方なのかもしれない…もっとも現在十数機の航空機による爆撃はすでに数度に渡り行われており、NY市場が週末で一時30ドル台に乗せたのは、約100機の航空機による空爆を行ったとの英紙の報道が引き金である。その報道はすぐさま否定はされているが…

 OPECの減産継続か、あるいは増産かについては9月19日の大阪総会で結論が出るだろうが、実際問題としてロイター調べにより生産枠上限を215万バレル上回って生産されていた事が確認されており、現在の経済情勢下において需給の逼迫懸念はないものと考えられる。API在庫の急減は不可思議な事であるが、何時までも材料視されるとは考えづらいのではないか?結局原油相場の先行きは、すべて開戦ある無しにかかっていると言って過言ではないであろう。

 さて週末のNY市場は29.61ドル0.63ドル高の急騰である。高値は30.19ドルまで記録しており、これは10月限が納会した8月20日時点の30.32ドルの高値にほぼ並ぶ水準である。

 週末発表されたCFTCによる9月3日現在のファンドの建て玉は売り44,737枚(前回発表時より2,319枚減)、買い67,774枚(同5,186枚減)となっており、ネットで23,037枚の買い越しである。前回発表と比べ買い越しは減っているが、その調査時点は27ドル台に急落した時点ゆえファンドの投げがちょうど出ていたものと思われ、週末にはまた買われているかもしれない…

 東京市場においても週末終値は19,130円と大幅高での終了であり、8月27日の高値19,330円から9月4日の17,850円までの1,480円幅の急落の後、一気に切り返した形である。上記の19,330円を上抜いた場合は、5月15日に記録した19,990円まで大した抵抗は無い。下げ幅に対する倍返しならば一気に20,810円が目標値となり、今年高値の21,150円に並ぶものと考えねばならないであろう。週末のNY市場の外電を素直に受ければ(材料的にはどうかと思われる部分もあるが)、上値抵抗線突破からの急騰は十分予想できるところである。週明けの夜間取引は要チェックである。

 週末現在の自己玉は売り6,151枚、買い8,099枚となっており、先週末の売り越しから4日の安値時点で買い越しに転じ、そのまま買い越しの増加中である。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、今後のイラク情勢次第ではある相場ではあるが、最終的に天井打ち〜暴落となるにしても目先は売りは危険!先週号・先々週号においては戻り売り有利としたが、4日の安値で調整終了からの急騰も有り得る。売り玉がある向きは、まずは損切りするか両建てするのが安全かもしれない。

 ブッシュの戦争好きを米国議会が猛反対でもすれば、流れが変わって一転急落も有り得るので、この相場の先行き判断はかなり流動的と付け加えておかねばならないが…相場のシナリオとして、9月11日のテロ記念日?〜OPEC総会辺りまで高く、その後に急落が妥当かもしれない。もっとも1週間もあればどこまで上がるか判らん相場であるゆえ、注意は必要であるが…

 

 

今週のガソリンの値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

9月2日

\29,650

-30

\27,180

70

9月3日

\26,850

-100

\26,950

-230

9月4日

\26,580

-270

\26,250

L700

9月5日

\26,890

310

\26,480

230

9月6日

\27,320

430

\27,180

H700

 

 続いてガソリンです…先週号・先々週号において28,000円台は売りとの推奨を行い、さらに4日のストップ安時はアンコの買いを入れる作戦を推奨してきた。それ以前の23,000円〜24,000円のもみ合い時点においても、逆ザヤ相場を売るのはコスト面から判断しても危険!と警告を促し、ほぼこの相場の流れを的中させて来ている…

 しかし週末の急騰場面においては、アンコにした買い玉の利食いを推奨したが、思わぬNY原油の急騰に今度は曲がってしまうのか?正直不安なところである。ブッシュがイラクに戦争を仕掛けるかどうか次第の相場であるゆえ、ブッシュに聞かなきゃ先行きは判らん!とさじを投げたい気分になる相場である。

 チャートからこの相場の今までを検証すると、7月23日の安値23,350円を底として上昇を開始した相場は、8月28日の28,430円で天井打ち。上げ幅は5,080円に上った。その後9月4日の安値26,250円まで2,180円幅の下げを記録し、その下げ率は上昇幅の42.9%である。

 その後週末のストップ高27,180円までの戻りは930円幅となり、42.6%の戻りとほぼ同じパターンとなっている。半値戻りの27,340円までは下げ道中の戻りの許容範囲であるが(0.618戻しの27,540円でも良いが)、それを抜けたらおやおや?と言う話になってしまうかもしれない…

 週末現在の自己玉は売り24,650枚、買い20,182枚となっており、若干の売り越しである。大幅売り越しから4日のストップ安時点ではほぼスクエアに、5日の反発時には売り越しが増加し、週末はストップ高だったがあまり変化は無い状況であった。

 …中略…

 9月5日現在のスポット価格は海上で27,700円(阪神)〜29,200円(京浜)とかなりの幅がある。陸上は28,500円〜28,700円となっている。海上パージの京浜高は元売りの市中買い入れが旺盛な証であるが、一部小売市況が上昇に転じてきたとのニュースもあり、陸上との逆ザヤが改善されて全国的な小売上昇となるかはまだ疑問があるが注目すべき点である。結局は原油価格の先行き次第と言うことになろうが。なお輸入採算価格は28,800円となっている。

 さて当方の相場観であるが、この相場は戻り売りか押し目買いかの分岐点に差し掛かって来たため、来週の自己玉・内部要因・チャートパターン・サヤ変化などを注目してみなければ結論は出せない。(6日の時点では完全に戻り売りと考えていたが、週末のNY原油高を見て首を傾げざるを得なくなった)続報は前場の概況等でお伝えする事とする。

 

 

今週の灯油の値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

9月2日

\28,050

280

\28,340

360

9月3日

\27,800

-250

\28,210

-130

9月4日

\27,550

-250

\27,510

L700

9月5日

\27,930

380

\27,790

280

9月6日

\28,450

520

\28,490

H700

 

 最後に灯油です…ガソリン相場が逆ザヤになったり順ザヤになったりでサヤ変化が大きいのに比べて、灯油は10月限〜1月限に向かって順ザヤで、12月限・1月限が一番高く、2月限・3月限は逆ザヤとなっている。2月限が逆ザヤにならねばならぬ理由は特には無いと思えるが、3月限が逆ザヤでいるのはある意味当然である。今後不需要期限月である4月限、5月限が発会するにつれ逆ザヤ化は進んで当然である。

 またガソリンとのサヤは12月限以降で拡大してきているが、3月限を除いてはこれも順当なところである。

 さて相場は出来高を見て判るとおり、ガソリンのサブのような形で動いてはいるが、中物の堅調はともかく3月限の上昇は予想外である。しかしチャートが完全に崩れのパターンに入るまではやはり売るのは危険で、内部要因から判断してもガソリンを売り方針したらヘッジで買いたい形となっている。

 週末現在の自己玉は売り16,846枚、買い20,572枚となっており、週末はストップ高でも売りは増えていない8月27日〜29日には一時売り越しに転じ灯油相場の上昇もこれまでか!と思っていたが、また買い越しに転じての推移は根が強そうな展開である。(もちろん原油・ガソリンが大きく下げれば、灯油も下がるには決まっているが…)

 主な取引員の片建ては売り方豊3,708枚、伊藤忠1,527枚、岡藤923枚、太平洋698枚、エース580枚、東ゼネ484枚、住商319枚など。一方の買い方は三菱F3,921枚、岡地2,900枚、ひまわり2,525枚、物産915枚、三井F791枚など。

 …中略…

 9月5日現在のスポット価格は海上で26,300円〜27,500円陸上では27,300円〜27,500円輸入採算価格は27,700円であり、定期市場の需要期限月はかなり割高である。

 結論として当方の相場観は、11月限〜1月限は割高ではあるが内部要因から売るのはまだ危険か。3月限の吹き値は売りで良しと見るが、2月限は買いに分があるか。いずれにせよ、ガソリン相場に大きく左右される事は間違いはない。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

9月2日

\2,137

-19

\2,052

-15

9月3日

\2,110

-27

\2,021

-31

9月4日

\2,038

-72

\1,941

L80

9月5日

\2,009

-29

\1,911

-30

9月6日

\2,056

47

\1,952

41

 

 金相場は6月4日の1,312円から7月29日の1,150円まで162円幅の暴落を演じた後、1,100円台後半と1,200円を僅かに超えたところでもみ合いを続けていたが、どうやら底打ち決定となったのではないかと見ている。金相場に対し当方は強気のコメントなどした記憶は無いが、本格的な急上昇とまでは行かなくても、少なくとも1,250円どころまでの上昇は見込めるのではないか?と考えている。

 その理由として、国内外ともにチャートが底入れパターンを演じている事、原油の上昇に見られるとおりイラク情勢が上値志向を支援している事、ファンドの高値買い玉の投げはすべて終了している事、株式市場の低迷からの資金流入が今度は有り得ると考える事である。前回のNY株式市場の急落時には、金の利食い売りも出て株とともに下がったが、もう売るべきものは持っていないのだから…

 週末発表されたCFTCによる9月3日現在のファンドの建て玉は売り23,591枚(前回発表時より1,559枚減)、買い29,706枚(同2,174枚増)となっており、ネットで6,115枚の買い越しである。330ドル辺りまで上昇していた時は4万枚以上の買い越しであったものが、300ドル割れまで下がった時点で売り買いトントンとなり、現在320ドルを目指そうという動きの中でこの程度の買い越しは、ファンドの買い上げ余地が充分であると考えるがどうであろうか?

 

 銀相場も金相場が上昇すれば追随買いが入るであろう。もっとも金相場とは違い、有事の銀買いなどあり得ぬため、あくまでも連れ高であろう。

 週末発表されたCFTCによる9月3日現在のファンドの建て玉は売り14,855枚(前回発表時より1,431枚増)、買い26,210枚(同340枚減)となっており、ネットで11,355枚の買い越しである。ピーク時5万枚ほどの買い越しであったものをちまちまと投げているため、相変わらずファンド売りに頭は重い展開は続きそうである。全部投げきっていたならば、値位置の低さゆえ金以上に急騰場面の可能性もあったかもしれないのに…

 

 プラチナ相場は8月30日に2,086円を記録した後に、あっという間に5日の1,901円まで185円幅の大暴落である。ファンドの大投げによっての大暴落であったが、自己玉は買い越しであったし…当方は今回のこの相場は、石油相場が忙しくてあまり良く見てはいなかった。何だかどっちに行くのか良く判らなかったし、コメントもここ何週か歯切れの悪いものに終始していたと思う。

 週末現在の自己玉は売り30,386枚、買い43,157枚となっており、大幅買い越しである。これを見る限りは、これ以上の暴落は無しと言えるかもしれない。

…以下略…

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

9月2日

\15,320

110

\15,750

60

9月3日

\15,390

70

\15,870

120

9月4日

\15,330

-60

\15,800

-70

9月5日

\15,430

100

\15,890

90

9月6日

\15,580

150

\16,190

300

 

 徐々にこのコーン相場は、尋常ならぬ気配を漂わせ始めている。シカゴ相場は、前回農務省需給発表時の高値277セントをあっさり更新し、280セント台に乗せて来ている。だいぶ以前のコメントであるが、7月14日号のコメントをここで再び掲載してみたい。

 さて今年の天井がどこであるかは神のみぞ知る話ではあるが、昨年は7月に東京・シカゴ市場ともに天井を打っている。過去15年間を振り返ってみれば、東京市場の天井は5月が3回、3・6・8・12月が各2回、1・4・7・10月が各1回ずつである。

 シカゴ市場は東京市場とは若干違い、7月が4回1月が3回、3・12月がそれぞれ2回、4・5・6・8月が各1回である。

 東京市場は天候相場序盤の5月天井が多く、シカゴ市場は天候相場の最中の7月に天井を打つことが多いとデータは示している。後は需給相場期の年末年始に天井を打つパターンもあると言うことであろうか。

 そう、シカゴ市場は過去15年間9月に天井を打った事は無いのである。春から夏にかけて天井を打たなければ、需給相場期での上昇は年末・年始まで天井は打たないのである。

 9月12日の米農務省需給報告を前に国内外ともに新高値更新となっており、ひょっとしたらそれで強材料出尽くしから売られないとは言えないが、過去の経験則ではそれで下がったとしても天井ではないと言う事である。

 誰が売ってるだ、買ってるだと騒いで見ても、物が無ければ上昇は止められない…

 よって今回は大勢観だけを語る事とし、余計な情報はすべて割愛する。500円上がっただの、下がっただのと言っても、ガソリン相場の僅か1日分だからねえ…

 当方の相場観は、押し目買い一貫と見ている。売り買いの細かい判断は各自にお任せするが、当方はこの相場は逆ザヤになると予測している。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

9月2日

108.0

-0.6

116.6

0.9

9月3日

109.5

1.5

117.1

0.5

9月4日

112.7

3.2

121.1

H4.0

9月5日

112.8

0.1

121.0

-0.1

9月6日

110.9

-1.9

119.5

-1.5

 

 このゴム相場の過去のコメントを見返してみたが、当たる確立は5分5分のようであり、本人が得意だと思っているゴム相場に(笑)現在は相性が悪いようである。

 相場コメントと言うのは、曲がるならすべて曲がればこれは逆に参考になる。そのコメントと逆をやれば必ず儲かるのだから…競馬で当たらん人の目だけは外して買わないのと同じ事か(笑)

 始末に終えないのはたまに当たるやつで、これじゃ乗れば外れて、向かった時には当たるなんて事も…

 当方は売り好きゆえ、ポイントどころではどうしても弱気に傾く。ゴム相場は順ザヤのサヤ滑りが顕著な銘柄で、急騰しても必ず一度は下げて来るが、急落したら戻らず納会する事が多いという事を身にしみて経験してきているからである。当方がペーペーの頃営業してゴムを勧めていたときは、何せ270円位していたのだから…当方の外務員の歴史は、ゴム相場の下げとともにあり!である。コメントを読む皆さんは、その辺の当方の特徴を掴んで参考にされるのがよろしいのではないだろうか?

 …中略…

 売り好きの当方はこの陰線で、週明け更に安いようであれば応分の調整が入ると見る。しかし大方の強気筋は、ここまで戻った相場は125.6円が天井ではなく、135円〜140円説を唱えている。

 産地の堅調とTSRが減産期と言う事で高騰している現状では、やはりまだ押し目買いに分があると言わざるを得ないであろう。問題はどこまで押すかであるが、118円割れ〜深くて114円台ではなかろうか?

 週末現在9,542枚と大幅買い越しの自己玉も相場上昇の支援となりそうであり(もっともゴムの自己玉はあまり当てにならんが…)、売り方の当方としては早く売れる水準まで駆け上がって欲しいと考えるのみである。

 結論として当方の相場観は、吹き値は売りであるが、先週号の縮小版でも指摘したとおり、基本的には秋高に向けての相場出現の可能性はまだあるとの見方。11月か、12月頃には美味しい売り場が到来するのではないかとの見方である。『待つは仁』である。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

9月限(当限)

前日比 

7月限(先限)

前日比 

9月2日

\5,770

-120

\9,400

20

9月3日

\5,940

170

\9,520

120

9月4日

\6,180

240

\9,790

270

9月5日

\6,750

570

\10,030

240

9月6日

\6,700

-50

\10,340

310

 

 基本的に売り屋の当方でも、順ザヤ幅が3,500円以上ある状況(1枚当たり175,000円のサヤ滑りの危険がある)においても、万人が弱気となり、内部要因も大きく売りに傾いてしまった状況では売るのは危険!一度は戻るぞ!とここ何週か言い続けてきたが、8月28日の安値9,000円ジャストから、今週ついに10,340円1,340円幅の上昇を演じた。

 基本的に売り商品である事は変わらず、コーヒー自体に何ら強材料があるわけではないが、内外ともに売り込んだファンドの買戻しが終了するまでは戻す可能性はある。その戻しの限界点であるが、ひとつのポイントは今週12日の9月限納会前後が挙げられるだろう。

 もし安納会すればやっぱり駄目だ!となるかもしれないし、翌13日の2003年9月限発会においてサヤ滑りが生じるかもしれない。あるいはその9月限が一度大きく買われて終わるかもしれないし…

 指標のNYコーヒー相場の上昇は、予告していたファンドの買戻しによる上昇が主であり、それ以外の材料は取ってつけた様なものであり無視して良かろう。

 週末発表されたCFTCによる9月3日現在のファンドの建て玉は売り16,331枚(前回発表時より3,842枚減)、買い11,724枚(同856枚増)となっており、ネットで4,607枚の売り越しである。1万枚以上の売り越しから、買戻しは随分進んでいる。4日・5日もファンドの買戻しは出ているはずであり、そろそろ買戻しはすべて終了している可能性もある。

 週末現在の自己玉は売り24,887枚、買い9,617枚となっており、若干の増減はあるもののさほど買戻しが出たと言う水準ではない。自己は所詮は一過性の戻りと見ているのであろう。

 結論として当方の相場観は、やっと戻ってくれた相場はここからいよいよ売り狙いである。上がっている間は待っていても良いかも知れぬが(上がれば上がるほど後の下げが大きくなるゆえ)、この相場は下げ始めたら押し目買いではなく、戻り相場の終わりであると見ている。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

9月2日

\20,940

-350

\17,620

90

9月3日

\20,800

-140

\17,340

-280

9月4日

\21,330

530

\17,580

240

9月5日

\21,330

0

\17,570

-10

9月6日

\21,830

500

\18,050

480

 

 指標のNY市場は6月21日に4.97セントの安値を記録した後、徐々に上昇を開始している。7月23日に6.23セントの高値を記録した後は、もぐら叩きの様に吹き値は売られながらも、1セント弱下げてはまた切り返して高値を若干更新する姿となっている。

 直近の高値は9月4日の6.40セントであるが、これも高値から長い陰線で大きく売られたもぐら叩きのようなチャートである。しかし週末には確りとまた切り返しており、取り組み高も増加中のNY砂糖相場は、押し目買いに分がある形となっている。

 週末発表されたCFTCによる9月3日現在のファンドの建て玉は売り5,655枚(前回発表時より460枚減)、買い28,106枚(同1,366枚増)となっており、ネットで22,451枚の買い越しである。ぼちぼち砂糖自体に買い材料が無ければ危険な水域に足を踏み入れてきているが…果たしてどこまでファンドは買い進めるのか?である。

 砂糖自体の材料としては豪州の旱魃などが挙げられてはいるが、一方ブラジルの輸出も好調のようであり、基本的に世界的な需給緩和の見通しに変化が出ているわけではない。

 さて肝心の東京市場であるが、8月9日の高値18,020円は戻りいっぱいと以前コメントしていたが、その後8月20日に17,000円まで下落したものの切り返し始め、週末には18,050円と高値更新を演じている。さてどこまで戻る可能性があるのかであるが、18,200円〜18,300円が一つの関門であり、それもクリアできるようであれば下げ幅の倍返しの19,040円がチャート的には目標という事になろう。もっとも内部要因は、全く強気に味方する状況とはなっていない。

 週末現在の自己玉は売り10,761枚、買い3,735枚となっており、一時に比べると若干売り越しは減少したものの、未だ圧倒的な売り越し状況に変化は無い。NY市場が取組高増となっているのに対し、逆に東京市場は取組高減となっている事もまた弱みである。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、チャートは目先の上昇を暗示しているため、安値の売り玉を持つ向きは一度踏んだ方がよろしかろうが、高値を新規買いするのはまだ材料不足。新たに参入する向きは、引き付けての売り方針が良しと見る。これもコーヒー相場同様上げているうちは花だが、下げ始めれば押し目買いではなく、戻りいっぱいになったと考えるべき相場であろう。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp