商品市況展望 割愛版

平成15年3月9日記

 

 7日に国連監視委員会のブリクス委員長が国連安保理で行った報告は、査察継続を望むものとなった。しかしブッシュ大統領は、新決議案が採択されなくても米国が独自の判断でイラク攻撃に踏み切ると明言。英国が出した17日を期限とする新決議案への対応への一環として、仏・露に圧力をかける狙いもあるだろうが、いよいよ近日中には開戦あるか?それとも回避か?のぎりぎりの攻防は続く…

 世界中で戦争反対の声が上がる中で強硬なブッシュ政権であるが、ご覧になった方も多いとは思うが、先週のテレビ番組『サンデーモーニング』の中で米国内の実態について面白いレポートがあったのでここで報告する事にしたい。

 米国の一大政治勢力の中には、有権者を3000万人抱えるキリスト教原理主義者の存在があるという。聖書に書いてある事はすべて正しいとの見方を採る宗教であり、進化論さえ否定して世界はハルマゲドン(最終戦争)の後にイエス・キリストが復活すると言う教義を持つ宗教団体である。

 彼らの主張の中には銃規制の排除やイスラエル支援、中絶反対などが掲げられているが、怖いのは中絶を反対するのはともかくとして、そのためには中絶手術を行う医師を殺しても構わないとする事である。すべてを力による善悪の対立に置き換え、イスラエルの支援さえも最終戦争が彼の地イスラエルでアラブ・ユダヤによる最終戦争が起こり、イスラム教・ユダヤ教信者が9割死滅して、残った人々はキリスト教に改宗して生き残るのだ…と言うとんでもない思想のために支援しているらしいのだ。

 実はブッシュはこの団体の支援により大統領に当選したのであり、本人もキリスト教原理主義者であるという…また司法長官を始めとして、ブッシュのブレーンのほとんどはこの原理主義者であるという。

 彼らのイラク情勢に対する姿勢は、キリストの復活を信じる善の彼らは、何としても悪のフセインは打倒すべし!との考え方なのだと言う。

 民主主義と言うのは選挙に勝つ事が絶対的な権力への道である限り、彼らの後押しで大統領となったブッシュは、彼らの意見を汲み上げないと次は無い。

 またフランスや中国やロシアが束になって反対してみても、実際問題としては世界で唯一の軍事大国である米国と実際喧嘩になったら(戦争になったら)、どこも勝てるはずが無いのは明白。ましてや日本など、もしも米国に攻められたら3日もあれば壊滅するだろう…そのような巨大な力を持つ国の政治が、宗教団体の教義によって方向性が決まっているのだとしたら、まさに空恐ろしい事だ。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

3月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

3月3日

\22,370

-180

\20,080

-150

3月4日

\22,330

-40

\20,170

90

3月5日

\22,440

110

\20,300

130

3月6日

\22,560

120

\20,430

130

3月7日

\23,670

110

\20,570

140

 

 まずは原油から…先週号からコメントしている事であるが、NY市場で2月27日に記録した39.99ドルは原油相場の天井であるという見方を当方は採っている。もちろんイラク情勢に完全に決着が付いていない現状では、再度の上昇をして一時的に上記の価格を超える2番天井が無いとは言えないが、巷の新聞・テレビが煽る原油価格の50ドルであるとか、80ドルであるとかなど有り得ないとの見方を採っている。

 ストップ制限のないNY市場において、万が一そのようなキチガイ沙汰の大暴騰があったとしても、そんなものは一時的なものであろう。思いっきり長い上髭を引いた線となるか、あるいはせいぜい2日〜3日そうなるだけの事であり、ストップ制限のある国内市場では1日か2日ストップ高になる程度のものと考えており、その後はかえって暴落し易くなるであろう。

 週末のNY市場は37.78ドル前日比0.78ドル高の上昇であるが、これ以上大きく上がるとすれば17日という期限を切った英国案がどうなるか?の期日までであろうと思われ、10日から14日までの来週1週間のみではないかと考えている。明確にトレンドが下げに転換してくる価格は、ズバリ34.70ドルを下回ってきた場合であろうとも考えている。

 週末発表されたCFTCによる3月4日現在のファンドの建て玉は買い88,495枚(前回発表時より6,138枚減)、売り104,587枚(同7,657枚増)となっており、ネットで16,092枚の売り越しである。ファンドは買い越しから完全に売り越しへと変化であり、当方と同様の見方をしているようである。

 国内市場においては今週週明けの3月3日19,920円を安値とし、5連続陽線で週末高値の20,690円まで770円幅の上昇を見たが、2月25日の21,340円まではまだ650円幅を残す…相場に絶対は無いゆえこれを抜いて青天井に走らないとは言えぬが、上場来高値水準を買いで考えるよりは、上場来安値水準が12,000円台である事を思い出したほうが良いとの見方を採りたい。

 週末現在の自己玉は売り17,751枚、買い5,296枚となっており、大幅売り越しには変化の無い状態である。限月別では7月限の売り越しが目立ち、この限月の一代高値21,340円が重要なポイントであろう。

 …中略…

 それでも結論として当方の相場観は、上がったものは必ず下がるはずである!との見方である。問題はどこでズバッと売りに出るかだと考えている。陰線引けした時がポイントか?

 

 

今週のガソリンの値動き

 

4月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

3月3日

\34,100

150

\28,930

-380

3月4日

\33,950

-150

\29,460

530

3月5日

\34,340

390

\29,630

170

3月6日

\34,790

450

\30,070

440

3月7日

\35,330

540

\30,050

-20

 

 続いてガソリンです…先週号においては8月限・9月限の売り推奨としたが、相場は今週もまだ崩れに繋がる格好にはならず9月限は3月3日28,850円を安値として、週末の30,370円の高値まで1,520円幅の急騰。しかも当限はそれ以上の騰勢を見せて35,000円台に乗せ、当先の逆ザヤ幅は更に拡大して5,000円以上の逆ザヤを記録する状態となった。

 6日現在のスポット価格は海上で32,400円(京浜)〜31,700円(阪神)となっており京浜で200円高、割安だった阪神では京浜にサヤ寄せして3,000円高の急騰である。陸上では32,400円〜32,200円とこちらも2,700円高〜2,600円高の急騰である。輸入採算価格は36,100円400円高となっている。

 当限の35,000円台という馬鹿高い価格は、スポット価格からは大幅に乖離する価格ではあるが、輸入採算と言う面からは仕方ないのか?とも思われるところか。元売りは原油高のコストアップの転化を、当限などを吊り上げる事によって是正しようと必至なのかもしれない…

 5,000円もの逆ザヤ相場は1枚当たり50万円ものサヤであり、『逆ザヤに売り無し!』の相場格言から見れば容易には売れない。しかし当限価格の異常な上昇のすべての元凶は行方の見えぬイラク情勢である事は明白であり、いずれは天井打ちから下落に転じては来よう。原油相場同様に、そのポイントがどこなのか?が重要である。

 先物引継ぎ足チャートでは2月27日の30,200円はクリアしたが、2月12日の31,330円まではまだ1,000円幅ほどを残す…2月12日の31,330円をトップとし、12月24日の30,770円を左肩、この上昇での右肩形成のヘッドアンドショルダー形成となるかどうかが焦点か。NY市場高から週明けは高く始まるであろうが、その後の動きで陰線を引けるかどうかが目先のポイントであろう。

 週末現在の自己玉は売り33,267枚、買い18,233枚となっており、この上昇相場をじっと我慢の子だった自己玉は、週末に一気に9,000枚以上売り越しを増加させて勝負に出た模様。週明けの動きは大注目である!

 …中略…

 結論として当方の相場観は、安心売りには程遠いが基本的には戻り売り方針とする。週明けの高値は、ストップロスを設定しながら一度ピンポイントで売ってみたい気がするところである。8月限・9月限は当然の事として、500円高以上ならば日バカリ狙いで6月限・7月限も売ってみたい気がする。

 

 

今週の灯油の値動き

 

4月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

3月3日

\29,900

-30

\28,810

-370

3月4日

\29,990

90

\29,240

430

3月5日

\30,600

610

\29,550

310

3月6日

\31,260

660

\29,920

370

3月7日

\31,560

300

\29,920

0

 

 最後に灯油です…当限が35,000円台まで駆け上がったガソリン相場の騰勢ももの凄いが、次の冬のために在庫投資とタンクの定期修理が行われる9月限はともかくとして、その他の不需要期限月の騰勢が止まらぬ灯油相場の異常は特筆ものである。イラクプレミアムは前代未聞の不需要期限月の押上げの主要な要因の一つであるが、暖冬予測が大外れであった事と先週号でコメントした今夏の原子力発電所停止問題もこの流れを後押ししているようである。

 もっとも需要期・不需要期を分けて4月限〜8月限はガソリン買い・灯油売りを仕掛け、9月限はガソリン売り・灯油買いを仕掛けている鞘取り派には、このイラク問題を抱えた石油相場全体がどちらに動こうが、全く関係の無い状況とはなっているが…

 この石油相場への投資方針を、基本的に9月限〜2月限はガソリン売り・灯油買い、3月限〜8月限はガソリン買い・灯油売りの戦略で長期投資を行うならばローリスクで対応可能であり、過去の実績を見れば確実に利益となっている。あれこれ相場で頭を悩ますよりは、常に6限月のそのような建て玉を保有しておく投資方針を柱にするのは如何だろうか?阿呆になって3年も続ければそれなりの結果は出るだろうが、投機をする人間と言うのはなかなか単純な事が出来ない精神構造となっているようで…(自分自身への自戒も込めて言っております…)

 今まではそうだったかも知れぬが、今度は逆の目が出るのではないか?などと疑心暗鬼に陥るのは相場張る者の宿命!しかし裏読みしたって、裏の裏はやっぱり表だった…と言うのもよくある話である。儲かると言う字は『信じる者』と書きます、とはセールス時代に良く使ったねえ…(笑)もちろん今も、一介のセールスマンではありますが…

 27日現在のスポット価格は海上で31,800円(京浜)〜30,800円(阪神)となっており300円高、陸上では32,000円となって変わらずである。輸入採算価格は34,000円と、前週の400円安となっている

 輸出に廻せば儲けが出るから期近も高いのだろうとは想定されるが、海外高もすべてはイラクプレミアム。もっと暖かくなってイラク問題も解決すれば、必ず手前の限月から下がってくるはずなのだが…全く困ったちゃんの相場である。

 週末現在の自己玉は売り20,026枚、買い17,543枚となっており、原油・ガソリンと比較すれば売り越しはかなり少ない。やっぱり皆、ガソリンよりは灯油の方が売りやすいとみえ、自己玉は逆に売りが少ないのか?

 …中略…

 結論として当方の相場観は、単品の仕掛けならばやはり戻り売りを推奨ではあるが、ともかく石油相場の基本戦略は鞘取りに有り!との見方であり、原油・ガソリンのコメントも含め本文中に記した作戦がベターであると見る。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

4月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

3月3日

\2,528

18

\2,277

3

3月4日

\2,559

31

\2,311

34

3月5日

\2,585

26

\2,365

54

3月6日

\2,601

16

\2,376

11

3月7日

\2,582

-19

\2,361

-15

 

 金相場は、週末のNY市場において6ドル安の急落。ウサマ・ビンラディンの息子2人が逮捕されたとの報に急落したらしいが、そんな事で急落するとはねえ…?結局は天井を打っている相場ゆえ、何かをきっかけに下げたがっていたのだとしか言いようはない。

 東京市場においても相場の戻りは鈍く、一度1,300円を割れなければ納まりは付かないのではないかと思われる。大体が金相場と言うものは一時的なブームで上がっている間は良いが、逆に下がり始めたらしばらくは上がらんものだ。

 週末発表されたCFTCによる3月4日現在のファンドの建て玉は買い60,149枚(前回発表時より715枚減)、売り29,713枚(同4,726枚減)となっており、ネットで30,436枚の買い越しである。売り玉の手仕舞いで買い越しは増加したが、所詮は手仕舞いであるゆえに投機人気が離れてきたと見ればよかろう。

 元々金相場にはニヒルな当方であるが、イラク情勢に全く反応しない金相場のように原油相場が何時なるのか?の方に興味がある。

 

 銀相場は、金相場ほど高値に駆け上がったわけではなく、またその後の下げで応分の下値に届いていると思われるため、さほどの下げは無いだろう。もっとも上昇力も鈍いと思われるため、NYベースで440セント辺りまでの急落場面か、東京市場での170円割れの価格が出現したならば買い拾う作戦が良いと見る。

 週末発表されたCFTCによる3月4日現在のファンドの建て玉は買い27,509枚(前回発表時より3,120枚減)、売り9,499枚(同224枚減)となっており、ネットで18,010枚の買い越しである。このままネットでゼロの水準まで、ファンド買いの整理が進むかも…

 

 プラチナ相場は、基本的にはずっと買い方針。その方針は昨年以来ずっと変化無しである。

 長期上昇トレンドの中で、相場は今までも200円程度の下げは何度も記録してきている。今回2月4日2,517円から2月28日の2,251円までの調整局面は、266円幅の下落と今までよりも若干調整幅が大きいものであったが、大幅逆ザヤと内部要因から見て『サヤ出世相場』には当面変化は出ないであろう。先物が2,200円〜2,300円台で動いていたとしても、当限に廻れば2,500円は付く相場展開なのであるから…

 今週の動きは2月28日の2,251円から3月6日の2,396円まで145円幅の上昇となり、下げ幅の54%を回復。もっとも半値戻しをした水準ゆえ、このまま一気に上に走るとは思えず、この辺でまた上げ下げを繰り返す場面かもしれない。リースレートも17%台から14%台へ若干低下しており、後述するがファンドの買いも増えすぎてはいるゆえに…

 週末現在の自己玉は売り37,398枚、買い39,695枚となっており、売り越しに転じたわけではないがほとんどスクエアである。

 限月別では4月限〜10月限までは買い越し、12月・2月限は売り越しであり、6月・8月限の大幅買い越しが目立っている。

 …中略…

 しかし当方が基本的にこの相場を弱気しない理由は、ファンドが買って商社が売るのは先物2限月であり、4月限〜8月限に商社売りはほとんど無い事。例えば売り方商社である住商なども同限月は買いであり、商事も売り玉のほとんどは先2本である。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、4月限〜8月限の押し目買い方針を継続。ただし目先はファンドの買い過ぎから一時的な急落も有り得るとの見方。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

3月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

3月3日

\14,980

150

\15,560

120

3月4日

\14,950

-30

\15,580

20

3月5日

\14,960

10

\15,610

30

3月6日

\14,800

-160

\15,470

-140

3月7日

\14,890

90

\15,550

80

 

 今週のコーン相場は、3月6日に長い陰線を入れて寄付きからは急落したものの、基本的にはもみ合いの中の動きであり、三角持合をどちらに放れるだろうか?という動きである。

 6日の下落はM社の売り注文がきっかけとなっており、内部要因や順ザヤ幅の拡大により、どちらかと言えば下に放れる可能性の方が高いのではないか?と見られる動きである。

 先週号でもコメントしたが、天候相場期が接近中ゆえどうなるかは神のみぞ知るであるが、2月の本来下がらなければならぬ時期に高値を出したゆえに、どちらかと言うと天候相場は空振りに終わるのではないか?との予感がある。

 なお指標のシカゴ市場の今週の動きは、ファンドが売っているコーンは上昇、買っている大豆は下落の動きであり、ファンドの曲がりが目立つ展開であった。

 週末発表されたCFTCによる3月4日現在のコーンファンドの建て玉は買い78,188枚(前回発表時より3,811枚増)、売り120,810枚(同12,921枚増)となっており、ネットで42,622枚の売り越しである。ファンドは27日の229.75セント〜6日の240.50セントの上昇過程をを、売り上がり姿勢の様である。もしも243セントの目先の抵抗線を抜けてきたらどうするのか?に興味がある。

 一方大豆の週末発表されたCFTCによる3月4日現在のファンドの建て玉は買い77,109枚(前回発表時より3,747枚増)、売り14,182枚(同1,094枚増)となっており、ネットで62,927枚の大幅買い越しである。こちらも難平買いの姿勢である。

 当方は大豆相場に関しては見ていないため、解説を行う事は出来ぬ。値段やチャートくらいは見ているが、それだけで相場予測をするほどうぬぼれてはいないし、コーン・大豆の鞘取りも経験が無いため良く判らん。

 東京コーンの週末現在の自己玉は売り39,818枚、買い17,206枚となっており、大幅売り越しにあまり変化は無い状況である。

 …中略…

 図式としては売り方地場筋・玄人筋に対し買い方ファンド・大衆筋となっている。もう少し相場が下げるようであればファンドは更に手仕舞いに動くであろうし、地場筋はそれに向かって利食いを進めるはず…しかしそこまでは規定路線?としても、その後の相場展開がどうなるかが問題となろう。

 仮にファンドが途転売りに転換した時に、地場筋は逆に途転買いに転換するのか?それとも地場筋も売りのままで、大衆筋の買いだけ取り残されるのか?逆に天候相場で奇跡的な急騰を演じ、売り方の踏み上げ相場が到来する時期が来るのか?

 すべてはこれからであるが、11日発表のUSDA(米農務省)需給報告によりどのような発表が出るのかが一つのポイントか。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

3月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

3月3日

121.4

1.5

129.4

0.3

3月4日

119.5

-1.8

127.8

-1.6

3月5日

124.1

4.5

131.5

3.7

3月6日

125.3

1.2

132.8

1.3

3月7日

130.3

H5.0

134.0

1.2

 

 先週号においては、このゴム相場は2月25日の137.0円で天井確認。131円どころでの売りが良しで、123.4円が当面の目標ではあろうとした。

 しかし相場は、週明けにはズバリ131円台から翌日に127.5円までの下落を見せた後、期近からの急騰によって再び騰勢を強めて134円台へ…9.5円幅の下落幅の70%を回復しており、3分の2戻しを達成して終了している。

 かつて10円以上あった当限と先限との順ザヤは、週末には3.7円幅まで縮小。5月限の134.6円が全限月の中で一番高く、若干の天狗ザヤ…感覚的にはほぼ同ザヤ相場に変化したと言えよう。

 大手商社・Mは、なぜか今週は6月限を狂ったように大量買い。先限には売りヘッジしているが、トータル的には買い越しに転換している模様である。現在産地では配船が難しく船積み遅れが出ているとの観測があり、それに対応する形での期近〜中物限月の急騰となっており、先限はチャート上ではまだ戻りの範囲内と見られる観測とともに、更なる逆ザヤ化が進むとの見方も出ているようである。

 3月6日現在の自己玉は売り7,781枚、買い13,943枚となっており、ネットで6,162枚の買い越し。週末はさらに503枚の買いであったため、ネットでは6,665枚の買い越しとなっている。経験上あまり当てにはならぬゴムの自己玉ではあるが、このところはずっと買い越しでの推移であり、逆から見れば大衆売りが続いているパターンであろう。

 …中略…

 ゴム相場の大天井出現パターンは、逆ザヤもしくは天狗ザヤで終了することが多く、売り好きの当方はそろそろ佳境に来ているとの見方ではあるが、取組高・出来高ともに大衆筋の高値飛び付き買い状態になっていないところが不気味である。

 結論として当方の相場観は、サヤの変化は相場の変化とする事と先限の137.0円は天井との見方で戻り売りを基本とするが、取組上ではまだ危険も多く産地相場もなかなか下がってこない情勢では、高値圏での上下波乱がまだあると考えて、逆張りの柔軟な姿勢で臨むのが良しと見る。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

3月限(当限)

前日比 

1月限(先限)

前日比 

3月3日

\6,390

40

\9,800

100

3月4日

\6,340

-50

\9,820

20

3月5日

\6,330

-10

\9,820

0

3月6日

\6,300

-30

\9,800

-20

3月7日

\9,500

200

\9,800

0

 

 アラビカコーヒー相場は、完全にこう着状態の相場展開となってきた。当方のような万年売り方にしても、この安値場面を売ってもさほどの利は取れぬ戸の見方であり、買い方にしてもコーヒー相場自体に買い材料は無い事とトレンドは未だ下向きのままである状況では元気が無く、結局は動かぬ相場展開となっている。

 指標のNY市場にしても60セントを挟んだもみ合い相場であり、55セント割れまで暴落するか、それとも65セント以上まで上昇するかしなければ、東京市場に影響が出るとは思えない情勢である。

 週末発表されたCFTCによる3月4日現在のファンドの建て玉は買い13,535枚(前回発表時より2,132枚減)、売り19,936枚(同5,236枚増)となっており、ネットで6,401枚の売り越しである。ピーク時は2万枚ほどの買い越しだったものが途転売りへと変化。先週号でおそらく途転売りに変化しているだろうとしたものが裏付けられた形であるが、1万枚程度の売り越しまで行かねば逆にファンド買いは期待出来ぬ状況でもあろう。

 なおブラジルの今年度の生産高について、ブラジル政府の公式推定は2770万袋〜2970万袋と昨年11月発表されていたが、コーヒー業界関係者はそれを25%上回る3500万袋〜3700万袋との予想を打ち出している。価格を上げたいブラジル政府の発表など元々誰も信じてはいないが、この予測は明らかに弱材料であり、今夏(産地は今冬)よほどの霜懸念でも無ければ本格上昇にトレンドが転換するのは更に困難となったか…

 東京市場の注目の材料は、週末14日の3月限納会の行方である。6,200円どころから受けを前提にしたと思われる買い玉が入ってきており、実際にそれで一時的なスクイズ状態にでもなれば目先は戻ってくれるかもしれない。

 それに踊らされて大衆筋がまた底入れ〜上昇だと買い付いてくれれば、またじっくりと売れる相場展開となるのであるが…売り方の当方としても、一時的な急騰場面を期待する。期待が外れても、当方はがっかりするだけで損はしないからまあいいけど…

 内部要因は何も変わっていないため割愛する。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

5月限(当限)

前日比 

3月限(先限)

前日比 

3月3日

\24,570

580

\21,450

540

3月4日

\24,290

-280

\21,270

-180

3月5日

\23,560

-730

\21,010

-260

3月6日

\23,090

-470

\20,730

-280

3月7日

\23,210

120

\20,790

60

 

 先週号において、3月限納会後に当限に廻った5月限で天井を打つ!とコメントしたが、急騰場面での売り推奨は非常に怖いものであった。

 しかしNY市場の今週週明けから下落に転じた相場は、下値抵抗ラインである8.50セント8.30セントを次々とブレイクし、短期トレンドは完全に下向きに転換したようである。3月6日の安値7.92セントと8セント割れした場面は一度戻るところであるが、次にこのポイントを割り込んできたらもう上には行かないであろう。

 週末の終値は前日比0.06セント高の8.22セントであるが、ブレイクした安値抵抗線は今度は逆に高値抵抗線に変わるとのチャートパターン通り高値8.30セントで反落に転じており、ファンドが投げに動けば相場は大暴落に転ずるだろう。

 週末発表されたCFTCによる3月4日現在のファンドの建て玉は買い74,861枚(前回発表時より2,390枚増)、売り2,613枚(同2,613枚減)となっており、ネットで72,248枚の大幅買い越しである。ファンドは3月限〜5月限への完全乗換えでまたまた買い越しは増加している。

 3月限と同様に5月限も上げるぞ!との姿勢が見え見えの状態であるが、そうそう何度もうまく行くものであろうか?相場格言では『二度の思惑すべからず』とも言うのであるが…

 東京市場は2月21日の22,450円から下落に転じた相場は、26日に20,610円の安値を記録。その後今週3月3日の寄り付きに21,680円まで強烈な戻りを入れた後、6日20,730円まで下げて小休止中。1,840円幅下げて1,070円幅戻し、更に950円下げると言う荒い展開である。

 しかし今回のトレンドの起点は12月19日の18,560円がスタートであると週間足では見えるため、3,890円幅上昇して47%の下落をしたのだと見ることが出来る。約半値押しをして、戻ってはまた下げるであり、NY市場でファンドが投げれば奈落の底に…長期トレンドでは半値押ししただけじゃないかと言われれば、ぎゃふんとなる事も。

 週末現在の自己玉は売り5,733枚、買い5,041枚となっており、売り越し傾向は徐々に鮮明になって来ている。

 …以下略…

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

 

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