商品市況展望 割愛版

平成15年7月6日記

 

 『同床異夢』…同じ布団に寝ていても、違った夢を見る事。

 相場の世界においては、当たり前だが一般投資家は大きな利益を夢見て参加してくる。しかし相場は100人の財布からお金を抜き出し、3人に集中させるゲームであると昔から言われている。だがそれで相場の世界が悪い!などと言う事は無かろう。資本主義たるもの、おおよそすべてそのようなシステムである。夢を見て、冒険心を持ってチャレンジする事に、一体何の罪があろうか…チャレンジャーは賞賛されるべき人達である。

 また市場参加者のもう一方の一翼を担う存在として、商社がある。彼らの先物市場への参加動機は、基本的にヘッジ取引である。例えば輸入商品の価格の下落リスクを回避するために、現物の買い付けと同時に先物市場で売りヘッジをする。販売までの間に価格が下落しても、先物市場の売り玉に利が乗るために保険となる。価格が上昇すれば先物市場では損であるが、現物市場では高く売れるからチャラである。

 しかし商社という法人と言えども、やってるのは人である。それも熾烈な出世競争の世界に身を置くサラリーマンである。どうせやるなら現物でプラスを出し、先物市場でもプラスを出したいに決まっている。必然的にヘッジと言う名を借りた投機(オーバーヘッジ)になって行く事もまた必然であろう。

 さらに市場には、注文を仲介する取引員会社の存在もある。一般投資家、商社らが市場でお金の取り合いをする中で、取引員会社は売り方・買い方双方からの手数料をもらう事を生業としている。まさか一人一人が取引所に出かけて売買できるわけでもあるまいし(そんな事をされたら、取引所も事務処理でパニックになる)、市場と言うシステムの中でなくてはならない存在ではある。

 市場参加者が相場で少しでも多く儲けたいのと同様に、取引員会社は少しでも多くの手数料収入を上げたい…取引員会社も営利会社であるゆえ、それもまた当然の事。赤字で倒産する会社は悪い会社であり、儲けを出す会社は良い会社であるのもまた資本主義の必然!

 さらに取引所は、ともかく何でも出来高がいっぱいできれば良い。取引所も多くの職員を抱え、天下り官僚も多く抱えている。いっぱい出来高ができて黒字になれば皆さんホクホクだが、出来高低迷で取引所の存続に関わるようだと大変である。出来高増加のためには、多少の事は目をつぶりましょう…なんて事があるのかどうかは、当方の口からは言えない。

 さてこの4者の中で誰が一番偉くて、誰が一番力があるでしょう?日本の社会は、貧乏人よりもお金がある方が圧倒的に力があり、権威がある方が更に力があります。これもまた世の習いか…(笑)

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

6月30日

\19,610

0

\18,340

-90

7月1日

\19,990

380

\18,770

430

7月2日

\20,120

130

\18,780

10

7月3日

\19,950

-170

\18,760

-20

7月4日

\19,890

-60

\18,710

-50

 

 まずは原油から…NY市場は独立記念日で3連休中である。相場はこの独立記念日を境に変化することがよくあるといわれているが、この時期を狙ったアルカイダによるテロ懸念も元々あった中で、何にもなければ原油も下がらんかな?と言うのが売り方の淡い期待…(笑)

 それにしてもこのNY原油は、3連休前の3日には高値30.98ドルまで上昇しており、よくもまあこれだけの高値水準をずっと維持できるものだと感心する次第。と言うのも過去15年間の中で、30ドル以上の価格に上がったのは3回だけなのである。90年の湾岸戦争時に高値40ドル台を一度記録、その後は2000年のテロの時37ドル台、そして今回のイラク戦争前に39ドル台であり、そして今再び30ドル台であるが、それ以外の時期には20ドルを中心として高値25ドル、安値15ドルがおおよその相場レンジなのであるから…

 この高止まりの要因として良く語られるのが、全米原油在庫が一向に増加して来ない事である。しかしこの在庫の水準を昔と比べるのはナンセンスなのでは?石油元売り会社は昔と違い、経営効率を上げるために過剰在庫は持たぬようにしており、精製分を輸入してすぐに製品化する。前年同月比で大幅に少ないと言われる原油在庫であるが、ガソリン在庫はほぼ一定の水準にあり、それを裏付けているのではなかろうか?

 また相場が高い時期には輸入は当然押さえ気味になるであろうし、在庫が少ないから高いのではなく、高いから在庫が少ないのだと考えた方が妥当ではなかろうか。今は強気相場の循環サイクルにいるので仕方が無いが、逆に相場が下落を始めれば在庫は増加するとの逆の見方を当方は採りたい。

 なお直近の材料であるが、ナイジェリアのストは早期終結の見込みであり、またイラク原油も近々輸出再開の見込みであると言う。テロが無ければ、もうそろそろ天井〜下落のパターンに入っても全く不思議ではない。

 なおCFTC発表の建て玉情報は、独立記念日のため今回は無し。週明けの発表となる見込みである。ファンドの買い越しが更に増加していれば、逆に手仕舞い売りの懸念から売られる可能性が高いと読む。

 

 さて東京市場は、21,000円台の高値を記録してから暴落した7月限・8月限を除いては、9月限以降の限月は連日一代の高値更新相場となっている。先物では7月2日の18,940円までの上昇となっているが、おおよそこの辺は目先の天井の可能性は大ではなかろうか…

 週末現在の自己玉は売り8,322枚、買い10,906枚となっており、30日には一時的に売り越しとなったものの翌1日には急騰。その後また買い越しに戻ってしまった…これは売り方にとっては嫌味な展開である。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、目先は一度下げるとの見方を取りたい。ただしチャートは内外ともまだ買いトレンドのままであり、国内市場自己玉の買い越しも嫌味であるため、また逆ザヤ相場に付き長期保有は買いが有利である事にも変化は無いため、突っ込んだ場面はすぐに利食いした方が良さそうではある。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

8月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

6月30日

\29,480

80

\26,690

-120

7月1日

\29,830

350

\26,900

210

7月2日

\30,040

210

\26,820

-80

7月3日

\30,000

-40

\26,900

80

7月4日

\30,030

30

\26,750

-150

 

 続いてガソリンです…先週号においては『週末の商いは天井を髣髴させるものだったゆえ、一時的には急落を予想する。しかしその下落場面では売り玉の利入れと、仮に下値売り玉を保有していたら、損切りを抱き合わせで行なう必要があろう。』とした。しかしこの相場はなかなか下げず、当限が7月に入ってからのスポット市場での急騰を受けてついに3万円台の大台に乗せた。先物も同じく急騰したのであればエネルギー出尽くしとの見方から売りたかったが、下がるでもなく上がるでもなくでは新規売りはしづらい場面であった。

 7月1日の高値27,040円はぼちぼちのところであり、これが目先天井となったかどうかは来週前半の動きで判断したい。普通だったら26,000円台前半までの押しはあっても良いのだが…

 3日現在のスポット価格は海上で29,700円(京浜)〜30,200円(阪神)2,100円高〜2,000円高の急騰陸上では29,500円〜29,200円とこれもまた2,200円高の急騰である輸入採算価格は29,000円なっており100円高である。(すべて前週比)

 民族系元売りのスポット買いの継続がついに功を奏し、輸入採算以上の価格を記録する事となった。大して売れもせんガソリンを、まさに力づくで持ち上げたと言えよう。しかしここまで上がって輸入採算価格をオーバーすれば、今度は輸入ラッシュと言う事態も有り得よう。

 また外資系元売りは、販売店への仕切り価格を引き下げたとの報もある。これ以上の価格上昇は需要の停滞を巻き起こす可能性もあり、困難であろうとの見方を採りたいが…

 週末現在の自己玉は売り55,667枚、買い23,083枚となっている。自己玉の売り越しは今年最高レベルまで到達している。逆に言えば、明らかに大衆筋は高値買い付き型で買い過ぎレベルと言う事であろう。

 …中略…

 また11月限・12月限が一代の高値を更新した30日には、過去最高の出来高22万6,000枚を記録しており、内部要因ではいつ急落してもおかしくない姿である。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、当限ならびにスポット価格の目標値到達感と自己玉売り・ファンド買いなどの取組内部要因などを考えると、一度調整局面入りして相場を冷やす必要があるとの見方。今度こそ売り方針に分があると見る。

 

 

今週の灯油の値動き

 

8月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

6月30日

\27,100

100

\29,150

-120

7月1日

\27,230

130

\29,290

140

7月2日

\27,230

0

\29,410

120

7月3日

\27,100

-130

\29,440

30

7月4日

\27,050

-50

\29,330

-110

 

 最後に灯油です…先週号においては『灯油はガソリン売りのヘッジとしての買いを常に考えておくべき銘柄であると考え方ではあったが、目先は目標値達成でありポジションは持ちたくないところ。場合によっては一時的に新規売りを考えて見たいところである。』とした。

 相場は30日に29,490円の高値を記録した後に、持ち合い状態に突入である。ガソリンと違って自己玉は相変わらず買い越しであるが、ファンドはガソリン同様に大幅買い越しである。ここからの動きは、やはりガソリン相場に準じたものになろうか…

 3日現在のスポット価格は海上で26,000円(京浜・阪神ともに)となっており1,500円高陸上では26,800円〜26,500円でこちらも1,500円高となっている。輸入採算価格は26,100円なっており、変わらずである。(すべて前週比)

 ガソリンの上昇に連れて同じく急騰した灯油であるが、実際のところは不需要期であるゆえ引き合いは全く無いようだ。現物取引は伴わず、ただ値段だけ動いているだけのようである。

 取引所相場の先物限月は需要期ゆえ高くて当然ではあるが、それが現状の3万円近い価格で適正なのかどうかは誰にも判らない…梅雨も明けていないのに今冬の気温など話題になるはずもなく、またその時点の原油価格も誰にも判らぬからである。

 週末現在の自己玉は売り17,059枚、買い23,227枚となっており、買い越し状態には変わらない。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、灯油はガソリン売りのヘッジとしての買いを常に考えておくべき銘柄であると考え方ではあったが、目先は目標値達成でありまたファンドの買い過ぎが目に付く状態となっているため、一時的には急落の恐れありとの見方である。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

8月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

6月30日

\2,548

31

\2,344

28

7月1日

\2,566

18

\2,379

35

7月2日

\2,585

19

\2,386

7

7月3日

\2,571

-14

\2,379

-7

7月4日

\2,574

3

\2,396

17

 

 金相場は、5月22日の1,405円で天井を打っている!との見方をずっと採って来ている。先週は1,350円どころまで戻ればまた売ってよかろうとしたが、2日に1,346円まで戻った後は円高到来でまた値を消した。

 チャートトレンドは内外ともまだ下げ道中の中にあり、株式市場の上昇も金相場には弱材料である。急落するかどうかはわからぬが、買える相場でないことだけは確かであろう。

 なお独立記念日のため、CFTCによるのファンドの建て玉発表は週明けとなる。

 

 銀相場は、このところ基本的に170円割れからは小すくいの買いを推奨してきているが、先週号では『NY市場において早晩443.0セントを割り込まねば、ぼとぼち底入れになるものと予測する。』とした。

 NY市場においては相場は今週大きく吹き上げ、3日470.5セントまでの上昇となった。490セント台は大きな壁であり、ここからの買いにはさほどの妙味は無かろうが、金相場とは全く逆行する動きである。金とは違い、株式市場の上昇は強材料とされるためであろう。

 国内市場は円高により上値が抑えられたが、それでも完全に底入れ完了の形である。今後は押し目買い方針が良かろうと考える。

 

 プラチナ相場は、先の6月限納会においては住商の途転売り渡しによってほぼ平穏な納会となったが、下手したらスクイズの可能性も…とした可能性は常に残る。そうなれば大衆筋の壮大な踏み上げ相場となり、相場は青天井になるような上昇を見せるかもしれない。

 別にプラチナ自体に、そのような事になる材料が有るわけでは無い。しかし物を持たぬ大衆筋の売り込み型の内部要因は異常であり、物を持つ商社筋が逆に買い越しでは8月限納会も安穏としては居られない。チャートが役に立たぬとは言わないが、かつてのパラジウム相場の解け合い(元々400円のものが3,000円になった)を知る者にとっては、危険は危険として察知しておく必要はあろう。

 商社筋やファンドがそこまで持って行かないのは、一時的にはそれで大儲けしたとしても、その後に市場が荒廃してしまっては『金の卵を産むガチョウ』を殺してしまう事になるからか…しかし現在の内部要因では、売り方大衆筋は明きからに買い方商社筋の手のひらで躍らされているだけである。如何に当方が売り屋としても、この相場は売りたくは無い。

 週末現在の自己玉は30,148枚、買い62,598枚となっており、圧倒的な買い越し状態である。特に8月限は売り742枚、買い8,078枚となっており、まさに異常な買い越し状態である。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、相場ゆえ絶対に下がらんとは言わないが、上記の通りの異常な取組状態ゆえ買わないまでも売ってはいかんだろう…売り玉は早期撤退をお勧めする。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

9月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

6月30日

\15,100

-120

\15,650

-160

7月1日

\14,950

-150

\15,330

-320

7月2日

\14,900

-50

\15,220

-110

7月3日

\14,890

-10

\15,240

20

7月4日

\14,490

L400

\14,840

L400

 

 今週のコーン相場は、まさに堤防が決壊したような暴落相場を演じる事となった。この大暴落はまるで3月の石油相場の暴落を思わせるようなものであり、値動きのあまり無かったコーン相場にとっての1,000円幅下落は大きかった。

 元々米国産地ではまさに理想的な天候状態が続いていており、大豊作を予感させる状態の中で、良過ぎるから何かあったら上がるなどと言う屁理屈のような理屈で相場をあおった大衆筋は、これですべて殺された事になったであろう。

 米農務省から30日に発表された全米在庫と作付確定面積の発表は、ほぼ事前予想通りの数字でありここでは詳しく解説しないが、大きく売られたきっかけはやはり良好な作柄生育状況である。全く、天候が良過ぎるから上がるのだ…などと強気でいた人たちは、一体何を考えていたのだろう?

 さて相場は内外ともファンドは完全に途転売りに変化しており、曲がり屋ファンドが売り過ぎれば反発も有り得よう。また天候相場にしてもまだまだ続くわけであり、ひょっとしたらまた買い材料視される時期もあるかもしれない…しかし基本的に、商社筋らは今年の天候相場はもう終った!などとコメントするところもあるとおり、ここまで崩れた相場が本格的にまた上昇して行く事は当分無いだろう。戻れば売られる運命にあると言えようし、最後に待っているのは『鬼より怖いサヤ滑り』となるだろう。

 もし底を打つとすれば天候相場が終わり需給相場に移ってからであり、その時点でかなりの安値まで落ち込んでいたとしたら、初めて『豊作に売り無し!』の相場となるやも知れない。まだまだ先の話であろうが…

 週末現在の自己玉は売り37,430枚、買い25,023枚となっており、さすがにストップ安の週末には売り越しが詰まってはいる。それでもまだまだ大幅売り越しではあるが…

 …中略…

 三菱F・ファンドは先週までの8,000枚の買いを週末までに投げて、新規売りで売り方筆頭に…全くようやるわ!である。ほぼ一手売りと言っても良かった岡地は、投げに合わせて断続的に利食いを進めたが、有力地場筋は売ったままである。(と言うか売り乗せである…さすがは相場師といったところ)

 エース・豊・オムニコ辺りは、投げて投げて投げまくった展開である。連投でピッチャーだったら肩壊すぞ!ってな具合である。

 結論として当方の相場観は、完全に壊れた相場ゆえ戻り売り一貫。ただし大相場を当てた後は、石油のように曲がる事もあるので安値売りは避けるのが良いか。

 なお大豆については解説は行っていないが、コーンよりも値位置が高いだけに売り妙味があるか。天候が良いのは、コーンも大豆も一緒だからねえ。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

6月30日

117.7

-2.7

108.9

-0.3

7月1日

121.3

3.6

111.1

2.2

7月2日

118.0

-3.3

109.5

-1.6

7月3日

118.3

0.3

110.7

1.2

7月4日

119.3

1.0

111.7

1.0

 

 …前略…

 さて相場の方であるが、今週は30日の108.3円から反発に転じ、週末には高値112.1円まで4円弱の上昇。もっともこれは単なる時間調整の戻りと見る向きが多く、せいぜい上がって114円〜115円どころではないか。戻りいっぱいとなれば、再び下げ始める公算は強いと考える。

 なお相場は未だ若干の逆ザヤ推移となっているものの(当限を除けばほとんど同ザヤであるが)、今後は徐々に通常の順ザヤ相場に移行して行くのではなかろうか。またその当限・7月限についても、M社はすでに手持在庫を4,000トン〜5,000トンと有していると言う話もあり、中国に輸出しようにも上海市場の在庫が20万トン以上の過剰在庫となっているなどという話が伝わる現状では、受けに廻らない公算も大である。

 結局は余程の強材料が出現しなければ、産地も原料出回りの時期でもあり、ゆっくりと下げて行く事になるのではなかろうかとの見方である。先物が112円で期近が102円と言う順ザヤ相場となり、またいつものサヤ滑り時代の到来が迫っている?

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

7月限(当限)

前日比 

5月限(先限)

前日比 

6月30日

\9,510

-100

\10,970

-10

7月1日

\9,590

80

\10,960

-10

7月2日

\9,550

-40

\10,870

-90

7月3日

\9,610

60

\11,120

250

7月4日

\9,560

-50

\11,110

-10

 

 先週号で以下の通りにコメントしたコーヒー相場は、やっぱり反発をしてしまった。

 何はともあれ在庫がたっぷりのコーヒー相場を強きする事は考えられず、万年売り屋と買い屋に馬鹿にされようが、やはり売れるチャンスの時を待っての策動である。

 しかし内外市場ともにファンドは売り過ぎに見え、自己玉も売り越し転換とは言え曲がり屋であるため、ここは慎重に戻りを待っての売り方針が良しか。最大戻って11,500円どころであろうと見るが…さて?

 NY市場でのファンドの売り越しは24日現在で16,000枚超であったが、相場は25日の55.80セントを底として2日に急騰。63セント台まで上昇した。3連休前の取引である3日には一時64.20セントまで上昇するものの、結局は上に長いヒゲを引いての陰線引け。

 一説には2日の急騰時点でファンドは1万枚の買い戻しを入れたとの話もあり、もう売り越しは無いのかもしれない…それならば相場の戻りはもう終っているかも知れず、その確認は週明けのCFTCの発表を待ちたい。

 さて東京市場であるが、2日のNY市場の急騰により、10,800円台から3日には11,140円まで上昇。上がるには上がったが僅か300円程度であり、全く期待はずれであった。NY市場ではファンドの踏みが入ったが、東京市場は三菱Fを見ても判るとおり、さほど大きく売っているわけでは無いので踏むべき玉も無い?

 産地ブラジルの降霜懸念も無い中で、内外ともにファンドが買い越しポジションまで転換するとは思えず、所詮は一過性の戻りとなってしまう可能性は大である。売り方としても、ここはもう一段高があってくれた方が売りやすいのではあるが…

 東京市場の週末現在の自己玉は売り33,432枚、買い25,409枚となっており、若干また売り越しは増加中である。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、所詮は戻り売り一貫であるがもうちょっと戻って欲しいところ。そうすれば売りやすくなるし、商社筋も大量に売ってくるだろう。ただ目先は納会を気にして、さほどの上下は無いかもしれない。

 納会値は今のところ9,000円〜9,500円でのほぼ平穏な納会を予測している。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

9月限(当限)

前日比 

7月限(先限)

前日比 

6月30日

\18,460

-390

\18,520

-210

7月1日

\18,360

-100

\18,720

200

7月2日

\18,320

-40

\18,500

-220

7月3日

\18,890

570

\18,730

230

7月4日

\18,760

-130

\18,600

-130

 

 30日にNY市場で7月限納会が終った。渡し方はカーギルで、受けはサクデン。注目のタイ産粗糖の受け渡しは無く、ほとんどがブラジル産の納会となった。タイ産の粗糖が渡れば大暴落か?と考えていたが、タイの業者は安値渡しを回避した模様であり、ほぼ堅調な納会となった。

 この限月が大暴落で終了すれば、とりあえずは相場の灰汁抜けとなり、売り玉総利食いの市場撤退も考えていたのだが、とりあえずは肩透かしを食った格好である。

 さてNY市場で渡されなかったタイ産の現物は、一体どこで処理されるだろうか?業者はなるたけ高く売りたいのは当たり前だろうが、戻れば売りに出てくる荷物の存在は、相場の灰汁抜けを遅らせることにもなろう…もっともすでにNY市場でも応分の下げを演じた後だけに、一気に崩れる材料も出づらいと思え、しばらくは下値もみ合い相場となる公算は大である。6.70セントと上昇してくれば、底入れの気運も出てくるかもしれないが。

 国内相場は、6月25日18,370円まで下落の後からの小反発場面が継続中。19,000円をオーバーしてくるようであれば底入れ気運も高まろうが、タイ産粗糖の供給過剰感がある中でそこまで水準を切り上げられるかどうかは疑問。

 週末現在の自己玉は売り9,092枚、買い3,648枚となっており、圧倒的な売り越し状態は更に進んでいる。

 結論として当方の相場観は、当限9月限の納会が接近するまでは横ばいと見る。そこでの動向によって、もう一段安に突っ込むか、あるいはゆっくり底を打つかであろう。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

 

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