商品市況展望 割愛版

平成15年7月13日記

 

 小説の中に出てくる相場師というのは、いわゆる相場という変動の大きい危険な世界の中で生きて行くだけに、豪放らい落なイメージで描かれる事が多いのではなかろうか?またそれに付随する業界人も、かなり派手なイメージで描かれる事は多かろう…

 まあおおよそ確かに普通のサラリーマンなどに比べれば、それも若干は当たっているかもしれない。しかしお金の動かすロットは確かに多少大きいかもしれないが、相場と言う明日の判らぬ世界に住むものは、意外とまじめである。前の日に深酒して翌日の立会いに支障をきたすような事でもあれば、いっぺんに破産する事態ともなりかねない場合だってあるのだから…

 当方の場合は毎日5時半頃には起きる。前の日の海外市場のチェックのためである。もうすでに習慣となってしまっているので、何時に寝ようがその時間になれば嫌でも目が覚める。

 酒は嫌いな方では無いので(いや、むしろ好きなので)毎日飲む。しかしどこで飲んでいても12時にはベットに入るようにする。2時、3時まで飲んでいたら疲れて、翌日ぼうっとした頭で相場を見るとろくな事が無いゆえ…

 午前中は9時から11時過ぎまでは立会いであり、午後は12時半から立会いで3時半過ぎまで…その間は、必ず会社でボードの前に張り付いている。概ね立会いが終了して、当日のチャートなどのチェックが終るのが4時半頃。やる事が無ければ、そこで仕事は終了である。会社にはなるたけ居たくないタイプなので、立会い以外の時間はすぐに外に出てしまう。(電話を頂いても、いない時間が多くてすみません)

 どこにも寄らずにまっすぐに家に帰った場合は、5時半前には着いている。風呂に入って飲んで、9時に寝てしまう事もしばしば…まるで子供の時間だね(笑)

 立会いのある平日は、判で押したように変わり映えはしない。飲みに行く時は、4時過ぎから空いている店じゃないと時間潰しに困ってしまう。学生時代の友人とかと待ち合わせで飲む時は、皆7時・8時頃まで仕事をしたりしているので、サウナでも行ってこないと会った頃には出来上がっている(笑)それから同業者の組織の人とは滅多に飲めないねえ…だって彼らは、朝7時半の出勤で夜は10時頃まで仕事しているもの。もうこっちは寝てるって!(笑)

 そして土日はレポートを書いている。やっぱり5時半には起きて、会社に行く代わりに自宅のパソコンの前に座りっぱなしである。もちろん多少の時間的余裕はあるけれど、立会いの無い正月休み以外はほとんど何にも出来ない。お盆は立会いをやってるしねえ…

 『会社に行くのは9時〜4時か!良いねえ、うらやましい…』と思う人と、『休みは全く無いのか!大変だね…』と思う人と両方いるでしょうが、当方もどっちも思います(笑)どちらに考えて頂いても一向に構わぬわけですが、まあ好きでやっている相場の仕事ゆえ、嫌いな仕事をやっている人に比べれば幸せであります!

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

7月7日

\19,670

-220

\18,550

-160

7月8日

\19,590

-80

\18,350

-200

7月9日

\19,770

180

\18,500

150

7月10日

\20,280

510

\19,050

550

7月11日

\20,300

20

\19,060

10

 

 まずは原油から…NY原油相場は全く下がる気配が無い。今週末終値は31.28ドルで前日比0.22ドル高。同日の高値は31.75ドルまで出ている。

 6月11日の32.50ドルから24日の28.53ドルまで3.97ドル幅下げた相場は、このところの上昇でほぼ往って来いの状態である。相変わらず買われている原因は全米石油在庫が少ない事や、週末はメキシコ湾に熱帯低気圧の発生で生産に障害が出るのでは?との思惑からファンドの買いが入った事など…

 先週号でも指摘したが、原油価格は過去15年間の中で、30ドル以上の価格に上がったのは3回だけなのだ。90年の湾岸戦争時に高値40ドル台を一度記録、その後は2000年のテロの時37ドル台、そして今回のイラク戦争前に39ドル台である。それ以外の時期には20ドルを中心として高値25ドル、安値15ドルがおおよその相場レンジなのであるが、何ゆえ平時にこのような高値が続くのか?付いた値段が相場ゆえ、おかしいおかしいで損するわけにも行かぬが、全く一体どうなってんの?である。

 在庫が増加しないから値段が上がるのだとの見方が市場を席巻しているが、それについての当方の見方は裏返しに見たものであり、価格が高いから無理に在庫投資をしないので増加しないのではないかと考えている。おそらく在庫が増えて下落を開始するのではなく、下落を始めたら在庫が増えるのでは無いだろうか。

 週末発表されたCFTCによる7月8日現在のファンドの建て玉は買い86,555枚(前回発表時より8,952枚増)、売り56,080枚(同5,670枚増)となっており、ネットで30,475枚の買い越しである。買い玉がどんどん増加しており、ほぼイラク戦争前の水準まで積み上がっている。相場は完全にファンド買い主導の展開であるが、危険ゾーンには突入してきているが…

 

 さて東京市場は、7月2日18,940円から8日18,310円まで630円幅の下落を演じた後、10日にはまた高値更新。そして更に週末11日も新高値更新である。先物では19,100円と8日の安値からあっという間に790円高である。9月限以降の限月は連日一代の高値更新相場となっており、大量に売り越していた岡地=U筋の連日の踏み上げ相場となっている。

 週末現在の自己玉は売り7,884枚、買い10,244枚となっており、連日の高値更新でも買い越し状態に変化は生じていない。まだ過熱感が無いと言う事の裏返しと取れる。

 …中略…

 特筆すべきは岡地の損切りの買戻し(踏み)であり、10日に3,000枚弱、11日にも400枚弱で4,800枚の売り越しから大変化!普通であればこれだけ大踏みが出れば、その後は一度下がるのだが…しかし内外とも反落の兆しが見えない中では、踏み当たりにならぬとも言えない。

 結論として当方の相場観は、ここから新規に買う気には全くならぬが、しかし明確に天井を打った形跡も何もないゆえに、しばし様子見としたい。安値売り玉は一度踏んで、体勢の建て直しを図るしかなかろう…どうせ上がるなら、2万円オーバーにでもなってくれた方が、その後の暴落が期待できて良いくらいの気持ちで待ちたい。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

8月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

7月7日

\29,750

-280

\26,370

-380

7月8日

\29,610

-140

\26,050

-320

7月9日

\29,830

220

\26,090

40

7月10日

\29,770

-60

\26,560

470

7月11日

\29,940

170

\26,670

110

 

 続いてガソリンです…7月1日に27,040円で目先天井を打った相場は、8日の25,910円まで1,130円幅の下落を演じた。3段上げ終了後の日柄と、自己玉の大幅売り越しで逃げ場を提供する下げが出るとの見方はほぼ的中。おおよそ26,000円どころまでの調整であろうとの見方も正解であった。

 その後反発に転じた相場は、週末高値で26,760円まで850円幅の上昇。下げ幅の75%の戻りを入れている。

 問題は再度この相場が27,040円の高値をクリアして27,500円〜28,000円を目指して上昇するのか?それとも27,040円は単なる目先天井ではなく天井であり、次の下げで25,910円を割り込みトレンド転換となるのか?である。原油価格の動向を見れば前者の見方が有利な気もするし、内部要因やガソリン自体の材料を考えれば後者が有利のような気もする…正直言って、判断に困る場面である。

 10日現在のスポット価格は海上で30,100円(京浜)〜30,200円(阪神)京浜では400円高で阪神は変わらず陸上では29,700円〜29,400円200円高である輸入採算価格は29,800円なっており800円高である。(すべて前週比)

 海上、陸上、輸入採算、東工取8月限価格と、おおよそ4者がすべて横ばいに並んだ形である。これを見ても、この相場はここからが正念場と言う事になろう。

 さすがに川下の販売においては、3万円どころの高値は需要家に受け入れられない形となってきており、新日本石油が中心となって進めてきた元売りの市中買いも、このところ縮小し始めていると言う。

 という事になれば、とりあえずは3万円に一時的に乗せた8月限価格のこれ以上の上昇は困難との見方ができ、後は逆ザヤの先物がサヤ寄せするのか?それとも先物は大幅に自己玉が売り越しているため27,040円は天井なのか?という判断を考えるところとなる。

 週末現在の自己玉は売り42,244枚、買い20,365枚となっており、5.5万枚まで売り玉が増加した後に相場が下落したため1.6万枚の売り玉の利食い。その後の反発で、また僅かながら売り玉が増加中というところ…

 …中略…

 商社筋はあっちにもこっちにも玉を出し、更には日バカリディーリングの横行では突然値段が飛んで動き出すので、個人投資家ばかりでなく各社ディラーも苦戦中の模様である。このパターンでは、内部要因の分析は意味をなさなくなりそうであり、また日バカリ戦略としては突然動き出すところを逆張りするしか無さそうである。やりにくい市場になったと言えるだろう。

 結論として当方の相場観は、大相場に移行するとは思わぬが、まだすぐには売りづらい展開と見る。最大上昇で28,000円、最大下落で25,000円と見るが、どっちに動くかは来週の動向を見ての判断とする。

 

 

今週の灯油の値動き

 

8月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

7月7日

\26,880

-170

\29,000

-330

7月8日

\26,600

-280

\28,760

-240

7月9日

\26,630

30

\28,880

120

7月10日

\26,680

50

\29,290

410

7月11日

\26,830

150

\29,560

270

 

 最後に灯油です…先物1月限は6月30日29,490円からガソリン相場同様に7月8日28,570円まで920円幅の調整安を入れたものの、その後週末には29,580円と一代高値更新新高値更新の限月は12月限・1月限の先物2本である。

 然したる根拠は無いが、ガソリンの需要期である8月限が3万円台を一度記録しているゆえ、灯油の需要期限月である1月限も一度は3万円の大台を記録するのかな?というところである。ここまで上がってきても、自己玉がずっと買い越しのままなのも不気味であるし…

 10日現在のスポット価格は海上で26,200円(京浜)〜26,000円(阪神)となっており京浜で200円高陸上では27,000〜26,700円でこちらも200円高となっている。輸入採算価格は26,100円なっており変わらずである。(すべて前週比)

 現在は不需要期で引き合いは全く無いようであり、また在庫も増加傾向との事で本来上がる材料はない。しかし原油高や他油種の堅調に引っ張られている展開であり、今後もガソリン相場次第であるという事になろう。

 週末現在の自己玉は売り16,687枚、買い25,027枚となっており、買い越しはまた僅かながら増加している。これでは値頃だけで売るのは危険である。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、灯油はガソリン売りのヘッジとしての買いを常に考えておくべき銘柄であると考え方ではあったが、ここからの高値はタイミングを図って売り参入が良しとの見方。ただし現状の自己玉の状態では、値頃感だけで売るのは危険!慎重に…

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

8月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

7月7日

\2,571

-3

\2,396

0

7月8日

\2,523

-48

\2,350

-46

7月9日

\2,533

10

\2,358

8

7月10日

\2,560

27

\2,382

24

7月11日

\2,547

-13

\2,366

-16

 

 金相場は、5月22日の1,405円で天井を打っている!との見方をずっと採って来ている。先週は『チャートトレンドは内外ともまだ下げ道中の中にあり、株式市場の上昇も金相場には弱材料である。急落するかどうかはわからぬが、買える相場でないことだけは確かであろう。』としたが、結局は10日に1,298円と1,300円割れの価格を示現。

 下げ止まるとすればこの辺からではあろう…ただし1,400円を目標に買うには材料も無く、また大底確認時に出るような大出来高や取組高の大幅減少なども見られない状態では、ここでの売り買いは妙味なしと見る。他の銘柄に目を向けた方が余程マシであろう。

 週末発表されたCFTCによる7月8日現在のファンドの建て玉は買い56,977枚(前回発表時より2,545枚減)、売り15,649枚(同1,341枚増)となっており、ネットで41,328枚の買い越しである。ソロスも買っているなんて言いながらピーク時8万枚超の買い越しだった姿はもう無いが、まだまだ高水準の買い越しであり、買う気も起きない姿である。

 結論として当方の相場観は、大きく戻ればまた売りを考える。戻らなきゃ見送りである。

 

 銀相場は、このところ基本的に170円割れからは小すくいの買いを推奨してきているが、先週号では『国内市場は円高により上値が抑えられたが、それでも完全に底入れ完了の形である。今後は押し目買い方針が良かろうと考える。』とした。

 NY市場において今週は、金の下落を尻目にまた大きく値を吹き上げ、10日489.5セントまでの急騰となった。しかし大きな壁である490セント台は突破ならず、長い上髭を引いての陰線引けである。

 また東京市場においても10日181.0円まで上昇したが、NY市場の線を見て翌11日は反落。5月の上昇相場時にも182円どころで天井打ち〜下落に転じており、170円割れまで下げた経緯がある。ズバリここは天井を打ったと見て、売り方針に転換が良いのではなかろうか?

 週末発表されたCFTCによる7月8日現在のファンドの建て玉は買い31,125枚(前回発表時より4,439枚増)、売り10,210枚(同7,600枚減)となっており、ネットで20,915枚の買い越しである。せっかく1万枚以下の買い越しまで減っていたものが、ネットでゼロになる前に相場の急騰からファンド買いも急増。

 結論として当方の相場観は、183円にストップロスを置いての売り転換を図りたい。大相場でなければ、ここは売り場であろう。

 

 プラチナ相場は、先物では6月20日2,399円を記録した後26日2,292円まで下落。その後また切り返して7月2日2,400円を記録するものの、翌3日には下落。4日・7日も2,400円突破をチャレンジするものの成功ならず、9日2,336円まで下落。

 そして週末は5度目の2,400円突破チャレンジであったが、突破できずにまた2,360円台まで下げてしまった…ただし下値もまた切り上がってきており、これは典型的なトライアングル・パターンである。(三角持ちあい)

 通常、チャートの見方では現在のプラチナ相場の様な上辺が水平、下辺が上向きなトライアングルはアセンディング・トライアングルと呼ばれ、いずれ上放れる強気のパターンとなる。この相場は2,400円を抜けた場合は、大きく舞い上がる可能性が大である。そのタイムリミットはチャートから判断して、今後2週間ほどであろうと推測される。

 週末現在の自己玉は34,603枚、買い62,333枚となっており、圧倒的な買い越し状態に変化は無し。この異常な状態を見ただけで、如何に売り屋の当方とは言え売る気力は全く無しである。

 買い方は13,000枚超を買い越す三井Fがダントツで、続いて5,000枚超を買い越す親会社の三井物産の図式に変化無し。確かに以前はファンドに向かう戦略を立てていたが、すぐに言う事を聞かない場合は危ない。10回連続損しても、1回の大相場で一気に稼ぐのがファンドであるゆえに…(個人の場合はちまちまと何度も利食いしても、1回のマイナスですべてを飛ばしてしまう事が多い)

 その他買い方は岡地・ひまわり・三菱F・豊などすべてファンドの機関店であり、唯一エースのみが大衆店である。

 逆に売り方のほとんどは大衆店であり、受け渡しなどに縁のない会社である。もちろんエンゲル・三菱商事・住友商事らの商社も売り越しではあるが、例えば三菱商事が売っているのは先物1本だけであり8月限は買い越し。住商も売りは4月限・6月限の先物であり、8月限〜2月限は大量買いである。

 恒常的に大幅逆ザヤであり、時間の経過とともにサヤ出世をするこの銘柄は、短期的には調整安の出現で売りでも利益は取れようが、長く保有すればするほど買い玉に利が乗る仕組みとなっている。

 スクイズ(買占め)から一気に高値に駆け上がらせると、金の卵を産むガチョウを殺してしまう事になるゆえ、買い方は適度な下落を演出しているだけかもしれない。

 結論として当方の相場観は、この相場は買い方の手中にあるものと考え、またチャートパターンからもいずれ上に放れるとの見方ゆえ、2,300円台前半までの下落場面は買い拾うべし!との見方である。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

9月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

7月7日

\14,290

-200

\14,620

-220

7月8日

\14,430

140

\14,700

80

7月9日

\14,580

150

\14,850

150

7月10日

\14,220

-360

\14,460

-390

7月11日

\14,000

-220

\14,370

-90

 

 今週のコーン相場も、先週に引き続いての暴落となった。7日週明けに220円安と叩き込まれた相場は9日までに多少は戻ったものの、単なる買い方の追証待ちの時間稼ぎ…追証を入れてもらった後で、はいまた次の追証請求ですよ!のパターンである。

 相場が泥沼化した時は、追証なんぞ入れずにすぐ逃げるべし…底なし沼に幾らお金を突っ込んだって返って来ることは無い。買い方が投げずに我慢をすれば、そのお金はすべて売り方玄人筋の懐に転がり込むだけである。完全に崩れた相場を何とかしようなど考えても無駄であり、暴落相場を運悪く強気していた人は、ともかく投げるのが常道である。

 さて米国中西部の天候は今のところ大きな不安材料は何もなく、その他インド・中国などでも降雨により作柄改善の見込みであると言う。前々から今年は余程の事が無い限り豊作であろうと予測していたが、それ以上の大豊作の確率がどんどんアップしている状況である。

 なお下値予測であるが、シカゴ市場では現在215セント割れまで下落しているわけであるが、昨年の安値は191セント一昨年は184セント更にその前は174セントである事は覚えておいた方が良いか…200セントは別にとりたてて安い水準ではない。また東京市場においても、昨年は14,000円どころが安値であるが、一昨年は12,000円どころさらにその前年は11,000円台である。ある無しは別として、16,000円台から2,000円も下がったからもう底だと考えても、12,000円台まで下がるのであればまだ2,000円もあるのだ!と考える事もできるということである。

 さて週末発表されたCFTCによる7月8日現在のファンドの建て玉は買い59,241枚(前回発表時より2,332枚増)、売り85,962枚(同11,929枚増)となっており、ネットで26,721枚の売り越しである。買い玉をそのままに、売り玉をどんどん膨らませている状態である。

 ちなみにCFTCによる7月8日現在の大豆ファンドの建て玉は買い31,478枚(前回発表時より19,548枚減)、売り37,787枚(同402枚減)となっており、ネットで6,309枚の売り越しである。こちらは買い玉の大量投げでの途転売りである。今後売り玉を増加させるかどうか?

 

 東京市場週末現在のコーンの自己玉は売り34,542枚、買い25,868枚となっており、さすがに暴落前よりは1万枚ほど売り越しは減少している。それでもまだまだ大幅売り越しではあるが…

 …中略…

 三菱F・ファンドは先々週までの8,000枚の買いを7月3日で途転売りへ、さらに断続的に大量売りを這わせている。三井Fファンドも売り乗せ攻勢であり、豊もファンド売りの可能性が大。売り方でずっと維持しているのは丸梅・共和の地場筋・売り方仕手筋である。

 かつで買い方筆頭のファンドに対して一手売りだった岡地は、ファンドに向かい過ぎて途転買いへ…その他の会社もファンド=曲がるとの連想で買い向かっているが、ファンドの投げから5,000枚程度の売りまでは向かえても、さらにそこからの4,000枚超の売り圧力に屈しているようだ。ここまで売ってくると想定せずに、早めに向かってしまったため向かいきれなくなったのか?週末の下げはその辺が原因と思われる。

 結論として当方の相場観は、戻り売り一貫である。ファンドの売り過ぎは確かに気に掛かるところではあるが、今回はすでに大幅に利が乗っており、売り玉の回転も効いている様である。むしろファンドに向かって買った玉が、戻ればやれやれで降りてくることが想定され、戻り頭を抑えるであろう。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

7月7日

120.2

0.9

113.5

1.8

7月8日

123.3

3.1

115.7

2.2

7月9日

127.1

3.8

114.7

-1.0

7月10日

128.9

1.8

114.0

-0.7

7月11日

129.5

0.6

114.5

0.5

 

 先週号においては、『ゴムの戻りはせいぜい上がって114円〜115円どころではないか。戻りいっぱいとなれば、再び下げ始める公算は強いと考える。』としたが、相場は9日に116.1円を記録。その後軟化したものの、予想以上に強い相場であったと言える。

 更には『今後は徐々に通常の順ザヤ相場に移行して行くのではなかろうか。』としたものが、M社の8月限・9月限の売り玉外しによってまた逆ザヤ幅を拡大して上昇。どうやらU筋も当方と同様の順ザヤ移行の考え方だったのか、期近売り・先物買いのポジションの当限7月限の売り玉を踏まされ、あっという間に一時は130円台乗せまで10円以上の上げ幅を記録。ちまちまと踏む空売り玉を、完全にMに狙い撃ちされた形である。

 まだ納会まで間があるゆえに今後の7月限の動向は不透明ではあるが、売り屋は穀物・コーヒーらに移行してしまっている事も、なかなか相場を崩しきれない要因となっているかも…

 さてゴムのファンダメンタルズを考えた場合には、需要部分での鍵を握っている中国は、新型肺炎SARSの影響により工場停止などの事態に陥り、原料である天然ゴムなどの消費の伸びが頭打ちとなっていた上、国内産であるSCR(スタンダード・チャイナ・ラバー)へ消費を切り換える動きが強まっていたことから、ここ最近は産地からの引き合いが弱まっていた。しかしSCRの出回り期が8月一杯となることから、9月積み以降の原料ゴムに関してはタイやインドネシアから輸入することが確実視されているようだ。

 またこのところSARSもほぼ落ち着いてきたことから、これにより再び産業が活性化し、天然ゴムの消費が増大するとの予測もある。

 更には産地タイの降雨により、再び生産障害などの可能性が出て来ていることも、心理的な強材料とされているようである。

 しかし一方では、上海市場の在庫が20万トン以上の過剰在庫となっているなどという話が伝わるなどしており、また産地も基本的には原料出周りの時期である事を考え合わせれば、市場環境のすべてが買い方に味方していると言うわけでもない。

 結論として当方の相場観は、M社次第のこの相場の行く末は良く判らんため、目先はハッキリするまで様子見である。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

7月限(当限)

前日比 

5月限(先限)

前日比 

7月7日

\9,700

140

\11,150

40

7月8日

\9,840

140

\11,300

150

7月9日

\9,990

150

\11,290

-10

7月10日

\9,980

-10

\11,540

250

7月11日

\9,840

-140

\10,910

-630

 

 先々週号でのコメントは、以下の通りであった。

 『何はともあれ在庫がたっぷりのコーヒー相場を強きする事は考えられず、万年売り屋と買い屋に馬鹿にされようが、やはり売れるチャンスの時を待っての策動である。

 しかし内外市場ともにファンドは売り過ぎに見え、自己玉も売り越し転換とは言え曲がり屋であるため、ここは慎重に戻りを待っての売り方針が良しか。最大戻って11,500円どころであろうと見るが…さて?

 相場は今週10日に11,550円を記録。これは5月21日の11,550円と全く同値であった。週末は10,910円までの暴落であり、6月17日の11,930円をトップとした三尊天井形成である。これで6月26日の10,790円を割り込めば、完全に暴落型チャートの完成となる。その場合は一気に1万円割れまで下がる形となる事が想定され、ここは一気に叩いてみたいところであるがさて?

 指標のNY市場は、7月3日64.20セント、10日64.25セントでWトップを打った形であり、同日の長大陰線もまた悪い。ファンドの売り過ぎからの大幅買戻しで、55セント台から一気に切り上げた相場であるが、産地ブラジルの降霜懸念も薄れる中でそろそろ天候相場期も終了が迫っており、結局は支援材料は無さそうである。

 元々この時期さえ乗り切れば、来年は表作での大増産から、信じられないような安値を予測している当方である。NYベース30セント台があっても不思議では無いと考えているゆえ…

 週末発表されたCFTCによる7月8日現在のファンドの建て玉は買い13,985枚(前回発表時より813枚増)、売り26,026枚(同5,413枚減)となっており、ネットで12,041枚の売り越しである。ピーク時1.6万枚超の売り越しからは2週連続売り越し減少であるが、思ったよりはファンドの買戻しは進んでいない印象である。週末のNY市場が前日の長大陰線の割には下げ渋ったが、この辺が原因か?

 しかしNY市場が暴落中に東京市場は6月に下げ渋った時期があるため、NYはNY、東京は東京との見方に立っても良いのかもしれない…後は7月限の納会がどうなるかであろう。

 東京市場の週末現在の自己玉は売り26,875枚、買い25,872枚となっており、ほぼスクエアである。前日に自己玉が久々に途転買いに転じてから週末に暴落しており、自己玉も当っていないけどね…

 …中略

 東京市場は、MFファンドの玉が無くなって下げてくれる辺りは理想的な展開か…また6万円から4.5万円に下がった証拠金の分で11,000円台を買い上がった大衆筋は、今度は逆に4.5万円から6万円に証拠金が引き上げられて大投げである。まだ当分買う元気は無かろう…

 結論として当方の相場観は、ここは三尊天井の確認と見て絶好の売り場と見る。戻り売り一貫である。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

9月限(当限)

前日比 

7月限(先限)

前日比 

7月7日

\18,960

200

\18,650

50

7月8日

\19,260

300

\19,050

400

7月9日

\19,450

190

\19,120

70

7月10日

\19,580

130

\19,150

30

7月11日

\19,150

-430

\18,750

-400

 

 タイ産粗糖の受け渡しは無くほとんどがブラジル産の受け渡しとなったNY市場の納会以降、何となく売りづらい雰囲気の中で、内外ともジワジワと戻っていた相場は、週末にはまた一気に下げる事となった。下手したら底入れ〜上昇トレンドへの転換か?と思われたところでのこの下げにより、相場の立ち直りはまた先送りされたと言う事になろう…

 何と言っても現在のところ世界砂糖需給に何の不安も無く、タイの大増産からの荷余り分は消費されぬ限り解消されぬ。子供の算数の問題ではないが、『太郎君がりんごを10個持ってました。花子さんはみかんを1個持ってました。太郎君が花子さんへりんごを5個あげて、みかんを1個もらいました。全体でりんごは幾つになったでしょう?』ってなもんだ!誰から誰に渡ろうが、りんごは食べなきゃ、ずっと10個のままだ。

 さてNY市場の上値抵抗ラインは、ズバリ6.65セントが第一関門。そこをクリアして7.34セントをもオーバーすれば、トレンドは完全に転換する。6.65セントをクリアするようであれば次の押しで売り玉は撤退が良いかも知れぬが、果たしてそこまで戻れるかどうか?

 週末発表されたCFTCによる7月8日現在のファンドの建て玉は買い17,388枚(前回発表時より2,021枚増)、売り48,778枚(同3,228枚減)となっており、ネットで31,390枚の売り越しである。戻るとすれば大幅売り越しのファンドの買い戻しだが、今年2月の高値の時点では8万枚近い買い越しであったのだから…

 さて国内相場は、6月25日18,370円から7月10日には19,180円まで、12営業日をかけて810円幅の戻り。今までの下落途中の反発もおおよそ10日〜13日の範囲で納まっており、週末の暴落はその辺にも布石があったかも…しかし早晩新安値更新とならぬ場合は、逆三尊型の底入れパターンとなる可能性は否定できず、注意は必要である。

 週末現在の自己玉は売り8,174枚、買い3,699枚となっており、圧倒的な売り越し状態ではあるが、ピーク時よりは1,000枚ほど売り玉が減少である。

 …中略…

 完全に当業者・売り方玄人筋売り対大衆筋の買いの図式である。取組高は6月の19,000円割れ辺りから4,000枚ほど増加しているが、現状では売り方・買い方ともに仕掛けた近辺の値段と言えよう。

 結論として当方の相場観は、当限9月限の納会が接近するまでは売りたくも無し、買いたくも無しである。取組高が増加傾向なのは喜ばしいが、出来高は相変わらずの低迷であり、あんまり見ている人はいなさそうである…

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

 

戻る