商品市況展望 割愛版

平成15年9月7日記

 

 いよいよ週明け9月8日には、ディーゼルエンジン車の燃料である軽油の新規上場が行なわれる。今回は『軽油』についての解説の3回目である。

 さて今回は『軽油』の価格変動要因について簡単に説明する。

 当たり前であるが、まずは原油価格の動向が変動要因となる。国内元売は仕切り価格を原油価格からの精製コストをベースに決めるため、当然の事ながら原油高=軽油高となる。ガソリン・灯油のように特に期近に廻れば、元売りの意向は強烈に効いて来るかもしれない…

 続いてはシンガポール製品市況の動きである。製品輸入は3%程度と然程多いわけではないが、そのほとんどは韓国からの輸入となる。(これはガソリン・灯油も同様であるが…)その価格の値決めは、通常シンガポール市況をベースとした価格で決定される。またそのシンガポール市況、JOX価格、東工取との鞘取り売買も特に輸入元売りは行なうか?

 一番重要と思われるのは、やはり国内需給による業転価格の推移であろう。足りなきゃ上がる、余れば下がるは当然の事。

 なお軽油取引は海上パージでは非課税取引陸上ローリー渡しでは課税取引となる事は前回説明したが、海上パージでは元売と特約業者間の取引が中心、陸上ローリーでは特約業者と販売業者間の取引が中心である。

 東工取は前者の海上パージ渡しであり、一般スタンドの受け渡しは不能な様である。中部商品取引所で軽油上場がスタートすれば、そちらでは可能であろう。

 またこれも前回説明したが、軽油価格は業転価格以外に仕切り価格が3本立てであり、安い順にインタンク価格・フリート価格・スタンド価格となっている。相場がどれを基準に価格決定されるのかは、当方もしばらく見ないと良く判らん状況ではある。

 軽油の季節変動要因としては、灯油のように気温差による需要変化はほとんどないと言われるが、トラック輸送が活発になる12月と3月は需要が高まり、1月は落ち込むと言われる。まあ考えてみれば当然の事ではある…

 一方地域別販売量では、関東地区が34%と圧倒的なシェアを占めており、近畿・中部・九州・東北と続くが3倍以上はある。埼玉辺りの価格は、非常に重要か?(失礼、当方埼玉県民なもので…笑)

 さて最後に週明けの発会であるが、幾らくらいの価格でスタートし、またそれが安いのか高いのかは良く判らん。人気が出るのか、それとも当面は低空飛行をするのかも…

 しかし発会は2004年1月限、2月限、3月限と3本でのスタートとなり、その後ガソリン・灯油の発会日と同じくして最終的には6限月がそろう形となる。出し値は全限27,500円と発表されているが、1月限は年始のトラックが休む月であり、3月は年度末で物流が動く事を考えれば、順ザヤでのスタートとなろうから、仮に同ザヤだったら鞘取りからのスタートは面白いかもしれない。もちろん1月限売り・3月限買いである。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

8月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

9月1日

\20,790

-10

\19,200

-40

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

9月2日

\20,200

-190

\18,850

 

9月3日

\19,420

-780

\18,150

L700

9月4日

\19,430

10

\18,070

-80

9月5日

\19,170

-260

\17,820

-250

 

 まずは原油から…先週号においては『まだしばらくは高値19,880円と安値18,880円の1,000円幅の中でのもみ合いであろうと見る。9月11日に向けて、どちらかと言えば一度上に行かなければ、大下げには繋がらないかもしれない…』としたが何の事はない。NY市場はレーバーデーの3連休明けは、高騰していたガソリン相場の急落を受けて、原油価格も暴落することになった。当方にとっては、1週間早いよ!としか言いようがない…

 3連休前のNY原油は31.57ドルであったが、連休明けの市場は一気に2ドルも下げ29ドル台前半への大暴落!9月4日には28.51ドルの安値を記録して、週末も28.88ドルと今までの30ドル台のもみ合いは何だったの?と言う水準で終了している。

 暴落前には『イラクの国連事務所爆破テロなどの割には上がらなくなったな』との傾向はあったが、直接のきっかけは高騰を続けていたガソリン相場が9月入りとなってドライビングシーズンが終了し、需要は減退するとの思惑が出てきたところへ、一気にファンドの手仕舞い売りが加速した事が原因である。

 またイラク原油は日量64万5000バレルまで輸出が回復したとの見方や、全米原油在庫の増加も市場を弱気に傾けていた。

 しかしイラク戦争時のように、触れれば斬るぞ!といった大暴落は無いだろう。売られ過ぎからの反発なども入れながら、しかし流れは完全に変わったとの見方でいれば良いのではないだろうか。

 週末発表されたCFTCによる9月2日現在のファンドの建て玉は買い84,697枚(前回発表時より20,268枚減)、売り62,207枚(同4,250枚増)となっており、ネットで22,490枚の買い越しである

 先々週に大幅に買い玉を減らしたところから一転して先週は買い、今週はそれ以上に大きく手仕舞いした形である。発表時点の2日は大暴落の日であり、その後も下げてはいるものの連続大暴落とはなっていないところを見ると、ファンドの手仕舞いは順調に進んでいる様である。

 ただし今後ファンドが売り越しに転じて行く様であれば、今年4月の25ドル近辺をを目指す相場になるかもしれない。

 

 さて東京市場であるが、元々NY市場よりはチャートパターンが右肩下がりになっている様な形ではあったものが、先限2月限発会が順当に逆ザヤでスタートしてチャートは悪化。さらに3日はNY市場の暴落からストップ安の大暴落!その後も断続的に値を下げて今週は終了である。

 1月限ベースで考えれば、週明け寄り付きの19,280円から週末終値18,060円までは1,220円幅の下落である。先物2月限は17,820円の終了であり、18,850円の発会値から1,030円幅の下落である。

 8月6日19,880円の『鬼より怖い一文新値』を記録したところからは、先物引継ぎ足で2,060円幅もの下落幅である。

 『完全に下げトレンドを確認するためには、8月20日の18,880円を完全に下抜く事が必要であるが、動向はNY市場次第と言ったところであろう。』と先週していたが、NY市場の大暴落からいきなりのストップ安では売るに売れない展開である。往々にして相場というものは、そんなものかもしれないが…

 週末現在の自己玉は売り10,120枚、買い8,538枚となっており、僅かながら売り越しは増加気味であるが、出来高・取組高は低迷中。どうせやるならガソリンを…という人は多いゆえに。

 主な取引員の片建ては、出来高が少ないため今後は割愛する。NY市場との写真相場ゆえ、それほどこれが影響するとも思えないし…

 結論として当方の相場観は、完全に崩れてしまった相場ゆえに当面は戻り売り一貫移動平均線との乖離が大きいため、戻してそれにくっついたところは売りで良しか。先限ベースでの18,300円どころが、当面の戻りの限界と見たい。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

10月限(先限)

前日比

3月限(先限)

前日比

9月1日

\28,510

10

\27,770

50

9月2日

\28,200

-310

\27,670

-100

9月3日

\27,400

-800

\26,970

L700

9月4日

\27,380

-20

\26,690

-280

9月5日

\27,250

-130

\26,260

-430

 

 続いてガソリンです…先々週号においては『国内要因だけ見れば戻り売り有利の図式である事には間違いは無いところ。後は肝心の原油相場がどうなるか? あえてズバリ言うならば、3月限が28,000円を付けたら1月限・2月限を売る作戦を良しとする。逆に3月限の26,000円円台は買い方針としたい。』とした。

 そして先週号においては『国内需給の悪化と原油価格の堅調との綱引きで、どちらかに大きく放れるにはまだ時間が掛かると見る。逆張りでの戦法を良しとする。』とした。

 大元のNY原油相場が崩れた今週は、3日のストップ安を含めて今週高値27,770円から安値26,210円まで1,560円幅の大暴落である。

 8月6日28,430円から8月20日26,740円1,690円幅の下げを1段下げとするならば、今回の下落は2段下げ目である。今週に何とか下げずに持ちこたえてくれたら、もっと売れたのになあ…と言っても後の祭りである。ただ当方の会員はほとんどが売り屋さんだったようで、この下げはこの下げでしっかりモノにした人は多かった様である。めでたし、めでたし!

 4日現在のスポット価格は海上で28,400円(京浜・阪神ともに)と800円〜1,100円安となっており陸上では29,800円〜29,500円700円安である。輸入採算価格は29,400円1,400円安となっている。(いずれも前週比)

 元売りは現在の原油価格からの採算割れに苦しんでおり、何が何でも指標となる東工取の価格を維持したい様であったが、大元の原油価格が下がったために市況建て直しはかなり困難になった模様である。しかし原油価格が更なる下落にならない限りは、一方的に下げ続けるとの見方は少ない様である。

 また9月に入ってから夏が戻ってきたような天候となっており、ガソリン消費が回復となってきたとも伝えられる。しかし実態は8月が悪すぎたためにそう見えるだけとの冷めた意見も聞かれる。元売は9月中間決算に向けて、価格維持より販売量増加政策に向かうのではとの見方も広がっている。

 暴落後の4日・5日で大投げしたファンドの動向とともに、来週の原油価格がどうなるかで一度戻りに入るか?それともこのまま底抜けか?の展開が決まるだろう。

 週末現在の自己玉は売り27,937枚、買い25,837枚となっており、28,000円近辺の頃は27,000枚もに膨らんでいた売り越しは、僅か2,000枚程度の売り越しまで減少している。これを分析すれば大衆筋の投げは出尽くしており、普通なら次の下げが出るにしても一度は戻るだろうと考えられるところである。

 …中略…

 注目はファンドと商社の動きであり、ファンドは暴落前の9月2日に機関店を三菱Fから三井Fに変更。推定4,000枚〜5,000枚に上る買い玉を付け替えた。三井Fはそれで一気に買い方筆頭の4,500枚弱の買い越しに転じたが、暴落後の4日にはファンドの投げが出て、さらに週末も売って(これは丸紅・住商かもしれない)一気に途転売りで売り方筆頭へ…

 一方でファンドの投げに対して買い向かったのが丸紅・住商らの商社筋である。商社・ファンドは手口隠しであっちこっちで売買をしている様だ。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、ファンド・大衆筋が投げて、商社・自己玉が買った相場は一度戻るのが自然。先物3月限の26,000円割れはあっても短期間で終了すると見る。

 しかし応分の戻りを入れれば、ガソリンチャートは大勢では完全に戻り売りとなっている事や、またトレンドが確定した時には思った以上に一方通行となる性質を加味して、1,000円も戻れば絶好の売り場という事になろう…

 

 

今週の灯油の値動き

 

10月限(先限)

前日比

3月限(先限)

前日比

9月1日

\28,940

-10

\28,310

80

9月2日

\28,820

-120

\28,110

-200

9月3日

\28,100

-720

\27,410

L700

9月4日

\28,200

100

\27,160

-250

9月5日

\28,020

-180

\26,730

-430

 

 最後に灯油です…先週号においては『3月限発会により先物引継ぎ足チャートは完全に悪化したゆえ、大勢では戻り売り一貫の相場であるとの考え。しかし需要期限月は原油価格が高止まりすれば下がらぬため、サヤは拡大するのではないかとの見方である。』とした。

 先週末と今週末の価格を比較するならば、当限9月限は28,950円〜28,020円へと930円幅の下げ需要期の12月限は30,440円〜29350円へ1,090円幅の下げ、そして先物3月限は28,230円〜26,730円へ1,500円幅の下げである。やはり不需要期の先物の下げが大きかったとは言えるが、NY原油の大暴落から端を発した暴落相場の中では、先物に売り物が集中したとも言えるために当たったような、怪我の功名のような…ただし基本的なサヤの流れの見方は間違っていなかったと考える。

 ともかく先物引継ぎ足チャートで判断する限り、8月6日30,540円で完全に天井は打っており、流れは戻り売り以外の何物でもない。遠からず4月30日に記録した今年の安値である25,410円まで下げてしまうのでは無いだろうか。

 だからと言って10月限〜1月限辺りの需要期限月がさらに下値を追うかどうかは、今後の原油相場の動向と今冬の天候予測次第であろう。無理に安値売りをするのは避けるのが賢明と思われる。

 4日現在のスポット価格は海上で27,800円(京浜)〜27,500円(阪神)変わらずとなっており、陸上では28,000円〜27,700円と500円高〜400円高である。輸入採算価格は28,600円となっており1,300円安である。(いずれも前週比)

 現状の在庫量は420万キロリットルを上回っており、昨年よりも69万キロ多い水準となっている。しかし原油価格の下落の割には、輸入採算価格は低下したもののスポット価格は下がっていない点には注目したい。

 なお今冬の気温の予測は、10年前のタイ米までもが輸入された93年の大冷夏時には暖冬となった事もあり、今年も暖冬ではないかと予測されている。相場の足を引っ張るとすれば、この辺も大きくからんで来る事になろう。

 週末現在の自己玉は売り18,271枚、買い25,328枚となっており、9月3日のストップ安時に大衆筋の投げに併せる形で大きく買い越しが増えたが、その分は翌日に転売されている。しかしまだまだ買い越し状態に変化は無く、ガソリンとは一線を帰している。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、先物3月限は戻り売り一貫で25,000円台を目指すと見るが、期近〜1月限にかけてはぼちぼち下値に届いているのではないかとの見方。ここからの下落は12月限・1月限の買いを考え、戻ったら3月限を売る作戦を良しとする。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

9月1日

\2,657

13

\2,486

17

9月2日

\2,672

15

\2,491

5

9月3日

\2,658

-14

\2,487

-4

9月4日

\2,661

3

\2,487

0

9月5日

\2,662

1

\2,483

-4

 

 金相場は、先週号においては『早晩今年の最高値である1,489円を目指してさらに相場は上昇すると見る。売りは9月第2週まで待つべし!』とした。

 今週の相場は、9月1日・2日の両日に1,421円の高値を記録するものの、NY市場連休明けの下落や円高に押され、一時的には1,400円台を割り込んだ。しかしそのままズルズルと値を消す事は無く、週末に急激な円高に対する日銀の円売り介入が入った事も受けて、再び1,400円台へと返り咲く展開で終了している。

 3連休明けのNY市場は379.0ドルの高値まで記録するものの、上ヒゲ陰線を入れての急落でスタート。しかし今週末は8月の米雇用統計の数字が悪かった事から株式市場が下げた事と、ドルが対ユーロで売られた事などを材料として前日比4.70ドル高378.70ドルで終了。高値では380.90ドルまで出ている。

(NYダウ84.56ドル安、ドル・円116円91銭、ユーロ・円129円82銭)

 まだこの相場は死んでおらず、もう一段高を待ってからでなければ売るのは危険であろう。原油は当方の予測より1週間早く下げが来てしまったが、金は来週の高値を見て売り出動の準備である。

 週末発表されたCFTCによる9月2日現在のファンドの建て玉は買い146,230枚(前回発表時より28,890枚増)、売り23,383枚(同6,270枚増)となっており、ネットで122,847枚の買い越しである。

 ファンドの買いは、何と3週連続で史上最高の買い越しを更新である。その結果がどうなるかは、今の原油相場の動きを見れば火を見るよりも明らかである。いずれはファンドの手仕舞いによる暴落相場が待っている…

 原油のように強材料に反応しなくなった時、あるいは9月11日に向けて米国はテロ不安心理が高まる中で何も起こらなかった時などが要注意か!

 結論として当方の相場観は、そろそろ相場のクライマックスが到来する可能性があると見る。出来れば1,450円以上が出て欲しいし、1,489円を突破すればもっと良い。1,500円に乗ったらそれこそ喜んで売り上がり方針としたい。

 特に価格は提示しないが、天井確認のポイントやパターンが出るかどうかを探してもらいたい。

 

 銀相場は、先週号では『再び相場は200円台を目指して上昇すると考える。万が一この相場観が曲がる時を考えて、ストップロスは188円においておきたい。』とした。

 しかし今週の相場は、連休明けの9月2日のNY市場で原油や金の下げにも影響されたのか、10セント以上安い暴落での入電となった。それを受けた東京市場の3日の立会いは、限月によってはストップ安の大暴落!前日までは192.3円を記録するなど上昇への期待が膨らんでいた中で、ストップロスラインをはるかに下回る185.8円まで一時は下落。三角持ち合いを上放れる前の安値である186.4円は割り込み、下手したら184.7円を下に切れたら歯止めが掛からなくなる可能性も頭をよぎる展開であった。

 全く困ったもんだの状態ではあったが、NY市場ではこの暴落もぎりぎり上昇トレンドの下限で止まっているために、ストップロスは無視して買い玉の維持を継続。

 さて週末のNY市場は、金の上昇にもつられたのかもしれないが、前日比11.50セント高の急騰で515.0セントまで回復。高値は518.5セントまで出ており、2日の高値である519セントまでもう一息のところまで戻している。全くひやひやさせてくれる相場ではあるが、今年の7月28日の高値である523セントさえ抜けてくれれば再び青天井の可能性は復活する

 週末発表されたCFTCによる9月2日現在のファンドの建て玉は買い47,810枚(前回発表時より1,062枚増)、売り6,073枚(同1,670枚増)となっており、ネットで41,737枚の買い越しである。

 明らかに買い過ぎではあるものの、金に比べればまだまだと言えなくもない。また金同様の材料で買われたり売られたりしている相場ではあるが、金は根本的に株式市場の下落に対するヘッジで買われたりするのに対し、銀は景気動向を左右する面もあるゆえ、相場の立ち直り方は違うのではないかとの思いもある。銅などの非鉄金属相場が強い現状では、銀もそちらに連れても良いはずでは無いだろうか?

 もっともやはりファンドの動向が相場を左右する事は間違いなく、金相場が下げてしまえば銀相場も同様の展開になる事は避けられない。今週の高値では一度利食いしておく方が無難かもしれない…

 結論として当方の相場観は、200円超の青天井の大相場も期待はしたいところではあるが、金・銀相場はファンドの買い過ぎは顕著であるため、今週高値ではとりあえず徐々に利食いを進めておくことが良いか。

 

 プラチナ相場は、先々週号においては値段が値段なだけに調整安が無いとは言えぬが、納会後はサヤ出世の可能性があることも含め、まだ買い方有利の図式に変化は無いと見る。2,418円を明確に割り込めば天井の懸念もあるが、それまではまだ押し目買い方針に分があると考える。』とした。

 そして先週号においては『値段が値段なだけに調整安が無いとは言えため買いたくもなし、かと言って売りたくもなしでしばし様子見である。今は金・銀に注目しているため、判りにくいプラチナはしばし休憩!』とした。

 今週の相場の動きは、別に当方が休憩といったからではあるまいが、石油や金・銀の相場と比べると変動幅は小さく、出来高も低水準に止まってまさにお休みに入ってしまったかのようであった。

 さて相場がこのまま横ばいを続けるはずも無く、いずれはどちらかに大きく動き始める。現在のドルベースで価格水準である710ドル台は実に23年ぶりの高値水準であり、長期的には需要減退が起きるレベルである事は間違いない。そういう観点から見れば、相場はいずれ自分自身の重さに潰されるように下げ始めても全く不思議ではない。

 しかしながら取り組み内部要因に目を向けるならば、市場で売っているのは物を持たぬ空売りの大衆筋が突出しており、受ければ受けられる資金量のあるファンドは買い方針を続けて何の変化も出ていない。恒常的な逆ザヤ相場となっているゆえ、長期戦では常にサヤ出世の買い方が有利の図式にも全く変化は無い。買い方にとってみれば2,500円オーバーで買った玉のみは多少のマイナス勘定ではあるが、結局はただそれだけの話であり、売り方が下手すれば2,100円台で売っている玉が、サヤ出世もプラスされて500円近くやられているのと比べれば如何ほどの事か?

 結局構造的には『この商品は永遠に買い』であり、逆ザヤ相場の順ザヤ化、大衆筋売り込み型相場の取組み変化、商社の期近買い・先売り作戦の終了、ファンドの撤退などが無ければ、値頃で売ってもどうにもならぬ話なのである。

 ただしこの相場は、8月20日に2,544円の高値を記録した後は下落に転じ、8月27日には2,421円高値から先物引継ぎ足で123円幅の下落。その後2日に2,505円まで反発するものの、このレベルを超えることなく再び反落に転じて2,421円を下抜く事が出来れば、チャートパターンでは2,544円をトップとする三尊天井型チャートの完成となる。売り方が勝負できるとすれば、このチャートパターンからの短期的な急落相場のみという事になろう…その際は、うまくすれば2,200円どころまでの急落を取れるかもしれない。 

 週末現在の自己玉は41,548枚、買い61,655枚となっており、先物8月限が大幅売り越しのために買い越し幅は多少減少はしているが…しかし6月限が先物に居た時も大幅売り越しであったが、今はすでに買い戻されて買い越しになっている点には留意。このまま行けば2ヵ月後には、8月限も同様の展開となるものと思われる。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、長期的には押し目買い方針に変化は生じていないとの考え。しかし石油の例もあり、またチャートパターンが売り方に千載一遇のチャンスを生じさせる事も有り得るとの考えで、一度ピンポイントで2,500円超を売ってみたい!

 ただし2,544円にストップロスを置いて、三尊天井のパターンが全く崩れた場合はすぐに撤退する覚悟は持っておきたい。いわゆる伸るか反るかの勝負と言う奴である。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

9月1日

\15,300

120

\15,140

60

9月2日

\15,100

-200

\14,980

-160

9月3日

\15,260

160

\15,050

70

9月4日

\15,440

180

\15,240

190

9月5日

\15,560

120

\15,370

130

 

 先週号においては『8月19日に記録した15,440円は戻り天井、26日の15,250円は戻りの2番天井である可能性が大であると見たい。22日の14,930円を切ったら下げが加速するかもしれない…』として終了した。

 今週の相場は、9月20日に14,980円まで下落するものの、その後は下げ渋って週末は15,400円と8月26日の高値15,250円をクリアする上昇となった。

 8月22日の14,930円は切れずに戻したところで、4日には売り方有力店からの買戻しがだいぶ出ていた事は印象的。シカゴの作柄報告では発表ごとに『優・良』の合計が低下しており、8月のUSDAの予想では100億6400万ブッシェルの生産高であったものが、今週のFCストーン社予想では98億6700万ブッシェルまで低下の予測となっている。

 しかしながら実際のところとしては、米南西部を中心に発生していたホットアンドドライは、降雨も見られたためにさほど悪くないはず…またそれ以上にコーンの天候相場は受粉期の天候が最重要であり、その後はあまり水分は必要とされていないはずである。現状の作柄低下の報告を眉唾物であるとする見方があるのは、そのせいである。

 さらに百歩譲って実際に報告通りに作柄が悪化したのだとしても、収穫量は大豊作から豊作のレベルに変わっただけの話である。平年作以下に落ち込む事は考えられず、16,000円をクリアするほどの相場は有り得ぬとの見方を採りたい。

 11日には9月の需給報告が米農務省(USDA)から出されるが、この数字によっては戻りはそれまでという事になろうし、また仮に強材料が出たとしても材料折込済みになる可能性は大ではなかろうか?

 なお週末発表されたCFTCによる9月2日現在のファンドの建て玉は買い67,401枚(前回発表時より14,880枚増)、売り54,327枚(同9,038枚減)となっており、ネットで13,074枚の買い越しである。

 高値では大幅買い越し、安値では大幅売り越しになって大曲りしたファンドは、今回また買い越したことで次の曲がりの種を蒔いたか?

 ちなみに大豆の9月2日現在のファンドの建て玉は買い47,764枚(前回発表時より437枚増)、売り37,381枚(同3,806枚減)となっており、ネットで10,380枚の買い越しである。

 作柄悪化は天候相場期がコーンよりも後にずれ込んでいる大豆の方が懸念されているが、当方はこの上昇相場も、所詮は一過性のものだろうとの見方を採っている。

 

 さて東京市場では、週末現在の自己玉は売り36,407枚、買い23,841枚となっており、少しずつ売り越しは減少気味ではある。

 また主な取引員の動向は、…中略…

 結論として当方の相場観は、相場はもう少し強いかもしれないが(売り方玄人筋の撤退とファンド売りのため)基本的には戻り売り相場との考え。

 週末のシカゴ市場は安く入ってきているが、仮にその後また戻ったとしても11日の農務省発表前後で戻り天井を確認するのではないか?

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

9月1日

134.5

1.5

131.8

1.1

9月2日

135.2

0.7

131.0

-0.8

9月3日

135.1

-0.1

130.6

-0.4

9月4日

134.5

-0.6

129.3

-1.3

9月5日

133.0

-1.5

128.8

-0.5

 

 先週号においては『123.6円まで下げた)先々週のような急落場面があれば買ってみたい。このまま上に行った場合は、乗り遅れた列車ゆえ手出しはしない。』として終了した。

 今週の相場展開は、9月2日133.0円を記録した後は連続3本の陰線を入れて急落し、週末は安値で128.1円まで下落。4.9円幅の下げを演じる事となった。

 さてこの133.0円で天井は打ったのか?ズバリ当方の考えは、目先天井かもしれないが大天井では無いとの考えである。しいて言えば8月18日131.0円から22日123.6円までの7.4円幅の急落に匹敵するような、上昇局面の中での調整安なのではないかとの見方である。128.1円で下げが止まったかもしれないし、あと2円〜3円下げるかもしれないが、また上がってくるのではなかろうか?

 と言うのも基本的に逆ザヤ相場はまだ続いており、下げ始めると当先の逆ザヤは拡大傾向となってくる。元々期近からの締め上げのような形で上昇してきた相場ゆえ、大天井を打つならば期近から急落して相場が崩壊するような格好にならなければ無理なのではなかろうか?

 また下げ相場を演出するような強力な売り方は不在であり、自己玉の極端な買い越しに見られるように売り方の主力は大衆筋である。そして買い方は…中略…

 結論として当方の相場観は、高値波乱を演じている状況ではあるが、まだ大天井は確認していないとの見方である。

 最終的には137円はクリアするだろうとの考えはあるが、今さら130円どころで買う気も起きぬため、戦線に参加する気は当方には無い。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

9月限(当限)

前日比 

7月限(先限)

前日比 

9月1日

\9,510

450

\11,640

250

9月2日

\9,800

290

\11,510

-130

9月3日

\9,880

80

\11,520

10

9月4日

\10,150

270

\11,510

-10

9月5日

\10,540

390

\11,890

380

 

 先週号においては『NY市場ではファンドの売り余地はあまり無く、国内市場では三菱Fのファンドが売ってくる様ならば下値も多少あろう…しかしこの下げ相場(もみ合い相場)も9月限納会までの可能性は高く、あせって飛び付き買いをする必要は無かろうが、安値は着実に拾っておく事が良いのでは?と考える。押し目買い方針である。』として終了した。

 当方は元々はこのコーヒー相場に対しては、万年売り屋のポジションではあった。しかしこのところ当方は完全にポジションチェンジであり、押し目買い方針へ大転換をして現在に至っている。

 もちろんコーヒー自体のファンダメンタルズに何か大きな変化があったわけではない。物はそれこそ腐るほどあろうし、ブラジルは来年表作であり信じられないくらいの収穫高となろう。今夏の天候にしても、買い方が期待した降霜は全く無い状態ではあった。来年の安値は、NY市場で30セント台、東京市場で先物8,000円台も十分有り得るとは考えている…

 しかしそれは先の話であり、現在の状況は戻り売りに慣れてしまった市場に強烈なしっぺ返しが到来する場面であると考えており、12,000円をクリアすれば12,500円へ…さらには15,000円も目標値として設定できるのではないかと考えるに至っている。

 ズバリその要因となるのは、NY市場では(実際はあっても無くても)開花期のブラジルの干ばつを囃したファンドの策動であろう。そして東京市場では受け渡しの変更による、採算的に割安である市場の価格是正という事になろう。

 

 さて今週の相場は、9月12日に納会を迎える9月限も上昇する形となってきた。最終的にどの程度で納まるかは定かでは無いが、新たな受け手が浮上してきたためにこのような形となっている様である。

 なお今月からは建て玉枚数で100枚まで受け渡しが可能であり、今までの50枚の倍の枚数がOKである。渡し方商社にしても、大衆受けでのスクイズはかなり怖いらしい…

 …中略…

 買い方にとっては、ブラジルの収穫期も順調に終了し、弱気が蔓延している現在の市場にこそ『踏み上げ相場』策動の余地が有ると考えているのではなかろうか?

 週末現在の自己玉は売り18,171枚、買い33,068枚となっており、先週末に僅かながら売り越しとなったものが、今週は再び大きく買い越しへと変化である。

 …中略…

 

 一方指標のNY市場は、8月20日59.80セントを記録した後もみ合いに入り、8月27日の60.10セントから上昇を開始し、週末も1.40セント高の急騰で66.35セントを記録。8月4日の高値である66.75セントが視野に入ってきた。材料は言わずと知れたブラジル天候の乾燥傾向である。

 週末発表されたCFTCによる9月2日現在のファンドの建て玉は買い11,654枚(前回発表時より427枚減)、売り25,957枚(同2,384枚増)となっており、ネットで14,303枚の売り越しである。

 鬼門の1.5万枚以上の売り越し寸前であるが(なぜか1.5万枚で必ず反対へ行く…笑)相場が急騰し始めたのが9月4日である事は、ファンド売りはピークから今度は買い戻しに動いている?

 結論として当方の相場観は、踏み上げ相場が出るまでは、押し目買い一貫と見る。

 踏み上げ相場とは、売り方の損切りの買戻しによって大きく上がる相場の事である。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

11月限(当限)

前日比 

9月限(先限)

前日比 

9月1日

\19,810

-20

\19,250

120

9月2日

\19,580

-230

\19,180

-70

9月3日

\19,110

-470

\19,030

-150

9月4日

\19,130

20

\19,100

70

9月5日

\18,860

-270

\19,050

-50

 

 先週号においては、『国内は19,000円台を割り込めば、その後の下げは早いだろうと見る。よって短期的には売りが良かろうとの見方。NY市場も6.07セントまでの下げはあって当然だろうが、ファンドが投げてしまっていればそれ以上は下がらぬか。3連休明けのNY市場を注目したい。』とした。

 8月1日20,400円で天井を打った相場は、今週は4日に18,870円と19,000円台をついに割り込んだ…しかしその後は19,000円台でのもみ合いに終始。一気の暴落は避けられている形である。

 もっとも先物以外の下げはきつく、逆ザヤだった当先のサヤはあっという間に順ザヤへと変化。またエースらの大量の買い玉がある中物限月の下げがきついなど、買い方に対する投げ催促相場となってきている。

 自己玉も大幅売り越しが顕著になってきており、また…中略…

早晩今年の安値である18,370円まで下げるのは必至の情勢であろう。

 

 さて指標のNY市場だが、8月5日7.39セントの天井から下落した相場は、9月4日には大きく下げて5.90セントを記録。6月30日の安値6.07セントすら大きく割り込んでしまっている。今週末は利食いで再び6セント台は回復しているが、明確な強材料が無い中でトレンドは依然下向きのままである。

 週末発表されたCFTCによる9月2日現在のファンドの建て玉は買い21,907枚(前回発表時より14,612枚減)、売り25,486枚(同6,961枚増)となっており、ネットで3,579枚の売り越しである。

 7セント台に居た時の4万枚超の買い越し時点からは、今週は大量に売って一気に途転売りへと変化である。2万枚程度の売り越しまでは増加する事は十分考えられ、ファンド売り主導の下げ相場という事になろう。

 結論として当方の相場観は、買い方が投げるまで相場の下げは止まらぬとの見方である。早晩今年の安値である18,370円まで下げるのは必至の情勢であろう。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

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