商品市況展望

平成15年10月19日記

 

 今回も例の三田明が馬に乗って出演している『お任せあれ!』のCMから、『資産づくり心得帖』なるものの解説を行います。昔からの格言というのは、案外役に立つものです。

心得 その壱

  三山の大天井、利食い千人力。

二度、三度と新高値に挑戦するも失敗するような相場は、大天を打っており、その後下落する事が多い。欲を出さず、利益の確定する事は大事。

 

 心得 その弐

  売り落城の高峠、泣く子も黙る、下げのこぼれ星。

 売り方が上げ相場の天井で資金、気力が続かず踏み上げ(売り玉の買戻し)になる場面。じり安のチャートから窓を開けて寄り付き、寄り引け同値の線が出現すると、その後は手の付けようのない下げ相場が来る。

 

 心得 その参

  山高ければ谷深し、天狗に買いなし、おかめに売りなし。

 相場が高くなればなるほど、その後の下げ幅もまた大きい。先物相場の限月間のサヤで、中物限月が一番高い相場は買わないほうが良い。逆に中物限月が一番安い相場は、売らない方が良い。

 

 心得 その四

  算用不用、理外の理、押し目待ちに、押し目なし。

 相場は現実の材料よりも絶えず一歩先を進んでおり、材料本位に考えてはいけない。安くなれば買いたいと思っていても、誰もが同じ気持ちでいるため下がらず、結局買えない事は多い。

 

 心得 その五

  三位の伝守るべし、煎れたら終い、投げたら終い。

 天底の位取り、暦のめぐり、日柄を大事に考えて守る事。売り方が上げ相場を売り続け、資金・気力ともに尽きて煎れ上げ(踏み上げ)たら、相場は天井を打つ。買い方が下げ相場を買い続け、投げたら底になる。

 

 『売り落城の高峠』なんて、戦国時代風でカッコいい?今度この相場は、『泣く子も黙る、下げのこぼれ星だからねえ…』なんて、電話で言ってみたいねえ…(笑)『何じゃ、そりゃ?』って言われるかもしれないが。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

10月14日

\19,350

190

\18,280

420

10月15日

\19,260

-90

\18,110

-170

10月16日

\19,440

180

\18,450

340

10月17日

\19,300

-140

\18,310

-140

 

 まずは原油から…先週号においては『9月11日に記録した18,220円はまだ上値抵抗ラインとして働いている。これを突破すれば19,000円手前までの上昇も無しとはしないが、その辺からは急落も有り得るだろう。ただし16,460円は大底に付き、チャートは下値切り上げ型でトレンドは転換している。17,500円どころまでの押しがあれば、買い方針が良かろうと見る。』とした。

 今週の相場は、上値抵抗ラインであった18,220円をクリアし、16日には18,450円を記録。押し目待ちに押し目なしの展開で、17,500円どころか18,000円割れも出ずに上昇トレンドに乗っている。

 9月22日に記録した16,460円で底打ちは確認として来たが、そこからはすでに2,000円弱の上昇の一相場となっている。ここからさらに2,000円も上げる事などは非常に考えづらく、ぼちぼち売り場探しの時期が到来していると思われるが、すぐに下げての17,500円〜17,800円どころはまた買い場と言う事になろう。

 さて指標のNY原油であるが、9月18日26.66ドルから上昇した相場は10月10日32.60ドルまで駆け上がり、その後今週末まで5日連続の小幅続落中。週末のNY市場は30.68ドルの前日比0.86ドル安であり、安値は29.90ドルと一時30ドルの大台を割り込んでいた。こうなると32.60ドルは当面の天井と見ても良かろうが、下げても28ドル辺りまでの調整安という相場であろう。

 と言うのも先のOPEC総会において、90万バレルと僅かながらの減産幅とはいえ価格維持政策を鮮明に打ち出し、今後12月4日には臨時総会を開催する。相場が下がればまた減産という事になろうし、26ドル台に舞い戻る事は当面あるまい。もっとも、だからと言ってイラク戦争時のように40ドルを目指すような大相場も考えられぬ。結局のところ32ドル台はまずまずの高値水準という事になっているだろう。

 週末発表されたCFTCによる10月14日現在のファンドの建て玉は買い90,233枚(前回発表時より39,212枚増)、売り70,191枚(同720枚増)となっており、ネットで19,442枚の買い越しである

 26ドル台の時点で5万枚まで売り越しを増加させていたものが、ついに途転買い越しに転換である。材料はともかくとして、この相場はファンドの買いによって上がってきた事は明白である。もっとも夏場の32ドル台の頃は6万枚も買い越しており、まさに曲がり屋の典型!まだ買い余地はあると言えるものの、買い過ぎれば一転の急落の可能性は否定できない。

 結論として当方の相場観は、19,000円台乗せは無いと見て18,000円台半ばは売り方針。しかし逆に17,500円以下まで下がれば買い方針とする。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

10月14日

\28,030

-210

\27,270

350

10月15日

\28,130

100

\27,200

-70

10月16日

\28,310

180

\27,620

420

10月17日

\28,560

250

\27,610

-10

 

 続いてガソリンです…先週号においては『吹き値売り・押し目買いの荒い相場展開への対処を良しとするが、基本方針は押し目買い有利。26,500円辺りから下は絶好の買い場であると見る。』とした。

 今週の相場は、NY原油相場は上がらずとも堅調な地合いを継続。あっという間に27,000円台後半へと駆け上がり、週末には高値で27,740円を記録した。押し目買い方針として来てはいるものの、押しは入らずに上昇しては見てるだけの相場となってしまっている。

 しかし先物4月限は、これで発会日の安値25,590円から2,150円も上がった事となるが、週明けに納会を迎える11月限は28,000円台半ばでの上昇となっているため、先物が高過ぎるという感覚にはまだなれない。また納会後に発会するのは5月限というGW需要を連想させる限月であるため、9月18日25,580円で大底確認となったチャートパターンからすれば、更なる上昇相場に繋がる可能性も十二分にあるだろう。26,500円どころか、27,000円割れも困難な状況になったかもしれない。

 大元のNY原油相場は32ドル台で達成感が出ており、これ以上の上値は望めないとの人気が広がっているのも、逆にガソリン相場を売り込み型の相場展開に持って行っている可能性がある。原油安にはあまり反応せず、逆に原油高には過剰反応する可能性も有り、国内相場は国内相場との動きになるのではなかろうか?

 16日現在のスポット価格は海上で28,000円(京浜)〜28,500円(阪神))と100円〜300円高陸上では28,300円〜28,000円変わらずである。輸入採算価格は28,200円1,000円高となっている。(いずれも前週比)

 出光の買い付けは一巡したと見られているが、新日本石油は買い付けをまだ行っていると言う。現状では海上価格が上昇しているが、陸上価格は付いて来ない状況となっているものの、今後川下の価格アップができるかどうかが焦点である。

 なお東工取においては、住商に新日本石油の玉が入っているものと想定されるが、東工取はすでに価格指標としての地位を築いているため、元売が下げさせない行動に出れば高いと言う事になる。

 週末現在の自己玉は売り30,691枚、買い24,454枚となっており、売り越しではあるものの、価格が上昇してきた割には売り越し量は増加してきていない。これを見る限り自己玉は、まだ相場に上値余地があるとの見方を採っているのかもしれない。

 …中略…

 さて今後の相場展開であるが、9月18日の25,580円は完全に底値であると考えても良いだろう。問題はNY原油が下げた時に、国内ガソリン相場がどの程度の下げを見せるかである。

 また納会も重要であるが、5月限発会でどの程度のサヤを買って始まるのか?5月限が28,000円以上に買われた場合はピンポイントで売りも面白いと思うが、基本的には買いトレンドであり8月6日の28,430円を目指す相場ではなかろうか。

 結論として当方の相場観は、当先が高く中物が安いサヤ状態は『おかめザヤ』であり、相場格言通り『おかめに売りなし!』の相場になると予測する。急騰時にはピンポイントの売りも良かろうが、基本的には押し目買いの相場と見る。

 

 

今週の灯油の値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

10月14日

\29,820

260

\25,780

530

10月15日

\29,540

-280

\25,620

-160

10月16日

\29,580

40

\26,110

490

10月17日

\29,750

170

\25,860

-250

 

今週の軽油の値動き

 

1月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

10月14日

\28,360

510

\26,270

480

10月15日

\27,950

-410

\25,900

-370

10月16日

\28,180

230

\26,240

340

10月17日

\27,780

-400

\26,120

-120

 

 最後に灯油・軽油です…先週号において灯油は『灯油は今後も原油・ガソリンに準じた動きをするものと想定するが、不需要期の先物限月も23,960円では底入れになったと見る。吹き値は売りだが、押し目買い方針に転換が良しとみる。』とした。

 今週の相場展開は、ガソリン相場とともに堅調な展開を維持。9月24日に記録した23,960円から今週高値である16日の26,110円までは、2,150円幅の上昇となっており、ガソリンと全く同じ幅の上昇となっている。

 先物は不需要期なのではあるが、23,000円台という底値を出し切った以上、やはり需給よりもチャートトレンドが優先されると言う事なのであろう。また期近に需要期限月を抱えているゆえ、例えば12月限の3万円以上が高過ぎるかもしれないとしても、これ以上の大幅な逆ザヤを叩き切れないということもあろう。

 それでも先々は先物のガソリンとの下ザヤは、もっと拡大しても良いとは思うが、それは一度目先の天井確認となってから下げ始めた時に拡大すると思われる。

 16日現在のスポット価格は海上で28,100円(京浜)〜27,000円(阪神)1,100円高〜600円高となっており、陸上では28,000円〜27,700円と200円高である。輸入採算価格は30,600円となっており2,200円高である。(いずれも前週比)

 出光の買い付けは一巡したと見られており、また相変わらずの高水準の在庫とも併せ、需給逼迫の懸念は今のところない。しかし北海道製油所の稼動が停止している中で、万が一早めの寒波襲来となれば北海道・東北地区での需給は一気に変わる可能性もある。輸入採算がかなりの上昇を見せているだけに、輸入でそれに対応する事は不可能。

 まずは週明けの11月限納会に注目であり、これが高いようであれば年末まで大きく下がる事は無いだろう。ただし週末のNY原油安や気象庁による長期予想では暖冬であるとの予側などを受けて納会が安ければ、期近の3万円どころはいっぱいいっぱいの所であるとの見方もできる。さて週明けは、一体幾らで納会するのか?

 週末現在の自己玉は売り31,400枚、買い14,801枚となっており、売り越しは大幅増加となっている。自己玉は先物に関しては、徹底的に売り上がり方針のようである。

 …中略…

 

 さて軽油は、在庫は減り続けており、現在は逼迫状態と言ってよいほどの状態となっている。石油製品の中でもっとも先高感が強い銘柄であるとされているが、人気が付いてきていないようである。

 9日現在のスポット価格は海上で28,400円(京浜・阪神ともに)となっており阪神400円高陸上では28,300円〜28,000円300円〜400円高である。輸入採算価格は29,900円2,000円高となっている。(いずれも前週比)

 納会までは手出し無用と思っていたが、人気の裏目で買うならこの軽油である。

 

 結論として当方の相場観は、灯油は今冬の暖冬予測と在庫の増大、先物への自己玉売りの集中などから、戻り売り方針と見る。ガソリン買い・軽油買いに対しての灯油売りを良しとしたい。

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

10月14日

\2,597

10

\2,447

16

10月15日

\2,583

-14

\2,424

-23

10月16日

\2,590

7

\2,442

18

10月17日

\2,583

-7

\2,436

-6

 

 金相場は、先週号においては『最終的にはNYベース340ドル台、東京市場価格1,225円目標で下がると考えるが、ここは一度戻してからの展開になるのではないかとの見方。戻りが無ければ『休むも相場』で、しばし様子見である。』とした。

 今週の相場は、1,310円どころでのもみ合いに終始。当方は様子見なのであるが、市場全体で様子見をしてもらっては、何時まで経っても仕掛けポイントが来ないため大変困る…(笑)

 さて今後の相場展開であるが、9月10日1,433円の天井から、10月10日1,297円までの下げ幅136円の3分の1戻し地点である1,342円が出現したら、また売りに出るのが良かろうと考えている。はたしてそこまで戻してくれるのか?今のところは良く判らんとしか言い様は無いが… 

 週末発表されたCFTCによる10月14日現在のファンドの建て玉は買い108,615枚(前回発表時より2,196枚減)、売り31,723枚(同1,677枚増)となっており、ネットで76,892枚の買い越しである。

 400ドル近い水準において10万枚以上の買い越しであったところからは、だいぶ減少はしてきている。それでもまだまだ高水準の買い越しであり、もっと手仕舞いしてからでなければ、新規に買う余力は少ないはず…

 結論として当方の相場観は、1,342円で新規売りを考えるが、それ以外は様子見である。

 

 

 銀相場は、、先週号では売るなら戻りを待ってである。買いはNY市場でファンドが投げ尽くしてからであり、それ以外は様子見に徹する。』とした。

 今週の相場は、9月12日の天井196.5円から10月10日169.9円まで26.6円も大暴落した後の僅かな自律反発場面となり、173円どころでの動きとなった。大暴落の後だけに戻りはまた売られることになろうが、やはり170円割れはいい所であったという事…

 さて今後の相場展開であるが、金同様に下げ幅の3分の1戻しがあれば、また売り出動してみたいところ。その価格はズバリ183.2円である。まだ10円ほどもあるため、そこまで戻れるかどうかはもちろん判らんが…

 指標のNY市場では、銀相場はファンドの買い越しがゼロにならないと底を打たぬケースが過去何度も見られているため、ファンドが投げ尽くしていれば底打ちに、投げてなければ最終的には440セント台までの下落も有り得るだろうと見ている。

 週末発表されたCFTCによる10月14日現在のファンドの建て玉は買い28,179枚(前回発表時より1,553枚減)、売り9,693枚(同2,702枚増)となっており、ネットで18,486枚の買い越しである。

 高値で6万枚近い買い越しであったものが大幅減少中である。もうちょっと減って下がらなくなれば、逆に買い方針としたいのであるが…今後の動向次第である。

 結論として当方の相場観は、183.2円までの戻りがあれば新規売りを考える。NY市場でファンドの買い越しがゼロになれば、逆に買い方針に転換である。いずれのケースもまだ2〜3週間先の話か…

 

 プラチナ相場は、先週号においては『未だ上げ続けている相場ではあるが、2,500円台は無理であろうと考える。納会後の急落を狙って、戻り売り方針継続である。』とした。

 さて今までの相場展開は、8月20日2,544円をトップとした三尊天井を打った後、9月29日2,338円を底とする逆三尊型チャートで反発。今週は15日の2,454円を高値としてのもみ合い相場の状況であった。

 プラチナの底値?となった9月29日は、金は1,360円どころ。銀は181円どころであったことを考えると、金・銀の暴落を尻目に反発している相場展開であり、売り方としては全く困ったちゃん状態である。

 もっとも今週はさすがに上値つかえの状況となってきており、NYベースでは二十数年ぶりの高値水準である事を考えても、さほどの上げ余地は無いものと考えている。もちろん逆ザヤ相場であるゆえ、現在のサヤ状態が変わらない限りは売り玉の長期保有は不利である事は事実だが…

 週末現在の自己玉は売り38,755枚、買い44,000枚となっており、買い越し状態ではあるがさほど多くは無い。またこのところの増減はあまりない状態である。

 その他内部要因で見れば、買い越し店は三井F16,393枚、三井物産2,742枚、豊4,273枚、第一商品6,116枚、エース2,111枚の5社でほとんどを占めている。特に今週は、また三井Fの買い越しが増加である。その他では、岡藤のファンドと思われる玉が、1,000枚単位で売ったり買ったりの売買が目立っている。

 しかし取組高は9月・10月と減少中であり、出来高も全く盛り上がりに欠ける展開となっている。

 納会まではどうしても下げづらい展開となることが予測されるが、どんな相場にも天井はある。上昇の勢いが鈍り始めているゆえ、そろそろ一度急落場面が訪れても不思議ではなかろう…と言うよりも、それを期待していると言った方が良いか。

 結論として当方の相場観は、10月15日の2,454円で目先の天井を確認した可能性が高いとの見方。戻り売り方針継続である。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

10月14日

\14,850

190

\14,740

270

10月15日

\15,750

900

\14,840

100

 

1月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

10月16日

\15,590

290

\14,960

 

10月17日

\15,490

-100

\14,990

30

 

 注目の米農務省需給報告が出た先週号においては、『コーンは買うわけにはいかないが、下値もさほど無い可能性があるため様子見である。大豆は売り場探しである事は変わらないが、いずれの商品とも週明け13日のシカゴ外電の方向に目先は動くと見る。』として終了した。

 まずコーンであるが、今週明け安寄りからスタートしたもののその後は大幅に値を上げ、あっという間に15,000円近くまで上昇する事となった。連休2日目のシカゴ市場で多少反発し、その後もさほど下がらなかった事も要因ではあろうが、史上最大の生産高と言う材料が出たら終いの相場展開となったようである。

 また11月限納会は15,750円の急騰納会であり、一気に逆ザヤ拡大に買い進まれた事も、他限月に対する売り方の買い戻しに繋がったものと思われる。納会受け渡し高はゼロであったが、住商のたった4枚の買い玉で暴騰となった事は、シカゴ市場はどうあれ東京市場はフレートの高止まりが大きく影響しているのかもしれない。

 週末現在の自己玉は売り26,820枚、買い21,666枚となっており、僅か10日ほど前は1.5万枚もの売り越しだったものが、5,000枚程度の売り越しまで大きく減少している。

 その他内部要因では、先週末9,545枚もの売り越しとなっていたファンド機関店・三井Fは、4,494枚の売り越しまで大幅に売り玉を買い戻した。ファンドの踏み上げ相場と言う事である。

 ともかく現状の逆ザヤ相場のままでは、安易に売るのは危険であろう。シカゴ市場に逆行して上げ続けるとは思えぬが、基本的に9月24日の14,180円は2番底を確認したのであるとの見方に立つことが重要だろう。

 週末発表されたコーンのCFTCによる10月14日現在のファンドの建て玉は買い67,989枚(前回発表時より578枚減)、売り79,874枚(同14,858枚増)となっており、ネットで11,885枚の売り越しである。

 米農務省報告を受けたファンドは、途転売りに転換である。もっとも穀物相場でファンドは曲がりっぱなしゆえに、売り込めば売り込むほど先々買戻しの必要に迫られ、中期的には強材料となるだろう。

 

 さて売り場探しをしている大豆相場であるが、シカゴ市場の大暴騰にもかかわらず冷静であった東京市場も、今週はついに期近から踏み上げ相場の展開となり、やっと売りを考えられる水準まで上昇しつつある。

 大幅逆ザヤ相場で上昇を続ける一般大豆は、12月限で37,000円に達しているが、32,000円を超えてからの上昇はあっという間であり、一気に5,000円駆け上がった相場は週末駄目押しの1,200円ストップ高である。その他2月限・4月限も1,200円高のストップ高、6月限もほぼストップ高である。

 大幅逆ザヤの相場展開ゆえに先物2本は大して上がってはいないが、これは将来的に南米での増産を見込んだものであろう。しかし期近とのサヤが5,000円以上では、まだ売るのはちょっと早い。8月限ベースで33,000円辺りが欲しいところである。

 しかし12月限〜4月限辺りは、週末の価格でほぼ天井と見ても良いのではなかろうか。売り方はパニック的な買いでほぼ全滅したであろうから…

 売るなら怖くても、2月限・4月限辺りと見る。先物は上げていないだけに、下げても妙味は薄いかもしれない…

 先物を売るのであれば、一般大豆よりも大幅に上ザヤにいるNON-G大豆の方が良いと考えている。

 週末発表された大豆のCFTCによる10月14日現在のファンドの建て玉は買い75,773枚(前回発表時より5,626枚増)、売り18,989枚(同754枚増)となっており、ネットで56,790枚の買い越しである。

 シカゴ市場のファンド買いも、そろそろ佳境か近い水準となってきたのではなかろうか?

 

 結論として当方の相場観は、コーンはファンドと自己玉の踏み一巡まで、逆ザヤでもあり売らぬのが無難か。大豆は2月限・4月限の売りが良しと見る。パニック的な買いを集めた後ゆえ、ここは敢えて勝負しても面白いか…ただし先物は、逆ザヤゆえ大きな下げはまだ期待できないかも。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

10月14日

139.7

2.1

139.8

2.9

10月15日

139.7

0.0

140.2

0.4

10月16日

139.5

-0.2

139.9

-0.3

10月17日

144.2

4.7

143.6

3.7

 

 先週号においては『未だ買い方有利の図式には変わらない。押し目買い方針を推奨する。』として終了した。

 今週の相場は、週末17日には先物で143.6円まで上昇。ついに全限140円台へと乗せる展開となった。10月1日127.6円まで調整安を入れた相場は、10月6日より上げ足を速めてあっという間の16円幅の大暴騰。本来売り屋の当方も買い推奨はしている相場は、一度買い玉を降りると次にはもう買えなくなるような相場展開で上がっている。巷では、150円説やら160円説やらの声も聞かれるが、冗談で自分の身長分だけ上がるんだよ!との話も…

 この恐ろしい上昇相場の要因は、産地シンガポール高と中国の上海相場高にあるとしか言いようがない。現在のタイのRSS3現物オファーは130¢中心で採算値は152円となっている。しかも上海市場の価格は、なんと円換算で171.50円まで上昇しており、割安な東京市場で商社が受けては中国に輸出するというパターンが崩れないのはこのためだ。

 自動車販売台数が世界的に好調となっている中で、産地は洪水によりタッピング作業が遅れているとの懸念も有り、どうにも止まらないパターンとなっている。

 …中略…

 またチャートで見ても、9月19日136.7円から10月1日127.6円までの9.1円幅の調整安を入れたところから急反騰した相場は、下げ幅の倍返しで18.2円の上昇となるためにズバリ145.8円である。あと2円ほどを残すのみであり、ここは冷静に高値飛び付き買いは避けて、調整局面を待つ場面だろう。

 結論として当方の相場観は、ぼちぼちまた大きな押しが入っても不思議ではないと見る。しかしこの相場は、大幅順ザヤになって大量の荷物を呼び込むようにならなければ、そう容易には大天井は打たぬ相場であると考える。大天井は下手したら、来年2月くらいまでないのでは?との予感が…

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

11月限(当限)

前日比 

9月限(先限)

前日比 

10月14日

\9,110

-200

\10,780

10

10月15日

\9,020

-90

\10,500

-280

10月16日

\8,600

-420

\10,510

10

10月17日

\8,290

-310

\10,430

-80

 

 先週号においては現状の期近が弱くて順ザヤ相場のままでは、長期的には先物も1万円割れを目指すダラダラとした下げ相場であろう。もっとも開花期の天候相場期は12月まで続くため、すぐにそのコースに乗るとは思えず、道中切り返しが入る相場展開を予測する。安値を叩かず、戻り売りである。』として終了した。

 今週の相場展開は、期近からの下げに影響されて下落が続き、先物では16日に10,310円の安値まで売られる事となった。先物も大幅下落ではあるが、何と言っても当限からの崩れがひどく9,000円台を大きく割り込んで8,290円まで下落してしまっている。当先のサヤ2,000円幅への拡大は、このコーヒー相場の本来のパターンであるサヤ滑り相場へ向かう事が考えられ、買い方はいっそう苦しい状況に追い込まれたと言える。

 当限の下げの主因は、受け手難と見られている中で売り方・近江筋の叩きの手が出ている事が挙げられる。ブラジルの干ばつ懸念が後退している中で、NY市場もファンドが完全に売り転換するなど外部材料も悪く、元々受け手がなければ当限は8,000円台へ落ち込むのも止む無しとされていた中では、この叩きは効果的であったということだ。

 もっともおおよその売り方の目標値にはほぼ届いており、下値はもう幾らもないとは言えるだろう。すべての要因が下げを示唆する中で、先物の目標値9,850円までは如何ほどもない。大きくは戻れないとは思うが、ぼちぼち反発する時期が近づいているものと考えられる。

 さて指標のNY市場は10月13日60.30セントまで下落の後、何とか60セント台を維持している。週末も前日比0.90セント安の下落で60.50セントの終了であるが、安値も60.35セントと13日の安値は下回っていない。

 60セントをしたにブレイクした場合は、58セント辺りまでの下落か、ひどい場合は55セント台までの下落も有り得るが、年内は下げてもその程度が良いところだろう…干ばつ懸念は遠のいたとは言え、12月までは一応の天候相場期であるのだから。

 週末発表されたCFTCによる10月14日現在のファンドの建て玉は買い14,864枚(前回発表時より3,831枚減)、売り23,023枚(同6,700枚増)となっており、ネットで8,159枚の売り越しである。

 70セントにいた時には買い越しだったファンドは、60セントすれすれのところで今度は途転売りに転換である。NY市場がもし上がるのなら、このファンドが買い戻しに出る時という事になるのかも…

 結論として当方の相場観は、長期的にはサヤ滑り狙いの売りが有利とは見るが、内外ともおおよその売り目標値まではほぼ届いた。ここからはさほどの下値は無いと考えられるため、戻りを待つ作戦としたい。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

1月限(当限)

前日比 

5月限(先限)

前日比 

10月14日

\16,700

-60

\17,730

100

10月15日

\16,700

0

\17,760

30

10月16日

\17,040

340

\17,980

220

10月17日

\16,760

-280

\17,810

-170

 

 先週号においては、『戻り売り方針に変化なし。唯一の注意点は、NY市場でのファンドの売り過ぎに警戒するのみである。』とした。

 今週の相場展開は、先週末10日に17,590円の安値を記録したところからは反発となり、16日には17,980円まで反発を見せることとなった。もっとも、まだ底入れ確認〜出直り相場に移ったと言うほどの展開とはなっていない。

 ともかく砂糖自体に何ら強い材料はなく、世界的に供給過剰が言われる中で、本格的に上昇トレンドに移る可能性はまだ薄い。さらには市場内部要因で見ても、自己玉・商社機関店・仕手筋機関店は大量の売り越し状態であり、逆に買い方は平均3,000円は引かされているであろう大衆店のみである。投げてしまえば底打ちもあろうが、そのようなクライマックス的な売りは全く見られていない。

 買い方にとって唯一の期待は、6セントを挟んだ攻防を続ける指標のNY市場において、下げ渋ってきた事くらいか…ただしファンドは大量に売っており、それが曲がるとなれば案外底打ちが期待できなくもないか。

 週末発表されたCFTCによる10月14日現在のファンドの建て玉は買い16,341枚(前回発表時より3,432枚増)、売り54,533枚(同11,635枚増)となっており、ネットで38,192枚の売り越しである。

 過去のパターンから判断すれば3万枚を超える売り越し状態は、明らかにファンドの売り過ぎ状態である。かなり危険ゾーンに突入してきたとの判断が妥当であり、買い材料は何もない現状ではあるが、そろそろNY市場では買い場であるとの判断も面白いだろう。

 国内市場ではとにかく大衆筋の大投げが出てくれるのが一番なのだが、かなり長期的な視野に立つのならば、ここからの安値は買い仕込みの時期という事になろう。16,000円そこそこまで下がっても良いと考えるのならば、じっくりと買い下がるのも面白いかも…(現状の価格からは、まだ1,500円以上下値が有っても良いと考える人のみですが)

 結論として当方の相場観は、目先はまだ戻り売り方針に変化なし。しかし長期的にはここからの安値は大底になるとの見方で、引かされ覚悟ならば買い方針を推奨する。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

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