商品市況展望 割愛版

平成15年11月30日記

 

 チャートは縦軸に価格、横軸に時間を入れたグラフであるが、相場の基本中の基本といっても構わないものではあろう。相場分析の方法としてこのチャートをメインとして使うのが、いわゆるチャーチストである。また相場の需給などの基礎的要因をメインに使うファンダメンタリスト、内部要因などを主に分析する人なども、チャートは相場の礎(いしずえ)として使っているはずである。

 もっともチャーチストの中には、宗教で言うところの原理主義者のように、それだけしか見ない!それ以外は無視する!と言うマニアックな人種が多いのが不思議だが。独自のチャートを作って相場分析している人ほど、どうもその傾向が強いような…

 もっともチャートを売って大儲けした人は聞くが、チャートだけで相場を張って大儲けしたと言う話は、残念ながら聞いた事が無い。(当方が知らんだけで、あるかもしれないけどね)チャートにはダマシも必ずあり、そこで敗れ去ってゆく事も良くある話と聞く。しかしチャーチストを批判しようと思って、これを書いているわけではない。有効に利用するのは、相場をする人として当たり前の話なのだから。

 チャート分析についてコメントする時の問題は、縦軸の話ではなく、実は横軸の問題である。例えばチャートが買いを示唆しているとした場合に、いったいどのくらいのスパンで、それを予測しているのかという事。今日・明日の話なのか、1週間程度の話しなのか、それとも数ヶ月単位の話なのか…それによっては全く話がかみ合わなくなり、いわゆる同床異夢の状態になってしまう。

 ちなみに日バカリを専門にするディラーは、1分足・5分足・長くて15分足程度しか見ないようで、日足などもほとんど見る事は無い様である。その日の立会い終了時にはポジションがなくなってしまうのだから、彼らに明日の相場予測の話を聞いても無駄である。そんな事は、彼らにとってはどうでも良い話なのだから…

 逆にある有名な仕手筋と言うか、100億円を儲けて某社のオーナーとなった人の場合は、基本的に自分の相場観が間違っていないと考える場合、あるいは利が乗っている場合には、相場の小さな波は全く無視しているかのようだ。ともかく先物で仕掛けた玉さえも、当限に廻るまで利食いなんぞはして来ない。当限に廻ったら建て玉制限分は落とすが、基本的には納会まで維持である。氏に相場観を聞いても、道中幾ら相場が上がっている時があっても、本人が売っていたら半年間何時聞いても『売りだ!』の一言で終了である。

 相場の儲けは縦軸(価格の上下)の問題なのだが、自分の横軸(時間)はどこなのかを適切に判断する事が必要だろう。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

11月25日

\18,980

-210

\17,650

L700

11月26日

\19,080

100

\17,620

-30

11月27日

\19,100

20

\17,750

130

11月28日

\19,110

10

\17,910

160

 

 まずは原油から…先週号においては『テロが頻発する中での売りは確かに怖い。しかしファンド買いに向かって、ここは売り方針を徹底したいところである。』とした。

 今週の相場展開は、連休明けの25日にNY市場の暴落から、いきなりのストップ安の張り付きの展開となった。19日の18,550円から暴落した相場は、今週は26日に安値17,570円まで980円幅の下落である。

 10月30日16,900円から上記の19日18,550円までの上昇は1,650円幅であり、その時点までの買い方針から満を持して売り方針転換としたのであるが、一発で来てしまっては新規売りは不可能の展開であった。今週連休でさえ無かったらねえ…うれしい連休がうらめしいであった。

 さて17,570円まで暴落した相場であるが、週末までには17,910円340円幅の反発OPEC総会を12月4日に控え、ここからの更なる下落は避けられている。おそらく総会までは、上にも下にも大きく動けない展開となろうと予測する。

 OPEC総会においては、生産枠の現状維持の方向で決まるとの見方が有力であり、仮にその通りの決定となれば、NY市場で20日に記録した33.55ドルは天井決定であろう31ドル台まで戻っていたら、そこはまた売り狙いで良かろうと思われる。

 しかし万が一新たな材料が出た場合は、もう一度33ドル台の2番天井を付けに行くと考えられる。可能性は非常に薄いと思われるが、9月のOPEC総会では事前予想に反して減産決定がなされ、そこから大きく上昇したケースもあるゆえ、絶対に無いとは言えぬだろうし…

 逆に相場の下値は、28ドル台がせいぜいであると考えられる。テロ事件の頻発には市場は反応しなくなってきてはいるものの、だからと言ってその懸念がある中で、OPECのプライスバンドの上限辺りで相場は下支えされると思われるからである。

 よって東京市場においては、上がって18,200円辺り下値は17,000円どころで支えられると考えられる。何度も言うが、OPEC総会で新たな材料が出なければの条件付ではあるが…

 さてNY市場において、11月18日現在56,469枚の買い越しと大量に買っていたファンドは、おそらく今回の暴落でだいぶ投げたではあろう…ファンド向かい作戦の当方は、どの程度投げたのかによって今後の相場展開の指標としたいのだが、感謝祭休日でCFTCの発表は週明けとなる。前場の概況のメールにて、追ってレポートしたい。

 結論として当方の相場観は、18,200円どころまでの自律反発があれば新規売り。逆に17,000円割れ辺りは新規買いの逆張り相場を考えたい。

 

 

 

今週のガソリンの値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

11月25日

\28,240

-530

\28,230

-660

11月26日

\27,990

-250

\28,160

-70

11月27日

\27,560

-430

\28,100

-60

11月28日

\27,400

-160

\28,110

10

 

 続いてガソリンです…先週号においては『5月限・6月限の売り方針を推奨する。』とした。

 今週の相場展開は、NY原油の暴落に連動する形で週明けから急落。11月21日の高値29,020円から、今週は27日に安値28,000円ジャストを記録。1,020円幅の下落を演じる事となった。

 10月30日26,980円の安値から、上記の29,020円までの先物引継ぎ足での上昇幅は2,040円に対して、ちょうど半値押しを記録である。

 その後は28,000円台前半での動きであるが、NY原油の動向や現状の現物需給の動向から判断すると、29,020円は天井確認となった公算は大である。戻りは28,500円程度のものと想定され、そこは戻り売りの好機であろうと見る。

 もっともどこの限月にも言えると思うが、27,000円割れ(26,000円台)は底値であろう。結局大きな下落は元売の介入によって支えられると思われ、戻り売り方針ではあるものの、下がってもそこまでであるとの石油相場にしては比較的小さいレンジの変動を予測する。

 この考えで行けば、2月限・5月限の順ザヤ幅は縮小の方向に向かうとの予測であり、サヤ取り筋にはヒントとなろうか。

 27日現在のスポット価格は海上で28,200円(京浜)〜28,400円(阪神)と1,000円〜1,500円安陸上では29,200円〜28,900円600円安である。輸入採算価格は28,600円600円安となっている。(いずれも前週比)

 このところ何度もコメントしてきているが、川下の需要の急増が見込めない中で、電力向けC重油生産のための原油処理量の増加から需給は緩んでいる。そのため系列物の価格の方がスポット市場よりも安い状態となっていたことが、この下落の要因である。

 先週号で『次に当限に廻った1月限が、素直に12月限のように3万円近い価格まで上がるのかどうかは微妙であろう。』としたものが、スポット価格に先んじて下落の状況となっている。

 もっともすでにスポット価格に比べ1,000円安く、2月限は週末に一時27,000円を割り込んでから反発している。元売は採算の低下を嫌うはずであり、あまり調子に乗って安値を売り込むと、元売の買い介入にやられることもあるだろう。基本的には戻り売りだろうが、急落時は逆に買っても取れる相場であろうと見る。

 週末現在の自己玉は売り27,372枚、買い22,599枚となっており、また売り越し状態が顕著になってきている。意外と大衆筋の投げが出切っていないのかもしれない…投げが出なければ、下げ余地はあるとも言えるかも。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、先物中心に28,500円どころまでの戻りが限界と思われ、27,000円どころを狙って戻り売り方針である。しかしどの限月においても、26,000円台は底値圏であると見る。

 

 

今週の灯油の値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

11月25日

\28,800

-320

\25,220

L700

11月26日

\28,800

0

\25,140

-80

11月27日

\28,550

-250

\25,070

-70

11月28日

\28,360

-150

\25,230

160

 

今週の軽油の値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

11月25日

\28,690

-210

\25,980

-520

11月26日

\28,650

-40

\25,960

-20

11月27日

\28,490

-160

\25,920

-70

11月28日

\28,100

-390

\26,020

100

 

 最後に灯油・軽油です…先週号においては『灯油の戻り売り方針に変化はなし。原油が崩れた場合は真っ先に下落するだろう。軽油は他油種売りに対するヘッジ買いとしてのみ、買い方針を奨める。』とした。

 今週の灯油の相場展開は、ガソリン相場同様にNY原油の暴落に端を発して週明けからストップ安に張り付き、安値は27日に24,990円と25,000円割れを記録。ただしそこからは、値頃抵抗が働いて下げ渋っている展開である。ただし当限の1月限など需要期限月は、スポット市場の下落を受けてさらに軟調な地合いとなってはいるが…

 27日現在のスポット価格は海上で28,100円(京浜)〜27,600円(阪神)900円〜400円安となっており、陸上では28,800円〜28500円と800円安である。輸入採算価格は30,100円となっており800円安である。(いずれも前週比)

 在庫は前週比4.4万klの減少の522.4万klとなっており、僅かながら減少はしたものの、この暖冬で記録的な高水準在庫の状態は変わらない。

 気象庁による12月〜2月の3ヶ月予報でも、東日本・西日本は平年並み以上の気温との暖冬予測であり、その面からも期待は出来ない。

 また11月の販売量は前年同月比で半分以下に落ち込んでいると言われ、一部業者が投げ売りにでも出るようならば、需要期下の大暴落も有り得るかも…

 しかしながら先物に目を向けるならば、今週石油市場は暴落したとは言うものの、ガソリンが夏場の28,000円台を上抜く29,000円台まで上昇していたゆえ、夏場に3万円台を付けていた灯油はこのところの高値が26,000円台と大衆筋には割安に見えるらしい。そのため石油製品相場の中では、もっとも自己玉の売りが顕著となっている。

 これは限月間のサヤマジックであり、先物に需要期限月があるのか、それとも不需要期限月があるのかの違いが大きいわけなのではあるが…石油製品相場の場合は、限月の違いは銘柄の違いにも匹敵するとの認識は必要なのだが。

 もっとも長期的に見れば、やはり先物の不需要期限月と言えどもタダになるわけではなく、24,000円台の価格は底値圏と言っても良い水準ではあろう。原油価格が25ドル以下まで下がるのなら別にして、23,000円台であるとか、あるいは過去の安値である2万円割れを指向するとかにはならないだろう。上場来で24,000円以下で納会した事は、僅か二度しかないのであるから…

 週末現在の自己玉は売り33,375枚、買い11,503枚となっており、大幅売り越しはさらに増加中である。

 …中略…

 さて今後の相場展開であるが、先物に関してはもちろん買い方針とするわけにも行かないが、値頃的に売り妙味は薄いか…むしろ需要期の期近限月で値段が残っているところを売る作戦が良しと見る。サヤの縮小を狙って2月限・3月限の売りが良かろうと見る。

 

 さて軽油は、原油を含めた石油4品の中で唯一自己玉が買い越しの銘柄である。もっともその上下動は、どうしても他油種の動向を受けざるを得ないだろうが…

 他商品のヘッジとしての買い以外に単独で買うのは避けた方が良い状態には変わらないだろう。

 20日現在のスポット価格は海上で29,500円(京浜・阪神とも)と700円〜900円安となっており、陸上では29,600円〜29,300円200円安である。輸入採算価格は29,700円400円安となっている。(いずれも前週比)

 軽油市場の最大の難点は、価格体系が3つあるために、どこの指標を置いてよいのか判らんという事。納会を一度見てみないとねえ…(週間レポート8月31日号を参照の事)

 

 結論として当方の相場観は、灯油は余り物に値無しの相場展開が顕著になると見て、2月限・3月限の売りを推奨。軽油は他商品に対するヘッジ買いとしてのみの参入に止めるのが良いだろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

12月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

11月25日

\2,669

-14

\2,560

-19

11月26日

\2,685

-16

\2,571

11

11月27日

\2,686

1

\2,558

-13

11月28日

\2,701

15

\2,570

12

 

 金相場は、先週号においては『まだ明確に天井を打ったとの形跡は無いものの、ここからは何時売るかだけの問題であり、売り狙い方針には変化なしである。』とした。

 今週の相場展開は、1,300円台後半での小動きな展開。週末に1,393円まで上昇し、ひょっとしたら1,400円台乗せとなるのか?と思わせる展開であった。 

 しかし当方は、1,400円台は売り上がればOKだろうと見ている。慎重に見る向きは、1,400円台乗せを無理して売る必要も無いかもしれないが、逆にそれを記録した後にまた今の価格まで下げ始めたら、天井確認として売り始める戦法もあろう。

 なぜ当方の相場観が弱気(売り方針)なのかと言えば、ともかく金相場のNYベースの400ドル台は、近年の歴史的天井場面でしか現れていないためである。テロが続く中で有事の金買いと言うが、有事(戦争)の際に金を持ってどこに逃げると言うのか?どこで爆発するか知れないテロで、金を持って逃げる暇などあるものか!と言うのが正直なところ…

 ましてや金本位制など現実味は薄く、今の時代は金本位制ではなく石油本位制である。都市生活においては、電気エネルギーはなくてはならぬものであり、それを生み出す石油エネルギーは必要不可欠。金などただの一つの商品に過ぎないとの考えが根本にある。

 採算コストが僅か200ドル程度のものが、あるいは需要としても宝飾用以外は何に多く使われるでもないものが、単にファンドの買いによって上がっているだけであるのが現実だろう。国内大手貴金属商の店頭でも、相場高騰時には列を成して地金を買う姿など皆無といい、かえって売却希望者が多いという現実の中で、大型相場の到来は無いと見る。

 さてNY市場でのファンドの動向を見るCFTC発表は、感謝祭休日のために週明けにずれ込む。これが果たしてどうなっているのか?一説には連休のためにファンドは、その連休中に何かがあっては困ると(金は上がると)買いを増加させたために一時402ドルまで買い進んだと言われており、テロも何も無かったら一体どうなるのか?今度は一転利食い売り殺到も有り得るか…

 いずれにしても、連休明けのNY市場に注目である。

 とここまで弱気をコメントしたのであるが、唯一の不安は足利銀行国有化の行方である。りそなの時とは違い、この国有化においては株券は唯の紙切れと化す。銀行株神話の崩壊で、週明けの株式市場はどう動くか?また為替相場は?ひょっとして金曜日の後場に、何の材料もなく金が若干上昇したのは、それに対するインサイダーがらみの買いが入ったのかも…

 結論として当方の相場観は、遅かれ早かれ金は早晩天井確認となろう。売り狙い方針に変化はなし。ただし為替と株式市場の動きには注意。

 

 銀相場は、先週号では売り方針継続である。』とした。

 今週の相場展開は、金相場の上昇に引っ張られる形週末には186.9円まで一時上昇。17日の高値187.0円に接近する事となった。

 要は金相場次第の展開であるが、有事の金買い(当方はもうすぐ過去のものになると思ってはいるが)はあったとしても、有事の銀買いなど有り得ぬだろうし、売り方針に変化は無い。週明けのCFTC建て玉報告に注目である。

 結論として当方の相場観は、先週と同じく売り方針継続である。

 

 プラチナ相場は、先週号においては『天井確認を待っての売り方針としたい。そろそろ一度は下げなければ、相場としてはつまらんと思うゆえに…』とした。

 今週の相場展開は、2,550円から2,590円での間の小動きな展開となっている。日替わりランチの様に高い安いが交互に続く展開となっており、上に抜けるのか下に抜けるのか決定打に欠ける展開となっている様でもある。

 三井F・ファンドのダントツの買いに対して、大衆筋(このところは商社筋も)売りの図式にも全く変化は無い。またジョンソン・マッセイ社のプラチナ需給報告についても、現状の相場動向を追認した形であり、目新しさには欠ける内容である…つまりは、何かもっと違ったきっかけがなければ上にも下にも動けない図式は変わらないという事であろう。

 チャートでは2,600円台を先物が奪還すれば、上に抜けたと見た大衆筋の踏みが入って上昇に加速が付くかもしれない。逆に18日の安値である2,515円を下抜くようであれば、ファンドの手仕舞い売りが出てトレンドの転換となる可能性もある。いずれにしても、動いた方向に付くということぐらいしかコメントが出来るようなものが無い。

 ただし当限に関して言えば、2,700円台乗せとなって一代高値を更新中である。この12月限は、昨年12月19日に発会した時は2,200円であり、結局1年かけて500円上がっていると言う事である。

 …中略…

 買い玉には大幅に利が乗っているのだから、受けないで降りてしまえば何と言うことも無いが、納会で受けにでも出られたらとんでもない事になるだろう。そういう意味では、商社・自己玉なども先物にはヘッジ売りを入れるが、中物に限月が移動すれば万年買い越し状態になってサヤ出世する銘柄は、基本的には売ってはいけない銘柄=買い銘柄なのだとも言える。

 そんな事はずっと前からとうに判っている事ではあるが、相場は相場ゆえに目先の急落を期待して売ってしまうのが売り屋の性である。

 結論として当方の相場観は、ジョンソン・マッセイ社の予想価格700ドル〜820ドルは、為替を108.50円として計算すれば、国内当限価格では2,440円〜2,860円となるわけであるが、今更買う気にはならんため上限価格が出るのをじっと待つ。もちろん出るとは限らんし、それ以上の価格になる事もあろうが…

 売りの因果玉がある向きは、来週中に急落しなければ、損は損として計上し一度やり直した方が無難だろう。すでにレポート済みではあるが…

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

1月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

11月25日

\16,910

260

\16,270

70

11月26日

\17,310

H400

\16,550

280

11月27日

\17,800

490

\16,650

100

11月28日

\18,200

H400

\16,580

-70

 

 先週号においては、『コーンは16,000円中心の上下500円幅程度の逆張り相場を予側。大豆は本文中の目標値を参考に、押し目買いに一時転換である。あくまでも、新たな材料が出ないとの前提に立った予測であるが…』として終了した。

 

 まず今週のコーンの相場展開であるが、週明け16,040円からスタートした相場は、週末28日には16,900円まで急騰。シカゴ市場が感謝祭入りの休みとなる中で、商いの薄い当限からの仕手筋の煽りのような手口によって急騰である。よって逆ザヤ幅は大幅に拡大であるが、…中略…

 自己玉は買い越し、商社の売りは少ない、買い策動をする仕手筋・地場筋が多いなど、コーン自体の材料もあるが内部要因でも根が強い相場ゆえに、基本的には下げたところで買う作戦の相場付きではある。

 しかし週末のチャートは上髭陰線であり、また11月17日の17,040円をトップとする三尊天井型のチャート形でもある。週明けの1日・2日で17,040円突破とならずば、目先の天井をまた確認したと言う事になろう。その場合の下げは、15,970円を第一目標とし、さらには15,590円を目指すことになるかもしれない。それゆえピンポイントの売りも考えて良い相場であろう。

 さて先週号でも記したが、今後も上がるにしろ下がるにしろ、中国材料からは目が離せない情勢ではあるが、今後の相場展開は次の3つのパターンが考えられる。

1、中国が輸入国に転じる事によって、更なる急騰を演じる。この場合は17日の17,040円を突破し、先物で18,000円台を目指す青天井になると思われる。

2、輸出は出来ないが、輸入をするほどの状況ではない。この場合は16,000円を中心とする上下500円程度のもみ合いであり、最大下げて15,500円どころであろうが、上げても17,000円は当面の天井であり突破できない。

3、逆に日本・韓国向けなどに輸出が再開されしまった。この場合は17,040円は完全に天井であり、15,000円割れまで一気に沈み込む事となろう。

 現状では、2のケースの範疇に留まっているものと想定されるが…

 

 シカゴ市場の動向については、CFTC建て玉報告が入っていないため、また感謝祭で休日となっていたため(週末は半日立会いがあったが…)今週は割愛する。

 ただしシカゴ格言では『感謝祭に笑ったものは、クリスマスで泣く』と言うものがあるゆえ、休日明けの2日の入電は注目したい。

 

 さて一方の大豆相場であるが、大豆自体の市場環境としては米国産大豆は7年ぶりの不作の状況でもあり、需給面からは当然コーンよりも強い。しかし先々に目を向けると、コーンは米国産が頼みの綱なのに対して、大豆は南米が大増産に走って米国の不作を補うだろうとの予測がある。

 もっともその出回りはまだまだ先の話であり、南米産の豊作・凶作はまだ海のものとも山のものとも付かないのであるが…

 また大相場となった原因として、中国の買い付けが挙げられる。もっともその買い付けも、搾油マージンが出なくなってきたとの事で、どうも山場は越した感はある。さらなる大相場となるには、中国以外の材料が必要かもしれない。となれば第一候補は、南米の天候という事になろうか…

 南米産の作柄の目処は、来年2月頃に付くものと思われる。その間の天候相場が、今後の焦点となるだろう。要は今年度の天候相場は、二度あるという事か。

 今週の相場展開は、一般大豆NON−G大豆の値動きの違い当先の値動きの違いが目に付く展開であった。特にNON−G大豆の当限の上昇が目立っているが、これは搾油メーカーの現受けが入るだろうと想定されているため。

 本来搾油用の大豆は一般大豆でもNON−G大豆でもどちらでも良いのだが(だから納会ではほとんど値段が変わらないのだが)、このような乖離現象となっているのは、安値で買っておいた大豆を利食いするより、そのまま受けて使用しようと言う考えがあるのだと想定される。一度利食いして一般大豆を買った方が有利としても、買い付けるだけの流動性があるかどうかという問題もあるのだろう…

 大豆の場合は商社筋の受け渡し等によって、とんでもない価格の上下が生じる事はかつてもあった…というか日常茶飯事であった。そのために大豆相場からは撤退した当方であるが、今年はさすがにこの大相場につき参戦はしているが、南米の作柄が決定する来春までには終了はしたいと考えている。よって相場解説も、その時期までと事前に予告しておく。

 さて先週号でコメントした一般大豆は、『ズバリ押し目買い目標値は35,360円以下〜34,350円辺りと想定している。』とした。今週安値は11月26日34,550円で、週末は高値35,790円までの反発である。

 またNON−G大豆は、『押し目予測価格はズバリ37,830円〜37,280円どころと考えている。』としたが、11月25日37,520円が安値で同じく反発に転じている。

 新規売りをするためには、もう一度2番天井の確認を待ってからとしたいが、もうすでに天井打ち〜下落トレンドに入っているかもしれないし、その判断が現在は付かない為、買い玉は早めに利食いをしてハッキリするところを待ちたいと考える。

  

 結論として当方の相場観は、コーンの先物は三尊天井の確認になったかもしれないゆえ注意が必要。大豆も短期トレード以外は、基本的に様子見が良かろう。両商品ともに、感謝祭明けのシカゴ市場の行方を見守りたい。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

12月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

11月25日

138.0

2.0

140.1

 

11月26日

135.5

-2.5

136.9

-3.2

11月27日

131.8

-3.7

135.4

-1.5

11月28日

134.1

2.3

136.0

0.6

 

 先週号においては『161.8円は当面の天井だとは思うが、目先の動きは良く判らない。140円台への戻りがあったら、売ってみようかと言うところである。』として終了した。

 今週の相場展開は、週明け25日には140.9円と140円台を記録するものの、その後はまた反落に転じて27日には134.0円とこのところの安値を更新。しかし週末には、136.0円まで反発しての終了となっている。

 トレンドは完全に下向きに変わっていると考えられ、161.8円は当面の天井であろう考えても問題は無いだろう。しかしファンドを中心に押し目買いの勢いも強く、130円割れは無しとの強気の見方もまたある。

 10月1日に記録した127.6円を目指す下げ道中であると当方は見ているが、手口次第で簡単に追証幅分の動きがあるゆえに、非常にやりづらい相場展開となっている事も変わらない。

 相場の方向性を示してきた産地価格と東京市場の価格の関係では、上昇相場時には産地価格の上昇によって割安になった東京市場が買われ、それがまた産地価格を押し上げるといった図式であった。最終的には産地価格の下落によって、東京市場が逆に割高となる場面も迎えたりしながら今回の下げ局面に入っているのであるが、現状の値位置ではまた東京市場が割安である。

 今後産地が東京の下げを見てさらに下げるのか?それとも下がらず、また東京市場が戻るのか?その辺の綱引きは漠然としており、どうもハッキリしないようである。

 …中略…

 なお中国情勢に関しては、来年度から現行の関税15%が13%に引き下げられるとの話で、買い控えが起きているとの話もある。

 結論として当方の相場観は、不安定な相場ながらトレンドは下向きのままであると見る。もっとも安値を叩くと急反発があるため、138円以上の水準で、さらには145円までの戻りがあっても良いとの考えで売り方針とするべきだろう。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

1月限(当限)

前日比 

11月限(先限)

前日比 

11月25日

\8,310

-400

\10,350

110

11月26日

\8,180

-130

\10,230

-120

11月27日

\8,280

100

\10,330

100

11月28日

\8,210

-70

\10,400

70

 

 先週号においては戻り売り相場に何ら変化は無いものと想定する。』として終了した。

 今週の相場展開は、25日に10,220円の安値を記録するものの、NY市場の連休入りという事で、全く動意を欠く展開となった。もっとも市場は、月半ばに11,200円まで上昇した相場は一体なんだったのだろう?というムードに包まれ、当限の大幅下落からの順ザヤ幅の拡大とも併せ(サヤ滑り懸念)、買い方の諦めムードが漂っている。

 ともかく当限に廻った1月限は、受け手が現れなければ期限切れの渡し物もあるということで、11月限納会よりもさらに悪いはず…11月限の納会値が7,720円であった事を考えれば、6,000円台に沈み込んでも別段驚かない

 もっとも先物に関しては、NY相場次第ではまた戻ってもおかしくは無い。1万円そこそこの価格は値頃感が出る水準でもあり、元々強い材料が何もない中で何とか1万円を維持していると言う事は、内外市場ともにファンド以外には積極的に売り込もうとする向きも無い様でもあるゆえ…

 ファンドの買戻しがまた出れば、応分の戻りはあっても良いだろう。もっとも10,600円辺りがその限界となりそうであり、その辺までの反発局面は新規売りをする水準という事になるだろう。

 週末現在の自己玉は売り37,836枚、買い13,539枚となっており、また売り越しが増加し始めている。

 その他内部要因については、三菱Fが5,954枚の売り越しなどとなっており、こちらもまた増加してきている…

 

 さて指標のNY市場においては、60セントを挟んだもみ合い状況から、21日56.40セントまで下落した後、連休を控え57セント台でのもみ合いで連休突入。連休明けからどのような動きをするかは注目である。

 コーヒー独自の材料としては、市場は来年のブラジルの生産高予測を4,000〜4,500万袋としているが、コロンビア国立コーヒー生産連合会は3,500万袋と予側。もっともコロンビアも生産国であり、ブラジル政府もそうだが生産国の当事者は、価格低下を嫌って低めの発表をするのは常である。

 基本的にコーヒーには未だ何ら強材料が無いため、上昇にはファンドの買戻しと言う材料しかないのが現状である。

 11月18日現在ではファンドは14,767枚の売り越しであったが、週明けのCFTC発表でどうなっているか?過去のパターンでは、ファンドは15,000枚の片が出ると相場は逆方向に動いてきている危険水域であるが…さて?

 結論として当方の相場観は、ファンドの買い戻しや値頃の買いで10,600円どころまで先物が戻ったら、そこは絶好の売り場になるのではないかとの見方である。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

1月限(当限)

前日比 

5月限(先限)

前日比 

11月25日

\16,600

-670

\17,700

-410

11月26日

\17,310

710

\17,850

150

11月27日

\16,900

-410

\18,000

150

11月28日

\16,550

-350

\18,060

60

 

 先週号においては、『先週と変わらずどこまで戻るかを見定めての売り方針である。所詮は一過性の戻りであろう…』とした。

 今週の相場展開は、週明けの25日には17,310円と大暴落でのスタートとなったが、その後は急速に買い戻されて18,000円台まで戻っての終了である。

 週明けの暴落の原因は、国内連休中に2日連続で暴落した事が挙げられるが、なぜそうなったかと言えば6.50セントをクリアできなかったためと言えよう。元々値頃感では下値にいるとは言え、根本的に砂糖自体の強材料がないゆえ、当然と言えば詮無い話になってしいまうが…

 なお出来高・取組高ともに低空飛行のままであるが(取組高25,000枚程度であるが、かつては60万枚の取り組みを誇った事もあった)、値動きが結構ある割には一向に人気化して来ない。

 その要因の一つとして、立会時間がゴムと重なる事が多く、石油などのザラ場銘柄も増加して忙しくなった現在では、判りやすい買い材料でも出ない限り参加する人が少ないと言う事なのだろう。確かにいっぺんに複数銘柄の立会いがあれば、ほとんど見ていられないのが現状ではある。

 さて砂糖自体の材料であるが、国際砂糖機関(ISO)を筆頭に糖商・各調査会社などすべてが供給過剰を予測。原因はほぼ収穫作業が終了したブラジルにおいて、史上最大の生産高を記録している事。タイも同じく大豊作であり、ブラジルは通貨レアル高の影響で輸出が遅れていると想定されており、タイの輸出とも今後競合する事になる。

 一方で買い手は各国とも当用買いの姿勢を崩しておらず、このままではさらに価格の下落が起こり得るだろう。

 特にタイの輸出は1月から本格化するため、東京市場はその圧迫を受ける事は必至か?…中略…

 結論として当方の相場観は、売り方針を推奨する特に中物限月は徹底的に売りが良いだろう。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

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