商品市況展望 割愛版

平成15年12月21日記

 

 今年の立会日もあと残すところ3日と半日。(23日に天皇誕生日があり、26日大納会は半日立会いとなるため…)

 今年1年の相場の動きを振り返ってみれば、為替相場は1年を通じて120円から107円への円高傾向であったにもかかわらず、商品市場の多くが地政学的リスク・中国の買い・ファンドの買いを3本柱にして上昇した銘柄が多かった。

 地政学的リスクでの上昇銘柄は、原油・金がその代表的なものか…原油はイラク戦争時には21,000円台まで上昇したが、その後16,000円台まで反落。しかしそのまま崩れはせずに、また上昇したり下落したりである。同じく金もイラク戦争時の1,500円近い価格から、一度は1,200円まで下げたものの、やっぱりまた1,400円台まで上昇している。大雑把に言えば金は、99年の800円台から4年半に渡って上昇していると言う事である。

 両商品ともよく動いたわけであるが、投機家の人気は原油よりはガソリン・灯油、金よりは白金にと偏っている。原油・金はNY市場との写真相場で寄り付いた後は変動が少ないので面白くないが、白金は日本市場が主導、ガソリン・灯油も国内事情で日中に良く動くゆえ、どうせやるならそちらと言うのも当然だろう。おそらくこの流れは今後も変わらぬだろうし、新規上昇商品の軽油まで投機家の目が向くことはないかも。いっぺんに2つも3つも見るのは忙しいからねえ…需要家のヘッジニーズと、投機家のニーズは違うゆえに。

 さてそのガソリンであるが、31,000円台から23,000円台まで下げて、また3万円に接近する展開に…8,000円幅の動きは1枚=80万円の動きであり、原油の5,000円幅の動きを凌駕する。

 また白金は5月の2,100円どころから棒上げであり、2,700円までの上げは600円幅の変動である。1枚=30万円の動きであった。金よりも道中の上げ下げはきついが、金同様に99年の1,100円台から4年半に渡って上昇している。

 中国を材料として大幅上昇したのは、ゴム・大豆・コーンなどの銘柄である。ゴムは2年越しで60円から160円への上昇であるが、今年は100円から160円への60円幅の動き。1枚=60万円の動きである。

 東工取銘柄ばかりが脚光を浴びる中、久々に東穀取銘柄で活況を呈したのが大豆である。一般大豆は昨年の26,000円〜30,000円の値動きから、今年は28,000円から40,000円へと一気に吹き上げた。それも上げたのは僅か秋に入ってからの3週間あまりで…12,000円の値動きは1枚=60万円の値動き。他の商品なみに動いただけとも言えるが、スピードが速かった。

 コーンは14,000円〜17,000円の動きは、実は昨年と全く変わらない。1枚=30万円の値動きである。しかしこのコーンもそうだが他商品も、サヤが逆ザヤになって上昇している銘柄が多かったゆえ、実際には計算以上の変動があるのは皆さんご存知の通り。

 今年動いた代表的な商品を並べたが、取引員にとって恩恵だったのは穀物が動いてくれた事か?ザラ場商品はネットやディーリングが主導となりつつあり、出来高の割には取引員は儲かって無さそうである。穀物専科の取引員・外務員も多いし、手数料自由化を目前にして一息付いたろう…

 また最大の恩恵は、為替が円高傾向となったことかも…例年は少なくとも20円は動く為替相場が、今年は13円幅と値動きが少なかったが、2年連続の円高傾向となったために為替証拠金取引のお客はほぼ総ヤラレ!スワップ金利の関係からほぼ90%以上がドル買い・円売りからスタートするのゆえ、円高で為替屋さんも出金の必要は無かった?

 さて来年も、当然ながら相場は大きく動くだろう。それとともに手数料の自由化、商品取引所法の改正、システムの変更などにより投機パターンも変わるだろうし、また今年のアイコム・東ゼネ問題のような事がまたあるかも…仮に来年円安となれば、為替屋でも飛ぶところも出てくるだろうし…

 相場情報だけではなく、そのような場合のリスクヘッジの情報源(保険料)としても、月3,000円は安いと思うが如何だろうか?(最後は宣伝で締めさせていただきました…笑)

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

12月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

12月15日

\19,140

-10

\18,250

10

12月16日

\19,430

240

\18,730

480

12月17日

\19,370

-60

\18,590

-140

12月18日

\19,540

140

\18,890

300

12月19日

\19,540

0

\18,970

80

 

 まずは原油から…先週号においては『18,550円オーバーとなれば、19,000円台も見えてきたかもしれない。ここから途転買いとまではする気も無いが、売り玉は総撤退で天井を見極めるのが良いと見る。』とした。

 今週の相場展開は、週明け15日にはその前週の週末にNY市場が急騰していたにもかかわらず、フセイン元大統領拘束のニュースによって夜間原油取引が急落。NY原油はすでに33ドル台という高値に位置していた事もあり、ひょっとしたら結果的に天井確認となるかも…の期待も抱かせた。

 しかし翌日のNY市場は、フセイン拘束後のイラクでのテロ多発の状況を受け、前日の夜間取引で32ドルそこそこまで値を消した分を急反発で解消。結局再び33ドル台乗せから34ドル台寸前までこのところまで高値を更新。

 それを受けて国内市場も、週明け15日は上がらなかったが、翌16日には18,550円を簡単にクリア。18日には19,060円と19,000円台乗せを達成である。もしこのコメントの通りに相場を張っていた場合は、18,000円台での売り玉は16日に踏んで撤退と言う事になっているはず…

 週末のNY市場は33.93ドルと一時新高値を更新するものの、その後は利食いの売りに押されて前日比0.69ドル安の33.02ドルで終了。商いが閑散で値が飛びやすい状況であるらしい…

 さてNY市場において、33ドル台などと言うよくもまあ馬鹿高い値段が続くものだと当方は考えるが、この高止まりの原因は@全米原油在庫の低水準、Aファンドの買い、B中東情勢(イラク情勢)の改善の兆しが無い事、辺りが上げられる。

 まず全米石油在庫のであるが、今週の統計発表でも事前予想以上の減少となっており、EIAでは510万バレル減とされた。2億7280万バレルの在庫なのだが、これは12月の水準としては過去最低の水準である。

 またファンドの買いであるが、週末発表されたCFTCによる12月16日現在のファンドの建て玉は買い116,883枚(前回発表時より26,945枚増)、売り60,446枚(同3,729枚増)となっており、ネットで56,437枚の買い越しである

 ファンドの買いピークは、この2年の間では6万枚を若干超えたところとなっている…現状は在庫の状態やら地政学的なリスクやらで、明らかに買い過ぎ状態となっており、限りなくピークに接近中である。

 さてイラクでは警察署が襲撃されたりとテロが頻発に起こってはいるが、石油施設が被害を受けたとの報は聞かない。おそらく米軍も、それだけはかなり強固に守っているのだろう…

 また米国の在庫は少なかろうが、世界的に見ればOPECは公式生産枠2,450万バレルを120万バレル上回る生産を続けておりOPEC生産国も34.5万バレル増加である事は周知の事実。OPECが自ら設定したバスケット価格を、はるかにオーバーする水準を維持するのもまた不思議な話。

 年末年始は相場が一方方向に走る傾向もあるため、高過ぎるからといってすぐに新規売りをする必要も無かろうが、この高値での買い玉維持は危険だろう。レポートどおりに相場を組み立てていれば、現状では建て玉がゼロになっているか、もしくは17,000円そこそこでの買い玉以外は持っていないはずであり、買い玉はすべて利食いして売り場を探すのが良かろうと見る。

 年内に上がれば上がるほど、新春からの下げは大きくなるだろう。出来れば19,000円台後半が出てもらいたいが…さて?

 結論として当方の相場観は、年内で買い玉は総利食い。年明けからの売り場を探すのを良しとする。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

12月15日

\27,600

-110

\28,840

-70

12月16日

\27,700

100

\29,400

560

12月17日

\27,360

-340

\29,390

-10

12月18日

\27,500

140

\29,730

340

12月19日

\27,300

-200

\29,690

-40

 

 続いてガソリンです…先週号においては『先週までの方針から大転換。大納会に向けて3万円台乗せの急騰相場を予測する。』とした。

 今週の相場展開は、週明け15日は原油の欄で解説したとおりフセイン元大統領拘束のニュースによって上がらず…しかし結局その後は上げ足を速め、18日には29,910円の高値を記録。同日に5月限は30,030円と3万円台乗せを記録しており、週明け発会する7月限が順ザヤに買われるようならば、先物引継ぎ足でも3万円台達成の可能性は高い。もっともNY原油相場次第では、何時天井を打ってもおかしくは無いところまで来てはいるが…

 さて週末行われた1月限納会では、27,300円とスポット価格よりは1,000円ほど高いが、輸入採算価格よりは3,000円ほど安い水準で終了。受け渡し高は513枚であった。なお中部市場では、26,800円とかなり安い納会値となった。本来は陸上ローリー渡しゆえに、東京市場よりも上ザヤが自然なのだか…

 実はこのガソリン相場は、一代棒(発会から納会までを1本の線でチャート化したもの)を見る限り、ほとんどが陽線である。過去52回の納会のうち、陰線は12本しかない。最後は元売が納会で値を吊り上げてくれる、典型的な買い相場銘柄なのである。売り屋の当方ですが、やっと気付きました…(笑)

 さて18日現在のスポット価格は海上で26,200円(京浜)〜26,600円(阪神)と300円安〜変わらず陸上では27,200円〜27,000円200円安である。輸入採算価格は30,700円600円高となっている。(いずれも前週比)

 川下の需要不振から、スポット市場は相変わらずの安値低迷。もっとも現状の原油価格から見れば元売にとって採算割れであり、スポットでのバキュームだけではなく減産計画を打ち出しているため、供給も削減するとなれば市況は立ち直るかもしれない。(自動車ユーザーにとっては、迷惑な話だろうが…)

 週末現在の自己玉は売り29,593枚、買い26,481枚となっており、このところは売り越しから買い越しへ、そしてまた売り越しへとめまぐるしい。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、最終週の予測は現状では困難。玉次第で大きく乱高下する可能性もあり、9連休に入る大納会までにはポジション整理が良いだろう。もし31,000円台などという馬鹿高い値段が付いたら、売って年を越しては見たいが…

 

 

今週の灯油の値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

12月15日

\27,280

-110

\25,920

-40

12月16日

\27,210

-70

\26,580

660

12月17日

\26,800

-410

\26,530

-50

12月18日

\27,530

730

\26,930

400

12月19日

\27,530

0

\26,870

-60

 

今週の軽油の値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

12月15日

\26,760

-40

\25,920

-40

12月16日

\26,790

30

\26,950

520

12月17日

\26,800

-410

\26,830

-120

12月18日

\26,290

-360

\27,100

270

12月19日

\25,490

-800

\27,110

10

 

 最後に灯油・軽油です…先週号においては『灯油は先物に関してはガソリンに追随して上がれば27,000円台の可能性も無きにしも非ずか…ただしそうなっても、1月限〜3月限の上昇幅は限定的なものであると思われ、所詮は戻り売りの範疇を出ないものと想定する。一方の軽油も、スポット市場の動向を見る限り上値余地は少ないだろう。買うならガソリンの方がましか…』とした。

 今週の灯油の相場展開は、先限はガソリン高に追随して18日27,090円と27,000円台を達成。これはまずまず想定どおりの展開ではあったが、何故か1月限〜3月限の上昇も大きかった。(特に週末の動きは…)

 本来需要期である冬場の灯油相場は、強い期近の需要期限月に対し、弱い先物の不需要期というパターンではある。しかし今年は在庫の過剰や暖冬によりスポット価格がガソリン以上に大幅に下落している中で、1月限〜3月限の上昇は有り得ないと踏んでいたのだが…意外な展開である。

 週末行われた1月限納会は、27,530円と前日とは変わらずだが、その前の日には730円高していた。受け渡し高686枚はまあまあの水準であるが、11月限の3万円ジャスト、12月限の28,900円よりは大幅に安い。

 しかしスポット価格よりは2,000円ほど高く(輸入採算よりは3,000円ほど安いが…)買いハナ納会〜26,000円そこそこでの終了を考えていた当方にとっては意外な展開である。

 原因は納会前日まで25枚の売り玉を保有していたSが、納会日に一転して205枚の現受けを敢行した事であろう。受け渡し高700枚程度の市場で、納会寄り付きに230枚分の買いが入ってしまったという事だ。おそらく○○か○○辺りの委託玉であろうが、元売は価格下落を阻止すべく介入した模様である。

 それでは2月限の週末の急騰の理由はと言えば、…中略…

 18日現在のスポット価格は海上で25,900円(京浜)〜25,400円(阪神)100円〜200円安となっており、陸上では28,000円〜26,700円と800円高〜300円安とまちまちである。輸入採算価格は30,700円となっており300円高である。(いずれも前週比)

 在庫は前週比31万klの減少の466万klとなっており、やっと減少に転じては来た。それでもまだまだ例年に比べれば圧倒的に多いが…多少寒くなった事と灯油とジェット燃料を割高な海外に輸出した事が減少の要因であり、今度はシンガポール市場が国内輸出からの影響でジェット燃料がだぶつき気味という。となれば、輸出によるこれ以上の減少は困難かもしれない。

 つまりは冬場に灯油在庫が減るのは当たり前だが、実需が伴って減少したのでなければ、この正月の気温によっては後々に悪さの先送りをしただけではなかろうか?2月限の29,000円は、異常の一言に尽きると思われる。

 週末現在の自己玉は売り44,103枚、買い14,344枚となっており、大幅売り越しがまた顕著になってきた。こうなると自己玉は、徹底的に売り上がるだろう…

 …中略…

 結論として当方の相場観は、先物に関してはガソリンがさらに上がるようならば灯油も上がるかもしれないが、27,000円台示現で良いところに来てしまったと見る。また2月限・3月限は、スポット価格と比較して異常な高値であると思われ、天井圏であると考える。

 

 さて軽油は、19日に初めての納会を終了した。納会値は25,490円と前日比800円安の納会であり、受け渡し高は81枚。

 18日現在のスポット価格は海上で26,100円(京浜)〜26,200円(阪神)と1,300円安となっており、陸上では27,500円〜27,300円500円安である。輸入採算価格は30,800円500円高となっている。(いずれも前週比)

 スポット価格が急落中の中で、1月というトラック需要が一番少ない限月の納会値としては、この暴落もしょうがないだろう…

 上場時に理論的には1月売り・3月買いだとしたが、ずいぶんとその後反対に動いたので最後まで持っている人はほとんどいなかったとは思うが、結果的に1月限は発会値26,900円〜25,490円と1,410円のプラス。同日寄り付きで3月限を落とすと、発会値26,960円〜27,000円と40円のプラス。差し引き1,450円のプラスでした。誰かずっと持ってた人います?

 結論として当方の相場観は、軽油は明確な支援材料が無いだけに、他商品が上がれば連れて上がる程度のものだろう。人気も無いし、手出し無用か…

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

12月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

12月15日

\2,872

32

\2,716

28

12月16日

\2,865

-7

\2,707

-9

12月17日

\2,873

8

\2,733

26

12月18日

\2,929

56

\2,669

-64

 

2月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

12月19日

\2,826

6

\2,676

 

 

 金相場は、先週号においては『ファンドの利食い売りによる急落は必ずやってくると信じたいが、今は『待てば海路の日よりあり』としか言えぬ。売り方としては、一度上に吹き上げて長い上髭でも付けないと、この上昇相場は終了しないのかもしれないとの覚悟は必要だろう。』とした。

 今週の相場展開は、フセイン拘束の報を受けた15日にはスポット市場の急落から、一時は1,390円と1,400円台を割り込む急落を見せた。もっとも原油相場同様に、その後NY市場で戻ってしまったため、再び1,400円台に舞い戻った。

 さて国内市場では16日に1,420円の高値を記録したが、その後18日・19日と3度に渡って同値で止まっている展開。同じ値段を何度か記録しながら突破できない相場は、もしかしたら一度押しを入れる事となるかもしれない…もっとも完全にトレンド転換となるためには、まだ日柄もかかろうし、1,390円を完全に下抜く必要もあるが。

 NY市場においては、ドル安・ユーロ高が転換しない限り、金相場の上昇は止まらないとの見方が主流のようである。直近の高値は18日の414.6ドルであるが、右肩上がりのトレンドはそのままである。

 週末発表されたCFTCによる12月16日現在のファンドの建て玉は買い148,033枚(前回発表時より7,386枚増)、売り31,925枚(同1,694枚減)となっており、ネットで116,108枚の買い越しである。

 一体何時までこのファンドの大量買いは続くのやら…

 結論として当方の相場観は、明確なトレンド転換が無い限り新規には売れない相場と見る。しかしファンド買い過ぎの相場であるゆえ、買い玉も年内には処分しておきたい。

 

 

 銀相場は、先週号では明らかに買われ過ぎの状態となっていると考える。どこでエネルギーを出し尽くすかが焦点であろう。』とした。

 今週の相場展開は、金同様に15日には一時急落するものの、その後は195円台までの上昇となり、今年の最高値である8月1日の197.1円をうかがおうかと言う勢いである。過去5年間の中で、200円以上を記録したのは僅かに一度だけであり、金に連れ高しているだけの銀がそれ以上の相場になるのは疑問であり、かなりいいところには来ているだろう…

 もっともトレンドはまだ右肩上がりのままであるゆえ、売りに出るのは慎重に…としか言いようは無いが。

 週末発表されたCFTCによる12月16日現在のファンドの建て玉は買い53,237枚(前回発表時より2,429枚増)、売り3,769枚(同174枚増)となっており、ネットで49,468枚の買い越しである。

 今までのパターンでは、ファンド買いが5万数千枚の買い越しになった時にはピークとなっている。もうすぐピークに差しかかるのであるが…

 結論として当方の相場観は、もうすぐ天井を打つとは見るが、決め付けないでトレンドの転換を待ちたい。

 

 プラチナ相場は、先週号においては『まずは第一回目の売り場かもしれない候補は、19日(金)の2004年12月限発会日と見る。それで天井を打たぬ場合は、また次回考える事としたい。』とした。

 今週の相場展開は、週明けには金相場がフセイン拘束の報で一時急落したものの、プラチナ相場は我関せずの上昇。そして迎えた18日の納会日は、12月限が2,929円と急騰で終了受け渡し高は565枚とここ1年で最大の枚数であり、前回10月限納会よりも300円以上高い水準であった。

 さてそれを受けて2,799円まで上昇していた先物は、前場の大出来高から踏み上げ相場が達成されたと見たのか、後場に入ってから一転大暴落へ…終値は2,669円と前日比64円安、その日の高値からは何と130円幅の大暴落である。当方が第1回目の売り場とした19日には、半日早い暴落であった。

 この日の大出来高は17万枚以上を記録しており、取組高21万枚をほぼ一回転させた格好である。また翌19日も12万枚以上の大出来高でもある。通常の相場であれば、これだけの大出来高・長い上髭陰線を引いて壊れた相場は天井確認である。

 やれファンドが買っているやら、逆ザヤだからと言っても、相場の天底に古今東西があるわけじゃ無し、天井を打ったものは打ったと考えるのが妥当ではなかろうか?

 相場はすでにジョンソン・マッセイ社の予測した価格レンジの上限である820ドルは、はるかに通り過ぎている…(12月18日847.7ドル)調子に乗った買い方は1,000ドル説をも打ち出してきているが、為替を108円として1,000ドルならば国内価格は3,472円である。

 近日中に先物が2,800円台と来たならば、それもさも有りなんと考えるしかなかろうが、今まで何度も踏まされてきた売り方である。その辺にストップロスを置いて、やっぱりしてみたい売り方針である。

 ちなみに週末の19日の10月限は、2,716円まで戻した後に2,695円で引けている。前日の急落で130円幅下げたのだから、半値戻しで65円、3分の1戻しで43円は戻してもおかしくは無い。戻りは2,712円〜2,734円までは許容範囲という事である。

 さて週末現在の自己玉は売り47,929枚、買い39,519枚となっており、8日より途転売りに転じたものが12,000枚超の売り越しまで行き、暴落で若干利食いされた形である。

 ただし発会した2004年12月限は売り越しスタートであるが、2月限〜8月限は買い越しのまま。既存の先物であった10月限も、大幅売り越しが減少してきてはいる。このパターンは、いつも通りのサヤ出世パターンではある。これは売り方にとっては、かなり嫌味なパターンであろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、内部要因からはまだ一抹の不安が残るものの、誰が買っていても天井を打つ時は打つ。10月限ベースでの2,800円をストップロスとして、売り方針である。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

1月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

12月15日

\19,840

510

\17,560

140

 

3月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

12月16日

\18,280

-390

\17,090

 

12月17日

\18,130

-150

\17,350

260

12月18日

\18,060

-70

\17,150

-200

12月19日

\18,200

140

\17,150

0

 

 先週号においては、『コーン・大豆ともに押し目買い一貫の相場と見る。特に勢いが付いた場合は、年末は相場が一方通行となるケースも多いため、注意は必要だろう。(来年は高いだろうとの予測を、今年のうちに買いきってしまう事があるため)』として終了した。

 まず今週のコーンの相場展開であるが、週明け15日には1月限納会が行われ19,840円と高納会で終了。先物もその時点では、17,560円まで買われる事となった。

 もっともその後は、シカゴ市場以上に上げ方が急だったと言う反省も出始め、また2005年1月限の発会が逆ザヤで出た事もあり、若干調整を入れる局面となっている。

 シカゴ市場もこれからクリスマス休暇を控え、どちらかといえば大幅に買い越すファンドの利食い先行になるのではとの見方も台頭しており、年内は大幅上昇よりもは多少の下落の様相の方が強くなったか…

 それでも基本的に強い相場である事には何の変化もない。値位置が値位置だけに10月末から11月はじめ、11月後半の様な急落場面が絶対無いとは言い切れないが、基本的に押し目買い方針に変更は要らないだろう

 さてCFTCにより週末発表された、シカゴ市場でのコーンの12月16日現在のファンドの建て玉は買い156,260枚(前回発表時より9,209枚増)、売り29,217枚(同377枚減)となっており、ネットで127,043枚の買い越しである。

 史上最高の買い越し水準であり、明らかに買われ過ぎではある。しかし余程の弱材料が出ない限りは、ファンドは来春の天候相場まで高水準の買いを維持するだろう。たまに当たるファンドは、本当に恐ろしいからねえ…

 

 さて一方の大豆相場であるが、元々はこちらが上げ相場の先導をしてコーン相場も上がっていたのであるが、先物はいずれ南米産が大増産で出てくるとの予測で一時は沈静化。しかも一般大豆は先物に大幅逆ザヤで新穀(旧穀の捨て場?)が生まれ、チャートの格好は多少不格好である。おそらくNON−G大豆も2004年12月限発会は、3,000円程度逆ザヤに叩かれて生まれるのが自然。

 それは理論的に正しいのであるが、果たしてまだ南米の作柄も決定しないうちから、果たして旧穀が捨て場になるのかどうかは誰にも判らん…

 ましてや実際に米国は7年ぶりの不作であり、中国が大豆を買い付けているのは事実。テクニカルでは頭が重くなってきたとはいえ、きっかけ次第ではまた大きく舞い上がる事もあるだろう。値頃売りは危険であると見る。

 なお週末発表された大豆のCFTCによる12月16日現在のファンドの建て玉は買い70,770枚(前回発表時より6,080枚減)、売り19,188枚(同1,098枚増)となっており、ネットで51,582枚の買い越しである。

 かなり高水準な買い越しポジションである事だけは、間違いない。

 

 結論として当方の相場観は、年内はチャート・内部要因などから判断すると調整機関の可能性が高いか…ただし根は強い相場であると考えられるため、1月の米農務省需給報告辺りから、また舞い上がる相場ではないかと見る。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

12月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

12月15日

142.9

6.7

147.8

H5.0

12月16日

142.1

-0.8

147.4

-0.4

12月17日

144.5

2.4

148.8

1.4

12月18日

142.9

-1.6

147.5

-1.3

12月19日

134.8

-14.2

143.0

-4.5

 

 先週号においては『3日の132.2円は底と見て、140円割れは買い方針を良しとしたい。』として終了した。

 今週の相場展開は、140円割れは買いたいとしてもそれはなく、18日の151.0円まであっという間に上昇。そしてそこからは、今度は一転して暴落である。ストップ高有りの、ストップ安有りの忙しい展開であった。

 このゴム相場であるが(当方は6日・12日の移動平均線を入れたチャートを見ているのであるが)大体が上げ始めればずっと上がる、下げ始めればずっと下がる単純な銘柄なのであるが、何故か道中のブレで降ろされたり、安いと売りたくなり高いと買いたくなってつかまる変な銘柄である。

 さて週末行われた12月限納会は、大阪市場は159.0円と高かったものの、東京市場では134.8円と前日比14.2円安の暴落納会であった。完全な『ところ相場』である。(ところ相場とは、場所によって全然値段が違う事)

 …中略…

 いずれにしろチャート的に151.0円で戻り天井を確認したと見られる事や今回の安納会を見て、しばらくは底値探りの展開になる事は避けられまい。もっとも産地や中国の価格と比較して東京市場が一番割安な状態であることには変わりなく、年内は軟調な相場展開を余儀なくされるとしても、来春の産地減産期に向けての相場展開では、また劇的に買われてくる事態も十分有り得よう。

 結論として当方の相場観は、151円で当面の戻り天井は確認だが、来春にはまた上昇相場の到来もあるだろうと見る。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

1月限(当限)

前日比 

11月限(先限)

前日比 

12月15日

\7,600

200

\10,430

40

12月16日

\7,180

-420

\10,100

-330

12月17日

\7,370

190

\10,100

0

12月18日

\7,520

150

\10,200

100

12月19日

\7,460

-60

\10,210

10

 

 先週号においては国内市場の先物は三菱F・ファンドの買戻しから戻らぬとは限らぬが、基本的に戻り売り相場に変化無し。1月限納会に向けて、期近はさらに安値追いの可能性が大だろう。』として終了した。

 今週の相場展開は、16日には当限が7,140円まで下落。翌17日には先物が10,030円まで下落するものの、何とか値を保っているという状態であった。

 NY市場が上昇した時に全く反応しなかった相場であるが、逆にNY市場がファンドの踏み一巡から下げ始めたら、ちょっと下げてしまった展開である。要はそれだけ悪い相場であるという事の裏返しであろうが、かと言って大暴落するほどのものでもなかろう。先物の1万円割れ〜9,930円をも割り込むような事態になれば、駄目押しの下げが来るかもといった危うさも残るものの、国内市場でもファンドの売りポジションは日増しに増大しており、売り飽き気分が台頭すれば戻りもあろうか…

 週末現在の自己玉は売り37,852枚、買い14,374枚となっており、大幅売り越し状態に何の変化も無い。

 その他内部要因については、三菱Fが7,137枚の売り越しとなった他、三井Fも4,064枚の売り越しと、2社合計で1.1万枚超の売り越しである。ファンドは最大の売り越し枚数であり、明らかに売り過ぎであろう。

 コーヒー自体の材料には、今月でブラジルも開花期の天候相場が終了する事でもあり、何ら強い材料が出る環境は皆無。来夏の収穫期の降霜懸念が台頭するまでは、インパクトのある材料は何も出ないだろう…

 それでもNY市場において、ファンドの売り過ぎ〜相場反発のパターンが恒常化しているように、国内市場でも同様の上昇相場はあるかもしれない。と言うかそのような動きがなければ、この相場は相場にもならんと言う事である。1月限が納会する来年1月頃には、とりあえず国内市場も底入れとなるのではないかと想像しているのだが…

 週末発表されたCFTCによる12月16日現在のファンドの建て玉は買い15,694枚(前回発表時より583枚減)、売り27,341枚(同2,742枚増)となっており、ネットで11,647枚の売り越しである。

 24,400枚の売り越しと過去最高水準となった前々回発表から、前回8,322枚の売り越しへと激減し、そこからまた増加しているという事。

 結論として当方の相場観は、ここからの安値は売り玉の利食いを進めるのが良いか。戻るとすれば、国内市場でのファンドの売り過ぎが材料視されるだろう。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

3月限(当限)

前日比 

7月限(先限)

前日比 

12月15日

\18,690

-30

\18,510

-70

12月16日

\17,900

-790

\18,000

-510

12月17日

\18,120

220

\17,980

-20

12月18日

\18,120

0

\18,030

50

12月19日

\17,950

-170

\17,980

-50

 

 先週号においては、『内部要因・NY市場のファンド買い途転から、現状の価格は戻り売りの好機と見る。』とした。

 今週の相場展開は、16日にはNY砂糖の急落を材料に売られて下放れし、18日には17,970円と18,000円台を割り込む動きに…

 内部要因は内外ともにかなり悪化しており、また需給関係を無視して、安値にいるという値頃感と中国買いという漠然とした期待感だけで買われた相場であるだけに、売り屋の相場師にとっては新春のお年玉銘柄になる予感がある。11月4日に記録した17,270円は底ではないというような、壮絶な下げが到来するのではなかろうか…

 …中略…

 週末現在の自己玉は売り6,681枚、買い3,534枚となっており、圧倒的に売り越しのままで変化無しである。

 その他内部要因も、全く変化していないため先週号を見ればわかる事。

 砂糖自体の材料としては、ブラジルは輸出が遅れている中で、タイの輸出がいよいよ本格的に始まる。

 なお指標のNY市場におけるファンドの動きであるが、週末発表されたCFTCによる12月16日現在のファンドの建て玉は買い42,437枚(前回発表時より5,683枚増)、売り31,300枚(同1,124枚減)となっており、ネットで11,137枚の買い越しである。

 一時は4万枚以上の売り越しとなっていたファンドであるが、先週の途転買いからさらに買い玉を膨らませた。それでも週末のNY市場では、前日比0.34セント安の暴落で6.10セントまで下げている。今回のファンド買いは、失敗に終るだろうと見る。

 結論として当方の相場観は、上昇する材料は何もなし。早晩、新安値更新の下落がやってくるものと考える。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

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