商品市況展望

平成16年5月23日記

 

 今年も長者番付の公表があったが、先物取引業界からは三貴商事などを中核とする光陽グループ会長の川路氏と入や萬成証券の西村会長の2人が100位以内にランクイン。この業界にはもっと金持ちもいると思うのではあるが、税金を払った額であるゆえ、まあ何も言う事は無いが…。ともかくずいぶん稼いでいるんだなあとしか言いようは無い。

 高額納税者の規定は、1000万円以上の所得税を払った人を言うらしいが、昨年は全国で7万人ほどあったらしい。もちろん収入はあっても税金は払いたくない人も多いだろうから、お金持ちの数って結構いるもんだなと思う次第。

 国内の労働人口がどのくらいいるのかは判らんが、仮に子供以外を全部そうだとしたならば7000万人くらいか?そうならば1000人に1人はお金持ちで、そのパーセンテージは0.1%だ。おおよそそんなもんではなかろうか?もっとも大金持ちともなれば、そのまた1%くらいのものなのかもしれないが…

 さて人口1億2000万人の日本に対して、中国の人口は12億人以上。経済成長の著しい中国では、確かに都市部と農村部の所得格差など大きいだろうが、おそらくお金持ちはお金持ちであろうし、その数も結構なものだろう。現在上海などを中心とした地域での個人資産10万ドル以上の富裕層の数は5000万人と言われており、所得格差に大きい中国では日本以上に遣いでがある?また日本人だって特に金持ちでなくても車くらいは持っている。当然中国でも…という事になれば、やっぱり中国は壮大な夢のある市場なんだろう。

 ちなみに中国の携帯電話ユーザー数は2億人を突破し、世界一となっているし、まだまだ増加してゆく事は間違いないだろう。果たしてこれが、相場にどのように影響してくるものなのか?相場を張る人間としては、どうしてもこの辺に興味が行ってしまう。

 そんな急成長の続く中国であるが、現在は穀物・ゴムなどの買い付けも停止している状況。またIMFの調査員が入り、2008年の北京オリンピック前に本格的なリセッション入りも囁かれている。

 しかしこれは、実は中国では水不足が深刻な問題になっている事が原因と言う見方もある。この影響で穀物は減産、工業製品の生産も減産を余儀なくされており、そのため需要超過からインフレに発展する事を恐れた政府が、金利引き上げなどの景気抑制措置を取っているのだという。

 さて本当のところがどうなのかは、中国に視察にでも行かないと判らない…当方は行く予定は全くないので、誰か行かれる人は水問題を聞いて来て下さい。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

5月17日

\25,210

210

\24,420

410

5月18日

\25,030

-180

\23,910

-510

5月19日

\24,650

-380

\23,210

L700

5月20日

\25,010

360

\23,910

H700

5月21日

\24,770

-240

\23,320

-590

 

 まずは原油から…先週号においては、『NYガソリン相場がどこで天井を打つのかが、この相場の天井を決定させる事となろう。それにはブッシュの何らかの政治的な対応策が出される必要があると思われるが、その辺のニュースに気を付けておきたいと考える。現状でも天井圏である事だけは間違いなかろうが…』とした。

 今週の相場展開は、ストップ安ありストップ高ありの激しい相場展開ではあったものの、高値は週明け17日の24,430円であり、安値は19日の23,210円上下1,220円幅で、週末終値は23,320円となっての陰線引け。

 売り方の当方としては、連休前の21,000円どころから僅か11日間で24000円台に3,000円幅駆け上がって軟化してきた相場は、4月2日の18,080円からだとすでに6,350円も上昇した相場だけに、おおよその天井を確認したと考えたい。

 もっともそれは、現在のNY原油価格の40ドル台は歴史的に見て高過ぎるだろう!との値頃感が中心のものであり、ハッキリ言って今のところ確たる根拠は無いもの…だがこれ以上原油が上がったら、世界経済は株安からの景気後退に陥る可能性が大な事は間違いなかろうし、そうなれば需要家はもとより高値でいっぱい売りたいOPECを中心とした産油国にも良い事は無かろう。どこかで高値抑制措置をみんなで取らざるを得ない!との予測である。

 また下げ材料がまだ明確に出て来ていないにしても、あるいは高値もみ合いを予測する買い方の根拠も理解は出来るものの、相場の鉄則として上がらなくなれば天井決定と売られて、上がったスピード以上に速く下がるのが相場のパターンゆえに、ここは少なくとも5月に入って急騰した分の3,000円幅を消す下落があると見たいのである。

 さてNY市場であるが、週末は前日比0.87ドル安の39.93ドルと40ドルを割り込んでの終了である。5月17日に41.85ドルの高値まで出して、8営業日連続で40ドル台を維持していたものが、ついに割り込んだという事である。

 しかし下げた材料は、サウジのヌアイム石油相がOPECに対して200万バレル以上の増産を提案したとの報が原因であり、それに週末要因の利食い売りが出たものとされている。

 だが22日のOPECの非公式協議では、サウジ案の増産はまとまらずに来月3日に行なわれる総会に先送りされた。協議では、原油高が世界経済の不安定要因との認識で一致。しかし現在の高値は、米でガソリン在庫が低水準にあることや不安定な中東情勢を反映「供給不足が原因ではない」と、生産枠引き上げの効果を疑問視する意見も出た。

 これでは週末のNY市場の下落は一過性の物と受け取られる可能性もあろうし、週明けの夜間取引は急騰するかもしれない。増産も先送りだが、相場下落も先送りされたとの判断をせざるを得ない。しかし天井を打つ時は、廻りは買い材料ばかりなのが相場の特徴であり、だからこそ下げるのだと信じたい。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、24,430円で天井打ちと見る。まずは21,000円台まで下げて、その後また売り方・買い方の攻防戦があるだろう…

 

 

今週のガソリンの値動き

 

6月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

5月17日

\40,370

1100

\34,380

H700

5月18日

\40,410

40

\33,680

L700

5月19日

\40,550

140

\32,980

L700

5月20日

\43,200

2650

\33,680

H700

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

5月21日

\39,600

700

\32,520

 

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『野も山もすべて強気になってきた相場展開ではあるが、天井打たぬ相場は無しとの信念で売り方針。ただし天井確認するまでは建て玉をあまり増やさず、決まってから乗せ乗せで攻めるのか肝要。』とした。

 今週の相場展開は、週明けから木曜日までの間で先物はストップ高が2回、ストップ安が2回であり、週末は期近がストップ高だが11月限はストップ安近く。逆ザヤ発会した12月限は、一時は期近の急騰を眺めてストップ高も記録したがその後急落。

 まあともかくストップ高かストップ安しか付かないような荒い展開であり、NY原油に連動して最初からストップに張り付いた場合は別として、日中の変動幅も500円幅、1,000円幅は当たり前の激しい展開。しばらくはこのような動きが続く事は、覚悟しておいた方が良さそうではある。

 さて20日に行なわれた6月限納会は、前日比2,650円高の暴騰納会で43,200円で終了した。5月限は34,950円であったが(それも今回の納会までは史上最高値)、それを8,610円も上回る凄まじい価格での終了。

 週末の7月限はストップ高の39,600円であるが、43,200円よりはまだ3,600円安いわけであり、現状のムードでは仕方のない上昇か。もっともそこまで上がって行くと考えるのには、多少の無理があるか。原油価格がさらに上昇して輸入採算も上がれば別だろうが、7月には現在続いているタンクの定期修理も終っているだろうし、国内にガソリンがないわけではない。原油価格の上昇を後押しする米国のガソリンだって無いわけではなく、環境基準に適合しているものが少ないという事のみである。

 5月20日現在のスポット価格は海上で39,900円(京浜)〜38,000円(阪神)2,700円高〜1,800円高となっており、陸上では36,000円〜35,000円400円高〜300円高となっている。輸入採算価格は41,600円1,200円高となっている。(いずれも前週比)

 現在納会した6月限にサヤ寄せするように急騰する7月限だが、輸入採算価格の41,600円を目指しているのだろうが、おおよそ上げはそこまでではなかろうか?

 原油価格が反落すれば輸入採算はダイレクトに暴落してしまうゆえ、大幅逆ザヤもピークに達すれば一転してストップ安の連続で、買い玉を手仕舞い出来ないケースも発生する。

 今は確かに国内需給もきつく、期近限月の高値追いもやむなしとの環境ではあるが、ガソリンなんぞ作れば何時でも出来るのだ!との逆の見方もしておく目も必要ではなかろうか。

 先物市場の当先の逆ザヤ幅は週末で7,000円以上であるが、スポット市場でも本来ならば陸上価格が高いのが普通であるのに対し、3,000円〜4,000円近く逆ザヤになっている事は、騒がれるほど物不足にはなっていないと考えられないか?

 上がっていなかったスタンド価格も若干上昇し始めているが、6月からは原油価格の高騰分を転嫁するために4,000円程度の値上げ(リッター4円)を行なうのであろうが、現物価格が上昇を始めた時にはすでに先物市場では天井を打っているケースがある事は、相場世界には良くある皮肉である。

 週末の11月限などの動向を見る限り、一時的には期近の急騰に刺激されて買われたものの、結局は急落して終了するパターンなども、それに近いものではなかろうか。

 要は先物では5月17日の34,380円ですでに天井を打っており、何らかの強材料が出れば急騰はするものの、結局は3万円割れに向かって進んでいるのではなかろうかと言うのが、当方の見方である。

 7,000円の大幅逆ザヤは売るには怖いが、怖くて買い戻されて上がったところがまた売りになるのだろうと考える。ひどい場合は1万円の逆ザヤも有りと考えるが、サヤ出世するよりはそのうちに期近も大暴落の可能性が高いのではなかろうか。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、先物では34,380円で天井を打ったとの見方。高値因果玉のある11月限1本で売り方針であり、当先の逆ザヤは目先拡大か。しかし最終的にはサヤ出世よりも、逆ザヤが潰れる壮絶な下げが期近にも到来すると考える。

 

 

今週の灯油の値動き

 

6月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

5月17日

\34,350

850

\36,570

780

5月18日

\33,890

-460

\35,790

-780

5月19日

\32,950

-940

\34,740

L1050

5月20日

\33,800

850

\35,790

H1050

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

5月21日

\33,610

-380

\35,990

 

 

 最後に灯油です…先週号においては、『原油・ガソリン相場が下げに転じれば灯油も当然下がろうが、3品をすべて売るわけにはいかない。灯油は、売るのを避けたいと考える。』とした。

 今週の相場展開は、原油・ガソリン相場同様に急騰・急落を繰り返す相場展開。順ザヤ相場ゆえに先物引継ぎ足ではガソリン以上の上昇であるが、実際にはガソリンよりも多少は上がっていない。一代足では急騰している事は間違いないゆえ、まあどっちもどっちではあるが…

 もっとも当限が逆ザヤで大きく上がって行くガソリンと比較すれば、何となく灯油の方が今は別段需要もあるわけでは無いので大して上がらず、そのせいで灯油の方がなお弱いと思っている人が多いように感じる。

 しかし内部要因から見れば、例えばガソリンは自己玉は大きく売り越しなのに対し灯油は買い越しになっているなど、灯油の方が根は強い状況は変わらんような姿である。

 現状では仮に強気で新規買いを考える向きとすれば、どうしても単純に逆ザヤのガソリンを…また証拠金もガソリンはストップ幅が700円でまだ臨時増し証拠金が掛かっておらず割安なため、目先は新規買いするならガソリンをと灯油の人気は下がり気味になるのも当然であろう。となれば短期的には灯油の方が上がるリスクは小さいものとなる事も想定されるが(ガソリン買い・灯油売りが有利)、それはあくまでも大勢の相場観には関係の無い話であろう。

 目先の動向は、先物引継ぎ足ではガソリン以上の上昇を見せているため、ガソリンが反落するなら灯油の下落もまた大きなものとなろうが、安値を売り込むと内部要因からの反発の逆襲に会う可能性もあろう…

 5月20日現在のスポット価格は海上で30,200円(京浜)〜29,700円(阪神)800円高〜400円高となっており、陸上では30,200円〜29,500円700円高〜500円高である。輸入採算価格は37,900円と300円高になっている。(いずれも前週比)

 6月限の納会では、33,800円と前日比850円高の上昇で終了。ガソリンの43,200円に比べれば大した事は無いとはいえるが、この不需要期の時期にこの価格は異常事態と言って良いだろう。なお○○はやはり受けに回り、受けた現物はジェット燃料に加工して海外に輸出をする模様と見られる。輸入採算とこれだけ大きな開きがあれば、輸出すれば確実に儲かるだろうし、この時期も在庫の減少が続いている事が輸出の事実を証明している。

 もっともこのところは中国も輸入規制に動き始めたとの観測もあり、これで輸入採算値が下落してくるようであれば灯油価格の上昇も一服するかも。

 先物に関しては引継ぎ足で8,000円以上の上昇を演じているため、原油・ガソリンが崩れるなら4,000円程度の急落の可能性はあるただしガソリンのように、逆ザヤになる事は有り得ないだろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、他油種が下落すれば最大4,000円幅の下落はあろう。しかしガソリンのように逆ザヤ化する事は考えられず、ガソリンとの証拠金が同額になればまたガソリン売り・灯油買いが有効となるだろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

6月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

5月17日

\1,393

10

\1,389

8

5月18日

\1,389

-4

\1,384

-5

5月19日

\1,385

-4

\1,385

1

5月20日

\1,391

6

\1,391

6

5月21日

\1,383

-8

\1,375

-16

 

 金相場は、先週号においては、『戻り売り相場に変化なしである。』とした。

 今週の相場展開も、1,300円台後半での小動きな展開。

 週末は為替が111円台突入の円高となったために多少下落したが、NY市場は112円台に戻っており、金自体も6.4ドル高の上昇。週明けはまた戻す事が想定される。週明けの東京市場の寄り付き予想値は1,390円となるが、1,400円台に完全に乗せてきて更に騰勢を強めるような気配はまだないだろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、売っても買ってもつまらん相場であろう。目先は様子見に徹するのが良いか。

 

 

 銀相場は、先週号においては、『今は手出し無用であり、しばし見送りの相場であると見る。』とした。

 今週の相場展開は、5月20日には213.2円まで反発であるが、4月大暴落の後の多少の反発としか感じられない相場展開であった。

 10日記録した198.5円の安値からは14.7円幅の上昇となっているが、4月9日の高値279.9円から81.4円幅の大暴落を一ヶ月で演じた相場だけに、3分の1戻しでも27.1円幅はある。それが出れば225.6円まで戻ると言うことになるのだが、本当にそこまで戻る力があるかどうかは不明。

 またNY市場においても、5月10日に記録した545.5セントで底打ち〜反発の姿にも見えなくは無いが、明確にトレンドが変わるのは620セントをオーバーしてきてからだろう。歴史的な天井確認となった可能性のある大暴落からまだ時間は経っておらず、その可能性は薄いと見たほうが良いか。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、220円台までの戻りがあったら売り出動で良かろうと見る。そこまで戻るかどうか判らぬが…

 

 

今週の白金の値動き

 

6月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

5月17日

\2,985

61

\2,862

78

5月18日

\2,929

-56

\2,812

-50

5月19日

\2,928

-1

\2,807

-5

5月20日

\2,949

21

\2,831

24

5月21日

\2,929

-20

\2,799

-32

 

 プラチナ相場は、先週号においては、『今回の2,800円台への戻りは初戻りであり、相場格言で言うところの『初戻りは売り!』の場面であろう。絶好の売り場であると考えている。』とした。

 今週の相場展開は、17日に2,864円まで上昇した後、若干下落して2,799円での終了となっている。初戻りの下げは、今のところはまだ出ていない…

 4月19日の3,127円から6月6日の2,557円まで短期間で570円下げた相場であり、半値戻しの安値から285円高の2,842円は瞬間クリア!

 内部要因では、…中略…

 当方の考えは、所詮は天井を打った相場であり、戻り売りに変化は無しとの見方である。いずれ下げだせば、2,557円は底ではなかったという事態になるのではないかと考えている。

 なお17日に発表された英・ジョンソンマッセイ社の需給報告では、今後6ヵ月の予想価格を780ドル〜920ドルとした。同日のNY市場は高値で820ドル辺りだが、下は40ドルしかなく上は100ドルあるという、ある意味強気な内容であった。もっとも今のところ、それに相場は反応してはいない。それというのも、予想価格はともかくとして需給報告の内容は、価格高騰による需要低下・南アの供給増などファンダメンタルズが弱いものとなっているゆえに…

 NYベースでの先の高値は4月12日の938.0ドルであるが、どうやらジョンソンマッセイはこれをバブルとは認めたくないのだろう。

 しかしとにかくこのプラチナ相場は、二十数年ぶりの高値を記録して天井を打った相場である。歴史的な高値を記録した相場が、僅か1ヶ月の下げで終るはずも無かろう。数年がかりの上昇相場を演じたものは、数年下げ続けても何の不思議も無かろうと考えるのである。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、戻り売りに変化無し。いずれ5月6日の2,557円は底ではなかった、という下げが到来すると見る。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

7月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

5月17日

\17,050

L750

\18,410

L750

5月18日

\16,670

-380

\18,000

-410

5月19日

\16,170

L500

\18,080

80

5月20日

\16,090

-80

\18,270

190

5月21日

\16,080

-10

\17,920

-350

 

 先週号においては、『18,890円で底打ちと考えていたのだが、現状では下値はもう少し深いかもしれない。18,500円どころか、ひどい場合は18,000円そこそこ…2万円台の出現は、天候が悪化しない限り難しいかもしれない。さほど弱気転換したわけではないが、本格的な相場上昇は天候相場期では無く、需給相場期に入ってからかもしれない。』とした。

 今週の相場展開は、18日に17,890円の安値まで下落。ちょっと戻ればガタッと下がり、週末も17,920円と18,000円割れで終了。期近に行くほど下げはひどく、買い手不在の様相を呈して来ている。

 なお下落が更にひどいのは大豆の旧穀限月であり、1週間連続してストップ安の状況。シカゴ相場が上がろうがどうしようが、仕手崩れのような形で下げ止まらない。

 ハッキリ言って、今の買い方には為すすべなしであるが、まだまだ下がると言うのはこの状況では簡単。今回もコーンの相場解説は『蛎殻町かわら版の平井氏』にお願いしたので、当方はちょっとした記事をご紹介…

 日経新聞コラム春秋より(5月21日掲載)

 昨夏は猛暑で高齢者ら14,000人以上の死者を出したフランス。今年も春から高温が続き、政府は軍隊の出動まで想定した酷暑対策を決めた。エアコンは飛ぶように売れ、品不足とも。日本ではまだ梅雨前なのに、台風が列島をかすめるように北上している。…以下略…

 この記事を見て、当方はこう思うのである。フランスにある高気圧が、ちょっとずれて米中西部を直撃したらば…

 穀物相場は4月までの上げも凄まじかったが、今の下げもまた断末魔の叫びが聞こえるような下げである。ただし天候だけは、どうなるかはわからない。やられた相場は仕方ないが、相場師はちょっとした光明にすべてを賭けて張る人種なり!

 

 

平井レポート5月23日記)

 シカゴ相場は期近で280台を見たことで、安値警戒感も芽生えている。

タイトな在庫水準や天候相場本番を控えたこの時期、いかに初期成育に良好な天候が続いても、豊作を先取りするにしても限度があると考える。警戒すべきはファンドの買いポジション縮小が続いていることだが、商業筋の買い意欲も強く相場を支えている。

 だが、天候パターンにこのまま懸念が生じなければ、商業筋のみならず農家売りも誘われ、相場は更なる下値レンジを模索すると思うが、豊作に終わる年でも天候懸念が生じていて、このまま無事に収穫を迎える可能性は高くはない。

 さて、今年の生産高は当然天候次第で、相場も天候の影響を加味しながら今年の生産高を探り相場の居所を決めていくのであるが、今年の場合は作付順調な点と、作付面積の拡大がどのように単収に影響を与えるかも気になるところ。というのは、作付が遅い年でも順調な年でも受粉期を迎える時期にそう大きな差はない。その原因は作付が遅れがちの年は、後半の作付け分に関しては早生種を作付するからである。早生種は生育が通常の品種より早いというメリットがある反面、単収は通常種よりも劣るというデメリットがあるのである。だから、このまま天候が順調に推移すれば、記録的な単収になる可能性も有り得てしまう。

 一方、作付面積であるが、今年は農地全体が増えており、休耕地などに作付もなされており、これらの畑は肥沃な土地ではない可能性が強く、こちらの単収はあまり期待出来るとは言い難い。米国では天候相場本番開始は独立記念日(7/4)がその目安とされ、市場の空気はそれを境に大きく変わる。そして、その前の節目としては戦没者記念日(メモリアルデー・5月の最終月曜日)があり、ここを境に現在の天候プレミアムを織り込んでいるとは言い難い相場に、そのプレミアムを織り込む可能性も念頭に置きたい。

 

 東京相場は下落の著しいフレート(海上運賃)に振り回された印象が強いが、当限に買い玉を抱えていた大手商社も全玉手仕舞い売りを敢行してしまった。これは採算からすれば何故手仕舞いしたのか理解に苦しむが、トウモロコシ市場において国内大手商社は定期市場では悪さは基本的に行わない。現物やら大きな商売の中で定期を利用しているに過ぎず、何か理由が存在するのであろう。

 だがそうなると、当限の納会は圧倒的な買いハナ(渡し物が多い状態)なのである。このところ渡し常連の外商が売り玉を抱えており、常識的に考えれば当限は重い。従い、納会の6/15までは当限は重い可能性がある。

 もっとも、サヤを見ても分かるように当限だけは一段低いサヤをつけており、それなりに織り込んでいるし、逆に売りポジションを抱える外商は本当に渡せるのであろうか?このところ大手有力筋の一角が買いに回っている事が、この事と何か関連がある可能性も考えられ、当限の動きには納会まで一月を切ってきているだけに注目である。

 全体的には相場はやや売り飽き気分も感じられ、反発力がどの程度あるかも問題ではあるが、下値に届いてきた気配も出てきている。フレート(海上運賃)の動きも、それに敏感な海外筋の一角が9限や11限を買う動きも見せていた事から、下げも峠を越したと解釈も成り立つ。

 …以下略…

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

5月17日

153.3

1.9

155.9

-0.6

5月18日

151.9

-1.4

152.5

-3.4

5月19日

154.0

2.1

153.9

1.4

5月20日

157.6

3.6

158.4

4.5

5月21日

157.9

0.3

157.1

-1.3

 

 先週号においては、『今回の上昇はあって輸入採算とくっつく160円どころまでであろうし、ゴムのファンダメンタルズを考えた場合は戻り売り方針に変化無し』とコメントした。

 今週の相場展開は、週明け17日に157.9円まで戻ったもののその後陰線引けとなりチャートが悪化。19日寄り付きには151.9円まで下げるものの、20日の158.4円まで一気に切り返し。週末は157.1円と若干軟化しての終了である。

 ゴム自体に格別の強材料が出ているわけではないが、産地タイでは減産期明けだがまだなお荷の出が悪く、対日向けのオファーも高唱えされており、よって輸入採算が低下して来ない事がこの堅調の要因ではあろう。また原油価格の上昇も、合成ゴム高から波及する天然ゴム高の連想で買われた面も大きいだろう。

 今年は中国の本格的な買い付けが未だ全く見られず、よって産地の増産期には下落するだろうとの売り方の思惑は、今のところ完全に思惑が外れているといえる。

 そして何よりも気懸かりとなるのが、当限の上昇によって順ザヤ相場が同ザヤ〜逆ザヤ相場へと変化してきた事である。産地シッパーらを中心に採算の割安な東京市場を買う動きは根強く、だが先物は大幅上昇に転ずるような材料の出現も無いという事で、このような動きになって来ているものと想定される。

 来週25日の5月限納会の行方が注目されるが、仮にここで産地シッパーが受けに廻り、その受けた現物を中国向けに出荷する動きなどに繋がっていった場合は、売り方の踏みが誘発されての上昇も考えねばならぬだろう。輸入採算以上に上がるのは難しいだろうが、163円辺りまでの上昇は十分有り得るか。

 ここは素直にサヤの変化は相場の変化と捉え、戻り売り方針一辺倒の方針は変更止む無しと考える方が良さそうである。 

 結論として当方の相場観は、シッパーが強気方針している間は押し目買い有利となろう。153円〜163円の範囲での、若干強気の方針を提唱する。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

5月限(当限)

前日比 

3月限(先限)

前日比 

5月17日

\8,710

-930

\13,840

-160

 

7月限(当限)

前日比 

5月限(先限)

前日比 

5月18日

\10,430

320

\13,790

 

5月19日

\11,230

H800

\14,590

H800

5月20日

\11,670

440

\14,730

140

5月21日

\11,170

-500

\14,380

-350

 

 先週号においては、『国内市場の内部要因では売り込み型の相場展開に変化して来ている。押し目買い有利の相場展開が続くだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、20日には高値で14,830円まで上昇。先物引継ぎ足では連休前の4月26日安値12,050円から、都合2,780円幅の上昇を演じた事となる。

 いよいよ産地ブラジルでの天候相場が近づいてきており、天候リスクも話題に上ってきた様である。もっとも週末には円高の影響で多少反落しており、チャートでは一応の2段上げ目は日柄から見ても終了である。

 週末のNY市場は0.85セント高の72.35セントまで上昇しており、円安もダブルで支援材料となっているため、もしかしたら3月16日に記録した14,960円突破の15,000円台乗せもストップ高近い急騰なら有り得る。しかし目先は、そこは一回利食い場となるかもしれない。

 もっともこの相場は完全に底入れを確認している相場ゆえ、また内部要因から見ても自己玉の買い越し転換、買い方仕手筋の参入、戻り売り姿勢に固まっている大衆筋などの図式を考えると、幾ら下げても13,000円台半ばが限界点であろうと考える。大相場の期待も掛かる状況ではなかろうか?

 …中略…

 ただし買い方は、ストップ高を記録した19日からは徐々に利食いを進めている姿。一段上げの日柄14日間に対し、2段上げ目も14日の日柄を計算しているようである。応分の下げを演出させて、天井決定を大衆筋に印象付けてからまた持ち上げる作戦か?

 なお5月限納会は8,710円の安納会ではあったが(同日の先物とのサヤは5,130円の順ザヤ)、次に期近に廻った7月限はサヤ滑りはせず週末現在で11,170円となっており、先物とのサヤも3,210円まで縮小している。

 当方は9月限もしくは11月限は、先物とのサヤが1,000円以内に詰まる展開も予測している。徐々にサヤの変化は相場の変化と言われる状況になってくるだろう…

 

 さて指標のNY市場は、4月22日の66.80セント4月30日の66.90セントW底パターンを形成しての緩やかな上げトレンド。直近の高値は5月19日の73.75セント。70セント割れはほぼ用済みとなっただろう…

 …中略…

 結論として当方の相場観は、超短期的には戻り売りの押し目形成場面が到来すると見る。しかし下げ幅は限定的であり、大勢は押し目買い方針に変化は無いだろう。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

7月限(当限)

前日比 

11月限(先限)

前日比 

5月17日

\20,540

-500

\20,960

-790

5月18日

\21,360

820

\21,610

650

5月19日

\21,450

90

\21,640

30

5月20日

\21,200

-250

\21,690

50

5月21日

\20,660

-540

\21,400

-290

 

 先週号においては、NY市場でのファンドの投げが本格化して来た。戻り売り相場に完全に変化してしまったと見る。』とした。

 今週の相場展開は、週明け17日には20,960円まで急落であるが、その後は下げ分を切り返してもみ合い。ただ流れとしては、やはりどちらかと言えば下向きであると言えるような展開である。

 南半球ではブラジル、南アの砂糖生産が本格化しているが、6月からはオーストラリアも加わる。3カ国の生産量は合計で3,390万トン前年比10万トンの増加の見込み。

 なんと言っても大きいのはブラジルの生産動向であるが、相場が弱含みの中一気に下落しないのは、このところの原油高から燃料用アルコールへの生産に廻っているからか?ブラジルのサトウキビは砂糖生産に向けられる方が採算コストの良いが、原油が高くては多くを燃料アルコールに振り分けられる事も有り得るか?

 もっともNY市場でのファンドのポジションはピンチに立たされており、これが投げて下落を誘発すればすぐに買い材料になる事はなかろう。国内市場ではもう一度21,000円台を割り込み、下値抵抗線である20,510円を割り込めるかどうかが焦点であろう。下げ渋れば、逆に23,000円台をもう一度伺う逆パターンもあるかもしれないが…

 …中略…

 結論として当方の相場観は、ここ2週間程度の動きの中で下に抜けるか、それとも底入れするかの胸突き八丁の場面であると見る。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス info@higenaka.com

 

戻る