商品市況展望 割愛版

平成16年5月30日記

 

 今月からスタートしている金オプション取引に関しては、当方は当面は参加・受託はしないと上場前に表明したわけだが、どうも出来高は低迷の困難なスタートとなっているようだ。

 現在の金相場自体が、オプションを利用せねばならぬほど人気が盛り上がる変動をしていないからなのか?それともそもそも国内商品先物の世界では、まだオプション取引を受け入れるほどの素地が無いのか?

 大豆・コーン・粗糖もオプション取引は何年も行われているが、金以上の価格変動はあるものの、オプション取引が人気を博しているとは聞かない。顧客からやってみたいとの問い合わせも無ければ、こちらからも奨めた事も無い。となれば低迷の原因は、どちらかと言えば後者と言う事になろうか。

 そもそもが国内商品先物市場は、個人投資家の参加が多いために、当限のボリュームより先物限月のボリュームが圧倒的に多い。海外市場ではそれと逆なのであるが…そのような市場構造の中で、オプションの買い手にとって先限はプレミアムが高く手を出せず(時間的プレミアムがいっぱいあるため)、逆に売り手にとってもリスクが大き過ぎて手を出せずであろう。

 まあそんな難しい話は抜きにするとしても、大体が日経新聞紙上にもオプション価格は株価指数・債券先物以外は載っていない。ほとんどの取引員のHPにもオプションの仕組みは載っていても、肝心かなめのプレミアム価格は載っていない。東工取のHPにさえ価格表示が無いのだから、ハッキリ言って個人投資家が手を出しようがないのが現実か?

 当方がこの業界に入った21年前と比べれば、上場廃止になったり実質は売買がなくなってしまった様な銘柄もあるものの、上場商品の数は圧倒的に今は多い。あまりに多いゆえ、見ていないものは全く見ておらず、今の価格すら知らない状況の銘柄もある。

 おそらくそんな中にも、ここはチャンスとなっている銘柄もあるのかもしれないが、見ている暇もない状況では、外務員と言えども素人と全く一緒と言う事だ。その辺はご理解して、ご相談をされたし!

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

5月24日

\24,510

-260

\22,660

-660

5月25日

\24,920

410

\23,360

H700

5月26日

\24,750

-170

\23,400

40

5月27日

\24,660

-90

\23,030

-370

5月28日

\24,620

-40

\22,370

-660

 

 まずは原油から…先週号においては、『24,430円で天井打ちと見る。まずは21,000円台まで下げて、その後また売り方・買い方の攻防戦があるだろう…』とした。

 今週の相場展開は、週明けの急落から25日(火)にストップ高の急騰。翌26日に23,650円の高値を記録するものの週末にかけて暴落。ストップ安限月続出の中で、22,370円での終了となった。上下幅1,280円は、相変わらず荒い展開となっている。

 24,430円で天井打ちとしたところからは、週末の安値までで2,200円幅の下落。元々4月2日の18,080円からは6,350円幅も上がった相場だけに、3分の1押しを達成しただけでもある。仮に半値押しまで下がるとするならば、それはズバリ21,250円どころという事になる。後およそ1,000円である。

 来週は6月3日にOPEC総会が開かれ、果たしてそこでどの程度の増産となるのかに注目が集まっているが、世界的に原油高に対する批判の中、一体どのような結果となろうか?生産枠引き上げを提案しているサウジは、総会決定に関わらず6月の原油輸出量の増加を表明しており、非OPECのロシア・メキシコなども増産の構えであり、いずれにせよ原油輸出量は伸びるはずである。

 しかし問題は、強気筋はOPECが増産しようとどうしようと、今の中東情勢に変化が無い限り、また米国のガソリン不足解消が為されない限り、相場はまだ上昇基調との論調である。

 だが高値からおよそ10%下がった相場は、先限チャートではすでに天井確認を済ました形であり、NY原油も40ドルを割り込んで団子天井形成の形となっている。すでに強材料はすべて織り込み済みとなっている可能性が高く、天井打ったものは底するまで下がる展開になるのでは?と言うのが当方の見方。足らぬ足らぬで大暴騰した大豆の旧穀は、現在は一転して大暴落の最中。相場であろう以上、原油もそうならぬか?と考える次第。

 万が一OPEC総会以降も高値追いをするような状況であれば、それこそブッシュも伝家の宝刀である戦略備蓄在庫の放出に踏み切らざるを得ないと思われ、NY原油も5月17日の高値41.85ドルで天井を打っていると考える。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、5月17日に記録した24,430円で天井打ちと見る。3分の1押し達成だが、次はまず21,250円どころの半値押し狙いと見る。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

5月24日

\39,010

-590

\31,820

L700

5月25日

\39,710

H700

\32,520

H700

5月26日

\40,410

H700

\32,400

-120

5月27日

\41,110

H700

\31,930

-470

5月28日

\41,810

H700

\31,230

L700

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『先物では34,380円で天井を打ったとの見方。高値因果玉のある11月限1本で売り方針であり、当先の逆ザヤは目先拡大か。しかし最終的にはサヤ出世よりも、逆ザヤが潰れる壮絶な下げが期近にも到来すると考える。』とした。

 今週の相場展開は、11月限・12月限の先限2本はストップ高1回、ストップ安は2回で急落の展開。逆に当限7月限は、都合ストップ高4回の大暴騰!

いずれは期近も下がるとしているものの、今週はその機会は訪れず、当先のサヤは7,000円から1万円以上の逆ザヤへと大幅に開く展開。

 どの限月を買っているか、あるいは売っているかで天国と地獄であるが、先物チャートは11月限が記録した34,380円で完全に天井を確認した姿。だが期近はスポット市場の上昇から青天井の図式。

 天にも頂があり、それを有頂天と言う!とは、古くからの格言であるが、NY市場が1ドル以上下げた週末でもスポットが高く、それによって期近がストップ高とはこれ如何に?6月1日からの販売価格値上げに対し、余程ガソリンは今足らぬだと言う元売のアピールだろう。実際にガソリンが不足しているかどうかなど、本当のところは誰にも判らんが…相場が上がっているうちは現物は雲隠れ、下げだしたら何処からともなく出てくるのが相場の世界ゆえ。

 ただしディラー筋は一限月当り2,000円見等の逆ザヤを意識しながら売買をしており、例えば7月限・8月限の逆ザヤは2,000円計算で8月限を売ったり買ったり、また11月限と12月限も2,000円の逆ザヤでも良しと動いている風である。となれば12,000円の逆ザヤまで拡大し、続いて今度は縮小のパターンに入るのではなかろうか。売り方としては、その時に期近からの暴落を期待しているわけであり、買い方としてはサヤ出世を期待していると言う事か。もちろん当方は、売り方として前者のパターンを期待しているわけであるが。

 5月27日現在のスポット価格は海上で42,700円(京浜)〜42,500円(阪神)2,800円高〜4,500円高となっており、陸上では36,700円〜36,000円700円高〜1,000円高となっている。輸入採算価格は41,200円400円安となっている。(いずれも前週比)

 原油価格が多少低下してきたため、輸入採算価格の上昇は止まっている。しかしスポット価格は、週末にはさらに600円高していると言うデータもあり、スポット価格ゆえどこが出してくるデータかによって違うのだが、週末には44,000円という6月限の納会価格43,200円を上回る発表もあった。

 週末の7月限は41,800円であるが、まだ2,000円以上も上がるのか?それが正当な価格と言うなら、精製コスト8,000円を引いたら原油価格は36,000円!

現状の期近ベースでの24,000円の原油なら、まさに元売は笑いが止まらん大儲けと言う事になるだろう。

 もっとも現状では、定修によって精製能力の25%ほどが止まっている状況と言われており、仕切り価格は4,000円程度の大幅値上げ。ガソリンスタンドでの価格も、もうすぐリッター4円程度は上がるだろう。

 しかし定期修理明けは、6月の半ば過ぎである。あと半月後にはどう見たって作れば儲かるガソリンを増産する事は間違いないだろう。現物が上げ始めて、先物相場は天井打ち〜下落を鮮明にするのはその先読みである。

 チャートでの先物価格はすでに天井打ちを果たしており、後は元売大増産までの時間との戦いであると考える。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、当先の逆ザヤ幅は最大12,000円へ。だが先物チャートで天井確認しており、3万円割れへ進むだろう。当限の騰勢は、元売の定期修理明けまでには終了するだろう。

 

 

今週の灯油の値動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

5月24日

\32,560

L1050

\34,940

L1050

5月25日

\33,100

540

\35,990

H1050

5月26日

\33,220

120

\35,870

-120

5月27日

\33,490

270

\35,690

-180

5月28日

\32,850

-640

\34,990

L700

 

 最後に灯油です…先週号においては、『他油種が下落すれば最大4,000円幅の下落はあろう。しかしガソリンのように逆ザヤ化する事は考えられず、ガソリンとの証拠金が同額になればまたガソリン売り・灯油買いが有効となるだろう。』とした。

 今週の相場展開は、週明け1,050円幅のストップ安に下落した後、翌25日は同じ幅のストップ高の急騰。26日は小動きだったためストップ制限も700円幅に戻り、そして週末はNY原油安を受けて再びストップ安への下落である。

 週末の終値は34,990円35,000円割れまで下落しており、これで5月17日に記録した36,810円から先物引継ぎ足では都合1,820円幅の下落

 4月2日の安値28,160円から8,650円幅も上昇した相場ゆえ(限月違いで需要期相場が建っているのも原因だが)36,810円で天井を確認した相場は、いずれ3分の1押しでも2,880円幅の33,930円まであと1,000円は下がるだろう。半値押しなら4,330円幅の32,480円までの下落となる。

 今は不需要期であり、○○などの商社筋が割安な灯油を受けてジェット燃料に加工し輸出する以外は、需要は全く無い。よってガソリンの当限が幾ら上がろうと、全く蚊帳の外の状態ではある。問題は輸入採算が幾らか、という事での動きとなろう。

 しかし先物限月は需要期ゆえ、ガソリンのように逆ザヤになる事は有り得ない。それどころか今はまだ天井打ち〜下落のサイクルだろうと考えられるため、また人気もまだ無いため買い殺到は考えづらいが、万が一にも夏場を過ぎても原油価格が高止まりするようであれば、現状ではガソリン生産を主に行い灯油は輸出に廻してしまっているため、需要期目前にして在庫が少ないようならば、今のガソリン相場の期近限月のような青天井になる事態も容易に想像できる。

 大衆筋の売りに対し、なぜか自己玉が常に買い越しになっている現状は、その遠い先を見通しているのかもしれない。もっともそれはお大尽の張り方であり、天井したものを今買う気にはならないが…もちろん、原油の50ドル説を信じる向きは買うだろうが。

 5月27日現在のスポット価格は海上で30,200円(京浜)〜29,700円(阪神)1,800円高〜2,300円高となっており、陸上では30,800円〜30,100円600円高である。輸入採算価格は35,500円と2,400円安になっている。(いずれも前週比)

 こちらもどこからデータを引っ張るかによってスポット価格は違っており、週末では32,000円と言うデータもある。

 原油価格の急落で、輸入採算は急低下。シンガポール市場でのジェット燃料価格も急落して来ているという。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、目先は戻り売り方針。ただし自己玉の大幅買い越しが怖いので、安値売りは避けるのが賢明か。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

6月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

5月24日

\1,393

10

\1,393

18

5月25日

\1,406

13

\1,405

12

5月26日

\1,401

-5

\1,397

-8

5月27日

\1,407

6

\1,407

10

5月28日

\1,411

4

\1,405

-2

 

 金相場は、先週号においては、『売っても買ってもつまらん相場であろう。目先は様子見に徹するのが良いか。』とした。

 今週の相場展開は、1,400円台まで反発はしてきたものの、相変わらず小動きで相場妙味は感じられない。

 NY市場においては、5月10日の安値371.3ドルで底打ちした姿にも見え、400ドル台に乗せてくれば勢いが付きそうな姿にも見える。

 だが東京市場においては、NY金の上昇時には為替が円高となっているため相殺されて値動きが無い状況になっている。

 NY市場の上昇が本物であればいずれ上がるだろうが、ドル安に対するヘッジだけであれば、ドルが堅調=円安時には下げてくるかもしれない。やっぱり手は出しづらい展開である。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、中立ポジションの維持。NY市場の上昇が本物かどうか、確かめてからのスタートが良いだろう。

 

 

 銀相場は、先週号においては、『220円台までの戻りがあったら売り出動で良かろうと見る。そこまで戻るかどうか判らぬが…』とした。

 今週の相場展開は、戻るかどうか判らぬとした220円台を週末に達成。高値は221.0円まで記録する事となった。

 4月9日の天井279.9円から二度の休憩は挟んだものの、ほぼ一直線に5月10日の198.5円まで81.4円幅下落したものが、そこから22.5円幅の反発である。3分の1戻しならば27.1円幅であり、それが出れば225.6円まで戻ると言うことになる。

 あるか無いか判らぬが、それが出たら売り方針としたい。4月9日、5月10日とキーポイントが出ているため、ひょっとして売り場は6月11日?なんて事もあるか…

 …中略…

 結論として当方の相場観は、225.6円があれば売り出動である。

 

 

今週の白金の値動き

 

6月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

5月24日

\2,969

40

\2,840

41

5月25日

\3,030

61

\2,906

66

5月26日

\3,016

-14

\2,893

-13

5月27日

\3,031

15

\2,911

18

5月28日

\3,009

-22

\2,878

-33

 

 プラチナ相場は、先週号においては、『戻り売りに変化無し。いずれ5月6日の2,557円は底ではなかった、という下げが到来すると見る。』とした。

 今週の相場展開は、週明け2,831円でスタートした相場が、週半ばには2,917円まで上昇。週末は再び2,900円台を割り込んだ。

 半値戻しの2,842円を一度は割り込むものの、再びそれを超えてきた姿はどっちに向いているのかよく判らない状況。当方も再び売り玉を踏んで、ポジションはゼロである。

 『半値戻しを超えたら全値戻し』と言う事も言われ、それならば3,127円までもう一度駆け上がるのかもしれないし、未だ『初戻りは売り』の格言が出ていないだけに、オーバーしたもののここは戻りいっぱいで下落の可能性も…

 必ずしも当るとは思っていないが、英・ジョンソンマッセイ社の需給報告で示された予想価格の780ドル〜920ドルも気になるところ。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、現状は中立ポジションでの様子見が良いか。ただしスタートは、やはり下落を狙って売りからとしたいところ。何たって、基本は売り屋なもんで…

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

7月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

5月24日

\16,400

320

\18,110

190

5月25日

\16,500

100

\18,610

H500

5月26日

\16,090

-410

\18,660

50

5月27日

\16,590

H500

\18,870

210

5月28日

\16,990

400

\18,720

-150

 

 先週号までの3週に渡って、『蛎殻町かわら版の平井氏』にレポートをお願いしたが、反響が無かったので、また当方の相場観に戻ります。

 

 今週の相場展開は、先物は25日(火)に500円高のストップ高で急騰。先限は18,000円台後半まで回復した。下げを先導していた当限7月限は翌26日まで叩かれたものの、週末2日間で連続ストップ高。

 きっかけは○○の当限への買いの手口であり、セリを聞きながら提灯をつける地場玄人筋の動向で上昇。同社の今の時期の買いの手口は、多分に受け前提であると想定され、やはり安過ぎれば受けは出て来るとの事か。

 結論から先に言えば、コーン相場は先物でも17,000円台突入で底打ち完了したとの見方。早晩19,000円台半ばまで上昇すると思われ、後は天候次第で再度売られて2番底となるか?それとも噴き上げて2万円台乗せとなるか?の話であろう。

 下げ道中は当方も含めて買いだ、買いだと言いながらドカドカ下げて行ったわけだが、このところは方針転換の売りだ、売りだの意見も多くなって来たように感じる。曲がり屋は、方針転換するとまた曲がると言う事は良くある。

 さて国内市場は内部要因主導での動きではあるが、一方でシカゴ市場に目を向けても、この天候相場期に初めての天候リスクが発生している。米中西部産地では、激しい雷雨により一部地域で洪水が発生。畑が水浸しになっているところも発生している。

 元々パーフェクトな天候推移で、青田ほめとも言える高単収予測であったものが、ちょっとでも低下してくると影響は大きい。なぜなら昨年も豊作であったにもかかわらず、需要が旺盛で上がった相場である。今年もエタノール生産が、その需要を押し上げるものと考えられているゆえに…

 …中略…

 

 さて一方の大豆相場であるが、新穀はともかくとして旧穀の下げがどうにも止まらない。中国が高値で買い付けた大豆の輸入キャンセルに動いており、新穀と旧穀の逆ザヤから今高い現物を買うよりも、もう数ヶ月待って安い新穀を買いたいとの意向の様だ。

 国内市場でも待てば安い大豆が買えるとあって、旧穀は全くの買い手不在となってしまっている。新穀と旧穀が同ザヤまでならなければ、買い手の出現は困難な状況となっている。

 あれほど無い無いと言われていた大豆も、こうなると何ともし難い状況である。唯一の期待は、天候ストレスの懸念が大豆の新穀を押し上げる事であり、更には凶作懸念まで台頭するようならば、また一転無いものは高いと言う事になろうか…しかしハッキリ言って、今のところ旧穀には打つ手無しである。

 

 結論として当方の相場観は、コーンは底打ち完了であり、押し目買い方針へ転換していると見る。大豆は旧穀安・新穀高で同ザヤになるまでは、次の展開には移れないだろう。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

5月24日

158.9

1.0

158.1

1.0

5月25日

158.0

-0.9

157.3

-0.8

 

6月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

5月26日

155.8

-1.8

153.1

 

5月27日

157.7

1.9

154.1

1.0

5月28日

157.4

-0.3

154.0

-0.1

 

 先週号においては、『シッパーが強気方針している間は押し目買い有利となろう。153円〜163円の範囲での、若干強気の方針を提唱する。』とコメントした。

 今週の相場展開は、週明け24日に159.0円まで上昇したものの、翌25日の5月限納会の内容を嫌気して下落。週末には先物11月限ベースで152.2円まで下落するものの、154.0円まで若干戻しての終了である。

 5月限納会で何が嫌気されたのかと言えば、

 …中略…

 よって158.0円での納会は、現在逆ザヤ化している市場ではあるものの、160円台乗せでは現物背景の売り物の増加が懸念され、よって高値修正局面入りとの観測が台頭しているのである。

 では逆に大きく売られてしまうのかと言えば、タイ産地の対日オファーが下落して来なければ、やはり鞘取りの買い物が商社筋・シッパーらから断続的に入るものと想定され、それもすぐには不可能。

 よって何らかの新しい材料が出なければ、上にも下にも大相場の示現は有り得ず、上下波乱の逆張り相場が続くものと想定される。

 気懸かりであった逆ザヤ相場への変化は、今のところ需給逼迫型の逆ザヤではなく、産地は増産期でいずれ下がるだろうとの先安型の逆ザヤであると言えよう。

 よって逆ザヤに売り無しとは言うものの、逆ザヤ買うべし!とまでの格言も無い事でもあり、参加している向きは逆張りの対応が必要だろう。

 結論として当方の相場観は、上にも下にも大相場の示現は有り得ず、上下波乱の逆張り相場が続くものと想定する。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

7月限(当限)

前日比 

5月限(先限)

前日比 

5月24日

\11,290

120

\14,440

60

5月25日

\11,730

440

\14,700

260

5月26日

\11,190

-540

\14,410

-290

5月27日

\11,390

200

\14,660

250

5月28日

\11,890

500

\14,440

-220

 

 先週号においては、『超短期的には戻り売りの押し目形成場面が到来すると見る。しかし下げ幅は限定的であり、大勢は押し目買い方針に変化は無いだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、14,000円台後半〜半ばでのもみ合いの状況。今年の最高値である3月16日の14,960円を目前にした5月20日の14,830円を記録したところからは、若干上げもだえの状況となっている。この日から7営業日連続で陰線を記録しているところが、その状況を表しているか。

 国内市場は円高でもあり、本当ならここで一度大きく押して、また買い場を提供して欲しいところ。しかし今週安値は14,410円に留まっており、高値からは僅か420円幅の下落にしかなっていない。NY市場が上昇基調を鮮明にして来ているため、まあ当然とも言えようが…

 さて注目のNY市場では、産地ブラジルの気温低下予測を受けて急騰。今年1月と3月に記録したWトップの79セント台を大きく突破し、5月26日には高値で82.15セントまで上昇した。連休を控えた週末は、ファンドなど広範囲の買いを集めて更に急騰。前日比5.60セント高の85.55セントで終了。高値は86.50セントまで出ている。

 上げもだえていた東京市場の週明けは、いきなり15,000円台乗せの上値抵抗線突破の急騰となる事も考えられる。押し目待ちに押し目無しの展開か?

 …中略…

 

 さて産地ブラジルの気温低下による降霜、それによる生産高の大幅減少という事態は、実際には起こらないだろうと考える。産地は南部山岳地帯から北部へと何年も前から移っており、日本で言えば東北地方にあった農地が九州へ移ったようなものだからだ。

 それでも今回は懸念だけで大きな上昇を演じるものと当方は考えており、それは大底を確認している相場だけに売り飽き気分が台頭。ファンドも仕手も売り策動するよりは、買い策動した方が利があると考えるだろうから…である。

 …中略…

 前々から指摘しているが、この相場は案外と大相場に発展して行く可能性は高いと考える。大相場と言うのは、NYベースで100セント乗せ東京市場で16,000円台以上(うまくすれば18,000円台)の出現である。もちろんいっせいに買い付けば、急落も入れる相場ではあろうが…

 結論として当方の相場観は、押しは週末で終っている可能性もある。買い方針で対処するのが良いだろう。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

7月限(当限)

前日比 

11月限(先限)

前日比 

5月24日

\20,950

290

\21,830

430

5月25日

\20,360

-590

\22,010

180

5月26日

\19,860

-500

\22,010

0

5月27日

\21,510

1650

\22,370

360

5月28日

\21,280

-230

\22,000

-370

 

 先週号においては、ここ2週間程度の動きの中で下に抜けるか、それとも底入れするかの胸突き八丁の場面であると見る。』とした。

 今週の相場展開は、先物は22,000円台乗せを果たして堅調な展開。また週明けに納会を迎える7月限は、恒例の急落・大暴騰を繰り返す乱高下。

 粗糖相場の納会は、本船渡しで売り方買い方の枚数が合わぬと値が決まらず、大暴騰か大暴落をするのが常である。そういう銘柄なのだと考えるしか仕方あるまい。

 さてNY市場では、ファンドの敗走による投げ相場よりも、このところは産地ブラジルの天候懸念の方が材料視されてきたようだ。そのためNY砂糖は抵抗ラインと思われていた7セント台に乗せてきている。

 週末には7.06セントと前日比0.17ポイントの上昇。今年の最高値である7.26セントを抜いて行くようならば、大相場の可能性も出て来た。

 もっともこれは多分にコーヒー市場の急騰に連れた分があると思われ、本当にそうなるかどうかは疑問なところ…

 …中略…

 NY市場で今度は一転してファンドが買い意欲を強めるのか?が焦点であろうが、東京市場は円高傾向ならば上値は抑えられるだろう。為替が円安に反転して行くようなら上に放れるかも知れないが、やっぱりまだ微妙な情勢だろう。

 結論として当方の相場観は、今週半ば辺りに方向がハッキリしそうか。上か下かは、為替とNY市場の動向次第。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス info@higenaka.com

 

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