商品市況展望 割愛版

平成16年8月1日記

 

 2003年5月に施行された個人情報保護法は、商品販売に対し『個人住所を取得して、事後に広告目的でダイレクトメールを送付する行為は禁止』とされている。実際のところは、山のように様々なダイレクトメールは届くものの、きちんと何らかの規制は掛かっているのだろう。最近は保険のダイレクトメールなどは、カード会社の名前で来るし…

 商品取引会社もこの法律によって縛られているため、かつて名簿屋から購入した情報を利用するのも、基本的には非合法となってしまっているようだ。

 しかしもっと大変なのは、見込み客に対する多量な情報を徹底管理する必要が定められている事である。例えば営業マンが200人居たとして、一日200件のテレコールを毎営業日した場合には、200人×200件×240日=960万レコードとなり、その960万人分の氏名、住所、連絡先等を管理する必要がある。実際にそうして管理しているところがあるのかどうかは判らぬが、間違いなくコストは高くつくことだろう。

 さらにテレコール自体に対して、電話セールス規制が掛けられる動きも出てきている。特に為替証拠金取引に対する被害が深刻化してきたのが原因と言われており、元々世間ではテレコールと言えば商品先物か!とのイメージは大きいゆえ、商品先物に対する規制も視野には入って来ているようだ。

 実際すでに電話勧誘拒否登録制度がスタートしている米国では、業者が拒否者に電話を掛けると、1件で最高1万1,000ドルの罰金が科せられるという。また登録者は、全世帯のほぼ半数に達しているとも言う。

 もっとも日本でも、今は大概の家庭が電話番号を通知しない電話には出ないようにしているところも多く、会社の電話からたまに頭に186を付けないで電話すると、『番号を通知しておかけ直し下さい』とのアナウンスが流れる。

 知り合い以外は電話も来ないんじゃ、何だか人情味に欠ける世間になったような気がしないでもないが。当方は暇な時には、結構色んなセールストークを話を聞くのは嫌でもないよ(笑)もっとも忙しい時は、全く頭にくるのだけどねえ…

 以上ここまでの話は、普通の人にとっては商品取引会社も大変だろうが、迷惑テレコールなどが無くなる事は大歓迎だし、言うならば自業自得の世界の話じゃないか?となるだろうが、実は商品取引会社にも同情すべき事例も最近は起き始めている。

 元商品取引会社の社員と某弁護士事務所が組んで、あるいは事件屋と弁護士事務所が連携したりして、意図的に紛議・裁判を起こすと商品取引会社に圧力を掛けるケースが増加していると言う。弁護士とは言っても、悪徳金融業者と組んで多重債務者をさらに落とし込むなどの事件は元々良く聞く話だから、さも有りなんという気がせんでもないが。こちらに矛先が向いては困るので、実名は避けさせていただきますけど…(笑)

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

7月26日

\24,010

100

\23,640

330

7月27日

\23,910

-100

\23,540

-100

7月29日

\24,010

100

\23,750

210

7月29日

\24,060

50

\24,450

H700

7月30日

\23,990

-70

\24,700

250

 

 まずは原油から…先週号においては、『押し目買い方針は変わらない。ただし注意点は上げもだえてWトップを打つとか、新高値更新後の利食い売りの急落である。また次の在庫発表で3億バレル台に回復するかどうかも注目である。』とした。

 今週の相場展開は、NY原油の43ドル台への史上最高値更新を受けて急騰。週末には24,710円とついに5月17日の24,430円の高値も上抜き、東京市場先物も史上最高値の更新となった。

 指標のNY市場においては、7月28日に43.05ドルと6月2日の42.45ドルを上抜いて、初の43ドル台乗せ。週末も前日比1.05ドル高の急騰で43.80ドル(高値43.85ドル)まで駆け上がっており、市場のムードは45ドルを目指すとの見方でほぼ一致。当方にはそんなに大した買い材料とは思えなかったのだが、次から次へと買い材料が出て来る状況であり、逆に明確な売り材料はなかなか出て来ない。『大した材料も無く上がる相場は怖い』を地で行く相場展開となっている。

 相場高騰の材料としては、イラクでのテロ懸念、米国や中国などを中心に消費が伸びている事、OPECの増産余力が少ない事など言い尽くされた材料の他には、ロシア石油大手ユコスの破産問題。もっともこれとて、今週いきなり出てきた材料ではないのだが…なお全米原油在庫は、EIAでは若干増加の発表ではあったが、APIでは3億バレルを割り込む減少。去年と比べれば10%以上は多いだろうとは言っても、今はそんな冷静な目は市場には無い。

 要は皆が45ドルは必至!あるいは50ドルも…とするために、ファンドは買う。買うと儲かるのでまた買う!との投機の連鎖がこの上げの正体ではあろうと思う。また調整局面があろうとも大きくは崩れるわけが無いとの思惑も、買い安心感を誘っているのだろう。

 …中略…

 週末発表されたCFTCによる7月27日現在のファンドの建て玉は買い112,390枚(前回発表時より50枚増)、売り78,689枚(同2,491枚増)となっており、ネットで33,071枚の買い越しである

 買い玉また増加であるが売り玉も増加しており、ピーク時8万枚の買い越しだったところから見れば、まだ買われ過ぎには程遠い。まだファンドの買い余力はあると言えよう。もっともおそらく週末には売り玉の踏みは相当入っているはずで、買い越し自体はもっと増加して終了はしているだろうが…

 

 さて国内市場に話を戻すと、NY原油の下落はまだあまり期待できるような状況でも無く、よって一段の上昇の懸念は残るのではあるが、さすがにここからはもう買いたくない。

 …中略…

 もちろんカウントの起点をどこから始めるかによって日柄観測は違うわけで、7月13日から14日目の週明け8月2日が天井と考える事も出来なくは無い

 さてそれで目先天井確認の後には(おおよそ天井を打てば1ヶ月は下がるだろうが)、先週号で記した『その後にまた上げ始めた場合は最大で6月2日42.45ドルから6月30日35.52ドルまで6.93ドル下げた幅の倍返しである49.38ドルを目指して上昇する事になると読む。本当にそうなったら、東京原油価格は28,000円台と言うとんでもない事になるのだが…』がやって来ないとは限らぬが…ただしその前に、一度は来週の高値で天井打ちとなるのではなかろうか。

 結論として当方の相場観は、日柄や内部要因の変化から、来週は目先天井を付ける可能性もあるだろう。価格は最大上がって26,950円どころであり、日柄はズバリ8月9日までと見る。

(こんなにズバッと書いてしまったので、当ったら予言者としてデビューできるか…笑)

 

 

今週のガソリンの値動き

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

7月26日

\38,800

H700

\34,340

450

7月27日

\39,370

570

\34,510

170

7月29日

\39,630

260

\34,270

-240

7月29日

\40,680

H1050

\35,180

910

7月30日

\41,730

H1050

\36,030

850

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『需給逼迫による当限高と内部要因からの先物安の逆ザヤ幅拡大を予測する。1月限・2月限は買われ過ぎからの一時的な反落を狙って戻り売り、9月限・10月限はサヤ出世の押し目買い方針とする。』とした。

 今週の相場展開は、先物では27日(火)に一時33,600円まで下落するものの、それも一瞬の事。また28日(水)にも新高値の高寄りから急落しての陰線引けであり、通常ならば天井足ではあるのだがまた翌日から高騰。週末は36,140円まで駆け上がってほぼ高値引け。またも1週間で2,000円ほど上がった展開である。先物安なんて、一体どこへ行ったの?と言われても仕方なし。

 しかし先週号で予想した当先の逆ザヤ幅拡大は、先週末からの上げ幅が9月限3,630円、10月限4,370円、11月限4,080円、12月限3,390円、1月限2,590円、2月限2,140円となっており、一番効率が良かったのが10月限を買って2月限を売るパターンこれで2,230円の儲けであった…もちろんこれだけ上がったのだから、売り玉なんぞ持たずに買いだけだったら一財産であるが、道中一日で1,000円もの上下がある中で持ち続けるのは容易ではないか。

 さてこの逆ザヤ幅の動向であるが、今後さらに相場が上昇して行くならば先物は買われて逆ザヤは詰まるだろう。逆にどこかで天井を打って下落に転じれば、期近の下げより先物の下げがきつくなり逆ザヤ幅はさらに拡大するだろう。現在当先の逆ザヤ幅は5,700円であるが、前者の場合の目標値は4,000円ほどに、後者の場合の目標値は8,000円ほどを予測する。

 普通ならば逆ザヤは、相場が天井を打ったら高い期近が売られて逆ザヤ幅を縮小すると思うだろうが、当方は全く逆の見方を取っている。

 

 さて今後の相場展開であるが、連日一代の新高値更新を続ける市場は、先物引継ぎ足でも5月17日34,380円を大きく上抜く36,140円まで駆け上がった。まさにすべてが青天井の形であるが、当限足では6月7日にすでに納会した6月限が43,540円の高値を記録しており、9月限の目標値はそれであると言えば言えなくも無い。週末には1,050円のストップ高で41,730円まで駆け上がっているが、あと1,810円である。2日連続ストップ高すれば、簡単にクリアしてしまう数字ではある。さすがに上がってもそれ以上は無いのでは?と考えてはいるが…

 …中略…

 このような状況になってきたゆえ、内部要因からは米国の情勢がどうあれ、一度買い方大衆筋に天まで買わせて調整安を入れされるのは時間の問題。よって巷で言われる売り方の踏みによる上昇から、すでにステージは大衆熱狂買いの図式に変化している。

 当方の8月3日天井説は、臨時増し証拠金がとけたらその分も大量買いさせて、そこで奈落の底に落とすものと考えている次第。もっとも灯油も臨時増し証拠金が掛かり、ガソリンも今のままの値動きでは臨時増し証拠金の延長の事態も有り得るが…その際の想定は、週明け2日ほどの動きを見なければ何とも言えぬ。

 今回は長くなったが結論として当方の相場観は、早晩先物の下落による逆ザヤ拡大相場が到来するだろう。ただし9月限〜11月限までは、天井確認した後も下げ幅は限定的になるものと思われる。

 

 

今週の灯油の値動き

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

7月26日

\36,720

510

\37,310

150

7月27日

\36,760

40

\37,600

290

7月29日

\36,930

170

\37,510

-90

7月29日

\37,630

H700

\38,210

H700

7月30日

\38,270

640

\38,910

H700

 

 最後に灯油です…先週号においては、『売り方の踏み一巡となった事やおおよその目標値に達した事を考え、ここからは一度調整安を入れる可能性があると考える。また需要期を前にした在庫投資と先物限月の買われ過ぎは、ガソリン同様に逆ザヤ相場へと変化して行く可能性も併せて指摘したい。』とした。

 今週の相場展開は、期待した調整安は出現せずに上げ続け、週末の2日間は連続ストップ高。先週末には37,160円と新高値を更新したものが、今週はさらにそこから38,910円まで上げて、1週間の上げ幅は1,750円幅に及ぶ。これで灯油相場も臨時増し証拠金の徴収決定であり、ストップ制限も1,050円幅に拡大である。

 前々からこの灯油相場に関しては、売り方針は危険とのコメントを発信して来ており、おおよそ12月限を中心とした需要期限月で38,000円台はあるとは言ってきた。しかし相場はすでに高い限月では4万円台乗せとなっており、今週分の上昇は丸々当方の予測値段を凌駕してしまった事となる。

 4万円台はあったとしても、納会を前にした時に、あるいは需要期入りしても在庫が危機的に少なかった場合に実現すると考えていたのだが、そのすべてを先取りした形であり、この状況ではこの夏場のうちに高値を出し尽くして天井を打つのだろうなあと考える次第。

 日柄観測では、原油・ガソリンとほぼ同じようなポイントで(日付で)転換しているゆえ、天井を打つ日も同様になるだろうとは思われる。

 …中略…

 現在の在庫は237.5万klと6週連続で増加となっている。しかし秋口までには通常400万〜450万klは在庫を積み上げておくのが普通であり、現状の在庫積み増しペースでは秋口の9月末までに必要とされる450万klにはまだ届かない計算ではある。

 さらには原油高と韓国LGカルテック社のスト問題などで輸入採算価格は4万円台の大台乗せとなっており、これが定期市場の高騰にも繋がった模様。実際問題として需要期にはまだ間はあるのだが、原油価格はどうせ下がる事は無いだろうとの見方が広がってきた事が、すでに早くも在庫投資を生む状況となってきたようである。

 …中略…

 その他内部要因では、ガソリンはファンドの手仕舞い売りと見られる動きが出ているのだが、灯油の場合はまだそのような動きは出ていない。ファンドはまだ高いと思っているのだろう

 結論として当方の相場観は、需要期前に2,000円は買われ過ぎた展開ではなかろうかとは見るものの、灯油自体の材料や内部要因からも、まだ上値は残していると見た方が無難だろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

8月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

7月26日

\1,385

-8

\1,386

-5

7月27日

\1,387

2

\1,385

-1

7月29日

\1,390

3

\1,388

3

7月29日

\1,406

16

\1,405

17

7月30日

\1,403

-3

\1,401

-4

 

 金相場は、先週号においては、『1,400円を割り込んだことで、短期トレンドはまた売り転換である。しかし原油高と株式市場の下落から金にまた買いが入ることも有り得、然程の下値は無いかもしれない…』とした。

 今週の相場展開は、27日には1,382円まで下落するものの、その後円安+外電高を受けて29日には1,405円と1,400円台を回復

 今のところ1,400円を中心として、完全にもみ合い相場となっている状況である。強気は1,500円台実現を言うものの、それにはNY市場高+いっそうの円安が必要であり、なかなか実現は困難か。逆に今の商品全体が上げ潮のようなムードでは、1,300円台前半まで売られるのもまた困難に見える。当面はこのレンジでの取引が続くのではなかろうか?

 …中略…

 相場は8日の409.6ドル、19日の408.4ドルをトップとして380ドル台まで下落して来たため、ファンドの手仕舞い売りは加速した模様。これは先週号で指摘した、以下のコメントの通り…

これはグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、議会証言(7/20,21)で、米景気に対して楽観的な見通しを示すとともに、「インフレ状況によっては金利引き上げにも柔軟に対応する」とした事が原因。最近の米経済指標の不調から「利上げ鈍化」を見込んでいた投機筋がドルを買い戻し、金のテクニカル面からもファンドの売りが強まったものと想定される。

 NY市場は完全に崩れた姿ではあるが、東京市場は円安で堅調となっている状況ではあるが、NY市場が上げ始める時はおそらく円高だろう…やっぱり考えるほどは動かぬと見るのが妥当か。

 結論として当方の相場観は、国内市場は円安のみが支えであり、然程の上昇は無いだろう。相変わらず1,400円を挟んだもみ合いからは抜け出せないと見る。

 

 

 銀相場は、先週号においては、『233.2円で戻り天井を確認したと見る。戻り売り方針である。』とした。

 今週の相場展開は、27日には219.0円の安値まで売られたものの、29日にはストップ高の急騰!週末には高値で228.8円まで上昇する事となった。

 指標のNY市場でも7月19日678.0セントから7月28日611.0セントまで下落した後、640セント辺りまで一気に切り返したが、週末もまた20.5セントの急騰で656.0セントまで上がっている。高値は665.0セントであり、7月19日の678.0セントは戻り天井ではなかったのか?といった様相を呈して来ている。

 となれば東京市場の戻り高値である7月16日の233.2円も、戻り天井ではなかったという事になりかねない。

 一体銀市場に何があったのか?各社コメントをみても銀に対するものは少なく、テクニカル要因で買われたとしか述べていない。

 単なる2番天井を取りに行っているのか、あるいは再度上昇相場に入って240円台を目指しているのかどうかの判断は付かぬため、ポジションは取らずに様子見が良かろうと考える。少なくとも現在のチャートでは、売りポジションを保有するのは危険ではあろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、トレンドがまた買いに転換した可能性もある。ポジションは取らずに様子見が良いだろう。

 

 

今週の白金の値動き

 

8月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

7月26日

\2,877

-23

\2,763

3

7月27日

\2,851

-26

\2,723

-40

7月29日

\2,855

4

\2,725

2

7月29日

\2,920

65

\2,803

78

7月30日

\2,929

9

\2,807

4

 

 プラチナ相場は、先週号においては、『22日の2,819円で天井確認の予感があり!早晩上に抜けなければ、今度は2,600円に向けて下げ始めるのではなかろうか?』とした。

 今週の相場展開は、7月22日に2,819円を記録して下げ始めた流れを受け継ぎ、27日には2,708円まで下落。しかし29日に一気に棒上げとなり、再び2,800円台を記録。高値は週末の2,820円であり、いわゆる一文新値を記録した後に若干軟化して終了した。

 相場格言では『鬼より怖い一文新値』と言われ、早晩この2,820円を突破しなければまた下落に転ずるだろう。先週号での予測である2,600円台へに向けての下落はハズレであったが、再度同じような考えでチャレンジである。

 もっともこの2,820円を仮に突破してしまったら、これはまた新たな展開に入ってしまったと考え、ポジションは解消しておく必要があるだろう。

 なおこのところの相場は、ほとんどがテクニカルな要因でのみ動いている状況であるが、中国ではプラチナに対する宝飾用需要が前年比19%減に落ち込み、プラチナからパラジウムへの需要シフトが見られると言う。

 さて国内市場の内部要因では、相変わらずファンドが大量買いをしては相場が上がり、逆に大量売りしては相場が下がるという展開になっている。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、テクニカル・内部要因主導の相場展開は続くだろうが、2,820円の一文新値更新で天井打ちと見る。抜けたらもちろん踏むが、目標値は2,600円台を目指すと見る。

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

9月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

7月26日

\15,240

-230

\15,700

-340

7月27日

\15,640

H400

\16,020

320

7月29日

\15,730

90

\16,340

320

7月29日

\15,680

-50

\16,500

160

7月30日

\15,880

200

\16,640

140

 

 先週号においては、『コーン相場はまだ戻り売りの域を出ないだろう。もうすでに大豊作は確定的であり、畑にコーンがあるうちは上がらぬ可能性は高い。』とした。

 今週の相場展開は、週明けの26日には15,700円まで下落。しかしそこからは反発に転じ、週末には高値で16,670円まで戻った。下げるだけ下げた相場は、約1,000円幅の反発を入れた形である。

 …中略…

 さて相場が1,000円ほど反発してきた要因は、ズバリ円安である。シカゴ市場は下げ続けたまま、反発の兆しすら見えない。

 4月の天井打ちからの大暴落相場の道中も、何度か1,000円幅程度の反発局面はあった。最大の戻りは5月の2,000円幅の反発であるが、結局は期待させては下がるパターンではあった。

 戻った原因は今回は円安であるが、その前は海上運賃高であったり、降雨であったり…しかし肝心のシカゴ市場が完全に底入れとならなければ、今回も戻りも円安要因だけでは心もとない。

 チャートパターンも17,690円を上抜かない限り戻り売りは変わらず、ズバリ1,000円戻りのこの局面は売り場であろうと考える。

 いずれ弱材料がすべて織り込み済みとなり、豊作に売り無しの格言が効いて来る時期も到来しようが、それは収穫が完全に終了する頃になるのではなかろうか?その時にまた海上運賃が高騰したり、円安が到来したり、はたまた需要増大が予測されたりすれば、戻り売りではなく上昇相場に入るという事になるだろう。ただし今はまだ時期尚早と考える。

 CFTCにより週末発表された、シカゴ市場でのコーンの7月27日現在のファンドの建て玉は買い121,186枚(前回発表時より1,412枚減)、売り105,543枚(同18,858枚増)となっており、ネットで15,643枚の買い越しである。

 ピーク時20万枚以上の買い越しであったファンドは、もうほとんど買い越しがなくなった状態と言って良いレベルとなった。だが問題なのは、買い玉の手仕舞いよりも新規売りが多く、これでは投げが完全に出尽くしたとは言えない状況であること。両建て、両損』という格言を思い出す…

 

 なお大豆であるが、天候相場の佳境がほぼ終了してしまったコーンとは違い、8月の天候はまだ大切であるため、まだ天候相場は続いている。昨年の様に8月に熱波到来となれば様変わりする可能性は残るが、逆に言えばそれを期待している玉がある分だけ万が一崩れればさらにひどいと言う事も有り得る。

 CFTCにより週末発表された、シカゴ市場での大豆の7月27日現在のファンドの建て玉は買い25,014枚(前回発表時より23枚減)、売り40,018枚(同7,209枚増)となっており、ネットで15,004枚の売り越しである。

 ピーク時8万枚近い買い越しだったものが、先週からすでに途転売りとなっている。何か起こるなら、やっぱり大豆相場が先導役となるか?

 結論として当方の相場観は、豊作相場は畑に物があるうちは、戻り売り相場の域は抜け出せないだろう。上がるとすれば需給相場になってからだが、それにはまだ時期尚早と見る。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

7月26日

150.6

4.9

133.7

-1.9

 

8月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

7月27日

137.5

4.2

137.7

 

7月29日

136.2

-1.3

136.8

-0.9

7月29日

139.9

3.7

139.9

3.1

7月30日

141.4

1.5

141.1

1.2

 

 先週号においては、『戻りがあっても輸入採算価格までであり、大勢トレンドが下向きなのには変化が出ないだろう。戻り売りである。』とコメントした。

 今週の相場展開は、26日に記録した安値132.1円から反発に転じた流れを受け継ぎ、週末には141.6円の高値まで反発。約10円近い反発局面となった。

 現在の輸入採算は146円台であり、原油高からの連想買いや円安によって、輸入採算値よりも大幅に売られた事のとがめが出た模様である。しかし採算天井という言葉もある通り、ここからさらに本格的な上昇に移れると見る向きは少ないようである。所詮は戻り売りの範疇からは抜け出せないか…

 なおゴム市場は、来年から貴金属・石油市場と同様にザラバ取引へと移行するようだ。今は板寄せ取引ゆえ、どこどこの商社が買っただとか、産地シッパーが売っただとか、ファンドがどうしたとかすべてダイレクトに判るが、立会い中はまた闇の中の銘柄が増える事となる。人気化して出来高増大となるのか、それとも軽油市場のように閑古鳥が鳴くのかは、その時になって見なければ判らない…

 なお7月限の受渡については、…中略…

 結論として当方の相場観は、輸入採算までの上昇は常に有り得る相場ではあるが、ゴム自体に強材料があるわけではなく、売られ過ぎたら戻るだけの話だろう。戻り売り相場に変化は無いと見る。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

9月限(当限)

前日比 

7月限(先限)

前日比 

7月26日

\12,130

L800

\11,820

L800

7月27日

\11,590

-540

\11,600

-220

7月29日

\11,880

290

\11,900

300

7月29日

\11,750

-130

\12,040

140

7月30日

\12,000

250

\12,080

40

 

 先週号においては、『ブラジルの豊作予測の台頭によって、相場はまた壊れ始めて来ている。コーン相場の様なパターンもあるゆえ、値頃感での買いは不可で、戻り売り方針へと再び転換である。』とコメントした。

 今週の相場展開は、週明けから相場が一気に崩れて26日にはストップ安の引け。翌日も急落して11,180円まで下落するものの、さすがに12,620円から僅か2日間で1,440円も急落したのと、円安もあって急反発。週末には何とかまた12,000円台まで戻って終了している。

 しかしコーヒー自体の需給関係は悪く、指標のNY市場も完全に底抜けしている状態では、また売られる展開に変わりは無いだろう…安値から戻りはしたが、また売り場を提供しただけであろうと見る。

 週末のNYコーヒーは前日比1.20セント安の66.45セントまで下落しており、今年4月22日の安値66.80セントを割り込んでしまっている。ブラジルの豊作を背景にファンドの手仕舞い売りは続いており、今後ファンドが売り圧力を強めれば更なる底抜けとなる可能性もあるだろう。

 週末発表されたCFTCによる7月27日現在のファンドの建て玉は買い19,442枚(前回発表時より1,721枚減)、売り23,118枚(同2,693枚増)となっており、ネットで3,676枚の売り越しである。

 80セント台で3万枚ほどまで買い越ししていたファンドは、すべて投げきって先々週に途転売りへ…その後チャートパターンが買いに転換した事や降雨過多の材料があって、また途転買いに変化。そしてまた今回、チャートが底抜けして完全に途転売りへと転換である。3度目の途転は、今度こそ当る予感がする。

 コーヒー市場のファンドは、おおよそ2万枚超のレベルまで売り又は買いを持って行ったところで曲がるパターンが定石である。今はファンドの売りによって下がる時期の到来だろう。

 結論として当方の相場観は、戻り売り一貫の相場展開であろうと見る。豊作相場は値頃感無用で、コーン・大豆相場のような崩落に繋がる可能性が高いだろう。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

9月限(当限)

前日比 

1月限(先限)

前日比 

7月26日

\22,960

180

\23,290

100

7月27日

\23,530

570

\24,000

710

7月29日

\23,830

300

\23,990

-10

7月29日

\24,150

320

\24,140

150

7月30日

\24,430

280

\24,190

50

 

 先週号においては、粗糖相場は天井を確認したと見る。内外ともファンドの手仕舞い売りにより、急落の懸念が高まったと見る。』とした。

 今週の相場展開は、当方の下落予測とは反対に23日の23,010円から反発に転じた相場が、週末には高値で24,290円まで上昇。あっという間に1,000円以上の上昇を見せる展開となった。

 これでは7月15日に記録した24,410円の高値が天井であるかどうか怪しくなってきてしまったが、上昇要因は粗糖独自のものは少なく、原油高騰からエタノール需要の増加が連想されているのが実情。

 指標のNY市場においては、明らかにファンドは買い過ぎの領域にいると思われるのだが、8セント割れは一時的なものに留まり、その後も8セント台での推移が続いている状況である。

 週末発表されたCFTCによる7月27日現在のファンドの建て玉は買い101,096枚(前回発表時より3,376枚減)、売り40,987枚(同1,770枚増)となっており、ネットで60,109枚の買い越しである。

 買い玉の10万枚超は市場最高水準と言って良く、また2万枚ほどは80セント台の買い玉と推測されるのだが…7セント台突入ではファンドの投げが予測されるのだが、下がらなければ9セント台を目指すとしても仕方がないか。

 このレベルから今さら買っても仕方が無いとは思うが、NY市場が8セントを明確に割り込んで来てからでなければ、新規売りもちょっとしづらい展開と考える。

 …中略… 

 結論として当方の相場観は、NY市場で再び8セント割れが出現すれば、ファンドの投げによる急落はあるだろう。しかしこのまま高止まりするようならば、逆に一段高の可能性もある難しい局面であろう。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

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