商品市況展望 割愛版

平成16年8月29日記

 

 相場の勢いと言うものは不思議なものである。

 50ドル台寸前まで原油相場が上昇して行った時は、次から次へと出て来る材料が買い材料であり、たまに売り材料が出ても全く無視されてしまっていた。その買い材料もOPECが増産すればするほど増産余力が無くなるとか、ロシアのユコスがどうしたとか、本当に買い材料なのかどうか冷静に考えれば首を傾げたくなるようなものでも大きく買われて来た。

 逆に今週の大下げ場面では、本来なら買い材料にされるようなロシア旅客機墜落事故も、全米原油在庫の減少も無視され、戦略備蓄放出の噂をきっかけに大暴落である。あくまでも噂に過ぎぬのだが、それでも下げたら下げたで結果がすべてなのが相場の世界である。

 相場と言うものは不思議なもので、上がって行く場合は買い材料を過大評価し、売り材料は無視される。下げ相場の場合は逆となる。

 もちろん材料=ファンダメンタルズだけで相場が動くものではなく、チャート要因あり、内部要因ありで動くのもまた真実ゆえ、その辺の見極めが達人の領域なのだろうが…

 また海外市場での騰落を異常に気にする人もいるが、石油相場だけではなく穀物相場などでも海外が安いのに国内は上がるとか、逆に海外が急騰しても国内市場は逆に下がってしまうとかのケースも多々ある。

 海外市場が急騰で『ストップ高ですか?どうしましょう?』などと朝方慌てて電話をする投機家も居ようが、国内相場は別物で寄り付きこそ若干高でスタートだが、その後逆に暴落するケースなど枚挙に暇が無い。

 さてこれから年末にかけての相場展開であるが、おそらく材料=ファンダメンタルズよりはチャート要因での動きが大きくなる気がする。各商品とも大きく手を広げたファンド主導の相場展開はチャートでの売買が主であるが、そのファンドも最近の流れを見れば、大概の商品で逆境に陥りつつあるようである。それゆえチャート主導での整理相場がやって来るのではなかろうか。

 そして次にやって来るのは、仕手筋主導の内部要因相場だろう。海外市場が高かろうが安かろうが、それはそれこれはこれと国内市場は独自の動きとなる傾向が顕著となるのではなかろうか?

 前者が9月相場であり、後者は10月頃から年末に向けての動きとなると想定している。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

8月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

8月23日

\27,460

-120

\26,870

-250

8月24日

\27,260

-200

\26,200

-670

8月25日

\27,140

-120

\25,880

-320

8月26日

\27,010

-130

\25,130

-470

8月27日

\28,910

-100

\24,710

-420

 

 まずは原油から…先週号においては、『週末の高値で内外とも目先天井を打った可能性は高いだろう。NY原油の42ドル台までの調整安の到来ではないかと読むが、逆に50ドル台乗せとなったら青天井に付き撤退をするのが良いだろう。』とした。

 今週の相場展開は、NY原油の暴落を受けて国内市場も大暴落。結局週末には安値で24,650円まで下落しており、先週末20日の高値27,280円からは一気に2,630円幅の下落である。

 指標のNY原油は49.40ドルの高値を20日に記録した後、26日に安値で42.50ドルまで下落6.90ドルの下げを僅か5日間で演じ、週末は43.18ドルで終了である。

 以前よりコメントの中で、NY原油の高値目標値はズバリ49.38ドル。国内市場の目標値は26,950円として来たが、ほぼ完全に的中したといって良いだろう。

 週明けから売っていればまさに大儲けなのであるが、情けない事に当方は売りそびれて今に至っている。週明けはサドル派の民兵との軍事衝突のニュースがあり、25日にはロシア旅客機が2機墜落。これらの材料でNY原油がちょっとでも戻ってからと考えているうちに、どんどん下落してしまった。悔しいやら、情けないやら…相場観がズバリ的中して儲けられなかったら、一体何時儲けたら良いんだ?ショックが大きくて、日々雑感の更新も26日は休んでしまいました(笑)

 とにかく相場は冷静に計算している時の勝率は高いが、その場のムードやニュースで衝動的に行動するとろくな事は無い。買ったわけでは無いゆえ損はしていないが、次からの反省材料としたい。

 気を取り直して今後の予測であるが、30日には注目の米国共和党大会が開かれる。戦略備蓄放出の噂はそれを前に、株売り・原油買いを行なっているヘッジファンドに対するけん制の意味で意図的に流したのだろう。ブッシュ政権にとっては経済的な成功をアピールしなければ、先代のように再選失敗の可能性もあるだろうから…

 ここで何が出るかが最大の注目材料ではあるが、ちょっと予測するのは難しい。現状43ドル台まで下がったとは言え原油価格はまだ高いし、しかし完全に天井は打った様な形に見えるゆえ戦略備蓄の放出は無さそうでもあるし。

 相場の本来のパターンであれば、一度反発して2番天井を付けるのが王道であろうが、そうであれば結局戦略備蓄の放出をせざるを得まい。しかしそれは原油危機をある程度ブッシュが認める事であり、おそらくそこまではしたくないはず。となればすでに7億バレル近くまで積み上がった戦略備蓄をそのままに、新たな備蓄を停止して民間に廻るようにするというシナリオが妥当か?

 相場としては戻りそうで戻らず、結局民間在庫が3億バレル台に回復しながら40ドル割れの原油相場となるシナリオが現実的かもしれない。そうであれば行き着く先はNY原油の35ドル、東京原油の2万円台があるだろうと考える。結局は6月30日の上昇相場のスタート地点への舞い戻りとなるのではなかろうか。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、短期的な戻りはせいぜい45ドル近辺までだろう。このまま下落して40ドル台割れとなるケースも有り得、最終的にはNY原油35ドル台、東京原油2万円台までの下落となるだろう。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

8月23日

\39,920

-450

\39,050

 

8月24日

\38,950

-970

\38,000

L1050

8月25日

\39,540

590

\37,550

-450

8月26日

\39,140

-400

\36,500

L1050

8月27日

\39,450

310

\36,180

-320

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『目先は天井確認人気からの下落を想定する。売り人気が高まれば一時的に逆ザヤ幅は拡大しようが、先々は順ザヤ相場へ移行して行く事となるだろう。』とした。

 今週の相場展開は、先限3月限は発会日当日にU筋の大量買いもあって寄り付きから大きく買われて39,050円の高値を記録。しかしその後はNY原油安を受けて暴落となり、週末には安値で36,120円まで下落下落幅は2,930円にも及ぶ。

 しかし一方で当限10月限は元売の9月からの仕切値4,000円アップを受けて、NY原油の下げには反応薄で堅調な展開。下げるには下げたが、先週末と今週末では920円幅の下げに留まっている。よって当先の逆ザヤ幅は大きく広がる事となった。

 結局先週号でコメントした『目標値とした調整安の倍返しである39,060円』は発会日にほぼ到達であり、チャートパターンは原油同様に天井確認である。

 もっとも需要期の3月限は最終的に順ザヤ相場への移行を考えていたのであるが、現状のように相場が崩れてしまっては、いずれは順ザヤ相場の移行もあるとしても、現在の逆ザヤ相場が一時的というよりはもうしばらく拡大して行く可能性は高いだろう。先週号のコメントは半分正解、半分は訂正する必要があるだろう。

 さて本来ならば需要期・不需要期の関係から期近売り・先買いは理屈通りではあるが、今週の下落によってその玉は完全に捕まってしまっているだろう。となれば理屈よりも内部要因によって、期近の踏み催促、先限の投げ催促相場で更なる逆ザヤ進行の可能性は高いか。

 とりあえず先物の下値抵抗ラインは8月10日の押し目底でもあり、5月17日の天井値でもある34,380円が一つの目処となろう。週末終値からあと1,800円幅ある事になるが…

 …中略…

 スポット市場は最大需要期のお盆明けから、軟調に推移を始めている。輸入採算価格も原油安からの下落が顕著。ガソリン在庫は185.2万klと再び増加に転じている。

 しかし元売としては、今までの原油高から仕切り価格アップを決定しており、足元の原油安・ガソリン需要後退と真っ向から材料的にはぶつかっている。元売の意向としては、原油輸入と製品出荷にはタイムラグもあり、今さら原油が下がっても下げられぬとの考えと、9月からの定期修理入りをにらんでの今後の動向を注視しているものと思われる。

 よって10月限は幾ら下げても38,000円どころかな?と言うのが当方の見方。11月限以降は先に行くほど下がるだろうが、一番内部要因で悪いのは2月限であり、売られるならば2月限を中心にという事になろう。

 …中略…

 なお証拠金であるが、来月からは、本証拠金が135,000円に引き上げられる。それによってストップ制限も900円幅となり、連発すればそれに臨増し・ストップ拡大で恐ろしい事となる。金持ち以外は参加してはならぬ!

 結論として当方の相場観は、先限の下値目標値は34,380円に設定して戻り売り。当先の逆ザヤ幅の拡大を予測する。

 

 

今週の灯油の値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

8月23日

\41,180

-340

\39,300

 

8月24日

\40,320

-860

\38,250

L1050

8月25日

\40,050

-270

\37,660

-590

8月26日

\39,140

-910

\36,610

L1050

8月27日

\39,250

110

\36,440

-170

 

 最後に灯油です…先週号においては、『先物3月限は下がるかもしれないが、既存の2月限以前の限月は押し目買い方針を貫く以外にないと見る。』とした。

 今週の相場展開は、原油・ガソリン同様に暴落の展開となり、不需要期で逆ザヤで発会した3月限は週末安値で36,410円まで大暴落発会値の39,500円からすでに3,090円幅の下落であり、先物引継ぎ足では20日の41,900円からすでに5,490円もの下落を演じている。

 原油の2,630円の下落、ガソリンの2,930円幅の下落に対し、灯油の5,490円幅の下落は一番悪く見えようが、これはあくまでも限月のマジックでしかない。もちろん他の限月も大きく下げたものの、今後の事を考えればやっぱり石油3品の中では買いヘッジを考えたい銘柄ではある。

 週末にはチャートの悪化からファンドの投げもガソリンに先駆けて有ったが、一方で元売の買いも散見され、曲がっている大衆筋はどちらかと言えばガソリン買い・灯油売りになっているケースも多いと思われるため、さほどの下落は無いのではなかろうか?それどころか理論的には売りである3月限も、ガソリン買い・灯油売りが結構はまったはずであり、ガソリンを損切り出来ないので灯油を売り乗せる状況となっているように思われ、案外これも戻る可能性は否定できないだろう。

 原油が仮に30ドルまで下落したとしても、灯油は国内在庫が少ない現状に変化がなければ、さほど下がらぬ可能性は十分ある。今年は冬の到来が早いのではないかとの予測もあるようだし…

 他油種に連れ安して仮に12月限・1月限が4万円の大台を割り込むようなら、その場面は新規買いを入れてみたいと思っている次第。

 …中略…

 25日発表の在庫は282.8万klと9週連続で増加となっている。しかし秋口までに必要な400万〜450万klは在庫の積み増しは到底不可能である。そのためスポット市場は、週末には一気に1,500円高の急伸である。

 すでにホームセンターとかの量販店などはタンクに在庫をいっぱい抱えていると見られており、今すぐに更なる仮需が発生して急伸する事にはならぬかもしれない。それどころか無い無いと言っても相場が下落し始めれば、品物はどこからか出て来るなどという売り方優位の見方もあるようだ。

 しかし実際に売れ始めて今の川下の在庫が一巡したら、やっぱり低在庫は見直される可能性が高いのではなかろうか?

 売りなら原油・ガソリンで十分であり、灯油はやはり売り玉保有よりも買いと考える所以である。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、灯油は原油・ガソリン売りに対するヘッジの買いを中心に考えるべきなのは今までと変わらない。不需要期の3月限も、ガソリン買い・灯油売りの理論通りのパターンから、内部要因によって思わぬ展開となるケースも有り得る。安心していては危険だろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

8月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

8月23日

\1,446

16

\1,448

16

8月24日

\1,436

-10

\1,436

-12

8月25日

\1,428

-8

\1,425

-11

8月26日

\1,442

14

\1,436

11

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

8月27日

\1,436

0

\1,435

 

 

 金相場は、先週号においては、『週明けからこの上放れ相場に乗ってみたい。ストップロスは1,420円どころにとりあえず置きたい。』とした。

 今週の相場展開は、週明け1,448円まで急伸するもののその後反落。25日には安値で1,423円まで反落するが、また翌日反騰し、週末には1,435円で終了している。

 指標のNY市場においては、20日415.5ドルまで急伸した後、24日には安値で402.7ドルまで下落。その後410ドル台まで戻って、週末は405.4ドルと前日比4.2ドル安での終了。週明け東京市場予想寄り付き価格は、405.4ドル×109.64円÷31.1035=1,429円となり6円安程度か…

 週明けから飛び付き買いした相場であるが、今のところそこが高値で大した相場になっていない。取引員自己玉はすでに買い越しに転じており、逆に言えばこの辺は高値いっぱいと見た大衆筋の売りが厚くなっている模様。

 もっとも上昇トレンドはまだ崩れておらず、再度上昇相場に移る可能性は十分あり、当方は原油相場に続く大相場になる可能性を期待している。今のところNY金は、原油と同じ20日が天井とはなっているが…ただし唯一本格的な上昇相場に移る可能性があるのは、この金だけではないかとの見方。他は全部、とりあえず数年ぶりとか数十年ぶりとかの高値を出しているからねえ。

 期待が期待通りになるか?それとも期待外れに終わるかは、来週の相場展開次第か…

 週末発表されたCFTCによる8月24日現在のファンドの建て玉は買い126,481枚(前回発表時より34,600枚増)、売り41,720枚(同3,629枚増)となっており、ネットで84,761枚の買い越しである。

 ファンドは一気に3万枚も買い越しを増加させ、原油から金へのシフトを始めている気配。10万枚超になっても上がらなければ逆に手仕舞い売りによる急落の懸念が高まるが、今はまだファンドの勢いに期待を掛けたい

 結論として当方の相場観は、先週と変わらずストップロスを1,420円割れに設定し、1,490円台をひとまず目標値におきたい。

 

 

 銀相場は、先週号においては、『所詮は2番天井探りの相場ではなかろうかと思われるので買いの食指は沸かないが、今すぐなら売るよりは買いの方に分があるだろう。』とした。

 今週の相場展開は、週明けに240.5円まで上昇するもののその後反落。25日には230.6円まで記録するものの、230円台でのもみ合いの展開となっている。

 230円台を割り込むとチャートはWトップ型で悪化するが、逆に再度240円台に乗せて241.3円を突破すれば250円台半ばまでの上昇があろうか?という姿。

 戦略としては229.9円を逆指しの売り!241.5円を逆指しの買い!であると見ている。

 指標のNY市場においても、上値も700セントで支えた様でもあり、下値も650セントで支えられている姿。ここからどちらに放れるかが焦点だろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、229.9円を逆指しの売り!241.5円を逆指しの買い!で相場の放れに付く戦略をベターとする。

 

 

今週の白金の値動き

 

8月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

8月23日

\2,989

4

\2,868

-1

8月24日

\2,993

4

\2,890

22

8月25日

\3,022

29

\2,884

-6

8月26日

\3,040

18

\2,910

26

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

8月27日

\3,029

37

\2,935

 

 

 プラチナ相場は、先週号においては、『3,011円で天井確認の可能性は高いが、いずれにしろファンドの動向次第の相場展開であろう。』とした。

 今週の相場展開は、23日に2,841円まで下落するものの、その後また反発。週末は2,935円の終了であるが、週末のこの価格は発会した8月限であり、確りとサヤ出世した状況であった。

 先限引継ぎ足では17日の3,011円から23日の2,841円まで170円下げたものが、週末高値2,940円安値から99円の戻り。半値戻しは達成であり、崩れそうで崩れぬ逆ザヤのプラチナ相場という事になる。

 ただし今のところ3,011円は天井であると考えているゆえ、その上にストップロスを入れて売ってみたい気がするが…さて?

 買われている材料は南アの鉱山スト懸念であるが、大相場に繋がるほどの材料ではなかろう。やはりそれよりも、東京市場でのファンドの動向を含めた内部要因が、相場変動の主導を握るものと思われる。

 …中略…

 取り組み上では、何となく新甫天井のような気はするけどねえ…

 結論として当方の相場観は、3,011円を天井と考え、そこにストップロスを置いて売って見たいところ…

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

9月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

8月23日

\15,840

-210

\17,030

-160

8月24日

\16,030

190

\17,400

370

8月25日

\16,050

20

\17,430

30

8月26日

\16,000

-50

\17,290

-140

8月27日

\15,910

-90

\17,110

-180

 

 先週号においては、『国内市場は内部要因からまだ多少上値は重そうだが、16,480円は2番底確認であろう。上値関門は17,690円であり、これを抜けていけるようなある程度の相場となろう。』とした。

 今週の相場展開は、25日には17,460円まで上昇するものの、週末にかけては17,110円と再び反落してしまった。

 7月26日に記録した15,700円を大底として、チャートは8月16日の16,480円を2番底とする逆三尊型チャートを描いているのものの、上値関門17,690円は今週も越えられず。

 いずれは『豊作に売り無し』の相場展開の到来をコメントして来てはいるのだが、米国の作況指数が今週も2ポイント低下して『優・良』の合計が71%まで下がった割にはシカゴ市場も頭が重い。

 よって前場の概況メールでも23日には買いとして、逆に26日には逆に目先の反落を予告。週明けの東京市場はシカゴ市場の週末5セント安によって、もう一度17,000円台割れを余儀なくされる可能性は高いだろう。

 しかしまた16,000円台半ばではサポートされるものと思われ、一度は18,000円台への上昇の可能性は高いだろう。内部要因で上値を抑える役目をしている岡地の売り玉は、安値では買い戻されて上昇期待を膨らませる事となるのではなかろうか?

 よって目先は下落しても然程のものではなく、いずれある程度の期待を持たせる相場の出現は有るだろうと思われる。

 もっとも仮に上がって行ったとして、『豊作に売り無し』から昨年〜今春のような大相場が到来するとは考えない方が良いだろう。2年連続の豊作の状況下で、国内市場の現物需給がきついという話はどこにも無い。だからこその順ザヤ相場であり、今後も国内需給は輸入すれば緩む一方だ。

 また大相場は数年に1回のものであり、2年連続の可能性は非常に低く、この需給相場期前の上げはあくまでも次に下がるための上げと冷静に受け止める事は必要。中物限月には高値買いの因果玉が膨大に残っており、現状では最終的に安納会する事は必至なのだという事だけは覚えておいた方が良いだろう。

 そうそうこちらの思惑通りに事が運ぶかどうかは判らぬが、まずは15,500円どころまで下げて、その後18,000円まで上昇。そこで天井を打って最終的には全限15,000円割れ辺りで落ち着く…との予想を立てている。

 …中略…

 

 一方大豆に関しては、8月限の納会後に10月限の急騰が激しくなって来ている。明確に買い材料があるわけでは無いが、売られ過ぎのとがめが出ている模様である。シカゴ市場が上がっても上がらなくなった時が、戻りいっぱいとなる事だろう。

 先限に関しては3ヶ月ぶりの高値まで上昇してきており、未だ天候相場が続いているだけに人気化すれば一段高は望めるか。もっとも昨年のような大相場の到来は、余程の事が無い限り無理ではあろうが…

 

 …中略…

 結論として当方の相場観は、目先は押し目買い方針を継続である。もっとも大相場では無いゆえ、高値を買う事は厳禁である。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

8月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

8月23日

138.9

-1.0

138.6

0.1

8月24日

137.4

-1.5

139.3

0.7

8月25日

135.6

-1.8

138.1

-1.2

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

8月26日

135.4

-2.2

135.6

 

8月27日

135.0

-0.4

135.7

0.1

 

 先週号においては、『採算価格が低下し始めたゆえ、大幅に逆ザヤに売られた場面は買いだろうが、基本的には戻り売り。ファンドが踏み上げる相場展開の到来無くば、戻り売り相場に変化は出ないだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、24日には139.4円と若干の反騰を入れるものの140円台回復はならず。26日に発会した2月限も、週末には安値で134.9円までの下落を一時演じた。

 25日に行なわれた納会では、大阪市場が150円台であったのにも関わらず、東京市場は135.6円の安納会。場所によって価格が違う相場をところ相場と言うがまさにそれであり、受渡し内容を見るとMが受けなければ安いの図式である。今回は実質Mの一手渡しであったが…

 このところ相場の原因は、大阪市場で実需渡しのために受けたかった○○が、大阪市場で僅か5枚の受渡ししか成立しなかったため、東京市場で現受けして関西に陸送するためには配送費15円を引いて135円なら採算が合うために、その価格になったとの事。ふーん、なるほどね!である。

 ハッキリ言って今のゴム相場に、大した材料は無い。ファンドが売れば下がるが、買い戻せば上がるといった事しかないだろう…

 週末現在の輸入採算価格は9月積みで144.3円産地もあまり動いていないが、これから10円マイナスした134.3円以下は売られ過ぎの領域となって、商社・産地シッパーの買いが入るかもしれない。もっとも、詰まればまた売られる。

 結論として当方の相場観は、戻り売り相場に何の変化も無いだろう。反発するのは輸入採算から大きく逆ザヤに売られた場合である。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

9月限(当限)

前日比 

7月限(先限)

前日比 

8月23日

\9,970

-10

\11,300

-120

8月24日

\10,230

260

\11,480

180

8月25日

\10,120

-110

\11,690

210

8月26日

\9,810

-310

\11,690

0

8月27日

\9,890

80

\11,650

-40

 

 先週号においては、『戻り売り相場に変化は出ていない。懸念材料はNY市場のファンドの売り過ぎであり、突っ込みは利食いして戻りを売る作戦がベターだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、週明け23日に11,250円まで下落するものの、その後週末にかけては反発して27日には高値で11,780円まで上昇

 指標のNY市場がファンドの売り過ぎから70セント辺りまで反発してきており、8月16日に記録した64.80セントで底入れ〜上昇相場に移って来たようにチャートでは見える。何の買い材料も無く、手掛かりは唯一ファンドの買い戻し期待なのではあるが…

 そろそろ買い好きは、お尻がむずむずしだしている頃だろう。11,000円割れで大底確認し、11,000円台は買っておけば儲かると…さあ、目標値は12,500円だ、13,000円だ、いやいや干ばつがあれば15,000円台も夢では無いと!

 この相場はそろそろ戻るかもしれないが、所詮はその戻りも次の下げのための戻りでしかないだろう。7月限の策動時のように逆ザヤ相場にまで持って行けるなら別だが、所詮は当限・9月限は14,000円近いところまで上がって天井〜仕手崩れになった相場である。3月限・5月限も15,000円台を付けてすでに5,000円下がっている相場であり、現在の順ザヤ相場で大きく買い上げる力は無し!

 商社ヘッジ売りが大量に入った11月限が落ちるまでは、サヤ滑りは必至であろう。上がっても所詮は、次の下げのための上げでしかない。

 売り方としては、今叩いてしまって1万円まで1,500円取るよりは、逆に上がってくれた方が後で取り分が大きくなるというくらいの考え方を持っていた方が良いのではなかろうか?

 もっとも9月には入れば納会が意識され、そこでさらに当限が売られる展開になれば、チャートもNY市場も関係なく東京市場が下落する可能性も一方である事も指摘しておきたい。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、反発はあっても一過性のものだろう。戻り売り相場に変化は無い。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

11月限(当限)

前日比 

3月限(先限)

前日比 

8月23日

\22,500

430

\23,210

40

8月24日

\22,230

-270

\23,310

100

8月25日

\22,050

-180

\22,970

-340

8月26日

\22,160

110

\23,010

40

8月27日

\21,530

-630

\22,870

-140

 

 先週号においては、三尊天井を確認した相場は、いずれ21,000円台まで沈み込むと見る。戻り売りである。』とした。

 今週の相場展開は、24日に23,380円まで反発するものの、週末には再び安値で22,860円と23,000円割れまで下落。

 相場は24,520円をトップとした三尊天井を確認した後、現在は23,000円を中心にもみ合いの展開になっている。ななかな崩れそうで崩れない相場展開であるが、トレンドはすでに崩れてしまっている。

 また当先のサヤ状態も一番安いのが中物の3月限であり、高いのがとなりの5月限という妙なサヤではあるが、当先で見れば1,000円以上の順ザヤ相場である。出来高・取り組みともに低迷しているゆえ、素直に下げないだけではなかろうかと見る。しかしいずれは、先物も21,000円台までの下落は必至ではなかろうか?

 砂糖自体の材料としては、9月より04年〜05年の新たな砂糖年度に移る。各統計機関の需給を平均すると、消費が2%増で200万トンの供給不足と推測されている。仮にこれが正しくて供給不足になれば、11年ぶりの事となる。しかし11年前は在庫率33%台だったが、現在は46%台である。供給懸念の台頭は有り得ぬ。

 また北半球はこれから本格的な収穫期に入るため、8セント台まで買い上げて大ヤラレの状態となっているファンドの敗走は続いており、9月30日のNY市場の納会に向けてさらに下落相場が到来する可能性は高いと見られている。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、内外とも買い方の投げは続くだろう。戻り売り相場に変化は無いと見る。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

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