商品市況展望 割愛版

平成16年10月10日記

 

 10月10日は体育の日である。元々は東京オリンピックの開会式の日を休日に定めたものなのだが、このところは何でも3連休にする政府方針のため10月の第2日曜日を挟んでの連休であるが、今年はたまたま重なった…

 日本で一番晴れる日が多いという体育の日であるが、昨日は台風で大荒れの状態。今年は異常に台風が多い年である。

 さて東京オリンピックはが開催されたのは昭和39年。当方は昭和36年生まれなので、まあ東京オリンピックはうろ覚えである。3歳になるかどうかの歳なのだから、当然と言えば当然であるが…

 東洋の魔女と言われた女子バレーの試合の記憶はなく、なぜか重量挙げの三宅選手の姿は鮮明に覚えている。なぜって言われても、子供の記憶なんてそんなものでしょう…(笑)

 また昔は祝日には玄関にみな日の丸を掲げたものだが、今のご時世にはそんな風景はとんと見ない。多分今そんな事をしたら、あそこの家は右翼かもしれないと逆に白い目で見られるかもしれない。

 さて何でこんな歳の話を持ち出したかと言うと、フルコミッションの世界はかなり高齢化が進んでいるからだ。現在、岡地在籍のフルコミの平均年齢は52歳程度である。上は70代もいれば、60代・50代はぞろぞろ…一番若手でも30代後半である。20代なんぞ一人もおらん。

 30代半ばで組織営業を辞めてフルコミッションになった当方であるが、何時まで経っても若手である…(笑)業界に入って、もうすでに20年以上になるというのにねえ。

 ネット取引の発達と手数料の自由化は、おそらく今後さらにフルコミという個人営業の成り手を減少させて行くと思われる。ネットやディーリングで先物市場自体の出来高は増加し、生き残る会社はさらに隆盛を極めて行くのだろうとは考えられるが、そのうち我々は、生きた化石になるのかもしれない…(笑)

 もっとも、だからと言って全く悲観的に考えているわけではない。幾ら手数料が下がろうが、取引システムが変わろうが、相場の本質は変わるわけではない。相場世界における経験と技術に対するニーズが無くなる事は無いだろう。

 一足先に手数料自由化に踏み切っている米国市場においてのデータであるが、おおよそ4種類の手数料体系を持っているところが多いようである。以下にその手数料体系を記すと(いずれも往復手数料)

1、電子取引市場のオンライントレーダーで、サービスの提供を全く必要としないプロ。4.40ドル〜7.90ドル。

2、オンラインで注文発注する、すべての市場のトレーダー。15ドル〜24ドル。

3、注文の自己決定は出来るが、注文執行やストップの設定に関してブローカーのサポートを必要とする長期スタンスのトレーダー。20ドル〜45ドル。

4、取引に関する意思決定も含め、フルサービスを求める投資家。30ドル〜60ドル。

 本当のプロ投資家とフルサービスを求める投資家とでは、13倍もの手数料の開きがあるのが米国である。日本の投資家も、今後は何のサービスを提供されているのか?また自分の投資ロットがどのくらいなのか?で適正な手数料を考える時代になるものと思われる。

 実は現状では、国内市場もほとんどそうなりつつあるのだけれども…当たり前だが5枚、10枚の注文も、ファンドの1,000枚の注文も、ブローカーにとっては注文執行の手間は同じなのだから、手数料は違って当然か。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

10月4日

\26,990

290

\26,140

 

10月5日

\26,910

-80

\26,300

160

10月6日

\27,020

110

\26,510

210

10月7日

\27,150

130

\26,830

320

10月8日

\27,110

-40

\26,540

-290

 

 まずは原油から…先週号においては、『これ以上の上昇は米国などを主導とした高値抑制対策が出るだろうと思われるため、一気の急騰は抑えられるだろう。しかし一方で明確な売り材料も出るとは思えないため、高値波乱が続く乱高下の逆張り相場に移行すると考える。』とした。

 今週の相場展開は、10月7日には26,900円と9月28日に記録した26,890円を一文新値で更新したものの、8月20日の27,280円を抜くには至らず。週末には26,540円と若干だが下落して終了している。

 NY市場が53ドル台まで上昇して行く中で、またガソリン・灯油など製品相場がそれに呼応するような形で急騰を続けた中で、東京原油のみは新高値を越えて行くような上昇にはなっていない。概ね先週号でコメントした、高値波乱の逆張り相場の展開であった。

 この原因としては、ドバイ原油などの中東産原油がNY市場WTI原油と比較して、上昇していない事が挙げられる。米国内には4,000以上ものヘッジファンドが原油買い投機に参戦していると言われており、それがNY原油の過剰な上昇相場を演出しているゆえそうなっているのか?それとも今後中東産原油が遅れて上がってくるのか?

 この格差の要因としては、ガソリンなどを精製しやすいライト原油と精製に手間が掛かるヘビー原油の格差の開きとも言われており、精製コストの問題からそうなっているとの説もある。また米国内での精製施設が老朽化している事はすでにだいぶ前から言われている事であり、原油はあれども製品に精製できない事から、製品高の影響でNY原油は高いとの説もある。

 更にはタンカー運賃が高騰しており、また空いているタンカーも少ないとの事から、OPECは3015万バレルもの生産を行なっているのだが、輸送が出来ないとの話もある。中東安の米国高の原因である。

 思惑による過当投機が原因なのか?それとも実際の需給関係が東京原油とNY原油の格差に繋がっているのか?の明確な結論付けは今のところ誰にも出来てはいないようである。

 さて週末のNY市場であるが、高値で53.40ドルまで上昇。米ルイジアナ州の港でタンカーからの積み下ろしが悪天候で停止するなど、相変わらず先行きの供給懸念が一段と強まっているのが原因。またハリケーンの後遺症からメキシコ湾岸の石油精製施設の完全復旧は、来年初めまでずれ込む見込みである事なども強材料視された模様。

 国内市場は3連休で月曜日は休場であるため、果たしてもう一日分の外電がどうなって入って来るのやら…原油の適正価格はせいぜい35ドル程度だろうとの専門家の見方も多く語られているが、現状の明確な下げ材料の無い現状では60ドル説や、最近では80ドル説まで出始めているのもまた周知の事実。

 先週のG7では原油高に対する懸念が表明されて、米国は原油高抑制の対策総動員を主導したものの、今のところ何ら具体策が出た様子も無い。もっとも米大統領選の今後の行方次第においては、ブッシュが戦略備蓄の放出などの伝家の宝刀を抜かぬとも言えず、日々ニュースに注目するしかなかろう。ブッシュは何もしなくても勝てそうならば何もしないだろうし、株式市場が週末も急落しているがそれで再選ピンチとなれば何かするかも…

 なお週末は株安・原油高であるが、雇用統計の発表で非農業雇用者数が予想を大きく下回っていたことからドル安にもなっており、どうするアイフル?ならぬ、どうするブッシュ?である。

 …中略…

 さてもう一度国内市場に話題を移し、チャートによるテクニカル判断をするならば、短期的なWトップ型のチャートパターンとなっている事で、この相場が天井確認と言えるには10月1日の25,970円を明確に下回った場合かそうなると、この上昇相場はとりあえず終了したとも考えられる。

 逆に26,900円をクリア、続いて27,280円をクリアの新高値更新となるようならば、少なくとも27,810円までの上昇はあるだろう。最大で3万円の大台乗せ相場もあるかもしれない。ズバリ30,270円

 結論として当方の相場観は、現状では具体的な高値抑制政策が出なければ原油価格の天井決定は無いだろう。25,970円を下回らない限り押し目買い有利であり、このまま高値更新となれば最大で3万円台乗せ相場も有り得るだろう。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

10月4日

\39,050

-140

\41,030

-730

10月5日

\39,300

250

\42,000

940

10月6日

\40,190

890

\43,350

H1350

10月7日

\41,270

1080

\44,700

H1350

10月8日

\40,540

-740

\43,350

L1350

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『先物の4万円割れは難しいだろう。高値43,500円どころは出る可能性が高いと見て、押し目買い方針が良いだろうと見る。』とした。

 今週の相場展開は、10月7日には2発連続で1,350円幅の拡大ストップ高の急騰となり44,700円まで急騰。しかし週末は一転してストップ安の引けであり43,350円で終了である。

 6日・7日の2日間で2,700円も上昇しては、売り方はひとたまりもなかったであろう…また買い方はまさに有頂天の気分となった事でもあろう。

 しかし7日には三菱F・三井Fのファンドは大量利食い売りであり、曲がり屋商社の住商や大衆筋の大量踏みの図式が明確に見て取れ、チャートでも44,000円台はかなりの危険水域である事は先週号を読み返していただければ判るとおり、週末の一転のストップ安に繋がった。

 さて問題はここからである。…中略…

 しかし原油相場はまだ高い可能性はあると考えているが、ガソリン相場は今のところ目先は44,700円で天井を打ったと考えている。戻りの許容範囲は週末の寄り付き値44,200円であり、まずは42,700円どころまで下落か?割り込めばさらに下落して41,300円どころまであるか?と見ている。

 もっとも大きな流れで見れば、2,000円の下げ、3,000円ちょいの下げでは単なる調整安の可能性は高く、最大下げて5,000円下げの4万円割れが一瞬出るくらいかとは思うが…明確に下げトレンドに転じるためには、原油価格が暴落に転じるしか有り得ない。(だがその可能性は薄いだろう)よってあくまでも目先は!である。

 週末現在のスポット価格は38,600円〜39,200円となっており、先週と変わらずである。7日の輸入採算は45,300円と30日比1,000円高である。

(時事通信社発表の海上渡し価格より)

 ガソリン在庫は187.5万kl4週ぶりの減少となっている。なお10月4日現在で定修入りで稼動停止している製油所は18.3%に上るが、今後年内に停止するところはなく、11月中旬までにすべて再稼動する見込み。もちろん台風22号の影響がなければであるが…

 ともかく現状ではファンドが買い上げて急騰を演じた東工取相場であるが、スポット価格から見れば明らかに買われ過ぎであるが、輸入採算という面から考えれば説明が付く状況。仮に原油高から輸入採算が5万円まで上がったら、東工取先物でもそうなっても理屈は通る。理屈が通る限りは、異常だとは言えない事だけは理解した方が良いだろう。幾らなんでもファンドも、何の手掛かりもないのに買い上げる事はしないだろうからねえ…

 …中略…

 結論として当方の相場観は、NY原油とファンドの動向次第の面もあるが、目先は44,700円で天井を打ったと見る。2,000円下げか、あるいは3分の1押しの3,000円下げか、深ければ半値押しの5,000円下げか…ただし幾ら下げても大勢では押し目買いのままではあろうが。

 

 

今週の灯油の値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

10月4日

\42,880

30

\38,990

-680

10月5日

\43,170

290

\39,630

640

10月6日

\44,250

1080

\40,770

1140

10月7日

\44,640

390

\41,410

640

10月8日

\43,730

-910

\40,460

-950

 

 最後に灯油です…先週号においては、『今のところ3月限・4月限は完全に踏み上げ相場になっている。踏みが出尽くせば天井だろうが、輸入採算が46,000円台であるゆえ当限からの下落は考えられず、今のところはまだ売り上がりは危険だろう。』とした。

 今週の相場展開は、先物は10月7日41,620円まで上昇したものの、さすがに先物に需要期が建っているガソリンとは違い、不需要期が建っている灯油の上げ幅は多少抑えられる展開となった。8月20日の先物高値41,900円にはまだ届いていない事がその証拠か…

 もっともそれはガソリンと比較すればという事であり、ファンドはガソリン以上に灯油の積極的に買っている図式である。また理論的に3月限・4月限は不需要期という事で大手筋らの売り人気を集めたものが逆に出た図式は、未だ今後の展開に予断を許さない展開ともなっている。

 特に週末の下落時は、…中略…

 もっとも誰が買おうとも、本来理論的には2月限辺りまでの需要期が買われるのは当然としても、その限月の上げ幅以上に先物が買われる展開はおかしいとしか言いようがない。今はそれに逆らえない相場展開ではあるが、流れが変わる時が来れば一気に崩壊する可能性も否定できないだろう。まだ安易には売りたくは無いものの、高値飛び付き買いもする気には全くならん。

 週末現在のスポット価格は41,400円〜42,000円となっており、先週と比べ1,700円高である。7日の輸入採算は47,100円と30日比200円高である。

(時事通信社発表の海上渡し価格より)

 このところスポット市場が上昇し始めている。北海道で需要期に入って来たため、どうやら荷の動きが活発化して来たようである。それでも輸入採算からは大幅に安い状況であるため、現在は輸入が出来るような状況でもない。

 在庫は404.1万klとやっと適正在庫と言われる水準に乗せる状況となっている。原油高・輸入採算高・需要期入りにも関わらず、すでにスポット価格よりもは大幅に上ザヤにいる東工取相場の需要期限月が大きく買われないのは、この辺に原因があるのだろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、需要期限月も46,000円台を達成し、また在庫も増加している事から、これ以上の上昇は余程の寒波か原油高が到来しない限り困難か。先物はそれ以上に買われ過ぎだが、ファンドの動向次第の展開には変わらないだろう。先物は4万円を維持できれば強気、4万円を割り込むと弱気になるだろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

10月4日

\1,483

-2

\1,485

0

10月5日

\1,476

-7

\1,478

-7

10月6日

\1,503

27

\1,502

24

10月7日

\1,497

-6

\1,499

-3

10月8日

\1,487

-10

\1,487

-12

 

 金相場は、先週号においては、『チャートからも内部要因からも、金相場の情勢はかつてとは違う状況に見える。よって買い方針としたい。』とした。

 今週の相場展開は、6日には1,503円とついに1,500円台乗せを達成。しかし週末には3連休を控えた利食い売りと円高のために軟化し、1,487円で終了する展開となった。

 これで押し目底の9月8日の1,401円から高値までの上昇幅は102円となったわけであるが、1,500円台出現で多少の達成感もあるものの、ファンドの買い方針に変化は見られず、押し目買いに変化は無いような状況であろうと思われる。

 もっとも流れとしては、ここで上げ幅の3分の1ほど押して来るのが自然であろうし、となれば買い場は1,470円どころまで下げた後という事になろうか

 …中略…

 ともかく今後どうなるかわからないものの原油相場は50ドルをとっくに突破しており、中国を中心としたBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国の巨大新興国市場)の経済発展が長期的に見込まれる中で、商品はデフレの流れから完全にインフレの流れに変化している。そんな中で金も必然的に、強気するしかないだろうというのがこのところの変化である。

 もちろん現状では、NY金が上昇する時はドル安=円高が同時到来であり、どうしても円建て金価格の上昇は抑えられる。しかしNY金が430ドル台の抵抗線を突破する事態となれば、もう円高だろうがなんだろうが押さえが利かないという事にもなりかねない。円高で売られたところこそ、買い仕込みのチャンスではなかろうか?

 …中略…

 すべての限月が新高値を更新して僅かに軟化しただけであり、売り方で利が乗っている残玉は皆無。一方で買い方はほぼすべて利が乗っている状況であり、このような相場は明確に相場にヒビが入るまでは弱気は危険だろう。

 金なんぞに買いの仕手戦があるわけ無い!買占めなど出来るはずがない!と言うのが普通の考え方であり、確かにそれはそうかもしれないが、相場というものは何があるか判らんのだからねえ…原油が50ドルなら、金価格が500ドルになって不思議は無いとの考え方も否定は出来まい。

 結論として当方の相場観は、円高で下落した局面は押し目買いとする。1,470円以下を買い仕込むのが理想だろう。

 

 

 銀相場は、先週号においては、『260円台乗せは必至と見て買い方針とする。』とした。

 今週の相場展開は、5日には237.6円まで反落するものの、翌6日・7日と連続ストップ高の大暴騰!ストップ制限拡大となった週末は寄り付きの255.0円から反落するものの、253円台での終了となった。

 3連休前の週末に付き、利食いするも良しの場面であったことだろう。押し目底の9月13日216.1円から約40円弱も上昇したのであるから、この後押すのもまた良しであろう…しかし下げても245円どころが限界だと思われ、再度買われて260円台はいずれ記録するものと考えている。このまま上昇してしまうのかどうかは、良く判らんが…

 さて指標のNY市場であるが、8月20日の701.0セントを突破した相場は上昇に弾みが付き、7日には730セントの高値まで上昇。ファンド買いの増加は異常なほどであり、このままの勢いを持続するならば820セントを目指す展開であろう。ファンドの買い越しはちょっと買い過ぎの懸念もあるが、そう市場が見れば押しは入るだろうが…

 …中略…

 結論として当方の相場観は、懸念は急激なファンド買いの増加であるが、押し目買い方針に変化は無いだろう。

 

 

今週の白金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

10月4日

\3,045

-23

\2,935

-12

10月5日

\2,992

-53

\2,878

-57

10月6日

\3,054

62

\2,935

57

10月7日

\3,059

5

\2,935

0

10月8日

\3,029

-30

\2,911

-24

 

 プラチナ相場は、先週号においては、『2,910円をストップロスとして買い方針へと転換である。目標値は3,200円台であるが、Wトップの可能性も考えておくのが良いだろう。』とした。

 今週の相場展開は、5日にはストップロスラインとした2,910円を一気に割り込む下げとなり安値で2,861円まで記録するものの、その翌日から急騰。しかし7日に2,956円まで記録したところで反落となり、週末は2,911円での終了となった。

 相場はもみ合いの展開に入ってしまったようで、再び3,000円台乗せから9月29日の3,014円を突破するようならば、押し目の倍返しで3,167円まで上昇するだろう。逆に再び2,861円を下抜け、更に2,790円を割り込むような動きとなればWトップの完成であり、2,600円割れまで下落する事になるだろう。

 プラチナ自体の材料としては、南アでの労使交渉の行方が注目であるが、今のところ鉱山ストの長期化から供給逼迫に繋がるといった懸念は薄いようである。よってこれが完全決裂するなど新たな展開に入らない限り、ファンドは更なる買いを入れるとは思えず、よってWトップを意識した軟調な展開になる可能性は高い。

 しかし商品市場全体が上げ潮ムードの中で、更にはファンドのポジションも買いである事は否定しようのない事実ゆえ、暴落に繋がるのもどうかと思われる。

 となれば2,900円どころを挟んだ現水準でのもみ合い、逆張り相場がしばし続くとする可能性が一番高そうである。2,850円以下は買う、2,950円以上は売るで取れるのではなかろうか?

 …中略…

 結論として当方の相場観は、2,900円どころを挟んだ上下50円程度のもみ合いを予測する。どちらかと言えば玉整理からの軟調な展開を予測するが、急落の可能性は薄いだろう。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

9月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

10月4日

\15,480

-20

\15,840

-60

10月5日

\15,460

-20

\15,680

-160

10月6日

\15,320

-140

\15,640

-40

10月7日

\15,650

330

\16,040

H400

10月8日

\15,440

-210

\16,120

80

 

 先週号においては、『目先はテクニカルな反発期待で買い方針とする。ただしあくまでも短期であり、値幅も限定的ではあろう…』とした。

 今週の相場展開は、6日には15,640円と先の7月26日安値15,700円を割り込む新安値の下落となったものの、翌7日にはファンドの買戻しをきっかけに反発となりストップ高まで買われる急騰。週末も16,120円の高値引けとなった。

 7日の急騰時にはシカゴ市場も惚れ惚れするような底打ち示唆のチャートとなっており、三菱F・ファンドの買戻し1,500枚の手口がこの上昇の要因。これで完全に底打ちになったのかどうか?

 シカゴ市場においては、12日に米農務省需給報告が出される。すでに各調査会社より事前予想が出されているが、コーンはインフォーマ社の10月5日予想が生産高113億7500万ブッシェル110億ブッシェル超の大豊作は確実であるが、それが織り込み済みとなっているかどうか。

 110億ブッシェル台はまあ確実として、そこから幾ら超過するのか?そしてそれに対する市場の受け止め方はどうなのか?が今後の相場を占うためには重要である。

 …中略…

 しかし一方で逆に、この需給報告後にも軟調な展開になる様であれば、あくまでも今週末の戻りは一過性のものとなるだろう。シカゴ市場も190セントはローンレートの水準であり、これは割り込まないとの思い込みがある様だが、投げ売りが始まればそれを突き抜けることも有り得る。となれば東京市場も、14,000円台へ突っ込む動きとなっても不思議ではない。

 特に週末の米国市場で109円台への円高になっている事や、中国の連休明けにも穀物の買い付け(買うのはコーンではなく大豆だろうが)などが見られなかった場合は、失望売りを誘う可能性もあるだろう。ファンドは高ければ買い戻すが、安い場合はまた売り乗せてくるし…

 いずれにしろ来週は正念場であり、底打ち〜上昇トレンドに入るか、あるいはここから駄目押しの下落に繋がるかの分かれ目である。

 …中略…

 

 一方大豆に関しては、前述のインフォーマ社の生産高予想は31億700万ブッシェル。大方の予想は30億ブッシェル台の豊作予想であり、9月の農務省発表の28億3600万ブッシェルから大幅増は避けられまい果たして実際の数字はどうなるか?大豊作予想として、それが織り込み済みとなっているか?が焦点である。この辺の動向については、概ねコーンと同様の考え方で良いだろう…

 …中略…

 結論として当方の相場観は、米農務省報告の数字とそれに対する市場の反応を注視。来週動いた方向に、しばらく動く展開になる事を予測する。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

10月4日

140.9

0.9

143.9

0.0

10月5日

139.2

-1.7

141.8

-2.1

10月6日

138.6

-0.6

142.9

1.1

10月7日

139.8

1.2

145.3

2.4

10月8日

138.8

-1.0

144.9

-0.4

 

 先週号においては、『最大下げて138円台ではなかろうかと考える。そこまで下がれば良いが、140円割れが困難な可能性も無いとは言えず、141円台の出現から買い玉を仕込むのが良いだろうと考える。』とコメントした。

 今週の相場展開は、10月5日には141.8円まで下落するものの、7日には145.3円と再び145円台まで反発。週末は若干値を消して144.9円での終了である。

 さてこのところの相場展開は、動きは大したモノでは無いが、着実に安値を買っておけばとりあえずは報われる展開となっている。問題は本格的な上昇相場になるのかどうかであり、下げても暴落するような展開は考えづらい。ファンドも売っているところあり、逆に買っているところありの状態であるが、売り方の大型ファンドもそうそう当っているとは言えぬ状況でもある。

 チャートでは145.7円を上抜ければ150円台も早いかという上昇が期待できそうだが、逆にここで上げもだえるようなら一度また140円割れの下げに見舞われる可能性も否定できない。

 ゴム自体の材料としては、果たして中国は連休明けに買い付けを見せるかどうかが焦点だろう。もっともインドネシアは季節的な減産期に入っており、仮にすぐに中国が買わずとも、産地価格の下落はあまり無さそうではあるが…

 週末現在の輸入採算価格は11月積みで149.5円輸入採算価格の149.5円−10円の139.5円が今は下値の岩盤と思われる。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、140円割れは買い、145円は売りの逆張り相場であろう。基本的には押し目買いを推奨する。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

11月限(当限)

前日比 

9月限(先限)

前日比 

10月4日

\11,200

-310

\12,710

-490

10月5日

\10,870

-330

\12,320

-390

10月6日

\11,000

130

\12,290

-30

10月7日

\10,990

-10

\12,540

250

10月8日

\11,100

110

\12,570

30

 

 先週号においては、『まずは12,300円どころまでの下げを予測する。その後は12,000円台〜14,000円での乱高下が起きるだろうと考える。』とコメントした。

 今週の相場展開は、5日寄り付きに12,150円の安値まで下落。その後週末までに12,500円どころまで戻っての終了となっている。

 8月16日に記録した10,970円は底であろうし、また9月28日に記録した14,260円も当面の天井であろう。仮に12,000円割れとなっても長続きするとは思えず、その場面は買いで良いだろう。逆に13,000円台回復をしても、そのまますぐに暴騰相場に繋がるかどうかは疑問があり、その場面は売りで良いだろう。来年は裏作でもありいずれは上に行くのでは?と考えられるため、買い主体の逆張りが良いのではなかろうか。

 さてブラジル産地の干ばつ懸念を材料に14,000円台まで一時買われた相場であるが、このところは散発的な降雨もあって干ばつ懸念が後退もっともこの10月からが本格的な開花期であり、今後の天候如何が重要な局面である。

 さて指標のNY市場は、9月27日に86.40セントまで買われた後に反落し、10月4日には75.65セントまで10.75セントの下落。相場上昇の起点である8月16日64.80セントから21.60セント上昇した相場だけに、この水準は半値押しのレベルである。

 3分の2押しまで下落するならばズバリ72.00セントまでの下落が有り得るが、今のインフレムードの市場の中でそれ以下の水準までファンドが売り叩くとは思えない。下げの限界点はその辺ではなかろうか?

 週末発表されたCFTCによる10月5日現在のファンドの建て玉は買い23,796枚(前回発表時より3,684枚減)、売り18,736枚(同1,675枚減)となっており、ネットで5,060枚の買い越しである。

 65セントの安値時点で15,000枚の売り越しだったファンドは、86セントまで上昇した時点で7,000枚超の買い越しへ。そして今回75セントへの下落で、僅かに買い越しを減少させた。ファンドには安値大量売りで持ち上げられた反省があるはずで、チャートパターンがまた良好になれば再び買い始めるのではなかろうか?

 …中略…

 結論として当方の相場観は、基本的には押し目買い継続である。目先は逆張りで12,000円〜13,000円の動きであろうが、一時的に12,000円割れが出れば絶好の買い場であると考える。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

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