商品市況展望 割愛版

平成16年12月5日記

 

 今年ももう12月である。あと立会い日数も残すところ16日間を残すのみ。

さて今回も先週号の続いて、年頭10大予測として定評のあるキッシンジャー・レポートは結果についての後半のコメントしたい。

 

D    中国経済は、8%〜10%の成長を続ける。

E    中国で大きな混乱や変動が起きる事は無いだろう。

(詳細)

 米国と中国の関係はかつてないほど良好であり、台湾を巡る米中対決も無い。台湾にはオリンピックの時期を狙って中国からの独立を望む勢力もいるが、一方の中国は香港型の(それ以上に発展させた)自治区になってもらうことを望んでいる。

 台湾人はすでに上海に30万人も住んでいるなど、中国との経済的な結びつきは強く、将来的には政治的にも結びつくだろう。

(結果)

 今年の中国の経済成長率は8.5%と予測されており、正解と言って良いだろう。ただし商品市場においては、現状では中国バブルがはじけた様な形となっている銘柄が多い。

 しかしこのまま来年の中国が成長を続けていくようならば、現在の商品相場の大きな流れは単なる調整であり、また次の上昇に向かって上昇を開始する前のステップであるのかもしれない。 

 

F    ブッシュ大統領は、楽々と再選する。

Gブッシュ第2政権の閣僚の顔ぶれは変わるが、その政策は変わらない。

(詳細)

 マスコミの評価とは全く違い、中西部や小さな都市部でのブッシュ人気は相変わらず強い。

 ブッシュ大統領の政策の根源はテロ撲滅であり、その方針も変わらない。また2004年は欧州との関係改善も成されるだろう。

(結果)

 楽々だったかどうかは定かではないが、ブッシュ大統領は当選した。国務長官にライス女史が就任したが、タカ派とされる女史の入閣はブッシュ政権の政策が変わらない事を示唆している。

 欧州との関係改善が成されたかどうかは判らぬが、大もめにもめているわけではなさそうだ。

 イラク情勢では楽観的な見方が外れたと言って良いかもしれないが、内政に関してはズバリ的中したと言って良いだろう。

 

H    日本経済は2.5%〜3%、もしくはそれ以上拡大する。

I    自衛隊のイラク派遣は成功し、新しい日本の外交政策の基本を作ることになるだろう。

(詳細)

 イラク派遣は人数としては大した事では無いが、象徴的な行動として評価されるだろう。政治の無い経済大国という日本のイメージを転換させる事となり、新しい外交政策の基本となるだろう。

 日米安保は双務協定に改定されるかもしれないし、北朝鮮が核を持てば日本もそれで脅される前に核を持つ事になろう。

 また日本経済に関しては、完全に不況のトンネルを脱出したとの見方である。

(結果)

 今年の日本の経済成長率は、おそらく4%台に乗せているかもしれない。ただし自衛隊イラク派遣については、外交的に成功しているかどうかは疑問かもしれない。

 結局は米国に追随しているだけの印象があるわけであり、これが大量破壊兵器でも発見され、またイラクの治安が回復したのであれば、国際評価も全く変わったものになったのであろうが…

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

11月29日

\23,540

-20

\23,610

-60

11月30日

\23,660

120

\24,030

420

12月1日

\23,610

-50

\23,750

-280

 

12月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

12月2日

\22,290

-1470

\22,370

 

12月3日

\21,880

-410

\22,080

-290

 

 まずは原油から…先週号においては、『今週高値の23,920円は戻りいっぱいの可能性が高い。今後更に上昇しても24,760円は限界と見て、戻り売り方針である。』とした。

 今週の相場展開は、NY原油が50ドル台〜42ドル台へと暴落するのを受けて、東京中東産原油も暴落の状況。2日はたまたま5月限の発会日だったため、先物のみは逆ザヤ発会でストップ安ではなく陽線ではあるが、既存のすべての限月が一代の新安値更新の状況である。

 なお先物では21,800円の安値まで記録しており、11月19日に記録した22,480円を下抜いた状況となっている。

 結局東京市場では、10月12日27,350円の大天井から11月19日22,480円まで4,870円幅の下げを演じた後に、今週11月30日に24,060円まで1,580円幅戻りで(32.4%の3分の1戻し)、また安値を切ってきた状況である。

 ズバリ戻りの倍返しの下げならば24,060円からは3,160円幅下げる事となり、目標値は20,900円である。また天井からの一段下げと同様の4,870円幅の下げならば、19,190円まで下値を見る必要がある。今年初めには安値が17,000円台だったのであるから、そこまで下げたからと言って別に不思議ではない。

 もっともまずは6月30日に記録した20,600円と目標値の20,900円は近い水準であり、その辺まで下げたところでまた冷静に相場を分析した方が妥当だろう。この相場は下げも上げも急な性質を持っているゆえに…

 さてNY市場であるが、10月25日55.67ドルで大天井を打ち、11月25日45.25ドルまで一気に10.42ドルの下げを演じ、その後11月30日50.40ドルまで5.15ドルと約半値戻しを入れて今回の暴落である。ズバリ戻りの倍返しであれば目標値は40.10ドル。一段下げと同様ならば39.98ドル。秋の上昇前の底値8月30日41.30ドルもその辺にあり、まずはこの40ドル近辺に重要なポイントが重なっている。

 12月10日にカイロにてOPEC総会が開催される事でもあるし、まずはその辺で一端は下げ止まるのではなかろうか。その後40ドル〜45ドルのもみ合いに入るのか?それとも下抜けして35ドルを目指すのか?はその時の状況次第であろうが、例えOPECが減産を打ち出したとしても50ドルを目指す展開には当分ならないだろう。

 どんどん上がっていった時にはOPECが増産しても、それは増産余力を無くすだけとファンドが買い上げていったわけであるが、逆に減産すれば増産余力は増えるわけであり、現状の需給から言って下がる時には何でも弱材料とする可能性は高いだろうゆえに。

 …中略…

 なお話は変わるが、中国系燃料会社のチャイナ・エビエーション・オイルが投機の失敗で560億円ほどの損失を出して破綻。…中略…

 結論として当方の相場観は、まずは目標値20,600円〜20,900円どころがポイントとなろう。またOPEC総会がらみで戻ったところは売りであろうし、戻り売り方針には変化は無いだろう。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

11月29日

\38,220

-20

\40,970

50

11月30日

\38,010

-210

\40,810

-160

12月1日

\36,800

-1210

\39,550

-1260

12月2日

\36,140

-1660

\38,200

-1350

12月3日

\34,030

-1110

\36,850

L1350

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『上昇はあって半値戻しの42,170円までと考え、2段下げ目の戻り売り相場と見る。もっとも上げ始めても、下げ始めても止まらぬ年末相場特有の動きにだけは注意が必要だろう。』とした。

 今週の相場展開は、週足では3,670円下げの大陰線となる大暴落を記録し、11月29日の41,700円〜週末36,850円まで拡大ストップ安2回を含む大暴落の状況となった。

 NY原油のチャートそのままに素直に反応した結果であるが、先週号でコメントした『反転して2段下げの相場になればそれが一番おいしい相場展開』が現実のものとなった形。天井は打って見ないと誰にも判らぬが、2番天井は狙いを定めていれば案外と仕掛けやすかったのではなかろうか?

 チャートパターンでまず下値の目標は、11月19日37,860円〜29日41,700円の3,840円幅戻りの倍返しならばズバリ34,020円となる。また一段下げと同様の10月18日46,480円〜37,860円までの下げ幅8,620円幅と同様の下げならば、ズバリ33,080円となる。また9月から10月の暴騰相場の起点まで往って来いするならば、ズバリ9月14日34,180円となる。

 つまりはこの暴落相場の下値目標値は、33,080円〜34,180円においておく必要があるのではなかろうか。この2段下げ目の下値目標値は、週末のストップ安からでもまだ2,600円以上の下げがあると考えられるわけである。

 …中略…

 もっとも1,350円ずつ下げられては理論もくそもなく、追証が毎日2発ずつやって来る事となる。買い方総投げのクライマックスが到来しない限り、理屈は後回しになってしまう事だろう。

 OPEC総会からみで原油相場が反発しなければ、1月限納会の12月24日辺りまで下げ続ける例年とは逆の年末相場になる可能性も有ろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、この暴落相場の下値目標値は、33,080円〜34,180円であると見ている。急反発場面は絶好の売り場であろうと考える。

 

 

今週の灯油の値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

11月29日

\39,300

-580

\36,430

-120

11月30日

\39,160

-140

\36,530

100

12月1日

\38,400

-760

\35,630

L900

12月2日

\36,660

-1740

\34,730

L900

12月3日

\36,330

-1330

\33,380

L1350

 

 最後に灯油です…先週号においては、『材料はすべて戻り売り有利となっているが、敢えて原油・ガソリンの売りに対し灯油の4月限以降は踏み上げ相場の上昇がまだあると考えたい。サヤが同ザヤ化しながら、38,000円台までの上昇があるのではなかろうか?』とした。

 今週の相場展開は、原油・ガソリン相場と同様に大暴落相場の展開となり、週末は3連発のストップ安で33,380円まで大暴落。今週初めの戻り高値37,120円からは、一気に3,740円下落する事となった。

 正直言って先週号のレポートでは、この灯油相場はもうちょっと戻ると思っていたのであるが…もっとも29日・30日には売れずとも、1日の下げでおかしいと思い対処している向きは多かったはずであり、漫然と3日連続のストップ安を見ていた向きはいなかっただろう。

 結局は37,120円までの戻りで3分の1戻し達成であり、その後のNY原油相場の下落で相場は壊れてしまったと見るのが妥当だろう。下げ幅の倍返しならばズバリ30,360円まで下落する事となろうし、仮に天井からの1段下げと同様の大暴落ならば26,630円まで下がる事となる。

 26,000円台などまさに今の価格から見ればアンビリーバブルな価格であろうが、昨年は23,000円台〜31,000円台で動いていたのであるから不思議でもなんでもない。需要期の当限・1月限など5万円近いところからすでに14,000円下げており、相場には値頃感無用という事が実感として判る相場なのであるから。

 …中略…

 秋には足らぬ足らぬとしていた灯油であるが、今は一転して過剰在庫をどうするかの話に180度転換である。最終的に残る手は、ジェット燃料に加工しての輸出であろうが、この中国の燃料会社の破綻が今後どのような影を市場に落とすものなのか?

 …中略…

 結論として当方の相場観は、まずは第一目標値30,360円を目指して下げ続ける事が想定される。完全に壊れてしまった相場展開であろうと見る。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

12月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

11月29日

\1,491

1

\1,494

-1

11月30日

\1,498

4

\1,501

7

12月1日

\1,496

-2

\1,497

-4

12月2日

\1,500

4

\1,502

5

12月3日

\1,498

-2

\1,499

-3

 

 金相場は、先週号においては、『上昇トレンドは継続中である。押し目買い相場の展開は続くだろう。』とした。

 今週の相場展開は、2日に1,505円と新高値更新の動き。NY金はドル安を受けて騰勢が治まらず、しかし国内金相場は円高で僅かずつの上昇の図式が継続中である。

 さて週末のNY金価格であるが、前日比5.6ドル高の456.0ドルで終了。前日は雇用統計の発表の前日でドルのポジション調整の買い戻しが出たため、高値458.7ドルから10ドルほどの調整安を入れたわけであるが、注目の雇用統計の数字は非農業雇用者数が前月比+11.2万件と市場予想の+20.0万件を下回っていたことから、発表後ドル売りが加速。対して金価格が上昇した図式である。

 ドル・円では102円ジャストまで1円以上の大幅円高が進行。ドルはもちろん対ユーロでも新安値を更新の動きである。

 週明けの東京市場換算値は456.0ドル×102.0円÷31.1035=1,495円であり、相変らず高値持ち合い場面である。

 NY金はドルが対ユーロで下落している間は買われ続けると思われ、このところコメントしている通り第一目標値は88年5月に記録した469.5ドルである。これを突破すれば、500ドルという大台も見えてくるだろう。

 もっとも東京市場で大きく上がるには、ドルの対ユーロ安が円高に繋がっているうちは大きく買われない。仮にその469.5ドルまで上昇したとしても、その時為替が100円まで円高となっていたら、国内換算価格は1,509円にしかならない。政府・日銀が介入して円のみが対ドルで円高進行とならなければ、国内金価格は大幅上昇しないだろう。

 さてここで提案である!ドルも弱いが円だって決して万全なわけではない。もしも商品相場全体がジム・ロジャースのご宣託通り長期上昇トレンドに入っているのだとしたら、金は先物ではなく1キログラムバーで保有しておいたら如何だろうか?東工取での1枚の現受けで、150万円ほどで1キロバーが受けられる。金を買って手元に置いておきませんか!ちなみに当方も1キロだけなら持ってます…(笑)

 …中略…

 結論として当方の相場観は、押し目買い方針に変化は無いだろう。また金を現物で保有したい方は、是非ご連絡をどうぞ!田中貴金属などの大手貴金属商などで買うよりも、中田で買う方が多少は安く買えます。

 

 

 銀相場は、先週号においては、『そろそろもみ合い上放れの可能性が高いと見る。しかし逆にここで上げ切れなければ、天井観が広がり下落に転じる可能性もあるゆえ、動いた方へ付くのが良いだろう。』とした。

 今週の相場展開は、12月2日には262.2円まで上昇。翌日3日は若干下落するものの、チャートパターンは予想通りにもみ合い上放れの線形となって来ている。

 指標のNY市場においては、2日823.5セントの高値まで上昇したが、引けでは796.0セントと8ドル割れで終了。しかし週末はドル安を受けて前日比8.0セント高の799.6セントで終了している。

 国内銀相場の動きは金などに比べると、比較的円高には大きな影響を受けず、どちらかと言えばNY銀の動きに素直に反応する展開となっている。8ドル台乗せから買い進むのにも若干抵抗はあるが、値頃売りは完全に天井を確認する姿となってからでなければ危険だろうと思われる

 …中略…

 結論として当方の相場観は、東京市場はもみ合い上放れのチャートであり、280円を目指す上昇相場は継続中であろう。押し目買い方針である。

 

 

今週の白金の値動き

 

12月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

11月29日

\2,869

-4

\2,768

-6

11月30日

\2,886

17

\2,797

29

12月1日

\2,878

-8

\2,778

-19

12月2日

\2,894

16

\2,793

15

12月3日

\2,897

3

\2,782

-11

 

 プラチナ相場は、先週号においては、『現状の価格はJ・マッセイ社のレポートでは上限価格。信じるならば絶好の売り場であろう。』とした。

 今週の相場展開は、金・銀相場が特にNY市場で上昇を続ける中でそれに影響されるように、2,700円台後半での小動きな展開を演じる事となった。高値は2,812円、安値は2,758円と狭い範囲での値動きである。

 さて何度も言うがジョンソンマッセイ社がレポートした今後6ヶ月間のプラチナ価格は、1トロイオンス=760ドル〜880ドルでの推移である。

 ただしNY市場においては、このレポートが発表された16日から19日の845.5ドルまで下げ続けたものの、その後今週12月2日まで連続7日の陽線を立てて上昇。11月15日に記録した882.8ドルを上抜く887.0ドルの高値まで上昇している。これは今年4月19日に記録した954.0ドルに次ぐ水準という事になる。

 現状ではジョンソンマッセイ社の予想価格の上限を7ドルオーバーしたわけであるが、これで全く外れてしまったとするのは早計だろう。まだ僅か1%の誤差なのだから…

 さて週末のNY市場は、金・銀がドル安で上昇したのにもかかわらず、プラチナは前日比9.4ドル安の急落となり874.8ドルで終了。週明けの国内換算価格は期近べースで874.8ドル×102円÷31.1035=2,869円となる。約30円ほどの下落が予想される展開である。

 ズバリ国内市場では、先物の2,700円台半ばも下げ渋っていたが、逆に2,800円台もまた上値支えの状況となっていた。週明けからの下落で2,800円が重かったとの空気が広がれば、それが結果的に戻りいっぱいであったという事になるだろう。先の安値である2,728円を下回れば、いよいよ下落相場がスタートする可能性は高いだろう。

 …中略…

 金・銀は確かにファンドが買っているのは事実であるが、プラチナはむしろ売っていると当方は見ている。すぐにではなくとも、早晩ジョンソンマッセイの言うとおり、760ドルまで下がってくるのではないかと見ている理由でもある。

 結論として当方の相場観は、2,800円どころは戻りいっぱいの価格であろう。いずれ2,500円台まで下落してくる相場であると見ている。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

11月29日

\14,960

160

\15,650

-30

11月30日

\14,730

-230

\15,670

20

12月1日

\14,560

-170

\15,480

-190

12月2日

\14,410

-150

\15,190

-290

12月3日

\14,510

100

\15,280

90

 

 先週号においては、『海上運賃の上昇から相場が反発し、チャート線形は買いたくなる相場付きとなっている。しかしこれは単なる誘い水であり、所詮は次の下げのための戻りである可能性が高いだろう。14,000円そこそこを狙った戻り売り方針に変化は無い。』とした。

 今週の相場展開は、29日に15,730円の高値まで戻るものの1日から下落に転じ、2日には15,190円の安値まで下落。週末は15,280円と反発して終了しているものの、チャートパターンはきれいな押し目買いのトレンドから一転して、15,730円は戻りいっぱいとなった姿となっている。

 買い材料は海上運賃の高騰からのコストアップであるが、逆にそれは中国産の出回り予測からシカゴ市場には弱材料となる。円高が進行中の事もあり、それよりも何よりも米国・中国ともに大豊作下の相場展開であるゆえ、所詮戻りは一過性であるとのコメント通りの相場展開が続いているわけである。

 週末のシカゴ市場は、売られ過ぎ感からテクニカルな買戻しが出て前日比3.75セント高の196.25セントまで上昇しているが、一方では大幅な円高となっているため東京市場の週明けが買われる事は無いだろう。

 なお10日には米農務省発表があるわけだが、その辺で駄目押しの下げが出て最後の投げが誘われ、その辺がある程度の大底圏になるのではなかろうかと考える。

 …中略…

 

 一方の大豆に関しては、さび病で買われた分だけ逆にコーンより悪くなってしまったようにも見える。一部商社筋は今週1日より売り玉の手仕舞い〜新規買いに動き始めてきたようではあるが、それで底入れ〜上昇と言うよりは、下げのスピードが緩むだけとの見方もある。

 さび病もそれで買われるというよりは、シカゴ市場ではそれで輸出低下に繋がるとの見方も台頭し始めており、10日の米農務省発表では期末在庫の上昇修正と輸出の下方修正があると見られている。

 ゆえにまだ戻り売りの範囲は出ないものと想定される。

 結論として当方の相場観は、10日の米農務省発表前後まで下がる可能性が高いだろう。戻り売り方針に変化は無い。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

12月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

11月29日

123.9

0.9

123.5

-3.5

11月30日

123.0

-0.9

124.4

0.9

12月1日

123.6

0.6

122.0

-2.0

12月2日

122.1

-1.5

123.7

1.7

12月3日

126.3

4.2

126.9

3.2

 

 先週号においては、『週末のストップ高は初戻りであり、下げ幅の3分の1戻しのライン。相場は底を打っておらず、ここは格言どおり『初戻りは売り!』の戦法が良いだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、週明け29日の寄り付き129.2円が戻りいっぱいとなりその後急落。しかし2日に118.7円で寄り付いたところからは逆に急反騰となり、週末は126.9円まで上昇して終了している。

 さてこのところの相場を振り返ってみると、10月13日147.9円を天井とした三尊天井型チャートの完成から140円台を割り込み、その後ファンドの大量売りによって一気に相場が崩されて20円あまりの急落。11月25日には116.8円を記録して、高値からは31.1円幅の下落となった。

 しかしその後は売られ過ぎ感から11月29日までの僅か2営業日で129.2円まで12.4円幅の上昇となり、一気に3分の1戻しを達成。しかし初戻りは売りの格言通りに再度120円割れとなり、その後反発して週末を迎えたわけである。

 さてファンドの大量売りであるが、今までのゴム市場ではせいぜいファンドの建て玉枚数は6,000枚程度という実績であったのだが、今回は一気にピーク時には18,000枚ほどまで売ったと見られており、商社筋・シッパー・地場玄人筋らが向かって買っても完全に崩されてしまったのであった。

 ファンドの売りは素直にチャートトレンドに沿ったものと考えられるが、それに向かった筋は輸入採算から見て割安すぎると言う事がその根拠。物である限り採算はあるわけだが、世界で一番安いゴムとなった東京市場を買う行為は、ファンダメンタルズでは当然の事。しかし結果は見ての通りであった…

 …中略…

 内部要因からはまだ売り方・買い方双方の戦争は続いていると言って良いだろう。またチャートでは下値大波乱のもみ合いであるが、戻り頭の129.2円を突破しない限りは、未だ戻り売り有利と見られる。

 週末現在の輸入採算は、12月積みで132.8円。採算から見ればマイナス10円の122.8円以下は明らかに売られ過ぎになるが、逆に132円に接近すればヘッジ売りが出る事にもなる。

 結局のところ11月25日に記録した116.8円は底である可能性が高いが、逆に11月29日に記録した129.2円も戻りいっぱいであると見られ、このレベルでの逆張り波乱相場が続くのだろうと思われる。

 結論として当方の相場観は、120円台での逆張り乱高下の相場展開となるだろう。下値はファンドがどの程度売ってくるかであり、戻り売り主体の逆張り戦法が良いと見る。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

1月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比 

11月29日

\12,880

-410

\14,080

-590

11月30日

\13,280

400

\14,580

500

12月1日

\13,430

150

\14,720

140

12月2日

\13,390

-40

\14,720

0

12月3日

\13,380

-10

\14,660

-60

 

 先週号においては、『ファンドの買い気が強いうちは、敢えてその方向に付いて置くのが良いだろう。押し目買い方針に転換である。』とコメントした。

 今週の相場展開は、2日には14,880円と11月16日の最高値である14,890円まで急接近する価格まで上昇。週末には若干反落して終了しているものの、上昇トレンドは維持して終っている。

 ともかくこの相場はファンドが買っている状況であり、普通ならば11月16日に14,890円を記録したあと1,000円以上の暴落陰線を入れたのだから売り転換してもおかしくないのだが、ゾンビのようにまた立ち直ってくる展開は不気味。

 12,000円どころなら買いたい人も多いだろうが、今の14,000円台では怖くて買える人は少なかろう…いわゆる安値覚えになっている相場と見られ、案外このまま今年の最高値である15,810円まで駆け上がって行く可能性が強いのではなかろうか。

 もちろん相場は1,000円以上の大幅順ザヤであるし、また国内では円高到来、またコーヒー自体には来年裏作という以外に何か特別な強材料があるわけでもない。認証在庫が減少するのは冬場の需要期ゆえ当然の事であり、強材料としてはやし立てるほどの事だろうか?

 そう考えれば所詮は戻り売り相場と見る事もできるのであるが、大衆人気が売りに偏ってしまえば逆に上がるのが相場であり、安易な値頃売りは危険だろう。

 …中略…

 さてNY市場においても、中心限月の3月限はすでに100セントの大台乗せである。陰線が入ったところがすべて買い場となっているチャートとなっており、これは明らかにファンド主導型の相場展開の特徴である。

 週末発表されたCFTCによる11月30日現在のファンドの建て玉は買い43,466枚(前回発表時より6,327枚増)、売り14,213枚(同1,911枚増)となっており、ネットで29,253枚の買い越しである

 おおよそ25,000枚が今まではファンドの買い越しのピークであり、そこまで買い上げた後は大概ファンドの利食い売りで相場が急落して来たのが今までのパターン。しかしこのところの相場展開は、原油・金・穀物・ゴムに至るまですべてファンドの言うとおりに動いて来たわけであるし、そのロットも今までとスケールが違うものとなっている。今までならピークでも、このまま3万枚、4万枚と買い越して行けば、相場のスケールも今までと違って来よう。

 結論として当方の相場観は、ファンド大量買いの相場には、素直に提灯を付ける方が無難か…円高などで急落した場面を買い拾う作戦が良いだろう。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス info@higenaka.com

 

戻る