商品市況展望

平成17年2月20日記

 

 会員からは様々な質問を受けるわけだが、今回以下のようなメールを頂いたので、このレポートにてちょっと解説してみたいと思う。

 いつもお世話になっております。5月からの商取法改正についてお尋ねします。

「取引員の純資産額要件」というのがあるそうですが詳細を教えて頂けないでしょうか?某HPには、かなり厳しい要件で取引員の存続に影響するように書いてありました。

また、存続が難しい取引員は何処でしょうか?答えにくい質問でしょうが、無理の無い範囲の中でお願い致します。 

 5月1日から施行される改正商品取引所法には、取引員に対する財務規制として、純資産規制比率が導入される。これは純資産保有額を、自己玉リスクの合計額と委託玉リスクの合計額を合算したもので除し、100倍して求める。法では120%以上の保有が義務付けられるが、省令により140%を下回った場合には、主務大臣へ営業日ごとに比率を届け出なければならない。

 さてこれを見ても、一体何の事かさっぱり判らん人が多いのではなかろうか?まあ簡単に言えば、東京ゼネラルのようにいきなり倒産されては困るので、お金が無いところはあまり売買してもらっては困ると規制するわけだ。

 特にこの比率を求める上では、自己玉が重くのしかかってくる。主務省は自己玉を委託玉に比べて市場リスクが高いと判断しているため、現状すでに各社とも自己玉を減少させる傾向となっているようだ。

 一般投資家の皆さんにとっては、それこそこのような取引員に対する規制は、突然取引員が(取引会社の正式名称)倒産してお金が返って来なくなるなどの事態がなくなるわけであり、むしろ安心感が出て良いのではないかと思う。

 しかしこの純資産規制比率の導入と同時に新規勧誘に対する規制なども盛り込まれているため、これによって市場の流動性は明らかに低下する事は避けられないだろう。取引員にとっては経営の妙味が低下する可能性はある。

 そうであれば、儲からないならもうやめた!となるところが出る可能性は無きにしも非ず…厳しい見方をする業界紙では、現在の専業型取引員80社はせいぜい20社しか残れないとの意見も出ている。

 我々外務員の間でも、どこどこが危ないなどの話題は出ないわけではないが、一方で楽天・松井証券のドットコモディティなどの参入に見られるとおり、買収による参入や合併などで捨てる神あれば拾う神ありだろう。企業の淘汰は昔からあることであり、商品先物と言う世界が世の中からなくなるわけでは無いゆえ、特に問題は無いだろうと当方は楽観的に見ている。

 ただ顧客にとって企業の業務停止は、例えマイナス勘定だろうがそこで建て玉を処分しなければならないと言う問題があるわけで、それが嫌なら売買高・取組高ランキングで80社中下から30社程度は避けておくくらいで如何か?

 ともかく楽天・松井辺りから大挙して素人投資家に参入してもらえれば、言う事はなし。現在は巨大ファンドと戦って、しかもなかなか勝てない市場になってしまっているゆえ、負けてくれる素人の参入は大歓迎だ!(笑)ゼロサムゲームの世界ゆえ、負けてくれる人がいないと勝つことも出来ぬ。中にはネットじゃ勝てぬと、こっちに来る人もいるだろうしねえ…

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

2月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

2月14日

\25,840

320

\25,440

590

2月15日

\26,060

220

\25,760

320

2月16日

\26,090

30

\25,850

90

2月17日

\26,350

260

\26,350

500

2月18日

\26,440

90

\26,210

-140

 

 まずは原油から…先週号においては『現状ではまだ戻り売り有利の相場展開であろうと考えるものの、ファンドの動向と内部要因の変化には注目。9日の安値で底打ちしている可能性も考えながらの対処が必要だろう。』とした。

 今週の相場展開は、17日には26,420円の高値まで上昇。結局9日の安値24,400円は底値のような形となって、2,020円幅の上昇を演じる事となった。

 1月26日26,600円から2月9日24,400円まで2,200円下げた相場であったが、半値戻しの1,100円幅である25,500円を抜けた事によって、ほぼ全値戻しとなってしまったと言える。まだ26,600円や昨年10月の高値27,350円は上値抵抗線となって残っているものの、これらを超える下げ幅の倍返しの上げとなる24,400円+4,400円幅の上昇となる28,800円目標と言うのも考えて置かざるを得ない。

 正直言って、現状の全米原油在庫には不安感は無く、現状の48ドル台から大きく上昇する事を想定するのは理論的には無理がある。それでも下がらぬ相場となっているのだから、市場には別の大きな力が働いているとしか言いようがない。結局、世界的な需要の増大という本当にそうなんだかどうか判らぬような漠然とした、しかし潜在的にもの凄い不安感を巻き起こすような材料で上がっているという事ではあろう。

 …中略…

 なお国内市場の週末現在の自己玉は売り7,217枚、買い6,314枚と差し引き903枚の売り越しである。今週17日にやっと途転売りになっており、内部要因から見ればまた変化が生じている。

 …中略…

 ファンドはまだ買ったままのようであり、後はこれがどう動くかだ。ただし一応は踏み一巡から、下げが先に出てもおかしくは無いと見えるが…下げた場合の下値目標は、3分の1押しで25,750円どころ、次に半値押しの25,410円、そして2月9日の24,400円と考えれば良いだろう。

 結論として当方の相場観は、国内市場の内部要因からは目先の調整安が先に見える。しかし本当にそろそろ天井なのか、単なるもみ合い相場なのか、それとも上値突破の大相場に発展するのかの判断は難しく、結論まではしばの猶予を頂きたい。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

3月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

2月14日

\38,330

730

\37,870

H900

2月15日

\38,480

150

\38,290

420

2月16日

\38,320

-160

\39,130

840

2月17日

\38,360

40

\40,030

H900

2月18日

\37,950

-410

\39,970

-60

 

 続いてガソリンです…先週号においては『とりあえずの下値目標は達成したが、次の戻りがどこまでかを図る時期と見る。』とした。

 今週の相場展開は、週末にはNY原油安にも関わらず後場遅くに一時40,070円の高値まで上昇。結局2月9日の安値からどこまで戻るかではなく、下げた分をほとんど戻してしまった展開で終了である。

 特に今週はシステムトラブルが2日連続で発生したが、内部要因ではファンドがとにかく壮烈に買いまくった。1月25日40,400円から2月9日36,390円までの4,010円幅の下げに対しての単なる戻り!と考えていた売り方は、あらかた踏まされた展開となった模様。

 今週の全米石油在庫の発表では、事前予想以上に原油・ガソリン在庫は大幅増。灯油を含むディスティレート在庫は減少であるが、これから春を迎える中で当然使わぬ灯油は生産調整が行なわれて減少するのが普通。それでも何だかんだと理由を付けて実際上昇するのだから、この相場は始末に終えない。

 ともかく三菱Fのポジションを記すと…中略…

 週末現在のスポット価格は36,300円〜36,900円となっており、先週と比べ100円安17日の輸入採算は41,900円と7日比で2,800円高である。

(時事通信社発表の海上渡し価格より)

 輸入採算はシンガポール市場の旧正月中に、原油価格が急騰したためあっという間に4万円台を大きく超えてきた。

 2月12日時点のガソリン在庫は237.7万klと前週より2.4%の増加。これを見れば全米ガソリン在庫とともに、国内にも需給不安は全くない事が判る。

 それでも3月限が来週いっぱいで納会してしまえば、今度は需要期の4月限が頭に廻って、それはグレードの高いサルファーフリー・ガソリンだ。それに対する過剰人気なのか?ファンドの踏み上げ狙いの買いなのか?それとももっと何か裏があるのか?

 いずれにしろここで上げ止まらず、1月25日に記録した40,440円を突破して行くようならば、昨年11月末に記録した41,700円は完全に視野に入る展開となるだろう。それどころかNY原油が50ドル台乗せならば、ズバリ43,000円台は軽くあると見ている。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、需給面からの後押しは無いものの、ファンドのパワーで一段高は必至か。41,700円で済まずに、43,000円台まで駆け上がる可能性も否定できない。

 

 

今週の灯油の値動き

 

3月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

2月14日

\40,010

910

\33,910

H900

2月15日

\40,320

310

\38,290

420

2月16日

\40,210

-110

\35,000

460

2月17日

\40,600

390

\35,710

710

2月18日

\40,350

-250

\35,510

-200

 

 最後に灯油です…先週号においては『荒い相場展開ではあるが、原油価格に対し割安過ぎるか適正かを考えながら相場を張る場面だろう。基本的に戻り売りだが、割安ならどうしても反発する事は仕方の無い場面と見る。』とした。

 今週の相場展開は、原油・ガソリン相場の上昇とともに17日には35,880円の高値まで示現。9日の安値32,070円からは、3,810円幅の上昇となっている。

 基本的には戻り売り相場!との相場観で来ているこの灯油相場であるが、この期に及んで相場観は180度転換である。来週中に大下げしなければ、3月限納会の後は次の需要期の在庫投資限月となる9月限が発会するため、相場展開は一気に変わってしまう可能性は高い。

 昨年の9月限は8月限と比べ600円〜900円ほど順ザヤで発会後は動いており、仮に900円の順ザヤでスタートしたとしたら、2月17日の高値35,880円+900円で36,880円と1月28日の高値36,870円を抜いてしまう。更に昨年11月29日の37,120円を突破すれば、相場は青天井化する可能性も否定できない展開になるかもしれない。

 ともかく先週号でコメントした『もっともすでに4,800円下げたのだから、3分の1戻しで1,600円幅の上昇であり、半値戻しなら2,400円幅の上昇である。仮に32,070円が目先の底とするならば、それぞれ33,670円、34,470円は戻りの許容範囲となる。』という価格を簡単に抜いてしまったわけであり、これでは売り方としては参りました!と言うしかなかろう…

 …中略…

 さて今週も東京市場のファンド機関店・三菱Fの動きである。…中略…これでもか!と言った感じでファンドは買いまくっている

 週末現在のスポット価格は42,200円〜42,800円となっており、先週と変わらずである。17日の輸入採算は42,600円と7日比2,400円高である。

(時事通信社発表の海上渡し価格より)

 シンガポール市況は、旧正月中の原油高を背景に大幅高となっている。

 2月12日時点での在庫は、前週比8.6%減253.8万kl7週連続で減少。これでもまだ前年同期からはまだ多い水準ではあるが、当方の田舎である青森など19年ぶりの豪雪となっている。過剰在庫からの下落は、もう過去のものとなったか…

 …中略…

 結論として当方の相場観は、押し目買い相場に転換してしまった。9月限発会後に37,120円を突破して行くようならば、相場は青天井となる可能性もあろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

2月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

2月14日

\1,427

19

\1,430

16

2月15日

\1,434

7

\1,436

6

2月16日

\1,435

1

\1,441

5

2月17日

\1,437

2

\1,442

1

2月18日

\1,446

9

\1,450

8

 

 金相場は、先週号においては『相場観を完全に修正する必要あり!まずは1,444円を突破できるかどうかが鍵だが、抜ければ1,470円までの上昇は有り得るだろう。』とした。

 今週の相場展開は、週末には高値で1,452円まで上昇7日の安値1,388円からは64円幅の上昇を演じる事となっている。

 現状では1月17日1,385円と2月7日1,388円とのW底型チャートとなっており、1月27日の戻り高値1,429円を突破し、更には強い抵抗線である1,444円も突破した姿は、完全に上昇トレンドに乗っている姿である。次の抵抗線である1,470円どころまではこのまま上げ続ける可能性は高いか…

 米国市場3連休前の週末の立会いは、前日比0.2ドル安の428.4ドルで終了。為替は105.57円となっているため、週明けの東京市場予想換算値は

428.4ドル×105.57円÷31.1035=1,454円である。

 金自体の材料としては、米議員がIMFの金準備売却に対して反対した事が上げられるが、それ以上にこのところ再びCRB指数が上昇しており、インフレ懸念が高まっている事が強材料視されているものと思われる。

 もっともNY金の日足チャートでは、458.7ドルからの3段下げは411.5ドルで終了しているものの、一目均衡表はまだ雲の下にある。そろそろ雲の中に入りつつあるものの、これを抜けて相場となるかどうかはもう少し時間を置かねば判断できないだろう。

 当然国内市場も同様の形であり、1,500円台乗せまで上昇できるかどうかは、今のところはまだ疑問あり!である。高値飛び付き買いよりは、やはり押し目買いが良いだろうと思われるところ。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、大相場に繋がるかどうかまでの判断はまだ難しいが、CRB指数の上昇などインフレムードが後押しして、押し目買い有利の展開は続くだろう。

 

 

 銀相場は、先週号においては『ストップ高連発の可能性が非常に高い。相場の流れは、いきなり変わってしまったとしか言いようがなかろう。』とした。

 今週の相場展開は、国内市場3連休中に米国市場で大暴騰したため、週明け14日・15日と2日連続バリバリのストップ高でスタート。3日目にはようやく商いが出来たが、そこで寄り付き後に一度下落するものの、結局週末まで上げ続けて248.5円の高値を示現

 連休前の安値である2月8日218.8円からは、あっという間に30円弱の大暴騰である。荒法師と言われる銀相場の怖ろしさを、まざまざと見せ付けられた展開であった。

 あっという間の大暴騰で、昨年10月から12月頭に掛けてのもみ合いのレンジまで戻ってきたわけであるが、上昇のスピードが速すぎるため今さらもう買えない。かと言って売るのもまだ危険であり、激しすぎる相場は手出し無用と考えるのが妥当だろうと思う。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、まだ売るのは危険だが、今さら買ってもリスクが高過ぎるため、手出し無用の相場と考える。

 

 

今週の白金の値動き

 

2月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

2月14日

\2,924

26

\2,862

32

2月15日

\2,890

-34

\2,825

-37

2月16日

\2,905

15

\2,835

10

2月17日

\2,896

-9

\2,829

-6

2月18日

\2,901

5

\2,838

9

 

 プラチナ相場は、先週号においては『2,900円台乗せに向かって上昇中の相場と見る。まだ押し目買いの展開は続くと見る。』とした。

 今週の相場展開は、15日には2,884円まで上昇したものの、その後ジョンソンマッセイの需給報告を前に大きく反落。まるで発表の内容が漏れていたかのような相場展開であり、16日には2,791円と2,800円の大台割れ。しかしその後はまた反発に転じ、2,800円台前半での動きで終了している。

 さて日本時間15日夜に発表されたジョンソンマッセイ社の需給報告は、従来どおり需給緩和見通しの弱気な内容となった。南アの供給増が需要を上回り、予想価格レンジは760ドル〜880ドルと据え置かれた。

 これは為替相場を105円と設定するならば、国内価格では2,565円〜2,970円という事になる。仮に円高で100円ならば2,443円〜2,829円。円安で110円ならば2,687円〜3,112円である。

 現状の2,800円台ではどちらかと言えば上限に近いわけであるが、昨年秋に同様の発表がJマッセイ社から出された時も一時的に売られたものの急反発した事周知の通り。基本的に買える相場展開ではないのだが、下がればまた復活するゾンビのような相場展開だ。

 チャートによって目先の相場展開を予測すれば、2月1日2,887円と15日2,884円でWトップを打った相場だが、まだ12月10日2,674円を底とする上昇トレンドにはかろうじて乗っている。おそらく15日の2,884円と翌16日の2,791円との間の三角持ち合い入りする可能性が高く、最終的にはそれをどちらかに放れた方に相場が動くと見るのが妥当だろう。

 …中略…

 プラチナ自体の材料を見れば売りたくなる。チャートを見ればもみ合いに見える。内部要因を見れば買い方有利に見える。

 結論として当方の相場観は、Jマッセイの需給報告は弱気の内容だが、すぐの急落も可能性は薄いので三角持ち合い入りとなるだろう。よってしばし様子見の展開が良いだろう。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

1月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

2月14日

\14,830

-220

\14,950

250

2月15日

\14,080

-750

\14,990

40

 

2月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

2月16日

\15,030

-110

\15,130

 

2月17日

\15,360

330

\15,520

390

2月18日

\15,490

130

\15,490

-30

 

 先週号においては『目先はファンドの買戻しで上昇すると予測する。先週末の動きとこの連休中のシカゴ市場の動きで、相場のトレンドは変わったと判断したい。』とした。

 今週の相場展開は、3連休前の急騰から上げ始めた相場展開の流れを受け継ぎ、ファンドの買戻しなどを交えながら先物は週末15,690円の高値まで急騰する展開となった。

 下値もみ合いの2月前半の価格からは、短期間でおおよそ1,500円ほどの上昇となったゆえ、スピード調整の押しは入るかもしれない。しかしいずれにせよ、相場は14,000円どころで底を打ったと考えて良いだろう。今年の穀物相場が大相場に発展するとまでは考えていないが、天候相場に向けてもう少し水準を切り上げても不思議ではない。16,000円台はあっても良いと考える。

 さて相場上昇の要因であるが、コーン自体に明確な買い材料があるわけではなく、ファンドの買戻しと海上運賃の上昇がその主因。シカゴ相場もなべ底のような形で2ドル台は回復してきているが、まだ底値もみ合いの域は出ていない。210セント台まで上昇して来なければ、今までの底値圏の横ばいから変化してきたとは言えない。

 しかも作付前に農家の換金売りが出始めた事や、アルゼンチンの豊作観測、中国のアジア諸国への輸出、米農家は大豆のさび病からのコストアップを嫌いコーンの作付を増加させる観測など、どちらかと言えば弱材料だらけである。

 しかし内外ともに大幅に売り越すファンドは、所詮空売りゆえ弱材料だらけのうちに買い戻す必要がある。強材料が出てからでは、買い戻そうとしてもストップ高で出来ないケースもあるゆえに…

 そんな中で国内市場においては、ファンド機関店…中略…

 またシカゴ市場のCFTCによるファンドの建て玉報告は、2月15日現在で買い80,890枚(前回発表より7,473枚増)、売り165,545枚(同22,137枚減)となっており、ネットで84,655枚の大幅売り越しである。

 ファンドの売り越し減少は、3万枚近くに及んでいる。このパターンが続くようならば、材料は無くても高い相場展開になる可能性はある。

 

 一方大豆に関しては、シカゴ市場では明らかにコーン相場よりも強い展開だ。ブラジル南部でのドライな天候から単収の低下や収穫遅延が検されるようになってきており、更にはさび病の関係から生産がコストアップに繋がるとの懸念から、米農家は大豆の作付を減らしてコーンに転作するとの見方が出てきているからだ。

 国内市場では、どうしてもコーンの動向に左右される事は否めないが、28,000円割れでの逆三尊の底入れは確定しており、押し目買い方針で良いだろうと考える。

 

 結論として当方の相場観は、コーン相場はファンドの買戻しがだいぶ終了したが、もう少し上値は残っているのではあるまいか。三井Fの1月限の売り玉と三菱F11月限の売り玉に注目である。大豆相場は、シカゴ市場の後押しもあるゆえ、コーン相場よりもさらに若干強いと思われる。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

2月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

2月14日

133.1

0.8

143.0

-1.3

2月15日

131.7

-1.4

138.6

-4.4

2月16日

131.9

0.2

141.2

2.6

2月17日

132.1

0.2

139.0

-2.2

2月18日

131.2

-0.9

138.3

-0.7

 

 先週号においては『未だ上げ続ける相場展開ではあるが、ファンドの買いがピークに達すれば逆に下がるだろう。天井は近いと見る。』とした。

 今週の相場展開は、週明け14日には高値で146.9円まで上昇。しかし大引けでは9日の高値から2日連続安となり、16日には136.7円まで高値から10円強下げる事となった。

 昨年10月に記録した147.9円を上回らずに値を消してきた事で、急速に天井感が台頭して来ている状況でもある。結局ファンドが大量の売り玉を途転買いに転じたところから、一転して下げ始めたという事だ。

 週末現在の輸入採算は、3月積みで約144.3円。採算ラインを上回ったところで採算天井となり下げているが、ファンドの買いに対して売った商社・シッパーの勝ちという事か。ただし彼らは、大幅に採算より安くなれば今度は買うだろう。ただし期待された旧正月明けの中国の買いは見られず、減産期入りとはいえ産地価格は上がって来ていない。

 さてファンドの動向であるが、…中略…

 一方でファンドが売り方だった時に買い方だった商社・シッパー機関店は、…中略…

 結論として当方の相場観は、146.9円で天井は確認したと見る。しかし輸入採算から10円以上の下落はファンドの投げが更に出る必要があり、目先は逆張りの展開に変わっただろうと見る。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

3月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比 

2月14日

\18,540

90

\20,330

-20

2月15日

\18,040

-500

\19,670

-630

2月16日

\18,840

H800

\20,470

H800

2月17日

\19,400

560

\21,170

700

2月18日

\19,170

-230

\21,090

-80

 

 先週号においては『今までのようにともかく買え!というコメントからは若干ニュアンスを変えて、押し目買いの相場展開としたい。来るか来ないかは断言できないが、調整安が到来した方が好ましいと考える。』とした。

 今週の相場展開は、15日に2万円割れとなる19,670円まで下落するものの、翌16日にはすぐにストップ高の切り返し。結局週末には一時21,200円と新高値更新である。

 強烈な上昇相場は、押しを入れても2日間の2手押しがすぐに買い場となっており、高値警戒感も台頭はしているものの上昇トレンドに陰りは無い。相場は万人が強気となれば下がるものであり、その可能性が皆無とまでは言わないが、売り方は大体15,000円〜16,000円台ですでに売って掴まっており、そこまでの下げは考えられない。幾ら下げても18,000円台がせいぜいだろうし、下値3,000円でも上値はまだまだ有り得る。現在120セント弱のNY相場は、今年のアナリスト・トレーダーの予想レンジは霜害なしで85〜225セント、霜害有りで125セント〜250セントである。まだ倍になる可能性を秘めているのだ!

 どう考えても天井形成は、ブラジルの降霜懸念の天候相場期である6月から7月の初夏の頃であると思われ、日柄はまだまだ残っている。大相場はまだ始まったばかりと考えるのが妥当だろう。

 さてプレジデントデー前のNY市場であるが、前日比1.00セント高の118.05セントとなっている。高値では118.90セントまで示現だが、チャートは108.70セント〜95.10セントまで押した幅13.6セントの倍返しである122.30セントが目先の目標値である。

 週末発表された2月15日現在のCFTCよるファンドの建て玉報告は買い53,993枚(前回発表より5,867枚増)、売り9,632枚(同3,182枚減)となっており、ネットで44,361枚の買い越しである。

 ファンドの買い意欲は凄まじく、史上最高の買い越しポジションとなった。さすがに何時押してもおかしくないところまで来たわけだが、最近の商品市場は株や為替の世界からファンドがやって来るので、スケールが今までと違う場合もある。普通の相場ならここは売り!だが、単純には考えない方が無難かもしれない。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、押し目買い相場に変化なし。既存のスケールでは図れない大相場であるとの認識は必要だ。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス info@higenaka.com

 

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