商品市況展望 割愛版

平成17年6月19日記

 

 現在日本では、出生率の低下が社会問題となっている。確か現在のデータでは、出生率は1.29まで下がっているはず。

 ただし世界的には、逆に人口増加が大問題だ。昨年の6月現在で世界人口は、63億5,000万人。現在毎年人口はおよそ7,000万人づつ増加していると言われており、1年後の現在は64億人台には乗っているか…

 さて元々人類はどのくらいいたのかを1,000年単位で調べてみると、今からおよそ1万年前の紀元前8,000年頃という氷河期の終わりの時代、いわゆる石器時代であるが、この頃の人口はたったの400万人程度らしい。

 

 千年期ごとの世界人口推移

 

人口

増加率

8,000年B.C.

460万人

 

7,000年B.C.

430万人

 

6,000年B.C.

460万人

6.5

5,000年B.C.

500万人

8.7

4,000年B.C.

700万人

40

3,000年B.C.

1,400万人

100

2,000年B.C.

2,700万人

93

1,000年B.C.

5,000万人

85

1年B.C.

1億7,000万人

240

1,000年A.D.

2億6,500万人

56

2,000年A.D.

60億人

2165

 

 元々は狩猟採集民族であった人類が増加し始めたのは、農業革命が起こった文明期からであり、食べるものがあるから人口は増加したわけだ。

 紀元前3,000年前は、エジプト文明をはじめ世界4大文明が花咲いた頃であり、この頃世界的に農業は広まったと見られ、急激な人口増加が見られるわけだ。その後人口は、ほぼ1,000年期に倍のペースで増加して行く。

 この表の最後の1,000年期である2,000年には、増加率は何と2165%。ただし西暦1,800年までは9億人程度と、増加率はそれ以前までとさしては変わっていない。その後の200年で人口爆発が起こったのである。

 これは皆さんお気づきの事だろうが、1,800年代に産業革命が起こり、強力な機械設備が農業に導入されたためである。化学肥料や新しい灌漑設備、植物の品種改良なども食糧供給量の増加に拍車が掛かったわけだ。

 また医療の進歩によって大規模な伝染病も姿を消し、何よりも死亡率自体も下がったこともあるだろう。

 仮にこの200年間のペースで人類が増加して行くとすれば、この1,000年期が終る西暦3,000年には一体世界人口は幾らになるか?今までの増加率から単純計算すると、何と75兆人になってしまうという…まあ、幾らなんでもそれだけの食料は生産不可能だから、増えないだろうが。

 現代の都市文明は、石油というエネルギーが無ければ何も始まらない。その石油が現在大暴騰しているわけだが、人口増加が続けばそのうち食料も同じような事になる事は必至だろうねえ。日本の出生率の低下なんて、人類の歴史から見ればほんの小さい話じゃないかな。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

6月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

6月13日

\33,870

-240

\33,370

-370

6月14日

\34,670

800

\34,370

H1000

6月15日

\34,670

0

\34,810

440

6月16日

\34,670

0

\34,710

-100

6月17日

\34,910

240

\35,150

440

 

 まずは原油から…先週号においては『東京市場のチャートは新高値更新の青天井であり、明確な目標値を図る事はできない。ただし、現状で高値を買い進む気にはならぬため、どこが天井かを探しての売り狙いが良いと考える。』とコメントした。

 今週の相場展開は、NY市場においては56ドル台まで上昇。さらに週末には、前日比1.89ドル高の急騰で58.47ドル(高値58.60ドル)と史上最高値を更新である。

 現在NY原油は順ザヤ相場となっているため、7月限は上記の価格であるが、12月限などはすでに60ドル台に乗せている。週明けの東京市場はストップ高か、仮に付かなくても限りなくストップ高に近い事が想定される。

 またドバイ原油も52ドル台半ばまで上昇しており、別にNY市場のみが独歩高しているわけではない。相場は完全に青天井の様相だ。

 国内市場は週末現在で、高値は35,240円。もちろん新高値であるが、週明けストップ高ならば36,150円となる。どこまで上がるのかと言われても明確な答えは出せず、言えるのはまだ天井確認はしていないという事のみ。死んだ子の歳を数えてもしょうがないが、NYベース50ドル割れから下げ続けていた時点でこの石油相場は買いだと言っていが、それをそのままにしておいたら…(苦笑)

 天井というのは、ある日突然崩れ始めてから初めて判るものであり、逆張りのレシオである相対力指数が70ポイントを超えたから…などという理由で売る事は出来ぬ。大相場はそこから大きい事が良くあるゆえ。

 一つだけ言えるのは、うまく買い玉を持っている人は、ずっと持っていなさい。売り玉を持っている人は踏みなさい。ポジションが無い人は、様子を見ていなさい。としか言えない相場であるという事だ。

 …中略…

 さて原油自体の材料だが、OPEC総会で増産しようが織り込み済み。全米原油在庫が6年ぶりの高水準でも、将来の原油需要増大が下支え。原油があっても製油所がフル稼働で製品は不足する…だから原油も上がる。など等、ともかく何でも強材料に受け取っているのが現在の市場。

 相場だから何時かは天井を打ち、この狂乱相場のとがめが来るのは当然なのだが、今の時点でそんな事を言っても仕方が無い。多分、世界的に金余りで、皆が商品市場に注目して買いたがっているのだろう。それゆえ、この激流に逆らっても溺れ死ぬだけなのだと言うのが本当のところだろう。

 そんな中で敢えて目標値を挙げるならば、4月5日33,620円から5月19日28,920円までの下げ幅4,700円の倍返しで、ズバリ38,320円が目標値と考えたい。週末終値から、なお3,170円の上昇を残していると見る。

 結論として当方の相場観は、何でもかんでも買い材料とする市場には逆らえぬ。まだ天井ではなく、38,000円台を目指しているとしか言えぬだろう。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

6月13日

\46,370

80

\46,480

-330

6月14日

\47,260

890

\47,480

H1000

6月15日

\47,440

180

\48,730

1250

6月16日

\47,640

200

\48,670

-60

6月17日

\48,300

660

\49,250

580

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『原油・灯油と比較すれば先限新高値までなお3,000円ほど余裕があるため、安易には売れぬ。しかしスポット価格や実際の実需からは、東工取価格の上昇の方が行き過ぎでもある。買いはサヤ取りに限定するのが良いだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、6月17日には高値で49,520円まで上昇。先週末よりなお2,700円ほど上がっており、先限史上最高値である4月6日の49,870円は目前となる価格まで上昇。

 週末のNY原油は急騰しており、週明けの東京市場はおそらくストップ高で寄り付くだろう。そうなると週明けは、50,250円と先限史上最高値の更新という事になる。

 さて一体幾らまで上がるのかであるが、仮に2月から4月の高騰と同様の上げ幅ならば、その時は13,480円上がっているゆえ、ズバリ5月19日の39,550円にそれをオンすると53,030円となる。また前回高値から5月19日の39,550円までの押し10,320円幅の倍返しなら、何と60,190円という事になる。

 全く計算していてもバカバカしくなるような数字であるが、相場というものに値頃感が無用だとすれば、計算上は有り得ぬ数字ではない。

 かつてのオイルショックの頃には、スタンド価格がリッター160円くらいになった事もあった様な気もするが、6万円相場は今のスポットより約2万円高。税金や粗利その他が変わらないなら、現在リッター130円程度のガソリンが150円で売られるわけだ。有り得ぬ話しでは無かろう。

 もちろん6万円台があるとか無いとかを言っているわけではない。逆に週明け以降に暴落するかもしれぬ。ただ現在の相場の動きが、あと1,000円上がったら上場来最高値で天井だとかを決め付けたら危険だ!と言いたいわけである。相場の動きは、値頃感無用で何があっても不思議では無い。

 …中略…

 週末17日現在のスポット価格は43,700円〜44,300円となっており、前週比700円高である。また16日の輸入採算は47,500円と9日比4,400円高である。

時事通信社発表の海上渡し価格より)

 6月11日時点のガソリン在庫は、212.5万klと前週より7.6%減となっている。先高感からの需要で在庫は取り崩され、大型定修中で生産高は落ち込んだ。これから徐々に定修明けとなるものの、スポット価格や末端価格も今後上昇する気配は濃厚だ。

 なお先物市場の急騰はタイムラグでスタンド価格に反映される事が多く、この夏にドライブするのはかなりコストアップとなる事だろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、未だ天井は見えず。ひとまず53,000円を目標に上がり続ける可能性が高いだろう。

 

 

今週の灯油の値動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

6月13日

\45,300

-280

\50,300

-970

6月14日

\45,900

600

\51,300

H1000

6月15日

\47,140

1240

\52,800

H1500

6月16日

\47,000

-140

\52,510

-290

6月17日

\47,310

310

\52,470

-40

 

 最後に灯油です…先週号においては、『週末の急騰で相場は天井打ちしたとの判断。特に期近の7月限〜9月限は、そうなっただろうと考える。』とコメントした。

 今週の相場展開は、先週記録した51,800円を15日の急騰で簡単に上抜き、週末は高値で53,220円まで記録。そこからは若干下落して52,470円の終了であるが、前述の通りNY原油が週末急騰して史上最高値更新となっているため、週明けはまたストップ高でもおかしくはない。

 仮に週明けストップ高ならば、53,470円とまたまた史上最高値更新である。51,800円で天井とした先週のコメントからは、あっという間に1,500円以上の高騰だ。もちろんそれで済む保証も何もない…

 当方が踏まされた顛末は、日々雑感の15日付コメントの通り。相場観の曲がりも言い訳は出来ないが、それ以上にストップロスの設定で切れなかったのが一番の断腸の思い。今週後半は、胃は痛いは頭痛はするは…諭吉(1万円札)がまるで修学旅行並みの人数で、連れ立って旅に出ましたって感じだ。戻って来いよ〜とお岩木山に手を振っても、あれからニシンはどこへ行ったやら〜の北狩挽歌状態。まあこのまましっぽを巻いて引き下がるわけには行かないが…

 ただし、もし自分同様に売って曲がっている人がいたら、曲がり屋の当方が言うのもなんですが、踏む時は天井を覚悟して踏んだ方が良いでしょう。なぜか相場というものは、追証は積めば積むだけお金は無くなります。相場で意地になると、お金どころか命まで無くします。それで助かっても、次回にもっと大きな失敗もします。切ってやり直す!これが一番です。

 …中略…

 週末現在のスポット価格は44,000円〜44,600円となっており、前週比1,300円高である。また16日の輸入採算は54,900円と9日比3,200円高である。

(時事通信社発表の海上渡し価格より)

 6月11日時点での在庫は、前週比0.9%減の195.2万kl2週連続で僅かながらの減少だが、原油高によって先高感が強く、すでに川下の在庫投資がはじまっているとも言われている。

 このままの上昇で行ったら、この冬は一体幾らの高値が出るのだろうと考えてしまうが、それはまだ先の話でどうなるかなど皆目検討は付かない。この夏のうちに高値を出し尽くすのかもしれないし、冬場はパニックになっているのかもしれないし…

 ただし完全に青天井化した相場だけに、まずは節目である55,000円台に向かっていると言えるか。アンビリーバブルな高値だが、輸入採算がすでに54,900円となっている事や、NY原油が週末に更に上げている事を考えれば、現実味のない話とは片付けられないだろう。

 更にそこでも止まらない場合は、チャート判断では2月から4月の上昇波動18,310円の上げ幅が5月19日42,210円の押し目底にオンされると、何と60,520円と出る。また4月6日50,380円から5月19日42,210円まで下げた幅8,170円の倍返しなら、ズバリ58,550円となる。あるか無いかは神のみぞ知るだが、安易に売り玉維持するのは危険と言えるか。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、先週の方針は大失敗。まだ灯油相場の上昇は続くだろうと見るのが無難。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

6月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

6月13日

\1,483

17

\1,485

17

6月14日

\1,505

22

\1,506

21

6月15日

\1,501

-4

\1,500

-6

6月16日

\1,510

9

\1,512

12

6月17日

\1,532

22

\1,535

23

 

 金相場は、先週号においては『円安・NY金高の流れが本物かどうかを、来週の動きで判断したい。今はまだ5分5分であるとの見方だ。とコメントした。

 今週の相場展開は、ついに1,500円台乗せとなった相場に弾みが付き、あっという間に昨年12月の高値も突破。これはほぼ13年ぶりの高値となるが、週末は1,535円の高値引けである。

 週末のNY市場は、前日比2.1ドル高の440.0ドルで終了。(高値は441.3ドル)為替は108円53銭となっている。

 週明けの東京市場寄り付き換算値は、

440.0ドル×108円53銭÷31.1035=1,535円となる。(週末と変わらず)

 短期的なチャートではNY金413.2ドル、東京金1,445円で底は入っているとしていたが、NY金の週末の価格は4月26日の直近の高値439.1ドルを突破したものだ。次は3月11日の448.0ドルが目標となり、それを突破したら石油相場のように青天井だ。

 当面は為替水準が現在のところとして、NY金450ドルは有り得るか。そうなると国内価格は、目先1,570円台を目指すだろう。

 材料としてはどこにもまだ出て来てはいないが、原油がこれだけ高値が続いているのだから、ひょっとしてオイルマネーが金に入って来ているのかも。ドル高下でも金が上がっているのは、特にドルが強いというわけでもなく、ユーロも円も弱いゆえに相対的にドルは上がるが、産油国はドルもあまり信用していないので金を買っている…何てシナリオも十分有り得るか?

 先週は先行き上がるか下がるか5分5分とした相場観は、1,500円を割らずに今週後半推移した事で、どうやらこの上げは本物と考えるのが無難だろう。この相場が大天井を打つまでは、1,500円割れはもう無いかもしれない…

 …中略…

 結論として当方の相場観は、まずは1,570円を目指して押し目買いの相場展開と見る。1,500円割れは遠のいたかもしれない…

 

 

 銀相場は、週末の高値は253.8円であり、6月2日に記録した253.9円とほぼ並んだ。金に先駆けて大きく上がり、その後金相場が付いてきたので小休止している姿に見えるが、10日の安値246.4円まで下げたところから簡単に切り返す展開は、これも売り相場では無いようだ。

 …中略…

 貴金属相場の上昇が本物ならば、ファンドはヘッジのために金買い・銀売りにしたり、逆に金売り・銀買いにしたりしながらも、スパイラルに上昇を演出して行くのかもしれない。

 

 

今週の白金の値動き

 

6月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

6月13日

\3,045

25

\2,961

24

6月14日

\3,068

23

\2,978

17

6月15日

\3,070

2

\2,979

1

6月16日

\3,095

25

\3,000

21

6月17日

\3,116

21

\3,020

20

 

 プラチナ相場は、先週号においては『そのうち大化けするかもしれないので、押し目買い一貫での対処。とコメントした。

 今週の相場展開は、金相場の上昇とともに急騰の展開となり一気に3,000円台の大台を奪還。週末には3,038円の高値まで出る事となった。

 6月2日に記録した高値2,980円から10日の安値2,925円まで55円調整安を入れた相場は、あっという間に倍返し(110円高で3,035円)を達成した。相場リズムとしてはここで一押し欲しいところだが、それで週末は高値から18円の下げを入れて3,020円で終了したのだろう。ただし3分の1押しを入れても3,000円はキープするものと思われ、この相場はひょっとしたら大化けする可能性も高いだろう。

 その根拠は、ともかくファンド機関店の買いが尋常では無いという事。週末現在でのファンド機関店…中略…

 一方で売っているの大衆筋と商社筋。…中略…

 商社筋の売りが多いために自己玉も売り越しだが(商社売りは自己に計算されるため)、おおよそ大手商社は片張りで市場参入している事は無く、例えばチューリッヒ市場などでヘッジしているはずだ。商社担当者だってサラリーマンであり、社内規定もあるだろうし、数千枚の玉をショートして飛んだら首だ。絶対片張りなんぞ、会社がさせるはずは無いだろう。

 それゆえ商社売りは過大評価出来ない。またそれ以上に不穏なのが、商社売りは先物2本に集中であり、期近は逆に買いになっている事。ちなみに売り筆頭の○○の限月別ポジションは、…中略…

 ともかくこの相場のチャートは年初来、階段のように積み重ねた形で右肩上がりの状態だ。NYベースでも16日は、今までの850ドル〜880ドル台でのもみ合いを放れる様に892.0ドルまで上昇している。さらに週末は、高値で905.0ドルまで記録した。

 元々、ジョンソンマッセイの予想価格レンジは830ドル〜930ドルであり、前回予測からは50ドル上値を上方修正していた。ただし今までは、なかなかその上限価格にすら届かぬ状態であったが、今度は上値をぶち抜いてJ・マッセイ報告が曲がるケースだって有り得るだろう。

 ともかく原油を中心とした商品相場の高騰に、内部要因その他から見て一番近いのはこのプラチナ相場だろう。年後半に向けて、大きく舞い上がる予感があり!

 結論として当方の相場観は、内部要因から判断して、大相場到来の予感あり!押し目買い一貫の相場展開となるだろう。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

7月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

6月13日

\15,050

-130

\15,600

50

6月14日

\15,000

-50

\15,640

40

6月15日

\14,250

-750

\15,910

270

 

9月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

6月16日

\15,380

80

\16,040

 

6月17日

\15,230

-150

\16,000

-40

 

 先週号においては『大暴落があるとまでは思わぬが、目先は軟調な戻り売り場面が続くだろう。取り組みの整理が続くと思われる。とコメントした。

 今週の相場展開は、コーンは週明け13日に15,400円まで下落してスタートしたものの、その後急反騰。発会した7月限は16,170円の高値まで一度記録し、その後16,000円を挟んだもみ合いの展開。

 一方で大豆は大きく上昇し、一般大豆16日に38,600円の高値まで記録。これは今年の最高値37,700円(3月16日)をクリアする新高値である。またNON−G大豆は週末17日に40,940円まで上昇。これももちろん今年の最高値更新である。

 コーンの上昇の要因は乾燥懸念であり、前週末の雨も予想を下回るもので、中期的な高温乾燥気味の予想を強材料視したものだ。もっとも作柄は改善されており、実際的には大きな買い材料となるほどのものでは無いだろう。多分に大豆の急騰につられた面は大きい。

 しかしコーン自体のファンダメンタルズで見れば依然戻り売りとしても、原油高・貴金属高の商品全体の流れから見れば、ただ単純に戻り売りと言っているのは危険かもしれない。今の商品市場は、穀物市場にしても伝統的な穀物の投機筋や商業筋だけではなく、指数連動型ファンドという巨大資金が入る市場だからだ。買えば儲かるような商品相場の地合いがあるとすれば、値位置の低いものへの循環買いが入る可能性は高いだろう。

 そんなファンドの買い食指が動きそうな話題が、米国上院で可決された2012年までのエタノール燃料増産計画法案である。原油高の影響は、生産には影響なくてもコーンの需要面を劇的に変える可能性も否定は出来ない。

 …中略…

 さて一方で東京市場だが、シカゴ市場と比べて軟調なのは、フレート(海上運賃)が下落しているためだ。ガルフ〜日本間は50ドルの大台を割り込んでいる。これが10ドル動けば、単純に今の為替では1,100円ほど国内相場は下がる事となる。今月の納会で急落したのを見ても、どうも内部要因やサヤからは弱みが残るところ。ファンドが大きく買って来るような展開になれば、また変化もあるだろうが…

 

 一方で大豆だが、シカゴ市場では完全に7ドル台乗せの相場展開となり、大きなもみ合いを上放れした形だ。

 それ以前の高値である3月16日691.75セント〜安値で600セントそこそこまで下落して7ドル突破は、倍返しなら780セント辺りまでの上昇が見込めよう。週末のシカゴ市場も前日比23.25セント高の急騰で、724.00セントまで上昇して終っている。

 元々さび病の問題、コーンと比較すると明らかに窮屈な在庫状態などを勘案しても、相場が出るとすれば大豆であると言い続けている。完全にそれが現実のものとなってきたと受け取るのが自然だろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、大豆は押し目買い一貫。コーンは16,500円どころがあれば、戻り売りを考える相場展開と見る。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

6月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

6月13日

160.8

0.0

149.4

-0.2

6月14日

162.6

1.8

152.7

3.3

6月15日

162.0

-0.6

152.6

-0.1

6月16日

157.5

-4.5

149.1

-3.5

6月17日

161.1

3.6

150.0

0.9

 

 先週号においては『押し目買い一貫の相場展開だろう。とコメントした。

 今週の相場展開は、150円を挟んだ乱高下の展開。特に逆ザヤにいる期近が16日には160円割れの急落となり、翌日の週末にはまた戻して160円台乗せとなる乱高下の動きであった。

 先物は6日の155.0円から乱高下しながら、週末の17日148.5円まで水準を切り下げたが、引けではまた150円ジャストでの終了である。

 当限を中心に一時的に下落した要因は、産地からの船積みの玉が定期につながれたとの噂が広がったためだ。しかしこの情報は、後から否定された。要は皆が強気に転じてきたため、振るい落としの下げが出たという事だろう。

 なお産地タイの減産期が完全に明け、生産は回復してきてはいる様だ。それがこの噂に繋がったのだろうが、原油高などを中心に各商品が強気の市場に支配されている中で、ゴムだけが下げ相場に入るのはどうか?高値飛び付き買いは避けるとしても、まだ押し目買いに分があるのではなかろうか。

 週末現在で輸入換算価格は7月積み169.4円となっている産地価格は下落しておらず、減産期が明けたとはいえ、産地タイの供給は依然としてタイトであり解消されていない。

 ここは素直に『逆ザヤに売り無し!』の相場展開はまだ続く、と見るのが自然だろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、押し目買い一貫の相場展開に変化は無い。特に7月限、8月限の買いに妙味があると考える。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

7月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比 

6月13日

\18,550

-460

\19,960

-420

6月14日

\17,890

-660

\19,830

-130

6月15日

\17,920

30

\19,650

-180

6月16日

\18,180

260

\20,030

380

6月17日

\18,390

210

\19,800

-230

 

 先週号においては『一転して軟調な相場展開に変化してしまった。ただしサヤ状態を見る限り、4月から続いている逆張り相場に再び戻っただけとの判断である。とコメントした。

 今週の相場展開は、19,000円台後半でのもみ合いに突入。安値は15日の19,560円であるが、2万円乗せまですぐ戻ったり、動きの小さな展開に終始。

 指標のNY市場では、6月6日126.75セントから下げた相場が、6月14日に108.50セントまで下落。とりあえずこの安値で止まっていたが、週末のNY市場は前日比1.95セント安の107.60セント。安値は106.60セントまで出ており、108.50セントを完全に割り込んだ。

 原油・貴金属・非鉄・穀物など広範な商品が買われる中で、CRB指数に連動していたはずのコーヒー相場だけ、なぜか頭の重い展開である。1人蚊帳の外だ。

 …中略…

 コーヒーが売られている材料は、産地ブラジルの天候が温暖なまま推移しているため。ただしそれ以上にNY市場の内部要因が大きく、7月限納会を控えて、強気ポジションを取っていたファンドが手仕舞いに動いた事が大きいと見られている。確かにファンドだろうが何だろうが、受けないならば手仕舞いするしかないのが商品市場ゆえに…

 ただ季節的には、7月にはいればブラジルの気温低下も有り得るはずで、然程の急落は無いどころか、場合によって安値売り込みが一転して急騰に繋がる可能性も残っているのでは?

 

 さて東京市場であるが、NY相場の下落とともに軟調な展開を余儀なくされ、6月6日21,800円からすでに約2,000円幅の下落。3月16日に24,820円の高値まで記録し急落した後は、およそ2,000円幅の逆張りで上下しながら3回目の同じサイクルを描いている。

 取り組み内部要因においては、一時は途転買いに転じた商社筋は再び大きく売り越しになっている。特に売っているのは○○と推定され、機関店・○○は週末現在で640枚の売り越し

 圧巻なのは…中略…

 その他の地場筋も、…中略…。

 当先のサヤは1,410円の順ザヤ。現状のサヤで、サヤ滑りを大きく期待は出来ないはずだが…

 だがこの取り組み内容では、まずは5月に記録した19,160円を目指して叩かれるのが先なのかもしれない。当方は下げてもそこまでで、また21,000円台に戻る可能性があると見ており、更に22,000円台乗せとなると一気に地合いは買いに変化するのではと思っている。

 ただ商社筋や歴戦の兵に戦いを挑んでも怖いゆえ、何時でも逃げ出せる大勢で相場を見たい。

 結論として当方の相場観は、下げても19,000円台で支えられると見る。全商品が強基調の中で、コーヒーだけ相場が崩れ去る事は無いとの見方である。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

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