商品市況展望 割愛版

平成17年10月2日記

 

 インドネシア・バリ島にて、またイスラム過激派によるテロが発生。2002年の同島で起きたテロの記憶が冷めやらないうちに、また日本人を含む多数の死傷者が出た模様。

 インドネシアは産油国であり、普通に考えると現在の原油高は利益になるのでは?との考えを持つ人もいるだろうがさにあらず。ガソリンなどの石油製品に対し政府は価格統制を行い、補助金を出して安く押さえて来た。ところが昨今の高騰により、政府は大幅な財政赤字を抱えており、経済破綻寸前である。

 このためガソリン価格を2倍以上に引き上げ、国民の主な交通手段であるバス料金も一気に5割アップとなり、大規模な抗議ストやデモ活動も起きつつあった。そんな中での政府転覆を狙った便乗テロであると思われる。

 またインドネシアは天然ゴムの主要産地でもあり、タイ・マレーシアと合わせて世界生産の70%を占めている。実はあまり大きなニュースにはならぬが、タイにおいてもイスラム過激派との紛争は続いており、ゴム原料生産に障害が出ているという話もある。

 天然ゴムは、ゴムの樹の幹を刃物で傷つけ、沁み出す樹液を幹に縛り付けた器に集めて採取する(タッピングする)のであるが、その作業は夜中の暗いうちに行ない、朝日が昇る前には終了させる。日が昇って暑くなると樹液は固まってしまうからだ。暗い中でテロリストと遭遇するかもしれないところへ、誰も出掛けたいわけはあるまい。

 さらに中国・海南島は先の台風18号で大きな被害を受けており、ここは中国のゴム生産の拠点である。

 原油高騰によって合成ゴムの価格上昇が懸念される中、天然ゴムを取り巻く状況も上記のようなものであり、またまた相場は面白くなったと言えるだろう。

 バリ島での悲惨なテロからゴム相場の買いを連想するなんて、相場師稼業というのはつくづく因果なものだと思わんでもないが、平和を願う心と儲け話はまた別問題だ。なおゴム相場に関する詳しい解説は、下のゴムのコーナーをご覧下さい。

 中東はもちろんイスラム問題だが、ロシアもそう、東南アジアでもそうだとなれば、次は中国・新疆ウイグル地区でも大規模なものがそのうち起きるのだろう。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

9月26日

\39,910

-270

\41,230

L1200

9月27日

\40,290

380

\42,140

910

9月28日

\40,080

-210

\41,440

-700

9月29日

\40,220

140

\42,150

710

9月30日

\40,140

-80

\41,950

-190

 

 まずは原油から…先週号においては『ハリケーンの被害状況を確認してからの相場展開だ。被害が無ければ三尊天井確認〜目先は大きな調整安局面へ、被害が大きく出れば80ドルを目指しての急騰相場となっても驚かない。』とコメントした。

 今週の相場展開は、東京市場は42,000円どころでのもみ合いNY市場は65ドル〜67ドルどころでのもみ合いの展開で終了である。

 NY原油は今回のハリケーン「リタ」の襲来では、前回の「カトリーヌ」襲来時に記録した70.85ドル(8月30日)を抜くに至らず、高値は68.27ドル(9月21日)で止まった。このチャートパターンでは、70.85ドルをトップとして右肩68.27ドル、左肩は67.10ドル(8月12日)とする三尊天井の形には見える。

 もっとも68.27ドルから下げたところは62.65ドル(9月26日)で止まっており、これは70ドルから下げた62.55ドル(9月12日)を下抜いていない。これを下抜けなければ三尊天井形成確定とはならず、逆に68.27ドルを突破して行くようならば、また上昇相場に転換する。さらに70.85ドルを突破すれば青天井だ。

 チャートでは上に抜けた場合の目標値はズバリ79ドル台、下に抜けた場合はズバリ56ドル台を示唆している。市場はどっちに行くのか悩んでいるためにもみ合いとなっているのだろうが、抜けた方に付くのが肝要か。

 材料もどっちに抜けるのかは微妙な情勢だ。

 まずは在庫だが、メキシコ湾岸の原油生産はまだ100%停止しており、今回の在庫発表でも事前予想以上に減少していた。もっとも昨年同期に比べればまだ多く3億バレルの在庫があるゆえ実際の供給不安はない。

 また相場をリードする製品相場に目を向ければ、ガソリンは今回のハリケーンで全米の25%の製油能力がまだ停止中で強材料。ただし需要は価格の高騰で落ちて来ているとの報告もありこれは弱材料。ただ基本的に、フル稼働していても常に精製能力に不安を抱えている状態でもある。

 さらに冬場の需要期を迎える事となる灯油は今のところ在庫はあり弱材料で、一方で競合品の天然ガスは史上最高値を更新で強材料だ。

 以上のような事から現在のもみ合い相場に入っているのは、材料的にも裏付けられよう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、NYベース上値抵抗線68.27ドル、下値抵抗線62.55ドルである。強弱均衡しておりもみ合いだが、抜けた方に付くのが良いだろう。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

9月26日

\54,410

L1000

\59,460

 

9月27日

\54,710

300

\61,530

2070

9月28日

\54,230

-480

\60,470

-1060

9月29日

\54,250

20

\61,470

1000

9月30日

\54,450

200

\61,130

-340

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『下げた場合はファンドの手仕舞い売りで、当先の順ザヤが詰まる展開となるだろう。もっともハリケーンの被害が不明なうちに、ファンドが投げると決め付けない方が良いだろう。』とした。

 今週の相場展開は、週明けの26日には既存の限月がバリバリのストップ安まで売られ、当日発会した4月限は3月限よりも逆ザヤの発会となり安値では58,770円を記録。

 しかし通常のサヤは4月限は3月限よりも順ザヤが普通であり、3月限以前の限月がすべてストップ安となったために売られ過ぎたものであった。

 そのため翌27日にはNY原油の反発を映し、一気に高値で61,860円まで2,400円幅のストップ高を記録。前日の安値からは都合3,090円幅の上昇となり、一気に先物新高値を更新することとなった。26日までに3月限の買いを持っていた向きが、仮に先物をヘッジで売ったりしたら、まさに壮絶な股裂きを喰らう事となったか。

 その後は61,000円どころを挟んだもみ合いの展開となっており、方向感を探す展開となっている。

 さて相場のサヤ状態であるが、週末現在で3月限は2月限に対し1,820円の順ザヤ。4月限は3月限に対し1,670円の順ザヤである。発会時は1,000円近く安かったのに、一気に解消した。当先のサヤは6,680円の順ザヤであり、ファンドが先限中心に大量に買って行くため、このような順ザヤ状態となっている。

 つまりはこのファンドの買いが当って上昇して行くならもっと順ザヤが拡大しても不思議ではないわけだが、逆に調整安局面となれば順ザヤは詰まると考えるのが妥当か。

 ただしどの限月においても、10月限納会値である54,910円以下が長くは続かないと思われ、そういう意味では週末の11月限54,450円、12月限54,860円は割安であろう。

 …中略…

 30日現在のスポット価格は54,700円〜55,300円となっており、前週比600円安である。また29日現在の輸入採算価格は61,200円となっている。

時事通信社発表の海上渡し価格より)

 これらの事から考えても先物は買われ過ぎで、当限・12月限は若干売られ過ぎに見える。

 9月24日時点の国内在庫は、前週比0.3%増202.7万kl。適正在庫は200万klと言われているため、在庫に対する不安は今のところ無い。もっとも今後ハリケーンの影響から米国向けにガソリンが輸出されるようであれば、在庫も減少しないとは限らぬ。

 結論として当方の相場観は、当先のサヤが開き過ぎているとの見方から、12月限の押し目買い狙い。対して4月限の吹き値売り狙いを本筋としたい。しかし例え下げたとしても、大天井を打ったとは思わないが…

 

 

今週の灯油の値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

9月26日

\54,350

L1200

\56,210

 

9月27日

\54,130

-220

\58,130

1920

9月28日

\53,920

-480

\56,870

-1260

9月29日

\53,670

-250

\57,870

1000

9月30日

\54,050

380

\57,350

-520

 

 最後に灯油です…先週号においては、『ガソリンに対するヘッジ売り商品である事は変わらず。目先で注意する点は、ジェット燃料の動向だろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、元々不需要期で3月限に比べ逆ザヤ発会するのが妥当であった4月限が週明け26日に大幅逆ザヤ発会。3月限に比べ4,000円以上逆ザヤで発会し、一時は55,370円まで下落

 もっともさすがにそこからは大幅に戻り、翌27日はガソリンとともに2,000円以上の急反騰。その後は57,000円台でのもみ合いとなっている。

 さて相場のサヤ状態であるが、週末現在で4月限は3月限に対し800円の逆ザヤである。またガソリンと比較すれば、3,780円安い状況である。ガソリンに対するヘッジ売り商品とする所以である。

 もっとも先限の方は理論通りでも、9月限・10月限に続いて11月限もガソリンよりも安い状態が続いている。かろうじて需要最盛期の12月限〜2月限はガソリンよりも高いが、それも僅か1,000円強にとどまっており、本来ならば3,000円〜大きければ5,000円ほど灯油が高くても良いのが、全然そうなっていない。

 伝え聞くところによれば、今年の石油相場で最大の損失を受けた向きは灯油買い・ガソリン売りをやって損切り出来なかった人達という。この状態では、なるほどとしか言えない。

 もっとも灯油単体で見れば、10月限も納会値としては史上最高値の53,010円で終了している。幾ら灯油は売り商品だと当方が考えているにせよ、これ以下まで売られるのは考えづらい。これに近いのは11月限の54,050円だが、幾ら下げてもあと1,000円という事だろう。これは先々に、仮に先物が暴落してもそれが支えになるものと覚えておく必要があるだろう。

 …中略…

 30日現在のスポット価格は52,500円〜53,100円円となっており、前週比400円高である。また29日現在の輸入採算価格は66,600円となっている。

(時事通信社発表の海上渡し価格より)

 国内スポット価格は在庫が豊富なため大して上がっていないというか、ガソリンのスポットよりも2,000円以上安い。先物市場でも萬成などを中心として灯油買い・ガソリン売りが完全に水浸しになっている状態で内部要因が悪く、今の相場状況となっている。

 しかし輸入採算で見れば66,600円というのはかなりの高値であり、ガソリンよりもなお5,000円以上高い。

 9月24日時点の在庫は、前週比8.0%増442.2万klと15週連続の増加で大幅増。9月末の適正在庫水準である400万klは完全にクリアしたどころか、これでは過剰在庫と言われても仕方の無い水準だ。元売がスポット市場でバキュームをし、ガンガン輸出しなければ市況は立ち直らない。

 ただしそのような動きが出れば、現在11月限ベース54,000円どころの灯油が、一気に6万円に向かって上げ始めても不思議ではない。それにしても輸入採算値とスポットの異常な開きは、まあ呆れるほどだ。

 結論として当方の相場観は、国内市場は過剰在庫が頭を押さえており、なお戻り売りの展開が続くものと思われる。もっとも輸出に大量に廻りさえすれば、市況は劇的に立ち直るのだろうが…さて?

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

9月26日

\1,665

L40

\1,668

L40

9月27日

\1,689

24

\1,695

27

9月28日

\1,684

-5

\1,686

-9

9月29日

\1,707

23

\1,709

23

9月30日

\1,727

20

\1,730

21

 

 金相場は、先週号においては『下げてもスピード調整の押し目だろうと考える。押し目買いの相場展開に変化はないだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、週明けの26日には石油相場の暴落の影響も受け、40円安のストップ安まで叩き込まれた。週明けはせいぜい20円安程度かと考えていたのだが、この動きで1,716円は天井ではないかとの見方も広がったようだ。

 しかし結局それが底となり、週末30日には1,730円の高値引けと新値更新で終了。

 週末のNY市場は前日比3.5ドル安の下落であり、高値で477.8ドルもあったものの472.3ドルで終了。為替は円安で113.47円となっているため、週明けの予想換算値は

 472.3ドル×113.47円÷31.1035=1,723円となる。(週末比7円安)

 実際には10円程度の下げとなるかもしれないが、おそらくこの下げは月末の利食い売りであろうから、結局また今週と同じような動きとなるだけかもしれない。つまり週初めが一番安く、週末に掛けて陽線を引く動きである。

 ともかくこの金相場に関しては、大きな流れの中でまだ上昇相場は続くはずであり、14年ぶりの高値などといって警戒する必要はないだろう。このところの商品相場は、20年ぶりとか、史上最高値更新とかが目白押しなのだから…

 まずはドイツ銀行の商品調査部責任者が今後2年間で金価格は520ドルまで上がる予測を信じて1,800円台目標としたいし、万が一大きなインフレ相場にでも発展すれば2,000円どころか、3,000円、4,000円も夢ではなかろう…

 また為替相場もジワジワと円安進行となっており、これもマクロでは日本の貿易収支は完全に黒字縮小の方向に進んでいるわけで、すでに対米では中国の貿易黒字以外は問題となっていない様でもある。

 また中東・ドバイでの金の売り上げは、金額で前年同期20%増、数量ベースで10%増となっており、石油で儲けたアラブの資金が金に向かっている事を裏付けている。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、押し目買い一貫の相場展開だろう。下げても1,700円割れすら困難かもしれない。

 

 

 銀相場は、先週末22日には262.9円まで上昇した後、週明けには254.6円まで暴落の展開となった。前回高値の8月2日の高値258.5円を突破した途端の急落は、天井と見た向きも多かったのではあるまいか?

 しかし結局翌日から反騰に転じた相場は、週末には高値で268.6円まで上昇。残るターゲットは昨年4月に記録した279.9円である。

 …中略…

 つまりは押せば今度は新規買いが入るだけであり、押し目買い方針に変化はないだろう。

 

 

今週の白金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

9月26日

\3,273

-67

\3,220

L80

9月27日

\3,314

41

\3,272

52

9月28日

\3,318

4

\3,275

3

9月29日

\3,360

42

\3,320

45

9月30日

\3,380

20

\3,335

15

 

 プラチナ相場は、先週号においては『天井確認を思わせるような変化は何もないため、押し目買い方針を継続である。』とコメントした。

 今週の相場展開は、週明け26日にはストップ安まで叩き込まれ3,220円まで下落。もっとも翌日からすぐに反発に転じた相場は、週末30日には高値で3,340円とまたまた新高値を更新。19年ぶりの高値である。

 チャート判断では、8月3日3,254円〜8月18日3,048円まで約200円幅の押しを入れての今回の新値更新だけに、倍返しなら3,450円どころ〜3,500円寸前まで上がってもおかしくはない。今度はストップロスを3,250円どころに置いて、このまま買い玉を維持が良いだろう。

 なおプラチナ自体の材料としては、28日にロシアの白金生産大手『ノリリスク・ニッケル社』が生産計画を開示。05年の生産目標を21.8トンとした。01年以来同社の生産高減少の傾向と受け取られており、新たな強材料の出現と考えて良いだろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、ストップロスをまた切り上げて、買い玉維持続行である。

 

 

 

〔穀物〕

 

今週のコーンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

9月26日

\14,900

-60

\15,040

-30

9月27日

\14,930

30

\14,990

-50

9月28日

\15,330

400

\15,010

20

9月29日

\15,300

-30

\15,050

40

9月30日

\15,300

0

\15,030

-20

 

 先週号においては『大豆は順ザヤ〜逆ザヤへの変化となってきており、サヤの変化は相場の変化と押し目買い方針を唱えたい。逆にコーンは一時的には買われたとしても、体勢では戻り売りの範疇を脱しきれないものと見る。』とコメントした。

 今週の相場展開は、コーンは15,000円を挟んだ膠着状態一般大豆も31,000円どころでの膠着状態である。

 このところはコーンで500円程度、大豆で1,500円程度の動きの中に納まっており、ハーベストプレッシャーから上がるわけにもいかないが、かと言って他商品高の環境から穀物相場も底値圏であろうと思われるため、大きくも下がらぬ状態が続いている。コーンの500円は、同倍率のガソリンの半日の動きをやっと一ヶ月で動くという小さなものだ。

 なお次の注目は10月12日に発表されるの米需給報告である。おそらくまた生産高の上方修正〜在庫の増加となるのではとされているが、どの時点でその材料を織り込んでしまうかが焦点だ

 なお30日には9月1日現在の全米在庫が発表されたが、市場予想は下回っていたためにコーン2.00セント高大豆12.75セント高と上昇している。コーンで90円高、大豆で560円高程度の換算になる。

 またハリケーンの材料はすべて織り込み済みになったと思われるため、先限に関しては無視して良いだろう。もっとも当限に関しては、被害は軽微とはいえ荷物が入るのか入らないのかと、海上運賃の上昇などの要因により、商社筋が現物背景の玉をほんの10枚、20枚程度出すだけで、薄商いの中を乱高下する。今言われているのは、当限は高いだろうが、2番限は安いだろうとの見方が多いようだ。

 さてともかく今の相場は、底値100日の下値膠着状態である。このまま下げずに先の安値が底となるのか?それともハーベストプレッシャーでもう一度突っ込むのか?の判断は難しいだろうが、大勢では底値圏と判断してどこで買うかを考える相場だろう。所詮は今の値位置で先物を春の天候相場まで持っていれば、利が乗らないはずはなかろうし。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、大豆・コーンともに明確な買い材料はないわけだが、どこでハーベストプレッシャーを織り込んでしまうかが焦点。春までじっくり持っているつもりなら、ぼちぼち買いを考える相場だろう。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

9月26日

193.0

0.3

181.5

-4.9

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

9月27日

189.0

4.0

184.8

 

9月28日

188.1

-0.9

184.9

0.1

9月29日

190.2

2.1

190.3

5.4

9月30日

190.6

0.4

190.3

0.0

 

 先週号においては『先物は177.0円で押し目完了している可能性が高いだろう。押し目買い有利の相場展開と見る。とコメントした。

 今週の相場展開は、週明け26日には石油相場や貴金属のストップ安に連れて急落したものの、その後再び上昇に転じて週末30日には192.5円と今年の最高値を更新である。

 結局177.0円で押し目完了となった相場は、192.2円と189.0円とでWトップとに人気に逆行し、急騰する形となったわけである。

 仮に8月に192.2円〜159.4円まで32.8円も大きな下げを入れたのが単なる調整であり、ここから大相場になるならば倍返しの225円も夢ではない?もっともその前に、189.0円〜177.0円までの倍返しである201円が目標となるだろうが。

 正直言って6月・7月の大幅逆ザヤからの大暴騰の後、同ザヤに変化しての8月の急落時には、もう上昇相場は完全に終わったのではないかと考えてはいた。その後の8月後半からの急騰もWトップ型となり、所詮は戻り売りかとも考えていた時期があったが、このような形になっては付いて行くしかあるまい。

 なお先限の200円台なんてと考えるかもしれないが、7月の急騰時には大幅逆ザヤとなり、当限は200円を軽く突破していた事を忘れてはならないだろう。今度先限で200円台を付けても、何の不思議もあるまい。

 さて石油相場ばかりがメキシコ湾岸でのハリケーンを警戒していた中で、台風18号が中国のゴム産地である海南島に被害を与えたのも、大きな出来事であった。この被害によって中国のゴム生産は、20%(約9.6万トン)の減少を余儀なくされると予想されている。

 またゴムの2大産地といえばインドネシアとタイであるが、インドネシアではこの休日中にまたバリ島にてイスラム過激化によるものと見られるテロが発生。タイでも大きなニュースにはなっていないが、同様のイスラム教徒との衝突が続いており、大きな懸念材料と思われる。

 週末現在の輸入換算価格は11月積みで204.0円となっている東工取11月限は190.6円で週末を終えており、東京市場は11.4円の下ザヤである。

 国内営業倉庫ゴム在庫は、9月20日現在で525トン増8,357トンとやっと増加してきたが、まだまだ危機的低レベルな水準といえる。

 週明け行なわれた10月限納会は193.0円の終了であったが、事前予想通りに…中略…

 目先は中国が国慶節という長い休みに入るため(10月3日〜7日で来週は全部休み)、先の台風で被害を受けた中国がすぐ買って来ることはなかろうが、産地が政情不安で生産が伸びない中、日本と中国の買い付け合戦となればさらに一段高は必至かもしれない。

 さて週末現在でのファンド機関店のポジションだが…中略…

 よってチャート、材料、輸入採算値、内部要因のすべてが買いを暗示している。押し目は着実に拾っておき、200円台達成を待つのが良いだろう。

 結論として当方の相場観は、押し目買い一貫の相場展開である。200円台相場出現は必至と見る。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比 

9月26日

\16,040

-260

\16,300

-310

9月27日

\15,900

-140

\16,160

-140

9月28日

\15,950

50

\16,000

-160

9月29日

\16,330

380

\16,400

400

9月30日

\16,340

10

\16,490

90

 

 先週号においては『期近には支えがあるものの、先物は高値が出ても一過性のものだろう。戻り売り相場に変化なしである。とコメントした。

 今週の相場展開は、16,000円台前半でのもみ合いに終始。

 9月20日には15,990円と16,000円割れを記録したものの、その後上がるわけでもないが16,000円割れも回避されている。結局ここで底打ちしたのかな?と思わないでもないが、NY市場の反発の割には東京市場は頭が重く、誰も積極的に買ってくる気配はない。そうこうしているうちに、またズルッと下げるかもしれず、どうにも手は出しづらい状況である。

 ともかく東工取銘柄は石油・貴金属・ゴムといずれも高値追いをして何十年ぶりとかの高値で人気化している一方で、東穀取銘柄は大豆・コーン・コーヒーと全く蚊帳の外である。小豆に至っては史上最安値を更新するのかどうか?という水準であるし、唯一高値追いをしている粗糖は全く人気が無い。こんな事では、いずれ東穀取も板寄せ取引を止めてザラバへ移行するのではないかしらん。

 さてコーヒー自体の材料であるが、9月28日引け後にNY市場ではハリケーン被害を受けたニューオーリンズの倉庫在庫約50万袋に対し、受渡しに対する免許を取り消した。しかしNYコーヒーは80セント台〜90セント台へと急騰したのだが、その後上昇の勢いは止まっており、すでに相場に織り込み済みとの見方も広がっている。

 その一方で開花期に入ったブラジルの天候は順調で、適度な降雨によってすでに来年の豊作が予想されている。生産高は4500万〜5000万袋、果ては5300万袋などという数字も囁かれている。まだまだ先の話ゆえ全く判らぬが、本当にこんな数字ならばNYコーヒーは60セント台、東京市場は12,000円以下まで下がっても不思議ではない。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、チャートはなべ底型になって来ているので、1,000円程度の戻りは入っても不思議ではない。だが所詮は戻り売りの範疇を出ないだろう。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス info@higenaka.com

 

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