商品市況展望 割愛版

平成17年11月20日記

 

 国内株式市場と同じように、国内商品市場も外資系大手証券会社のゴールドマンサックス、モルガンスタンレーなどの参加が始まっている事は先週号でコメントしたとおり。外資の参入は良く黒船に例えられるが、今回は閑話休題で本当の黒船の話を…

 

 『泰平の眠りを覚ます上喜撰、たった四はいで夜も眠れず』この狂歌は浦賀沖に現れたペリー提督率いる米国艦隊4隻の出現を読んだものだが、蒸気船を上喜撰という当時最高級のお茶に掛けたものだ。

 さて今まで何となく信じていた事で、大きな勘違いをしていた事を、ある本を読んで知った。それはペリー艦隊の航路の事だ。

 米国からの艦隊なのだから、当然太平洋を渡って日本に来たのだと何となく思っていたのだが、実はペリーは大西洋を横断しアフリカ最南端喜望峰を抜け、インド洋からシンガポール、上海を経て小笠原諸島に向かい、その後浦賀沖に現れたのだった。1852年11月24日に米国ノーフォークを出航した船は、ほぼ地球を一周するようにして、翌53年7月8日にやっと日本に着いたわけだ。

 日本の世界地図は太平洋を真ん中にしているわけだが、一般的な西欧の世界地図は大西洋が中心。よって日本は一番端の東にあり、それゆえ極東と呼ばれるわけではあるが、ペリーもまさに極東までの旅をしたわけだ。

 今の米国は世界の超大国であるゆえ、何となく当時の米国も大国だったようなイメージも我々にはあるわけだが、当時の米国の蒸気船はたった10隻しかなく、実際に日本まで来れる船はまさにその4隻のみで、めいっぱいの日本遠征だったらしい。考えてみればその当時の米国は、まだ西部大開拓時代の前で、太平洋航路などあるわけはないのだが…太平洋航路が開かれるのは、南北戦争後の1867年の事であったという。

 なおペリーは砲艦外交で幕府を脅かし日本を開国させたわけだが、当時の米国は最大の産業は捕鯨業であり、日本近海を3、4年もの間航行する捕鯨船に、食料や飲料水を補給する港を確保する事が遠征の主目的だった。

 米国が2つの大洋を支配する海洋帝国となったのは、第25代大統領マッキンレーの時代に、スペインとの戦争に勝った1898年以降の事となる。

 江戸時代に蘭学が盛んだったのは、かつては英・米よりもオランダが先進国だったのだと気付いたのも、その本を読んでからだ。今に当てはめて昔の事を考えるのは、間違っている事が多いと感じた次第…

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

11月14日

\38,890

170

\39,050

210

11月15日

\38,720

-170

\39,040

-10

11月16日

\38,510

-210

\38,730

-310

11月17日

\38,710

200

\39,230

500

11月18日

\38,560

-150

\38,590

-640

 

 まずは原油から…先週号においては『38,160円を下抜ければ完全に崩れの形となるため、再び相場は戻り売りである。ただし円安が支えになると思われるため、NY市場ほどきれいな下げトレンドは形成しないかもしれない。』とコメントした。

 今週の相場展開は、週末18日には安値で38,430円まで下落。もっとも円安の進行もあり38,160円は下回っておらず、基本的には安値もみ合いの状況であった。

 またNY原油は、東京市場とは違い下げトレンドを完全に継続し、56ドル台まで下落。週末は安値で55.40ドルとついに7月20日に記録した56.10ドルを切る下げとなっている。8月30日の最高値70.85ドルからは、すでに15ドル以上の下げである。(約21%の下げ

 東京市場の最高値は8月29日の42,590円。確かに現在までで4,000円以上の下げを演じているが、その下げ率は10%に満たない。東京市場の7月20日の安値は35,000円台だったのだから、3,000円ほど東京市場の方が下げていない事となる。

 もっともそれは為替の問題であり、7月の110円〜113円程度のところから、すでに119円台まで円安が進行しているのだから、そのコストアップ分と考えれば良いわけだ。円高が到来しない限り、NY市場ほど東京は下がらぬという事になる。

 

 さて下落を続けるNY原油だが、次の下値抵抗線は53ドルどころその次が46ドル台という事になる。相場の上がり下がりなど人知の及ぶものではなく、このまま下げトレンドを続けるようならその価格の示現も無しとはしない。だがいわゆるいいところに来たと感じられる55ドル台であり、ここからはむしろ買い場探しをするのが良いだろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、円安の影響でNY原油ほどは東京は下がらず。そろそろ買い場探しが無難と思われるが、トレンドはまだ下向きであるため、底値確認を待ちたい。仕掛け場探しの様子見が良いだろう。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

12月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

11月14日

\47,070

-260

\52,860

140

11月15日

\47,340

270

\52,230

-630

11月16日

\46,900

-440

\51,470

-760

11月17日

\47,160

260

\52,260

790

11月18日

\46,700

-460

\52,190

-70

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『新たな強材料が出ない限りは、まだ下値探りの展開となるだろう。56,360円にストップロスを設定し、49,600円を下値目標値にするのがベターだろう。』とした。

 今週の相場展開は、週末18日には安値で51,270円まで下落。もっともこの日は道中安値から1,600円幅もの大きな反発を入れており、今週は51,000円台での下値もみ合いを感じさせる展開であった。

 なお前場の概況レポートでご報告の通り、16日からはぼちぼち底入れの可能性あり!と買い場探しの方針に転換している。

 相場は10月3日62,070円の天井から、今週末の安値51,270円までですでに1万円以上の下げを演じている。今年は1月4日の大発会が一番の安値であり、約34,000円のものが10月の62,000円まで約28,000円上がったわけである。半値押しなら14,000円幅であるが、3分の1押しの9,000円幅は達成済みでもある。

 62,000円が歴史的な大天井ならば、それこそ往って来いは34,000円どころか、元々の価格である2万円そこそこまで下がったって不思議ではないが、そんな事はあまり想定できない。原油がまたかつてのような30ドル台にでも戻らなければ、そこまでの下げは無いだろう。それには中国などの新興需要国が、完全に以前のような経済状態まで転落するのでなければ、そこまでの需要低下は起きないと見るからだ。

 いずれまた上がり始めるのならば、国内の需給緩和で一度全限5万円台の大台を割れた灯油相場も、需要期で期近から5万円台を再び回復してきたように、ガソリンの需要期限月5月限も仮に5万円割れがあったとしてもそこは買い場となるだろう。まだ完全にトレンド転換しているわけではないが、ここから売り込むのは危険との見方だ。

 …中略…

 18日現在のスポット価格は47,600円〜48,200円となっており、前週比100円安である。また17日現在の輸入採算価格は52,100円(10日比1,000円安)となっている。

時事通信社発表の海上渡し価格より)

 11月12日時点の国内在庫は、前週比0.5%増221.8万kl。荷あまり感に変化は無く、先安感から製油所の出荷価格よりも2次基地の価格の方が安い逆転現象となっているともいう。

 現物需給の面から考えれば、上昇に転ずる材料は皆無であり、買い場探しとはいえ戻りは売ってもまだ取れる相場とも言えるだろう。

 結論として当方の相場観は、まだ戻り売りの範疇は抜け出せないだろうが、大勢ではぼちぼち買い場探しである。本格的な上昇に転じる時は、ファンドが買い越しとなるだろう。

 

 

今週の灯油の値動き

 

12月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

11月14日

\49,360

770

\47,920

320

11月15日

\49,950

590

\47,580

-340

11月16日

\49,770

-180

\47,060

-520

11月17日

\50,230

460

\47,700

640

11月18日

\51,070

840

\47,620

-80

 

 最後に灯油です…先週号においては、『50,290円は戻りいっぱいだったと見られ、それをストップロスとして下値44,510円までの下げを目標としたい。』とコメントした。

 今週の相場展開は、16日には安値で46,780円を記録。その後は一進一退のもみ合いとなった。なお期近は先物とは別のもの動きとなり、51,000円台を回復した。

 さてトレンドはまだ下向きであり、大底を確認したとまで言える状況ではないが、16日の前場の概況でご報告したとおり、売り売りの相場観から買い場探しに変更済みである。

 先物引継ぎ足では、高値の6万円台からすでに14,000円の下げ幅を記録しており、今年1月の上昇相場の起点3万円から倍の6万円になったものが約半値押しを達成している。相場である限り、この6万円が歴史的天井ならば往って来いの3万円、あるいはもっと下の2万円相場に舞い戻らないとは誰にも言えないが、そこまで行くにはガソリンのコーナーでコメントしたとおり可能性は薄いだろうとの見方。

 であれば、ぼちぼち買い場探しに転換するのが自然だろうとの見方である。

 …中略…

 18日現在のスポット価格は50,000円〜50,600円となっており、前週比2,600円高である。また17日現在の輸入採算価格は58,200円(10日比4,000円高)となっている。

(時事通信社発表の海上渡し価格より)

 11月12日時点の在庫は、前週比1.0%増517.5万kl。また増加に転じている。

 もっともさすがに寒くなってきた事で荷動きが活発化しており、また元売のテコ入れと思われる買いが定期市場・スポット市場ともに出ているような状況の中で、スポット価格は急上昇である。

 在庫は確かに多いものの、輸入採算価格も急騰した事で、逆に国内在庫を輸出に廻せば大きな利が出る。そうであれば在庫もさばける可能性があり、一方的にそれ弱材料とは取れないのではなかろうか。

 なおチャートでは先物5月限が買い転換するには、先週もコメントしたが11月9日の戻り高値50,290円をクリアする必要があり、それにはまかなり遠いと言わざるを得ない。しかし期近限月の12月限〜2月限は、9日の高値を突破している。期近主導で相場が転換する可能性も高いだろう。

 なお売り売りをコメントしている時は敢えて書かなかったが、灯油の需要は暖房用だけではなく融雪(ロードヒーティング)の需要の過多がポイントとなる。今年の北日本は暖冬だが、雪は暖冬だから少ないとかと言うものでもない。北国出身者の当方の経験上では、雪の降る日の方が案外暖かいものだ。それに雪が多い年は、2月〜3月に大雪となるものだ。

 さらに内部要因では、…中略…

 結論として当方の相場観は、期近からチャートは転換し始めており、先物も大衆筋の売り安心が見られる。先物もこの辺で下げ止まるようなら底入れの可能性もあり、ファンドの動向を見ながら買い場探しに転換が良いだろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

12月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

11月14日

\1,791

26

\1,799

25

11月15日

\1,795

4

\1,800

1

11月16日

\1,815

20

\1,824

24

11月17日

\1,837

22

\1,842

18

11月18日

\1,870

33

\1,876

34

 

 金相場は、先週号においては『NY金は456.1ドルで底を付けた可能性が高い。となれば国内市場は、円安の後押しもあって大きく水準を切り上げる可能性が高いだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、先週10日に1,779円と今年の最高値更新をした流れを受け継ぎ、連日の新高値更新。週末は1,879円と10日の高値からも100円幅の上昇を演じる事となった。

 またNY金も三尊天井型チャートのトップである483.1ドルを一気に更新17日には487.8ドルの高値まで出ており、週末も終値は前日比0.7ドル安の486.2ドルだが、高値では489.6ドルと490ドル台寸前まで上昇している。

 プラチナ相場は17日に1,000ドル台を記録しており、金相場もまずは節目の500ドルを達成しても何の不思議もあるまい。おそらく500ドルを付ければ、そこからはスピード調整の下げがプラチナ同様に出る可能性は強いが、投機資金の流れは原油〜金への移行が見られるのは確か。天井は思った以上に高い、底は想像よりも深いのが相場の特徴ゆえ、まだ安易な値頃感は通用しないだろう。

 週明けの東京市場換算価格は、

486.2ドル×119.10円÷31.1035=1,862円(週末比14円安)となる。ただし高値の489.6ドルを意識すれば、全然下がらないかもしれない…

 なお目先の利食いポイントは、500ドルを達成したところであろう。そこから50円〜60円押し、もしくは2手押し、あるいはRSI70ポイント割れですかさず買いがベターだろうと考える。プラチナが先導して同じようなパターンの動きを演じているゆえ、金は判りやすいだろう。

 なお出来高が爆発的に増加しており、それを持って天井と判断する人が多く問い合わせがあるが、当方はザラバ商品にその理論は当てはまらないと考える。ザラバ中に動けば動くだけ日バカリのディーリングが大量に入り、当社ディラーでも一人で一日当り2,000枚は売買する。三井物産などは1円刻みで1,000枚単位の売買であり、一日数万枚の売買は普通。よって出来高は爆発的に増えるが、我々のように少なくとも50円〜100円を狙って売買する向きには、そんな事は関係の無い話だ。勝手にバタバタやってろ!という事。

 …中略…

 なお為替が円安でもNY金が高いのは非常に強気の傾向であり、こうなると年内は容易に反落しないだろう。

第一目標は500ドル×120円÷31.1035=1,929円

第二目標は520ドル×123円÷32.1035=2,056円

 この辺りが、年内の目標値となる可能性が高いという予感がある…

 結論として当方の相場観は、来週は押しがあっても、初押しは買いの格言どおりの動きとなるだろう。年内に2,000円突破の目も有り得る。

 

 

 銀相場は、ついに300円台の大台を達成。週末は306.1円と今年の最高値を更新である。およそ18年ぶりの高値である。

 RSIは77.65ポイントであり、プラチナが80ポイントを大きく越えてから一度反落したパターンを見ると、銀も同様の動きになるか。ただし急反落後は、初押しは買いでまた買われるだろう。

 …以下略…

 

 

今週の白金の値動き

 

12月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

11月14日

\3,671

50

\3,638

42

11月15日

\3,685

14

\3,682

44

11月16日

\3,763

78

\3,738

56

11月17日

\3,675

-88

\3,648

L90

11月18日

\3,715

40

\3,741

93

 

 プラチナ相場は、先週号においては『目標値の設定は不可能で、ただただ相場に付いて行くのみ。調整安が入るとすれば移動平均線との乖離であり、その場合の押し目も100円程度に留まるだろう。2手押し場面は、さらに買いであると考える。』とコメントした。

 今週の相場展開は、連日上場来高値を更新して17日には3,783円まで上昇。11月に入ってからの僅かな期間でさえ、すでに300円以上の急騰となったわけだが、17日は夜間取引でNYプラチナが1,000ドルを記録し、それを機会に利食い売りが殺到し高値から135円安の暴落で、前日比90円安のストップ安。しかし週末はまた上昇に転じ、前日比93円高で終了である。

 さてNYベース1,000ドルは、為替を119円とすれば円換算3,825円である。つまり今週の最高値3,783円はドルベースでは988ドルであり、その日のストップ安の3,648円は953ドルである。週末の東京市場が、NY市場の下落にもかかわらず上げたのは、NY市場が下げても982ドル台だった事から考えれば当然だ。

 もっともこのプラチナ市場はNY相場よりも東京相場が世界の市場を動かしており、それとロコ・チューリヒ市場がメインである。あんまりNY市場なんぞ気にする事はないが…

 なお、何で一日で17日のような大変動があるのか?という質問を頂いたが、これは1,000ドル達成での利食い急ぎ殺到にディーリング玉が複合した影響だろう。金でもガソリンでも同様だが、ディラーはそれこそ1円、2円の動きでも取りに行こうとするわけで、売り気配になるとちょっとでも取ろうと、我も我もと売りを入れる。結果、買い玉が引っ込んで売りばかりとなると、ストップ安まで叩き込まれたりするのだ。彼らに明日の相場観など無く、ともかく一日のうちでポジションを取ったら引けまでにすべて手仕舞いが原則であるため、訳の判らん動きをする事となる。ガソリンが毎度毎度、1,000円幅日中動くのと同じ事である。

 よってチャート的には、17日の暴落はまさに脳天5寸釘のような天井チャートであるが、原因は然したる事ではないゆえ、当方はあまり気にはしていない。それでもこの日の安値3,648円を割り込むようなら、天井感も広がる恐れがあるためストップロスはこれに設定する。ただし今のところは、早晩3,783円の高値を更新する可能性の方が高いのではないかと見る。90円安程度で、売り方が助かったとは全く思えぬ。

 なお注目の英ジョンソン・マッセイ社の需給報告では、プラチナ需給は3.7トンの供給不足とされた。予想レンジは890ドル〜1030ドルとされ、現在の為替119円で計算すれば国内価格3,405円〜3,940円である。

 さて国内市場の取り組み内部要因である。…中略…

 結論として当方の相場観は、2手押し場面は到来せず、強烈な一手押しで押し目完了の可能性は高いだろう。次のターゲットは押し目の倍返しの3,918円という事になるだろう。ストップロスを3,648円に置いての買い方針である。

 

 

 

〔穀物〕

 

今週のコーンの値動き

 

1月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

11月14日

\15,000

220

\16,260

H400

11月15日

\14,930

-70

\16,360

100

11月16日

\14,910

-20

\16,320

-40

11月17日

\14,720

-190

\15,920

L400

11月18日

\14,850

130

\15,890

-30

 

 先週号においては『米農務省報告でファンダメンタルズの悪化も明らかにされたわけであり、コーンの16,540円、大豆の36,180円は今秋の天井と見方に変化無し。接近したところを売るのが良いだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、コーンは急騰して16日に16,480円まで上昇したが、その後また急反落し、もみ合いの中まで舞い戻った。同じく一般大豆も急騰し15日に35,640円まで上昇したものの、やはり急落してもみ合いの中まで戻っている。

 コーンは一目均衡表の雲の上にでの推移であり、その形ではまだ押し目買いを示唆するチャートではあるが、一般大豆は週末の下落で雲の中に突入している。なお両商品とも東京市場のみ何とか値を維持しているものの、シカゴ市場は全く上がっていない。それどころかコーンは、安値更新の最中である。

 今週の急騰場面でも先の高値であるコーンの16,540円、大豆の36,180円は抜いておらず、これが今秋の天井との状況にまだ変化はないものと思われる。結果的にそれに急接近した15日・16日の高値は絶好の売り場であった。

 さてコーンの生産高110億Bu超大豆の生産高30億Bu超は供給不安が全く無いどころか、明らかに過剰在庫を懸念しなければならない水準である。それにプラスして現在起きている鳥インフルエンザ騒ぎは、明らかに飼料用需要の減退を意味している。

 中国では鳥インフルエンザ感染者の死亡2名が今週確認されたわけだが、サーズ騒ぎの時もそうだったが、かの共産主義独裁国家の情報は当てにならぬ。今後アジア全域に鳥インフルエンザの輸出が行なわれる可能性も否定できないだろう。

 そんな中で幾らインフレ懸念があって商品全体が上昇基調だろうが、余っている穀物が今すぐ急騰に転じるとは思えぬ。買うなら需給の良い商品を買うべきだろうし、穀物買いに来春まで投機するメリットはなかろう。

 

 それでも今週半ばまで国内市場のみが急騰したのは、為替の円安傾向を手掛かりに金で儲けた大衆店が値位置の安い穀物に投機資金をシフトさせたものと思われ、チャートが良くなったので更にファンドが大量買いしたものである。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、コーンは16日の高値16,480円でWトップ打ち。同じく一般大豆も15日の高値35,640円でWトップを確認と見る。戻り売りの相場展開だろう。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

11月14日

187.5

5.5

192.4

5.1

11月15日

187.9

0.4

194.0

1.6

11月16日

184.8

-3.1

192.2

-1.8

11月17日

185.0

0.2

192.8

0.6

11月18日

182.6

-2.4

191.8

-1.0

 

 先週号においては『ファンダメンタルズでは大勢買い方針のままだと考えるが、東京市場とともに産地も下げているのが不気味。万が一、大量に買い越すファンドが大投げに転じるようなら大暴落に繋がる可能性もあるため、現状では買いポジションも取れない。やや弱気寄りの中立に変更である。とコメントした。

 今週の相場展開は、先週末11日に記録した安値184.8円から反発に転じた相場が、週明け14日・15日と急伸して194.2円まで上昇。当方が弱気になった途端にあっという間の10円近い上げとなったが、週末に掛けてはまた若干値を消して191.8円での終了である。

 相場は曲がり始めると、買えば安い・売れば高いの悪循環となるものだが、どうもゴムに関しては当方も曲がり屋入りである。それを承知の上でのコメントとなる事をお許しあれ。

 さて一目均衡表のチャート分析では、5月・8月と今回の11月で3回目の雲の中への突入である。前回5月・8月ともにその突入時点が底となり、先行スパンの上限価格に沿いながら再び上昇トレンドを描いた。もしも今回も同様のパターンならば、11月11日の184.8円は底であり、すでに上昇パターンに突入している。来週に今週高値194.2円をクリアできるようであれば、それが鮮明になる。そうなれば206.6円は天井ではなかったとの上げを見せる可能性は高い。

 もっとも二度ある事は三度あるとならずに、週末の下落を引き継ぎ190円台を割れて来るようであれば、完全に雲の中に突入してくるため先行きは暗くなる。前回安値184.8円を切るか、もしくは先行スパンの下限183.0円を割り込むようなら、相場は完全に2段下げ目に突入する。その場合はおそらく8月18日に記録した159.4円を目指す展開となる事だろう。

 さてどちらになるのかが重要なのだが、曲がり屋の当方としては前者を希望するとだけしか言いようがない。

 週末現在の輸入採算値は12月積みで197.1円。産地の供給は徐々に回復していると言われているが、南部では降雨も引き続き見られ、供給は潤沢とまでは言えないようだ。東京市場の12月限週末値184.7円12.4円の逆ザヤである。10円以上の逆ザヤは売られ過ぎではある。

 なお納会接近の11月限は182.6円まで下げており、先物との順サヤは10円近くに拡大してしまっている。当限の軟調による順ザヤの拡大は売り方に有利なパターンであり、現状ではこれが最大の弱材料。納会で急騰して終ってくれれば一気に変わるが、そうならなかった場合は輸入採算よりも下ザヤでも順ザヤならば商社筋は荷を繋げる事となる。納会は正念場だ。

 11月10日現在の国内在庫は、1080トン増の8,580トン。相変らず低水準だが、9月末以来の8000トン台回復である。今後も増加するようならば、明らかに弱材料だ。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、チャート分析では来週の動きが非常に重要となる。190円台を割り込めば軟調な動きが継続され、さらに184.8円を割り込めば暴落の危険性もある。逆に194.2円をクリアできれば、一気に再び買いトレンドに転換する可能性がある。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比 

11月14日

\19,990

-10

\20,570

580

11月15日

\19,850

-140

\19,770

L800

 

1月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比 

11月16日

\18,160

-980

\19,370

 

11月17日

\17,690

-470

\19,160

-210

11月18日

\17,790

130

\19,280

120

 

 先週号においては納会が迫っているため波乱の展開もあるかもしれないので、手出しはしない。しかし素直にチャートを見れば、22,000円どころまでの上昇はあると考えるのが妥当だろう。とコメントした。

 今週の相場展開は、週明け14日には20,570円まで上昇。しかし翌15日の納会日にはNYコーヒー安からストップ安に転じ、17日にはそれまでの先物だった9月限は19,000円台も割り込んだ

 18,000円どころから2万円台半ばまで上がっていた時には、素直に買っておけば良かったのかな?と反省もしていたのだが、東京・NY市場ともに納会の週であるゆえ波乱の可能性があり!と手出ししなかったのが逆に成功。まさか20,500円台からまっ逆さまに落ちるとは…

 なお今週の下落によって相場の先行きは更に不透明となったが、当面20,570円で天井を打った可能性は高い。もっとも大暴落に転じる可能性も薄いとは思うが…

 よほどファンドか仕手筋から策動しない限り、順当に考えれば18,000円台後半でのもみ合いかもしれない。ハリケーンの季節も終わったし、ブラジルの収穫期はまだまだ先だし…ただし11月月限が2万円近くの高納会で終了したわけだが、残った既存の限月は1,500円ほどの順ザヤに移行。大したサヤ滑りは期待できないが、それでも逆ザヤ〜同ザヤ〜順ザヤに移行して来たという事は、若干売り方に有利と言えるかもしれない。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、大暴落に転ずるとは思えぬが、14日の20,570円は当面の天井だろう。ダラダラと下げて18,000円割れを目指すか。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

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