商品市況展望 割愛版

平成18年4月2日記

 

 貴金属相場のサヤは、金は一昨年辺りまではほとんど同ザヤであり、プラチナは逆ザヤであった。それが今となっては両方とも順ザヤであり、貴金属の中では唯一銀相場のみが逆ザヤのままである。

 またコーン相場は、かつてないほどの順ザヤ相場を形成しており、今週末終値現在で当限15,160円〜19,650円は4,490円幅にも及ぶ。まるで限月によって、全く違った商品のようだ。

 各商品が順ザヤ化して来ているのは、一体何を表しているのか?金利の先高観なのか?それとも商品相場の先行きの高騰を予期しているのか?

 

 さて今回は、石油製品のサヤについて考察してみたい。灯油相場は5月限〜10月限が建っているわけだが、これの夏場の不需要期限月が安く、先物の次の需要期入りとなる限月が高い状態の順ザヤは、理論的に当たり前の状態だ。今後11月限、12月限と発会するごとに順ザヤとなり、最大需要期を迎える1月限辺りまでは順当に順ザヤ幅が拡大するだろう。

 一方でガソリン相場の順ザヤ化は不可思議だ5月限はGWの需要期限月であり、7月限・8月限は夏場の最大需要期だ。一方で現在の先限10月限はそのような需要期に当らないのに、現状では7月限〜10月限の順サヤが1,600円以上ある。週末現在の価格を表示すると、以下のようになる。

月日

3月31日(金)

 

 

 

 

限月

ガソリン

限月間サヤ

灯油

限月間サヤ

ガソリン−灯油

5月限

\59,970

 

\57,850

 

2,120

6月限

\61,030

1,060

\57,250

-600

3,780

7月限

\62,150

1,120

\57,930

680

4,220

8月限

\63,190

1,040

\59,320

1,390

3,870

9月限

\63,460

270

\61,580

2,260

1,880

10月限

\63,760

300

\63,770

2,190

-10

 では昨年2005年の3月末はどうだったかと言えば、以下のようになる。

月日

3月31日(木)

 

 

 

 

限月

ガソリン

限月間サヤ

灯油

限月間サヤ

ガソリン−灯油

5月限

\48,060

 

\45,850

 

2,210

6月限

\48,560

500

\44,100

-1,750

4,460

7月限

\48,140

-420

\43,700

-400

4,440

8月限

\47,440

-700

\43,870

170

3,570

9月限

\46,550

-890

\44,770

900

1,780

10月限

\45,660

-890

\45,700

930

-40

 7月限と10月限のガソリンは、2,480円の逆ザヤである。4万円台と6万円台で、値位置はずいぶん違うけどね…

 では更にさかのぼって2004年の3月末はと言えば、

月日

3月31日(水)

 

 

 

 

限月

ガソリン

限月間サヤ

灯油

限月間サヤ

ガソリン−灯油

5月限

\24,070

 

\28,150

 

-4,080

6月限

\32,970

8,900

\27,700

-450

5,270

7月限

\31,640

-1,330

\27,590

-110

4,050

8月限

\30,810

-830

\27,750

160

3,060

9月限

\30,000

-810

\28,610

860

1,390

10月限

\29,150

-850

\29,670

1,060

-520

 7月限と10月限は、やはり2,490円の逆ザヤである。もっとも価格自体は、今の約半分だ。なお更に1年前の2003年3月31日は、7月限29,070円〜10月限26,030円の3,040円の逆ザヤであった。

 今年のサヤ状態が、如何に異常な事態かを示す例であるが、今は在庫があるけれども先々には何かが起きて、原油価格が暴騰するとでもサヤは言っているのか?それともファンドが先中心に買うため、単に今だけ異常なサヤ状態になっているのか?結論は神のみぞ知る。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

3月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

3月27日

\43,000

-160

\43,940

-270

3月28日

\43,050

50

\44,190

250

3月29日

\43,110

60

\45,150

960

3月30日

\43,200

90

\45,620

470

3月31日

\43,190

-10

\46,090

470

 

 まずは原油から…先週号においては『NY原油はファンドの買いでトレンドが買いに変わっただろう。東京市場も完全に買い転換間近と思われ、再び原油上昇相場のスタートが切られるのは近いだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、予想通りに大きく値を飛ばす展開となり、週末には高値で46,330円まで上昇。これは1月31日に記録した46,500円にあと僅かの水準まで迫るものであった。

○東京原油日足

…削除済み…

 23日までは一目均衡表の雲の中での推移であるが、先週24日に雲の上に抜けた相場は、急騰のトリガーが引かれる寸前とコメントしてきたが、29日の急騰で一気にそうなったわけだ。

NY原油日足(週末31日分は入っていません)

…削除済み…

 NY原油のチャートも、23日の急騰で一目均衡表の雲の上に出ており、先週末24日で完全に決定。30日には67.30ドルの高値まで示現し、週末31日は66.63ドルまで若干下落して終了しているものの、明確に天井打ちした形跡はない。1月23日の高値69.20ドルをトライできるかどうかが焦点だ。

 

 さて28日に急騰したNY原油であるが、今週の全米原油在庫は事前予想以上に増加となり、230万バレル増の3億4070万バレルとされた。しかしガソリン在庫が予想以上の減少となり、540万バレルも減少した事から原油も買われる展開となった。

 ナイジェリア情勢の悪化など産油国を取り巻く地政学的リスクは恒常的なものであり、イランの核問題はついに国連安保理で核関連施設の停止を提言。しかしイランはウラン濃縮停止要求を拒否するに至り、緊張感は高まっている。今のところイランは、今回の件について石油を武器に使うつもりはないとのコメントを出しているが、いざとなったらどうなるか判らない。

 イラン問題について日本のマスコミの報道は少ないようだが、ここが万が一輸出停止などの事態となれば、米国はイランから原油は輸入していないから困らぬだろうが、日本は壊滅的な打撃を受ける恐れあり!今後もこの動向には、細心の注意が必要だ。

 またドライブシーズンを控えた米国の老朽化した精製施設の問題MTBE使用禁止による供給不安問題、そしていずれやって来るハリケーンの問題など、相場が高騰するかもしれない要因は盛りだくさんだ。

 以上の様な事から考えれば、目先は69ドル台あるいは70ドル台突破ならずば、高値警戒感から再度下落する事態も無くはないが、天井打ち〜暴落に転じる可能性よりは、まさかの原油100ドル突破などの危惧の方が常に大きいと言えるだろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、予想通り舞い上がった相場だが、値位置が高くなってきたため一度調整安を入れる可能性はある。しかし原油を取り巻く環境は強く、押し目買い方針が良いだろう。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

3月27日

\61,290

130

\62,500

 

3月28日

\61,080

-210

\62,820

320

3月29日

\61,430

350

\63,500

680

3月30日

\60,850

-580

\63,910

410

3月31日

\59,970

-880

\63,760

-150

 

 続いてガソリンです…先週号においては、『三角持ち合い上放れの可能性が強まってきている。どの限月においても6万円台割れは困難と思われ、相場はまた上昇トレンドに入る可能性は高いだろう。』とした。

 今週の相場展開は、上値抵抗ラインを突破して週末31日には高値で64,450円まで上昇。3月6日の戻り高値64,170円を突破するものの、週末の3日間ともに陰線引けであり、さほどの勢いは感じられなかった。

東京ガソリン日足

…削除済み…

 一目均衡表では完全に雲の上に抜けており、チャートで表示した三角持ち合いも上に放れている。いずれ1月31日に記録した66,620円は突破しても全く不思議では無いが、例年ならば逆ザヤである相場が期近の軟調で若干勢いは弱い。またどの限月においても6万円の大台割れは困難か…としたものが、当限は6万円の大台を割れてしまった。4月限が6万円ジャストで納会したのに、5月限が6万円を割るとは意外だった。

 さて今週も各限月別の推移を見てみると、

5月限 発会値56,400円 高値64,890円 安値51,270円 現在値59,970円

6月限 発会値55,800円 高値65,710円 安値51,320円 現在値61,030円

7月限 発会値59,600円 高値65,990円 安値55,990円 現在値62,150円

8月限 発会値60,400円 高値66,620円 安値58,280円 現在値63,190円

9月限 発会値62,950円 高値64,400円 安値59,720円 現在値63,460円

10月限 発会値62,690円 高値64,450円 安値62,100円 現在値63,760円

 9月限は29日に一代高値を更新した。週明け発会した10月限は、上下で2,000円強の動きをすでに演じている。

 …中略…

 スポット価格は実質4月渡しに移行したため、前週比で見れば急騰である。しかし4月限納会値の6万円ジャストにも届いておらず、川下の需要は全く伸びていないと言う。輸入採算価格は原油高から急騰なのだが、国内需給の軟調が当限の軟調〜順ザヤ形成の一助となっている面も大きい。

 3月18日時点の国内在庫は、前週比2.0%減221.3万kl。輸入が大幅に減ったために、在庫は減少に転じた。ただしまだ200万kl以上の水準は維持しているわけで、モノはある状態である。

 今後スポット価格、並びに東工取期近価格が上昇するためには、大型定修に入る元売の動向が注目される。1日より出光興産・愛知製油所が定期修理入りするが、今後それを皮切りに続々と定期修理入りする事が強材料とされるかどうかが焦点だ。

 結論として当方の相場観は、買いトレンドは維持されるだろうが、ぼちぼち異常な限月間の順ザヤが訂正されるか。そのため先物の上昇は、灯油よりは鈍いものとなるだろう。

 

 

今週の灯油の値動き

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

3月27日

\57,050

-590

\61,870

 

3月28日

\57,550

500

\62,260

390

3月29日

\58,070

520

\63,300

1040

3月30日

\58,160

90

\63,910

410

3月31日

\57,850

-310

\63,770

-140

 

 最後に灯油です…先週号においては、『週明けの10月限発会後の動きは重要だ。発会後に上に走ったら、大相場のトリガーが惹かれる可能性がある。またガソリンとのサヤも大注目の限月である。』とコメントした。

 今週の相場展開は、週明け予想通りに順ザヤで発会した10月限が6日の高値61,300円を発会日から突破。さらに1月31日の62,440円も突破した相場は、週末には高値で64,670円まで示現。一気の急騰を演じる事となった。

○東京灯油日足

…削除済み…

 先物に需要期限月が建ったという限月マジックではあるが、ガソリンが今年の高値を更新していないのにもかかわらず、灯油相場はそれを大きく突破!明らかにガソリンよりも強そうに見える相場である。

 さて今週も各限月別の推移を記すと、

5月限 発会値52,140円 高値60,690円 安値46,780円 現在値57,850円

6月限 発会値51,720円 高値60,630円 安値47,240円 現在値57,250円

7月限 発会値56,630円 高値61,500円 安値52,310円 現在値57,930円

8月限 発会値55,400円 高値62,440円 安値53,960円 現在値59,320円

9月限 発会値60,300円 高値62,430円 安値56,810円 現在値60,580円

10月限 発会値61,800円 高値64,670円 安値61,440円 現在値63,770円

 9月限・10月限の先物2本が31日に高値更新である。

 なおガソリンとのサヤ関係であるが、週末現在では以下のとおり。

月日

3月31日(金)

 

 

 

 

限月

ガソリン

限月間サヤ

灯油

限月間サヤ

ガソリン−灯油

5月限

\59,970

 

\57,850

 

2,120

6月限

\61,030

1,060

\57,250

-600

3,780

7月限

\62,150

1,120

\57,930

680

4,220

8月限

\63,190

1,040

\59,320

1,390

3,870

9月限

\63,460

270

\61,580

2,260

1,880

10月限

\63,760

300

\63,770

2,190

-10

 発会時のサヤは、灯油の方がガソリンよりも890円安かったが、週末現在では灯油が10円高い状態までサヤ訂正されている。出来れば1,000円〜1,500円のサヤで発会して欲しかったが、それでも灯油買い・ガソリン売りを仕掛けていれば900円は利が乗っている計算だ

 

 …中略…

 4月限の納会値57,000円にスポット価格も接近してきており、この時期に再度上昇するのは珍しい。ただし輸入採算を見ても64,100円と高く、これはガソリンよりもなお500円高い水準だ。

 3月25日時点の在庫は、前週比7.7%減213.0万kl。4週連続の減少ではあるが、例年3月末には150万klまで在庫は減るわけで、現状の絶対量はむしろダブつき気味だ。

 本来ならば期近は、もっとガソリンよりも安くても良いはずだが…なお先物は現在の在庫・スポットとは関係なく動くと思われ、チャート判断では1月31日62,440円〜2月16日53,960円の倍返しなら、ズバリ62,440円+8,480円で70,920円が目標値となる。10月限がそこまで駆け上がるかどうかは判らぬが、今後11月限・12月限と建ってくるに従って、そんな高値を示現しても驚かない。何せ今年の1月には、期近は82,480円とという高値を示現しているわけで、それが先物で出ないとは言えないだろうゆえに。 

 結論として当方の相場観は、先物を中心に買い方針を貫くべきだろう。原油大暴落とならない限り、いずれは7万円・8万円と上がって行く可能性が高いだろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の動き

 

4月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

3月27日

\2,096

21

\2,129

21

3月28日

\2,127

31

\2,160

31

3月29日

\2,128

1

\2,156

-4

3月30日

\2,168

40

\2,200

44

3月31日

\2,211

43

\2,245

45

 

 金相場は、先週号においては『先週までは三尊天井型チャートからの崩れで、ひどければ1,800円台までの下落も考えていたが、下げのタイムサイクルの時間切れ!相場はまた押し目買いへと転換したと見る。』とコメントした。

 今週の相場展開は、2,100円台でのもみ合いから完全に上放れ。週末には高値で2,248円と2月6日の2,242円すら突破する状況となった。

東京金日足

…削除済み…

 先々週までは売り方針だったが、先週号では180度相場観を転換。万が一売り方針に従った向きは、週明けにすぐに踏んでくれただろうか?そこで踏んでいれば100円幅は助かるか、あるいは途転買いとなっていれば100円幅は取れているが…

 なおこの相場は上げが急だったゆえに、押し目も入るかもしれないが、28日に一目均衡表の雲の上に出たところで完全に買い転換。押しが入っても2,170円台では支えられるだろう。仮にこのまま大相場になった場合は、おおよそ400円幅ずつ値位置を切り上げた実績で考えると、ズバリ2,450円を目指して上がる事となるだろう。押し目の倍返しもほぼその水準であり、素直に見ればそうなる。

 …中略…

NY金日足(週末31日分は入っていません)

…削除済み…

 週末は高値589.6ドルまで示現した後の陰線引けであり、もしかしたら換算以上に下げるかもしれない。(その日のスポット市場次第だが)ただしこちらも完全に今年の最高値を更新しているわけで、一度は600ドルを取らないと終らない可能性は高いだろう。仮に600ドルで為替が現状の117円台半ばならば、国内先物は2,300円台には乗せる事となる。

 唯一の不安は、プラチナがNY市場で暴落している事であり、影響を受けるようであれば押しは深いだろう。押し目買いは、市場の落ち着きを待ってからの方が無難かもしれない。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、週末のNYプラチナの急落が懸念されるが、押し目買いの状況はまだ続くだろう。2,300円台〜2,450円どころまで上値を見て置く必要があると考える。

 

 

 銀相場は、週末2日間は12円高のストップ高、18円高の拡大ストップ高で一気に30円幅の上昇。高値は427.9円を示現しており、まさに糸の切れた凧状態で上昇している。

東京銀日足

…削除済み…

 2月3日の高値を真っ先に更新した銀は、他の貴金属(金・白金・パラジウム)も高値更新となって来た中で、更に騰勢を強めた展開だ。材料はズバリETFの上場期待であり、アナリストの多くはNYベースでの1,200セント〜1,500セントを目標値に据えて来ている

 ただし当方は、元々2月の下げの倍返しでズバリ422円までの上昇を考えて来たわけで、とりあえずの目標値は達成だ。

 もしかしたら長いチャートで見た場合の450円どころ、あるいはそれ以上の上昇もあるかもしれないが、このような急騰相場は下げる時も一転してストップ安でやって来る。それゆえ、もうここからは買わない!(週末に大概の買いは逃げました…)

 …以下略…

 

 

今週の白金の値動き

 

4月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

3月27日

\3,931

-22

\3,987

8

3月28日

\4,005

74

\4,070

83

3月29日

\4,010

5

\4,053

-17

3月30日

\4,065

55

\4,116

63

3月31日

\4,085

20

\4,127

9

 

 プラチナ相場は、先週号においては『弱気に見ていたプラチナ相場であるが、今週から180度転換の途転買い方針。(前場の概況の22日号で、コーヒー以外は全部押し目買い転換とのレポートはしているが)パラジウムも当然買い方針である。』とコメントした。

 今週の相場展開は、週明けに一目均衡表の上に完全に出た格好となった相場が、その後も上昇を続けて4,172円まで上昇

東京白金日足

…削除済み…

 ただし、金・銀・パラジウムが2月6日の高値を更新したにも関わらず、このプラチナ相場のみは2月6日の高値4,198円まで僅かに届かず…元々貴金属相場を強い順に銀>パラジウム>金>プラチナとしていたわけだが、やはりそうだったか…と言える姿である。

 さて週末のNYプラチナであるが、金の4.9ドル安と比較すれば桁違いの急落となり、前日比31.3ドル1059.4ドルまで下落して終了。おそらく週明けの東京市場は、ストップ安の下落となるだろう。

 これでいち早くプラチナ相場が大天井を打ってしまった…とまでは思わないが、1,020ドルぐらいまでは下がるかもしれない。東京市場であれば、3,900円どころまで下がるかな?と言ったところだろう。

 さてこの下げ要因であるが、あくまでもテクニカルな要因が重なっただけだと思われる。新たな材料・情報は何も入っていないゆえに…

 

 なおパラジウムであるが、こちらは2月6日の高値1,348円を突破して1,359円の高値を記録

東京パラジウム日足

…削除済み…

 ただしプラチナ相場が週明け崩れるのが必至な情勢ゆえ、パラジウムも下手したらストップ安かその近辺までは売られるかもしれない。

 結論として当方の相場観は、週末の高値で目先天井を打った可能性が高い。買い玉の整理売り一巡を待ってから、買い方針とするのが良いだろう。

 

 

 

〔穀物〕

 

今週のコーンの値動き

 

5月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

3月27日

\15,010

-140

\18,850

60

3月28日

\15,080

70

\19,240

390

3月29日

\15,060

-20

\19,200

-40

3月30日

\15,150

90

\19,370

170

3月31日

\15,160

10

\19,650

280

 

 先週号においては『押し目買い方針に変化なし。ファンド売りでシカゴ市場も重いが、天候相場期前にプレミアムがはげてこの程度の下落は、かえって歓迎したいところである。』とコメントした。

 今週の相場展開は、コーンは週末には2月27日の19,510円を突破する新高値の19,770円まで上昇。対して一般大豆は35,000円どころのもみ合いに終始しており、対照的な展開となった。

東京コーン日足

…削除済み…

 一目均衡表の雲の上での推移していた相場は、2月27日からの下げトレンドを22日の上昇で突破。その後シカゴコーンも反発してきたため、今週は一気に噴き上げる事となった。期近は全く上がって来ないため、当先の順ザヤ幅は更に拡大。ちょっと異常な状況であり、限月別に全く違う商品ではないかとさえ思われるような動きであったが、ともかく新値更新の動きである。

東京コーン日足・当限足

…削除済み…

 普段あまり目にする事はないだろうが、当限の引継ぎ足を表示すれば、上記のような格好となる。

シカゴコーン日足(週末31日分は入っていません)

…削除済み…

 さてシカゴコーンの週末であるが、前日比8.25セント高の急騰236.00セントで終了である。高値は243.00セントまで出ており、3月3日の高値を一気に更新した。シカゴが全く上がらないのに、東京市場だけ上がるのはなぜ?とか考えている間に、シカゴも3月3日の高値240.00セントをクリアしたわけだ。まるでひょうたんから駒の出来事だ。

 上昇した要因は、米農務省報告による作付意向面積が市場の事前予想を下回った事。発表された作付け意向面積は7801万9,000エーカーであり、市場予想の8057万6,000エーカーを大幅に下回った。これを受けてファンドは大量に買った模様だ。

 

 一方でシカゴ大豆はコーンの作付面積が低下した結果、逆に増加する事となって7689万5000エーカーと事前予想の7421万7000エーカーを大きく上回った。それとともに四半期在庫が大幅に増加した事を受け、前日比16.25セント安の571.50セントまで大きく値を消す対照的な展開となった。

シカゴ大豆日足

…削除済み…

東京一般大豆日足

…削除済み…

 なおこの日ファンドはコーンを5万枚買ったと見られるが、大豆は6,000枚売った模様。週末現在でファンドのネットポジションは、コーンは推定14万2,500枚のロング大豆3万900枚のショートと見られている。

 

 さて本題はここからだ。とりあえず注目の天候相場序盤戦の作付意向面積は、コーン急騰の大豆安という今までの流れに沿ったものに決まったわけだが、あまりにもうまく決まり過ぎて気持ち悪い。作付意向はあくまでも意向であり、決定ではない。

 この日のシカゴ市場の動きで東京市場の週明け寄り付きを換算すると、コーンは410円高(つまりはストップ高)、大豆は590円安となる。しかし案外と、このコーン高・大豆安がこのままは続かないような気はする。

 本来当方がコーンを強気している主因は天候懸念と、それ以上にエタノール用需要というある意味エネルギー関連銘柄への変化というのがあるわけで、決定してもいない作付面積で安易にコーンを飛び付き買い、大豆を安値売りするのはどうかと思う。シカゴが上がらないうちに上がった東京市場は、シカゴが上がった事で利食い売りが出る…つまりは『材料出たら終い』の展開も有り得るのでは?来週はちょっと冷静に見守りたいところだ。

 もちろん長期的に見れば、今年のコーン相場は大相場!大豆もコーンが高いので上がる!との見方を採っているわけではある。

 結論として当方の相場観は、米農務省発表で対照的な動きを見せたコーン・大豆相場であるが、来週半ば過ぎには案外と逆行する動きも有り得るか。高値飛び付き買いも安値売りも避けた方が良さそうな気はする。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

3月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

3月27日

239.7

-1.5

253.4

3.9

 

4月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

3月28日

247.0

4.6

261.7

 

3月29日

247.8

0.8

259.0

-2.7

3月30日

248.7

0.9

260.6

1.6

3月31日

250.1

1.4

261.7

1.1

 

 先週号においては『当限の納会次第では、再度の大型上昇相場に入るかどうかまでは判らぬが、一度240円台前半までの売り玉が踏み上げさせられる戻りが到来する可能性が高いだろう。短期的には買い方針である。とコメントした。

 今週の相場展開は、260円台までの急騰となるものの、その後はそこでもみ合いの展開となった。

東京ゴム日足

…削除済み…

 一目均衡表の雲の中に出た相場は、260円台に乗せたところで小休止の格好だ。3月3日に記録した267.5円はまだクリアできず、来週は貴金属相場の様にこれを抜ける事が出来るのか?それともまた押し目がやって来るのか?の重要な分岐点だ。上値抵抗線を突破できれば、それこそ夢の300円台も視野に入って来るかもしれないし、逆に抜き切れなければ再び雲の中に入ってのもみ合いの可能性もある。

 当先のサヤは4月限250.1円〜9月限261.7円と11.6円の順ザヤ。もっとサヤが縮小すればかなり強い展開になるのだろうが、4月限の内部要因は悪く無いので詰まる可能性はある。

 週末現在の輸入採算価格は、5月積みで260.0円。東京市場5月限の終値は251.8円であるため、8.2円の下ザヤである。おおよそ10円下ザヤを平均に動いているゴム相場だが、ここまで詰まれば場合によっては商社がヘッジ売りする水準。

 3月20日現在の国内営業倉庫在庫は、2,622トン増の15,144トン。こちらの増加幅は大きい。

 以上の3点を考えた場合には、手放しでの買い方針とは出来ない。上がる場合は、石油・貴金属相場などと同様のチャートになるのではという期待感であり、現状を冷静に考えれば先物は押してもおかしくない

 もっとも依然として産地は減産期であり、供給逼迫が継続している事も事実。高値飛び付き買いは避けて、冷静に押し目買いに徹するのが良いだろう。逆にこれ以上産地との逆ザヤが詰まる様なら、短期的には売りも可だろう。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、現状ではこのまま一気に上抜ける事は難しい。乱高下をして次の展開を待つ事になるだろう。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

5月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比 

3月27日

\16,950

160

\21,040

170

3月28日

\17,210

260

\21,510

470

3月29日

\17,150

-60

\21,370

-140

3月30日

\16,880

-270

\21,330

-40

3月31日

\17,380

500

\22,130

H800

 

 先週号においては『当面戻り売り一貫の相場展開ではあるが、下げは連発では来ないだろう。戻りを売って突っ込みは買い戻す、小幅な逆張り戦法が良いだろう。』とコメントした。

 今週の相場展開は、戻りは売られながらも週末は急伸し、ストップ高の22,130円まで上昇して終了した。

東京アラビカコーヒー日足

…削除済み…

 チャートでは一目均衡表の雲の中に完全に入った。もう一段高すれば買い転換するが、3月6日の22,140円、2月22日の22,370円はまだクリアできておらず、ましてや1月30日に記録した24,790円はまだまだ遠い。

 現在の当先のサヤは5月限17,380円〜3月限22,130円と4,750円である。これだけ順ザヤが拡大しているのかで、買うのはどうであろう?コーンなどが順ザヤ拡大してもエタノール需要期待という大型の材料があるゆえ致し方ないと考えるが、コーヒーはエネルギー関連になるわけじゃ無し、せいぜいコーヒー風呂がある程度だ。どうにもこの相場は上がっても、砂上の楼閣にしか見えぬ。

 もっともゴールデンウィーク明け辺りからは、ブラジルの収穫期で毎年恒例の降霜懸念で急騰する時期に当るゆえ、安易に売りっぱなしというわけにも行かぬ。しかしそれにはまだ間があるだろう。

 なおNYコーヒーは週末、前日比1.60セント安の下落で107.00セントで終了。東京市場週明け換算で230円安となる。

NYコーヒー日足(週末31日分は入っていません)

…削除済み…

 NYコーヒーは30日に急騰したわけだが、これは一目均衡表の雲の下限に届いただけ。いわゆるここが売り場!というヤツであり、翌日に上記の様に下がった姿は、まだ戻り売りの姿だ。

 …中略…

 結論として当方の相場観は、週末のストップ高の急騰は一過性のものだろう。まだ戻り売り継続だろうが、時期的に大崩れも無いだろう。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

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