商品市況展望 割愛版

平成19年9月9日記

 

 井沢元彦氏の『逆説の日本史』シリーズは面白い。現在14巻まで出ており、最新号は近世爛熟編『文治政治と忠臣蔵の謎』である。この号には大阪・江戸大商人の世界編に、先物取引の発祥である堂島の米取引について書いてある。是非、ご覧になってみていただきたい。

 さてその時代の有名な相場師である本間宗久の語録に『人に行く裏に道あり花の山』というものがあるが、これには前段があって『相場の成功秘訣は他なし。人、西に走る頃、我東に走る覚悟、是のみ』というらしい。初めて聞きました…(苦笑)

 また『投機』の意味についてだが、これは元々、禅の用語であったという。普通は『良い機会に乗じるの意』とあり、@当れば利益の大きいことを狙ってする行為。A市価の変動による差金を得るための取引。相場。となっているらしいが、『仏語。禅宗で修行者が仏祖の教えの要諦(ようたい)にかなって大悟すること。また学人(がくにん)の機と師家(しけ)の機が一致すること。』ともあるという。これもはじめて知った。

 英語では投機=スペキュレーションは『深く思索する』との意もあり、投機が悪という感覚はないとの話は聞いたことはあるが、そうか日本では元々は仏語だったのか…と感じた次第。

 井沢氏はそれに続き、本間宗久は『悟りを開き』『禅の境地を相場(投機)に応用した男』と考えても差し支えないとし、それにこそ日本文化の特質があるのだと説く。

 確かに金儲けの中でも最も『濡れ手で粟』との批判が強い相場、ある意味では『欲望の極致』と見られても仕方のないものではあると井沢氏は言うが、例えば『五輪書』を書いた宮本武蔵は悟りを開いた人との見方を日本人はする。しかし元来、剣術というのは殺人の技術であり、殺人の技術を磨けば磨くほど悟りを得るというのはおかしな話。だが日本人はそれを当たり前とするように、本間宗久=投機もそうであるとの説を採るわけだ。

 要は『投機』という言葉は元々仏語であったが、本間宗久が『良い機会に乗じて』大儲けし、それが相場であったからそうなったとの逆説である。なるほど…である。

 

 現在では米国のおまけのような出来高・値動きの国内商品市場であり、プレイヤーも市場も『行く川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず』のように変化中。またこの週末もオリエント貿易・トリフォ・ユニテックスの3社が受託業務停止処分を受けたり、東工取24時間取引に移行しストップ制限も撤廃する…というような流れになってきているわけだが、市場自体がなくなるわけではない。

投機家は、ヘッジャーのためにも市場には不可欠な存在である。儲ける事は悟りを開くことでもある。投機家こそ市場の誇りでなければならない。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の値動き

 

8月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

9月3日

\49,890

50

\48,850

550

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

9月4日

\50,390

190

\48,530

 

9月5日

\51,070

680

\48,920

390

9月6日

\51,500

430

\49,120

200

9月7日

\51,550

50

\49,270

150

 

 まずは原油から…先週号においては『8月22日の46,120円で目先の底打ちは確認。5万円辺りまでは戻しても不思議ではないが、大勢で買い相場に転換したかどうかまではまだ疑問。逆張りの対応が良しと考える。』とコメントした。

今週の相場展開は、週末には高値で49,540円まで上昇。安値からはすでに3,000円以上の上昇となっており、8,000円以上下げた相場が急回復している情勢である。

○東京原油日足

…削除済み…

7月13日の54,470円〜8月22日46,120円は8,350円もの下落・下落率15.32%であったが、今週末の高値はそこから3,420円の反発である。下げ幅の40.9%を戻したわけで、3分の1戻しは達成。半値戻しまであるのなら、5万円台のギャップを埋める辺りか。

相対力指数は現在52.90ポイントであり、この50ポイント越えは一度売り場になりそうである。しかしNY原油はやたらと強く、このところコメントしているとおりドル暴落の懸念から原油・金が上昇しているのかもしれない。

と考えていたら、週末の為替は2円近い円高で113円台へ一気に突入している。NYダウも250ドル近く暴落しているし、市場は大波乱だ。その辺については、金のコーナーで再び詳しく解説する。

 

    NY原油日足

…削除済み…

週末7日のNY原油10月限は、前日比0.40ドル高76.70ドルで終了。為替は113円46銭と大幅円高なっているため国内換算価格は590円安である。

またドバイ・オマーン原油も70ドル台を回復となっており、反騰してきている。

 

 なお22日に68.63ドルまで下げたが、4日の時点ではすでに77ドル台乗せ。7月31日の78.28ドルを天井に下げた相場は、完全に雲の上に出て上昇に加速が付いており、このまま行けば高値更新も視野に入って来ている

 

    NY原油月足

…削除済み…

史上最高値は昨年7月の79.86ドルであるが、2001年11月から上げ始めた相場は6年間の大型上昇相場。昨年夏〜今年1月の暴落も、まだ上昇トレンドラインを割り込んだわけではない。

8月の急落も今の状態では単なる押しであり、80ドル台に乗ったらどこまで行くのか想像も付かない。まだ9月は始まったばかりで、最後の1本が陰線引けしたらWトップになるかもしれないが…

チャートでは、冬場には下がっているケースが多いわけであるが、上げても下げても大波乱しそうではある。

…中略…

結論として当方の相場観は、NY原油の上昇はドル急落懸念を背景にしているものと考えている。これは非常に怖い動きではあるが、国内市場はドル暴落ならば円高となるゆえ、NY市場ほどは強くならないだろう。チャートではそろそろ戻り売りのポイントと考える。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

9月3日

\57,660

740

\59,480

1430

9月4日

\57,610

-50

\59,130

-350

9月5日

\58,250

640

\59,830

700

9月6日

\58,430

180

\60,390

560

9月7日

\58,660

230

\60,360

-30

 

 続いてガソリンです…先週号においては『当面の底打ちを果たした相場は、6万円台まで上がってもおかしくないだろう。円高場面の押し目買い方針を推奨する。』とコメントした。

今週の相場展開は、週末には高値で61,000円まで上昇。引けには値を消したものの、安値からは5000円以上の急反騰となったわけだ。

    東京ガソリン日足

…削除済み…

7月9日の高値68,170円〜55,450円までは1万2,720円もの下げを記録であり、相対力指数は14ポイント台まで低下。

そこからの反騰は、今週末61,000円の高値まで5,550円の上昇であり、下げ幅の43.6%を回復した。仮に半値戻しまであるなら、なお1,000円近い上げが見込まれるわけであるが、相対力指数も53.64ポイントと50ポイント台まで戻っており、戻り売りのポイントでもある。ここから上の飛び付き買いは危険だろう。

 

さて各限月別の推移を見てみると、

10月限 発会値60,500円 高値68,730円 安値54,650円 現在値58,660円

11月限 発会値63,900円 高値67,450円 安値53,680円 現在値58,340円

12月限 発会値66,070円 高値67,290円 安値53,590円 現在値58,050円

1月限 発会値66,400円 高値68,170円 安値54,420円 現在値58,450円

2月限 発会値67,300円 高値67,500円 安値55,450円 現在値59,350円

3月限 発会値56,700円 高値61,000円 安値56,650円 現在値60,360円

 先物3月限は一代の高値の更新で、安値から4,350円の上げである。先物引継ぎ足では5,500円の上昇であるが、実際には8月22日に安値を付けた2月限もその程度の上げだ。

 確かに55,000円は底であろうが、逆に68,000円も天井である。おそらく相場は今後、逆張りに移行するのではなかろうか?

 

…中略…

 結論として当方の相場観は、55,000円は底ではあろうが、逆に68,000円も天井である。この辺からはまた売り有利になる可能性が高いと考えられ、相場は2番底を探りに行く可能性が高いと見る。

 

 

今週の灯油の値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

9月3日

\59,220

850

\60,090

1280

9月4日

\59,510

290

\59,890

-200

9月5日

\60,220

710

\60,520

630

9月6日

\60,750

530

\61,270

750

9月7日

\60,800

50

\61,480

210

 

 最後に灯油です…先週号においては『1月限・2月限を中心に押し目買い有利の展開と見る。ただし逆ザヤ相場に変化は出ないと思われるため、戻りは売られやすい地合いであると考えた方がよいと思われ、突っ込み買いに徹するべきだろう。』とコメントした。

今週の相場展開は、先物では週末に高値で62,020円まで上昇29日の安値からは4,000円ほどの上昇を演じる事となった。

    東京灯油日足

…削除済み…

先物3月限は不需要期のため逆ザヤであるが、それでも29日の安値58,030円から週末高値62,020円まで3,990円の上昇相対力指数も49.46ポイントまで回復した。

チャートパターンは28日の60,430円を突破して、逆三尊型の底入れを示唆。こうなると58,030円は底と見て差し支えなかろうが、7月に記録した71,040円もまた大天井。そろそろ反発も、息切れするかもしれない。

 

なお買い推奨の1月限は63,820円と先週末から2,880円の上げ。2月限は63,730円と同じく2,820円の上げ。3月限は先週末から3,210円の上げとなっており、なぜか先物の戻りの方が大きい。まあ、下げる時にも大きいんでしょ!と考えておけば間違いあるまい。

 

 さて今週も各限月別の推移を記すと、

10月限 発会値60,540円 高値67,490円 安値55,890円 現在値60,800円

11月限 発会値66,000円 高値68,690円 安値57,110円 現在値61,750円

12月限 発会値67,900円 高値70,050円 安値58,340円 現在値62,800円

1月限 発会値69,340円 高値71,040円 安値58,900円 現在値63,320円

2月限 発会値69,000円 高値69,000円 安値58,850円 現在値63,120円

3月限 発会値58,500円 高値62,030円 安値58,030円 現在値58,810円

 3月限は一代高値の更新であり、安値からはちょうど4,000円の上げである。2月限は安値から週末高値までで4,880円戻っているわけで、これを見ればやっぱり2月限の戻りが大きい。

 

 なおガソリンとのサヤ関係であるが、週末現在では以下のとおり。

月日

9月7日(金)

 

 

 

 

限月

ガソリン

限月間サヤ

灯油

限月間サヤ

ガソリン−灯油

10月限

\58,660

 

\60,800

 

-2,140

11月限

\58,340

-320

\61,750

950

-3,410

12月限

\58,050

-290

\62,800

1,050

-4,750

1月限

\58,450

400

\63,320

520

-4,870

2月限

\59,350

900

\63,120

-200

-3,770

3月限

\60,360

1,010

\61,480

-1,640

-1,120

現状ではすべての限月で灯油の方が高い。しかし3月限以降は、また変化するのが常である。まだ先の話だろうが…

 

…中略…

結論として当方の相場観は、58,000円は底ではあろうが、逆に71,000円も天井であり、このまま上昇を続けるほどの勢いはないだろう。ここからの高値を買い進むのは危険との見方であり、ぼちぼち戻り売りを模索する場面。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

9月3日

\2,515

19

\2,534

15

9月4日

\2,513

-2

\2,536

2

9月5日

\2,531

18

\2,555

19

9月6日

\2,542

11

\2,565

10

9月7日

\2,568

26

\2,593

28

 

金相場は、先週号においては『NY金の急反騰はドル暴落を市場が予期しているのかもしれない。強いNY金相場と円高が懸念される東京市場は綱引きになると思われ、相場は乱高下の逆張りに移行するものと想定する。』とコメントした。

今週の相場展開は、週末には高値で2,603円まで上昇8月9日の2,621円からサブプライムローン問題からの株安・円高に連れて暴落した相場であったが、その下げ分をほぼすべて戻す非常に強い格好で終了した。

東京金日足

…削除済み…

7月23日の2,693円〜17日の2,389円までの下げは304円。そこから週末の高値2,603円までは214円の上昇であり、下げ幅の70.4%の戻し3分の2以上を戻した格好である。

 

 8月17日の2,389円、その後反発〜下落で記録した29日の2,451円は2番底かもしれないと先週もコメントしたものの、こんなに勢い良く戻すとは正直思わなかった。この反騰は、残念ながら全く買えていない。

 チャートでは戻り高値の27日2,526円を突破したところが下げトレンド突破のポイントと重なり、週末の高値は一目の雲ギリギリまで戻したところ。ここすら突破すれば、相場はまた完全にトレンドが転換する。

 

NY金日足

…削除済み…

週末7日のNY金は、前日比5.1ドル高709.7ドルで終了。高値は716.6ドルまで出ており、完全に上放れの状態である。

もっとも為替が113円46銭2円近い円高となっているため、週明けの東京市場換算では13円安と逆に下落の換算。もっとも夜間取引で上昇すればわからぬが…

…中略…

 

結局のところ、これはドル安からの上昇であり、金市場を見る限りドル暴落の懸念が高まっているとしか言いようがない。だからヘッジで金が買われるのだろう。

また週末のNYダウは雇用統計の悪化から250ドルほどの暴落であり、サブプライムローン問題からの暴落は何とか凌いだ格好の市場であったが、実体経済にもかげりが見える雇用統計の数字の悪さは、またダメージとなっている。しかし今までは株が下がれば円キャリートレードの解消懸念で円高になり、また商品もファンドの損失懸念で急落のパターンであったが、どうやらその株式市場と商品のリンクは切れたようだ。

株安はドル暴落懸念を高めるため、金にヘッジ買いが入るパターンに変化である。

さらにサブプライムローン問題から金融システム不安に繋がった株式市場を建て直すために、FRBは金利を下げて市場に大量に資金を投入。今週末の下落を考えなければ、それで株価が持ち直したことは事実であるが、一方で過剰流動性と低金利がインフレ懸念を巻き起こそうとしているようでもある。

こうなると金融引き締めをすれば株価は下がるし、景気も悪化する。かと言って金融緩和を続ければ、インフレ懸念がさらに高まり金が高騰する。FRBも含めて各国中央銀行は、かなり困難な市場の舵取りとなるだろう。この金の上昇は、市場がそれを見透かしている証拠かもしれない…

 

NY金月足

…削除済み…

現在700ドルを完全に突破したことで、後は昨年5月の732ドルのみが抵抗線になっている。考えてみれば2001年からずっと上がっているわけであり、先月までの下落もちょっとした調整か?全く新たなフィールドに入るのだったら、空恐ろしい事になる!

なお今回は、ドル・円のチャート(日足)とユーロ・ドルのチャート(週足)をアップしておく。ドル円は週末のNY市場で一気に29日の113.9円を底割れしたわけであり、ドルは対ユーロでは一貫してドル安のトレンドを描いている。

ドル・円日足

…削除済み…

ユーロ・ドル週足

…削除済み…

結論として当方の相場観は、株価てこ入れで金利を引き下げ、過剰流動性を増加させた中央銀行の政策は、ドルの暴落懸念とインフレ懸念を同時発生させたのかもしれない。国内は円高になると想定されるため、円建てでの上昇は緩やかであると思われるが、円高局面では拾っておくべき相場であろう。

 

 

今週の白金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

9月3日

\4,735

2

\4,682

-6

9月4日

\4,750

15

\4,705

24

9月5日

\4,752

2

\4,721

15

9月6日

\4,751

-1

\4,709

-12

9月7日

\4,764

13

\4,740

31

 

プラチナ相場は、先週号においては『内部要因やチャートから戻り売り有利の展開に見えたが、現状では上昇の勢いも強いため想定よりも戻すかも…しかし基本的には買い進む相場ではなく、強くて逆張りの展開に移るだけだろうと見るとコメントした。

今週の相場展開は、週末には高値で4,748円まで上昇。金相場の急騰に引っ張られる格好での上昇であり、22日の安値4,483円からは265円の反発である。

東京白金日足

…削除済み…

取組上から見ても、またチャートから見ても金よりも悪く見えるとしてきたプラチナ相場だが、先週号では『週末の反騰を見れば