商品市況展望 割愛版

平成19年10月14日記

 

 海外商品先物市場では、皆さんがすでにご存知のとおり期近限月もしくはそれに近い中心限月の取組高・出来高が多い。例えばシカゴコーンであれば、週末現在で期近の2007年12月限の取組が約57万8,000枚。2番限の2008年3月限が約17万9,000枚。2008年5月限は約4万9000枚、2008年7月限で約10万3,000枚と続き、一番先物の2008年12月限は16万8,000枚である。

 中物に比べれば先物のポジションも多いが、ともかくトータル114万枚ほどの取組高のうち半分以上は期近の取組が占めているわけで、当然のことながらその限月の売買高も多いわけだ。

 期近の納会が接近すると、自動的に次の限月に乗り換えられることが多く、まだコーンは季節的な需給要因が大きいために限月間で差があるが、貴金属や石油などは当然の事ながら期近中心一本槍である。

 これは海外商品市場に限らず、日経225先物など金融商品もそのような格好になっている。

 

 しかし国内商品先物市場では、ともかく先物限月が中心である。東京コーンの例を挙げれば、トータル約11万1,000枚の取組高の中で、先物2008年9月限の占める割合は約48,000枚と半分近い。期近に廻るほど取組高は少なくなり、週明け納会を迎える2007年11月限は日にちがないので1,000枚以下しかないのは当然としても、2008年1月限も4,000枚台しかない。

 石油や貴金属・ゴムなどのザラバ商品しかやらない人でも、期近〜中物の出来高の薄さに、正直言って新規の仕掛けだけではなく仕切りでも苦労する経験をした人は当然居るだろう。当然我々外務員でも、それは十分に承知しているゆえなるたけ先物中心に仕掛け、なるたけなら流動性が確保されている先物に玉があるうちに手仕舞いをする作戦を推奨することとなる。

 

 もしも国内商品市場も期近中心の市場であったら、当然に事ながら勝負は短期戦になるわけだが、ダメなら損切りも早いだろうから大きく引かされる因果玉もなくて良いだろう。まだ半年も持てる、まだ1年もあると考えれば、どうしても損切りの出来ない大衆筋はヤラレが大きくなるだけだ。

 それ以上に薄商いなる期近に商社の玉が居座ると、ファンダメンタルズも何も関係のない内部要因での波乱が増加する。そして先物限月も、海外市場の動きとは全く関連のない動きをするケースが多くなるわけだ。

 これは今週の東京コーン市場のアンドレイ・ショックの事だけを言っているのではない。ファンドというビックプレイヤーにしても、ガソリン・灯油とかでも玉のはまりやすい先物を仕掛けるゆえ、本来の商品のファンダメンタルズに基づいたサヤもめちゃくちゃになるケースが多い。全く、投資家の保護にも何にもなっていない。

 

 国内商品市場に当業者の参加が少ないのは、1年も先のヘッジ需要など少なく、当座のヘッジに対応できる期近限月の取組が薄いためだ。取引所は国内市場の流動性を高めるために○○をするなどの掛け声は勇ましいし、また国際市場に育てるためには○○だとかお題目は言う。(○○の中身は何でも結構)

 先物の証拠金よりも、例えば2番限の証拠金を半分程度にして投機資金をそこに向かわせるとかの、抜本的な対策をする方がよほど建設的だと思うのだがね。そして6つも限月など無くて結構なので、当限・中限・先限の3限月制で十分だと思うのだが、如何に?

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の値動き

 

9月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

10月1日

\53,160

30

\52,630

-840

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

10月2日

\53,260

-680

\51,570

 

10月3日

\53,400

140

\51,770

200

10月4日

\53,420

20

\51,560

-210

10月5日

\54,430

1010

\52,840

1280

 

今週の原油の値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

10月9日

\53,710

-720

\51,810

-720

10月10日

\54,270

560

\52,900

1090

10月11日

\54,940

670

\53,720

820

10月12日

\55,220

280

\54,070

350

 

 まずは原油から…先週号の縮小版においては『内外とも9月28日の高値をすぐに更新できなければ、目先は三尊天井型チャートとなるため、一時的には下落の可能性があるだろうと見る。』とコメントした。

今週の相場展開は、3連休明けの9日こそ急落となったものの、その後はまた急騰。週末には高値で54,360円を記録し、9月28日の高値53,780円を突破する状況となった。

今年の最高値(上場来最高値でもある)7月13日の54,470円にはまだ僅かに及ばぬが、週末のNY原油は続伸であり、週明けに上場来最高値を更新しても何の不思議も無い。

    東京原油日足

…削除済み…

 53,780円(9/28)〜51,500円(10/4)まで2,280円押したものが、結局今週に53,780円を抜けて54,000円台となったわけだ、倍返しなら56,060円となる有るかないかは判らんが、その辺まであっても不思議ではないと考えておくしかなかろう。

 それにしても、ここから積極的に買い進むのもちょっと考え物であるし、押したら買いも可だとはしても、正直今は手を出す気にはならんところだ。やるなら他の銘柄を仕掛けた方がマシと思える。

 

    NY原油日足(週末12日分は入っていません)

…削除済み…

9月28日に83.75ドルの高値を記録した後に、80ドル割れも出して三尊天井型チャートを形成するのかな?と考えていたわけだが、11日には長い陽線83ドル台へ復活。そして12日は前日比0.61ドル高の83.69ドル高値では84.05ドルまで記録している。もちろん史上最高値の更新である。

上昇要因はトルコ政府とクルド人組織の紛争が拡大し、中東地域の地政学的リスクが高まるとの懸念されたこと。前日に続き原油在庫が予想に反して減少していることが材料視された事。冬場の暖房油需給がひっ迫するとの観測などが支援材料となって上げている。

要は何でもかんでも強材料視されているわけで、上昇相場の特徴であるとも言える。実際のところは、さほど需給が逼迫しているとは考えられないものの、商品相場全体が上げ潮ムードの中、ファンドの買い意欲は全く衰えていないということなのだろう。

また国内内部要因では、…中略…

 

結論として当方の相場観は、9月28日の高値突破で三尊天井形成は不発に終わった。週末のNY原油は84ドル台と最高値を更新しており、東京市場も一段高の可能性は高い。しかしここからの高値買い進みはあまりに危険なので、押したら買う方針を採るのがベターだろう。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

10月1日

\64,750

-130

\66,920

-1030

10月2日

\63,290

-1460

\65,550

-1420

10月3日

\63,990

700

\66,270

770

10月4日

\64,560

570

\66,210

-60

10月5日

\65,790

1230

\67,060

850

 

今週のガソリンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

10月9日

\64,380

-1410

\65,580

-1480

10月10日

\65,410

1030

\67,460

1880

10月11日

\65,560

150

\68,610

1150

10月12日

\65,570

10

\68,530

-80

 

 続いてガソリンです…先週号の縮小版においては『原油が三尊天井の可能性を示唆しているため、ガソリン相場も目先はWトップの可能性を考えたい。大暴落するとまでは思わぬが、62,000円程度まではどこかで下げてもおかしくないのでは?』とコメントした。

今週の相場展開は、連休明け9日こそ65,420円までの急落となったが、その後原油高とともに上昇に転じた相場は週末12日に69,380円の高値を記録

9月28日の高値68,380円は完全に突破であり、残すは昨年8月の上場来高値である70,790円である。

    東京ガソリン日足

…削除済み…

原油相場の三尊天井形成が失敗に終り、ガソリン相場もWトップ形成は失敗。むしろ現状では、65,070円(10/2)と65,420円(10/9)で押し目のW底形成である。

もっとも週末は、高値から大きく値を消す展開でマイナス圏まで沈んでおり、また調整安は入っても不思議ではない。ただし12日にNY原油が84ドル台を記録する中で、週末の下げも『単なる週末の利食いだった』と見るしかなかろう。

 

さて各限月別の推移を見てみると、

11月限 発会値63,900円 高値67,450円 安値53,680円 現在値65,570円

12月限 発会値66,070円 高値67,290円 安値53,590円 現在値64,210円

1月限 発会値66,400円 高値68,170円 安値54,420円 現在値63,750円

2月限 発会値67,300円 高値67,500円 安値55,450円 現在値64,280円

3月限 発会値56,700円 高値66,530円 安値56,650円 現在値66,020円

4月限 発会値64,680円 高値69,380円 安値64,590円 現在値68,530円

 週末12日には先物2本が一代高値の更新。なお参考に、先物の上場来高値は70,790円であるが、当限ベースでは76,520円であることをお忘れなく。確かにチャートを見れば69,000円台を買うなんて抵抗があるに決っているが、76,000円にはまだ7,000円もあるわけだ。

 そこまで上がると言っているのではないし、当方もここから買おうとは思わないものの、昨年そのような価格が出たのは事実なのだから、安易にもう高値は無いと思わない方が無難だろうということだ。

 

…中略…

 

 結論として当方の相場観は、現状では7万円台の上場来先物高値更新に向けて上昇の過程としか言いようが無い。買い進みたくは無いが、安易な売り玉保有はもっと危険かもしれない。

 

 

今週の灯油の値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

10月1日

\66,330

-670

\64,550

-1440

10月2日

\65,780

-550

\63,040

-1510

10月3日

\66,800

1020

\64,000

960

10月4日

\67,180

380

\64,080

80

10月5日

\68,410

1230

\65,170

1090

 

今週の灯油の値動き

 

11月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

10月9日

\67,250

-1160

\63,400

-1770

10月10日

\68,390

1140

\65,160

1760

10月11日

\69,540

1150

\66,690

1530

10月12日

\70,060

520

\67,300

610

 

 最後に灯油です…先週号の縮小版においては『原油が三尊天井の可能性、ガソリン相場も目先はWトップの可能性を考えているが、灯油は妙に強い可能性を考えている。もしも原油・ガソリンが下がれば連れ安はあるかもしれないが、逆にそれらが下がらなければ舞い上がる可能性もあるだろう。売りは不可だ。』とコメントした。

今週の相場展開は、連休明け9日には急落して63,400円まで下げたものの、その後は原油高を受けて急騰。週末12日には高値で67,690円を記録し、一気に9月の高値を更新する状況となった。

    東京灯油日足

…削除済み…

不需要期の4月限が建っている中で、先物引継ぎ足でも高値更新となって来るとは思わなかった。結局、ファンドが限月の特性など関係なく出来高の多い先物を買うからこうなるのだろうが、理屈で売った向きはこのファンド・パワーに抗うすべ無し。

現状のチャートでは明らかにもみ合い上放れのチャートとなっており、理論的には信じられないが7万円を目指すコースに乗っているとしか読めないチャートだ。

ともかく先週号でコメントしたとおり、この灯油だけは売りは不可!としたものが、現実にガソリン相場以上の急騰となって現れている。

 

さて今週も各限月別の推移を記すと、

11月限 発会値66,000円 高値70,380円 安値57,110円 現在値70,060円

12月限 発会値67,900円 高値70,800円 安値58,340円 現在値70,680円

1月限 発会値69,340円 高値71,040円 安値58,900円 現在値70,660円

2月限 発会値69,000円 高値70,630円 安値58,850円 現在値70,490円

3月限 発会値58,500円 高値69,000円 安値58,030円 現在値68,790円

4月限 発会値62,690円 高値67,690円 安値62,490円 現在値67,300円

週末には1月限を除いて、すべての限月が一代高値の更新である。その1月限の高値が、チャート上の7月9日の最高値71,040円なのであるが、週末には70,840円まで出ておりあと200円のリーチ状態

おそらく週明けには、全限一代高値更新となるのは必至であろう。売り方で利が乗っている人は皆無だ。

なお灯油の先限上場来高値は73,170円当限上場来高値は何と82,400円である。まさか4月限が73,000円台まで上がるとは思わぬが、中物が舞い上がったらどこまで行くのかわからんな。

 

なおガソリンとのサヤ関係であるが、週末現在では以下のとおり。

月日

10月12日(金)

 

 

 

 

限月

ガソリン

限月間サヤ

灯油

限月間サヤ

ガソリン−灯油

11月限

\65,570

 

\70,060

 

-4,490

12月限

\64,210

-1,360

\70,680

620

-6,470

1月限

\63,750

-460

\70,660

-20

-6,910

2月限

\64,280

530

\70,490

-170

-6,210

3月限

\66,020

1,740

\68,790

-1,700

-2,770

4月限

\68,530

2,510

\67,300

-1,490

1,230

前回納会した10月限はガソリン64,000円、灯油65,450円の−1,450円。そこから一気に灯油が買われているのが判る。

 

…中略…

 

結論として当方の相場観は、需要期を控えて底堅い推移が予測される中で、ファンドの一手買いのいびつな取組状態である。何らかの要因で下げ始めればファンドの投げも出るのだろうが、逆に大衆筋の総踏みで市場から資金が巻き上げられてしまう可能性もある。順当なら売るのは危険で、ここからでも中物の買い推奨だ。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

10月1日

\2,755

25

\2,786

28

10月2日

\2,733

-22

\2,761

-25

10月3日

\2,733

0

\2,764

3

10月4日

\2,717

-16

\2,748

-16

10月5日

\2,755

38

\2,783

35

 

今週の金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

10月9日

\2,751

-4

\2,779

-4

10月10日

\2,790

39

\2,822

43

10月11日

\2,804

14

\2,836

14

10月12日

\2,811

7

\2,840

4

 

金相場は、先週号の縮小版においては『あまりに買い安心感が広がれば一時的な急落はあろうが、ストップロスさえ確り入れておけば問題ない。日本では実感はないが、世界はインフレ懸念が高まっており、金への投資はまだ続くだろう。』とコメントした。

今週の相場展開は、週末に掛けてまた一段高の展開となり、高値で2,858円まで上昇。相変わらずの強い相場展開が続いている。

    東京金日足

…削除済み…

2,804円(10/2)〜2,736円(10/4)まで68円押したのもつかの間で、すでに2,858円とまたまた新高値更新調整の倍返しならズバリ2,872円ということになるが、今度は2,804円が下値支持線となる。

目先的にでもトレンド転換になるのは、2,736円(10/4)を割り込んだ場合であり、ストップロスが掛かるまでは買い方針継続しかなかろう。

 

    NY金日足

…削除済み…

NY金も週末にはまた高値更新で、750ドル台も完全にクリアしている。なお東京市場の夜間取引から見れば、12日の前日比2.9ドル安の753.8ドルも換算では15円高である。

さて上がり始めた相場は、最近は何に限らずほぼ何十年ぶりとか、史上最高値を更新とかの状況である。ズバリ金にそれを当てはめれば、850ドルを超える事になるわけだ。

 

ユーロに対するドルの下落、円の下落が止まらん限りは金への投機資金流入は止まらんだろうし、ましてや世界的な金余りに変化が出ない限りは下げても全部押し目になってしまうだろう。

問題はその下げがたまに200円とか、300円とかの大きな波が来るのが問題なわけだが、そのような下落はなかなか事前に予想できるわけではない。対処としてはストップロスでの対応しかないわけで、その後世界情勢が変わっていないと見ればまた買うしかないわけだ。

ともかく仮に850ドルならば、為替が117円として国内換算価格は3,197円となるわけだ。このままのペースで上げ続ければ、年内に3,000円台相場が見られるかもしれない。

 

…中略…

結論として当方の相場観は、調整安の有る無しは神のみぞ知る話だが、現状のペースや環境を考えれば、NYベース850ドル、国内価格3,000円台は年内に出る可能性が高いだろう。買い方針である。

 

 

今週の白金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

10月1日

\5,135

87

\5,078

61

10月2日

\5,032

-103

\4,978

L100

10月3日

\5,063

31

\5,007

29

10月4日

\5,031

-32

\5,021

14

10月5日

\5,116

85

\5,057

36

 

今週の白金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

10月9日

\5,095

-20

\5,046

-11

10月10日

\5,174

78

\5,122

76

10月11日

\5,233

59

\5,169

47

10月12日

\5,282

49

\5,193

24

 

プラチナ相場は、先週号の縮小版においては目先は乱高下の三角持ち合いに入る可能性が高いと見る。突っ込み買い、吹き値売りがベターであろう。とコメントした。

今週の相場展開は、週末には高値で5,222円まで上昇。もちろん上場来最高値の更新であり、7月20日に記録した5,153円を軽く突破した状況。

    東京白金日足

…削除済み…

 5,099円(10/2)〜4,940円(10/3)までの急落は、高値追いしていた相場が一気に159円の下げを記録したものだが、週末の高値までにほぼその調整安の倍返しを達成。さすがにここからはまた調整安が先ではないかと思われるため、積極的に高値を買う気には全くならないが、上昇のペースはまだ落ちていない。

 なおチャートでとんでもない高値を想定するならば、5,153円(7/20)〜4,483円(8/22)の下げ幅670円の倍返しなら何と5,823円と6,000円に接近することとなるもちろん一気に行くわけもなかろうが、最終的には6,000円に接近する相場というのもシナリオに入れておく必要があるだろう。

 

    NYプラチナ日足(週末12日分は入っていません)

…削除済み…

8月半ば以降の上昇相場に入ってからは、陰線は入っても1本だけ。10月2日の陰線はきつかったが、結局今週また1,400ドル台を大きく突破して新高値の更新である。

週末12日は前日比6.2ドル安の1414.2ドルの終了であるが、東京の夜間取引から見れば逆に4ドルほど高い計算になり、換算値は30円高である。ともかくプラチナ市場は、東京市場の方が大きい珍しい(笑)市場であるので、NY市場の動きはまともに受け取ってもダメだが…

 

さて東京市場の内部要因では、…中略…

 

また週末現在で当先のサヤは、89円の逆ザヤ。この逆ザヤでは、やはり押し目買いが有利としか言いようが無い。