商品市況展望 割愛版

平成20年5月11日記

 

 日本のGW中から急騰を開始したNY原油相場は、週末にも更に上がって126ドル台。今や日経新聞だけではなく、一般紙でも大きく記事になる情勢だ。

 また穀物相場の急騰も大きな話題。背景に途上国の人口増、バイオ燃料需要増などが挙げられているのは、もうすでに誰でも知っている話である。

 

 国内石油相場にしても、GW前半には5,000円ほど大きく下げたわけであり、当方としては世間では騒いではいるがもう天井は打った…との見方に傾いていた。それが連休明けからすでに8,000円の上昇である。

 需給関係の面から考えれば、すでに原油相場の高騰を裏付けるものはほとんどない。よっていずれ天井は打つのだろうが、まだ現在進行形の急騰相場ゆえに安易には天井が近いとも断言できぬ情勢へと変化してしまった。

 

 穀物相場もファンダメンタルズから考えれば、エタノールにもなるコーン相場は米中西部の作付け遅れもあってどうなるか判らぬが、小麦は実際にはすでに天井打ち、大豆もおそらくは天井打ち、コメも出遅れた分だけは急騰したものの本当は不足していない現実はあるとコメントしてきた。ただしこのコメ相場も、今週はミャンマーのサイクロン襲来による大被害で急騰である。

 確かに原油高〜輸送コストの上昇もあるわけで、天井打ちだとは言っていても実際に川下の食品価格の高騰はまだ続くだろうし、それが大元の商品相場にも影響して高値高原相場は当分続くのかもしれない。どうも単純に売り!だけでは、儲けられそうな感じはしない。

 

商品相場のサイクルは、@底値〜A浮上〜B上昇〜C急騰〜D乱高下〜E天井〜F急落〜G反発〜H急落〜I下値もみ合い〜@底値で同じサイクルを繰り返す。

もちろんインフレ率を加味すれば水準を切り上げることはあろうし、また逆に産業構造の変化などにより以前よりも使われなくなったりした場合には水準を切り下げる場合もあるだろうが、基本的にはこのサイクルであろう。

今の原油相場、あるいはコーン相場が数年掛けて@〜Bの段階を経て、すでに次のフィールドに入っている事だけは確実だ。それがまだC急騰の中に居るのか?それともD乱高下〜E天井に近いところに居るのか?

そういう判断が大事なのであるが、@の底値はBの上昇辺りまで来て初めて判るものだし、Eの天井もFの急落を見て初めて判るものだ。とりあえず相場様に逆らわず、素直な目で見続けるしかあるまい。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の値動き

 

4月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

4月28日

\67,040

180

\72,020

2030

4月30日

\66,900

-140

\69,790

-2230

5月1日

\66,900

0

\68,670

-1120

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

5月2日

\69,030

-670

\68,330

 

5月7日

\75,200

6170

\71,030

H2700

5月8日

\75,500

300

\73,730

H2700

5月9日

\76,270

770

\75,780

2050

 

 まずは原油から…先週号の縮小版においては『何時とは判らぬが、どこかで暴落して70ドル台まで下落するだろう。もちろん短期予測の場合は買い推奨もするかもしれないが、基本的に売り狙いしか考えられぬ相場であると見る。』とコメントした。

GWを挟んだ相場展開は、NY原油は119.93ドル(4/28)〜110.30ドル(5/1)まで9ドル以上の下落。しかしそこから国内連休中に急騰に転じた相場は、今週末で126ドル台まで上昇

    NY原油日足(週末9日分は入っていません)

…削除済み…

週末9日のNY原油は、前日比2.27ドル高の125.96ドルで終了。高値は126.25ドルまで出ており、連日の史上最高値の更新である。4月末の調整の倍返しならズバリ128ドル台となるわけだが、それに近いところまで来ている。買われ過ぎを示唆する相対力指数も、やっと70ポイントに乗せてきた。

 

この急騰の要因は主要産油国の政情不安や需給逼迫懸念であるが、産油国の政情不安はナイジェリアがどうしたとかイラクがどうしたとか、またそれか!の感は否めない。

また需給逼迫とは言うものの、例えば全米石油在庫は今週原油で570万バレルも増加しており、景気後退懸念から米国は需要の伸びも予測されていない。敢えて強材料と言うならば、非OPECのロシア・メキシコなどで生産が落ちているとされているが、それにしたって日量5050万バレルから5005万バレルに45万バレル落ちただけだ。

中国・インドなどの需要拡大に関しては確かに増加しており、前年同期比で中国41万バレル増、インド19万バレル増などとなっている。2008年1−3月限で世界石油需要は8434万バレルと前年同期比127万バレル増であるが、確かにこの2国の増加分が大きい。

しかしOPECは3491万バレルと前年比104万バレルの増加。供給は5005万+3491万=8496万であり需要の8434万よりは大きい、つまり不足なんぞしていないじゃないか!というのがデータである。さらに世界景気が落ちれば、中国の需要だって落ちるだろうよ。

 

では今上がっている主因は何かと言えば、投機筋=ファンドの買いであろう。5月6日現在のNY原油のファンドのポジションは、6万3,200枚のロングと前週から1万枚ほどの増加。ロングの枚数だけなら25.8万枚ほどあるわけで、その他表面に出て来ないインデックス・ファンドの分などを入れれば、さらに買っている可能性はある。取組高は142万枚超あるわけだし…

 

さらにゴールドマン・サックスが原油200ドル説など危機を煽るような事を唱えるわけで、それなら120ドルでも安いと投機筋が参入するわけだ。ファンド運用者などは世界経済がどうなろうとも関係ない人種なわけで、それよりも今の自分の成績が上がらないと首になる。本来上がる材料など無くても、実際に相場が上がっているのなら買うしか運用成績は上がらないわけで、当然そうしているわけだ。

ただし流れが変われば、彼らはそれこそタダになるくらいまで叩き売りを始める。何時かはそうなるのだろうが、それが何時かが問題なわけだ。

 

    東京原油日足

…削除済み…

週末ストップ高は解けたものの、ともかく連休明けの3日間で2,700円×3発分のストップ高で8,100円幅の急騰。高値76,430円(5/9)はもちろん史上最高値の更新中

NY原油が週末に一段高しているが、102円台の円高となっているため800円程度は上がるだろうが、76,430円を抜くかどうかはまだ判らぬ。相対力指数も週末で72ポイントまで上がっており、正直言えばぼちぼちのところまで来たのではないかと考えたい。

 

ただし内部要因では、…中略…

 結論として当方の相場観は、週明けの高値は売り場であろうと考える。ただし勇気と資金のある人で、ちゃんと踏みも出来る人に限るかな。ただし下げても、120ドル割れはすぐにないかもしれない。

 

 

今週のガソリンの値動き

 

6月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

4月28日

\84,440

2160

\83,200

 

4月30日

\81,850

-2590

\80,750

-2450

5月1日

\80,160

-1690

\79,080

-1670

5月2日

\79,190

-970

\78,110

-970

5月7日

\84,300

5110

\80,810

H2700

5月8日

\84,490

190

\83,510

H2700

5月9日

\85,500

1010

\85,510

2000

 

 続いてガソリンです…先週号の縮小版においては『83,860円で天井を打ったとの見方。そこにストップロス置いて、戻る場面を売る作戦を考えたい。』とコメントした。

GWを挟んだ相場展開は、83,860円(4/28)〜77,540円(5/2)まで6,000円も暴落した後、GW明けから一転して大暴騰に転じて2,700円高連発のストップ高を含み、週末はストップ高こそ付かなかったものの86,100円まで駆け上がった

    東京ガソリン日足

…削除済み…

縮小版で83,860円は天井としたが、GW明けのNY原油10ドル高を見せ付けられては、連休なので売れずに良かったと言うしかない情勢。その時点では買いなんぞ全く頭に無かったわけで、大曲りではあるが、買いを出来ずに残念と言う気持ちは無い。今回はこういう暴騰になったわけだが、逆のパターンだってあったかもしれないゆえに。

 

さて各限月別の推移を見てみると、

6月限 発会値77,860円 高値86,430円 安値67,030円 現在値85,550円

7月限 発会値79,510円 高値86,150円 安値67,110円 現在値85,730円

8月限 発会値71,520円 高値85,920円 安値68,730円 現在値85,530円

9月限 発会値78,600円 高値85,880円 安値69,540円 現在値85,230円

10月限 発会値70,840円 高値85,720円 安値69,560円 現在値85,190円

11月限 発会値83,800円 高値86,100円 安値77,540円 現在値85,510円

 週末に全限一代高値の更新28日の高値を抜いたのは、ストップ制限の関係で7月限以降は週末である。

 

国内内部要因では…中略…

 

今週のスポット価格は、119,000円台(税込み)推移大幅上昇8日現在の輸入採算価格は91,300円となっており、前週比6,400円高である。その後も原油価格は上昇しているのだから、さらに上昇しているだろうと容易に予測が付く。

 5月3日時点のガソリン在庫は前週比8.1%の大幅減216.6万klと3週ぶりの減少。暫定税率復活前での需要増加による減少だが、今後は暫定税率復活と原油高からのコストアップで更なる販売価格の上昇は必至ゆえ、在庫は増加するだろう

 しかし国内で売れないから価格が下がるかと言えば、輸入採算はすでに9万円を大きく突破しているわけであり、元売は輸出に廻せばOKなわけだ。85,000円台のガソリンは、8日時点の採算でもまだ6,000円は割安な状況であり、国内需要減=弱材料とはならない可能性が高いだろう。

 

…中略…

 結論として当方の相場観は、僅か3日間で7,000円以上の急騰ゆえ調整は有り得る。しかし輸入採算から見ればまだ上昇の余地はある相場であり、原油価格の暴落がない限り9万円台に乗せても決して不思議ではないと考えておく必要はあるだろう。

 

 

今週の灯油の値動き

 

6月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

4月28日

\89,120

3000

\90,460

 

4月30日

\88,510

-610

\88,890

-1570

5月1日

\87,490

-1020

\87,110

-1780

5月2日

\86,600

-890

\85,780

-1330

5月7日

\91,590

4990

\88,480

H2700

5月8日

\91,690

100

\91,180

H2700

5月9日

\94,370

2680

\93,880

H2700

 

 最後に灯油です…先週号の縮小版においては『90,930円で天井は打っただろうと考えるが、素直にチャートどおりに暴落するかどうかはまだ疑問。取り組み整理のための乱高下をするのではあるまいか?』とコメントした。

GWを挟んだ相場展開は、90,930円(4/28)〜85,520円(5/2)まで5,000円以上も暴落したが、連休中のNY原油の暴騰で2,700円×3連発のストップ高で8,100円の上昇。週末は93,880円まで上昇しての終わりである。

なお9日のNY原油はなお高値更新しているゆえ、週明けも一段高は必至の情勢だ。

    東京灯油日足

…削除済み…

一応は天井を打ったのかな?とコメントした途端の、休み中のNY原油の10ドル上げにはぶっ飛んだ。相場である以上、買われ過ぎによる反落はあってもおかしくは無いが、パチンコで言えば確変モードに入った状態だ。

ともかく8日の『前場の概況』でもコメントしたとおり、理屈に合わないと思っていた相場に実は理屈があったわけで、こりゃ行き着くところまで行かないとどうにもならんな。

 

さて今週も各限月別の推移を記すと、

6月限 発会値72,500円 高値94,590円 安値63,540円 現在値94,370円

7月限 発会値74,840円 高値93,440円 安値63,480円 現在値93,440円

8月限 発会値68,500円 高値92,850円 安値65,450円 現在値92,850円

9月限 発会値76,140円 高値93,140円 安値69,890円 現在値93,140円

10月限 発会値73,000円 高値93,390円 安値72,350円 現在値93,390円

11月限 発会値90,800円 高値93,880円 安値85,520円 現在値93,880円

週末まで全限一代高値更新。結局、大引けまでストップ高で引けているわけであり、週末の原油高を考えればまだ上がる情勢だ。

  

なおガソリンとのサヤ関係であるが、週末現在では以下のとおり。

月日

5月9日(金)

 

 

 

 

限月

ガソリン

限月間サヤ

灯油

限月間サヤ

ガソリン−灯油

6月限

\85,550

 

\94,370

 

-8,820

7月限

\85,730

180

\93,440

-930

-7,710

8月限

\85,530

-200

\92,850

-590

-7,320

9月限

\85,230

-300

\92,870

20

-7,640

10月限

\85,190

-40

\93,250

380

-8,060

11月限

\85,510

320

\93,770

520

-8,260

 今年の夏は本当に雪が降るらしい…とガソリンよりも高い灯油に異常さを指摘してここまで来たわけだが、当業者にとってこの灯油は単なる灯油ではなかったらしい。灯油と名前は付いているが、ジェット燃料相場とでも変えて考えた方が良いようだ。
 もちろん灯油が簡単にジェット燃料に転化され、採算次第では輸出に廻されることが多いのは元々知っていた。しかし他に製品が上場されていないTOCOM市場では、当業者にとって軽油の代用品でもあり、要はディスティレート(留出油)全般であるとの考え方をしているというのだから、もうガソリンとのサヤなんぞ考えても無駄だ

 季節要因での鞘取りと言うのは、もう理論的に出来ない銘柄になったということであり、今後見なければいけないのはシンガポール市場での輸入採算である。これとパラレルに動くのが東京石油製品価格なのだ!と考えねばならない。

 

今週のスポット価格は91,000円台大幅上昇。また8日現在の輸入採算価格は10万5,800円前週比4,400円高。完全に10万円乗せどころか、それにプラス5,800円である。さらにその後の原油高を考えれば、もう11万円かもしれない。

この上昇はアジア新興国を中心として世界的に灯油需要が強いためと言われていたが、結局は中国の大量買いらしい。

東京市場も大暴騰で93,000円台であるが、それでもまだ国際価格よりも軽く1万円は安いわけであり、この面から考えればまだまだ上がるだろう。

またガソリンとのサヤも、105,800円−91,300円=14,500円あるわけで、まだ8,000円台ではなお開く余地があるということだ。今後参考にせねばならぬのは過去の経験則ではなく、今の国際価格がどうなっているかだ。

 

5月19日時点での灯油在庫は、前週比0.2%減167.8万klと4週連続の減少。この時期に在庫が減少しているのは、明らかに輸出用に廻されてる事が裏付けられる。国内で今、灯油を使う人なんて無いのだから…

 

また国内内部要因では…中略…

 

結論として当方の相場観は、灯油価格は10万円を突破する可能性が高いだろう。ガソリンとのサヤもまだまだ開くであろうし、異常だと思っていたものが実は合理的であったわけであり、間違いを知ったからにはすぐに方針転換をせざるを得ないだろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の金の値動き

 

6月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

4月28日

\3,008

36

\3,021

28

4月30日

\2,917

-91

\2,927

-94

5月1日

\2,932

15

\2,931

4

5月2日

\2,892

-40

\2,907

-24

5月7日

\2,964

72

\2,984

77

5月8日

\2,902

-62

\2,928

-56

5月9日

\2,948

46

\2,964

36

 

金相場は、先週号の縮小版においては『金相場は天井を打っているとの考え。どこで売るかの相場であり、せいぜい戻ってもう一度3,000円に乗せる程度であろう。まずは2,700円を目指すと考える。』とコメントした。

GWを挟んだ相場展開は、2,882円(5/2)まで下落した後に、連休明けに3,001円(5/7)まで急騰したものの、すぐに3,000円台は割り込んでの推移。

    東京金日足

…削除済み…

原油相場が新高値・新高値とどんどん上がってゆく中で、やはり頭の重い展開である。

強気で見る向きは、原油に対してはかなり出遅れ感があるため、これから上がるのだと考えるだろうが、当方はやはり天井を打っているから上がらないのだと考えたい。今のところ2,880円(4/1)と2,882円(5/2)でW底の可能性も皆無では