商品市況展望 割愛版
平成23年12月4日記
『ユーロ危機の終着駅は、世界恐慌か?』という吉田繁治氏のレポートがある。
結構長いので、全部読みたい人は下記のHPにてご覧になっていただくとして、今回はそれから抜粋したい。
相場を生業としている我々には常識の範囲内なのだが、一般の人は知らない人も多いしね。
CDSと聞いて、即座に何なのかを理解できる人は少ないかもしれない。
http://archive.mag2.com/0000048497/20111124221527000.html
1.政府財政の破産から、通貨暴落とインフレまで(仮想風景)
総額で約300兆円のPIIGS債が、これです。すでに、ほぼ150兆円の損が生じています。
この損は、持ち手である欧州の主要90行の自己資本(100兆円)を消し、
債務超過にして、破産させる金額です。
PIIGS債の価格下落(=金利の高騰)だけでも、すでにこうなっています。
不良債券が生じると、その債券を持ち、貸し付けをしている金融機関の損になります。
つまり、欧州(特にドイツとフランス)の銀行危機です。
銀行の危機が起こると預金者が預金を、ファンドの危機が起こると投資家が預け金を、
引き揚げにかかります。
銀行やファンドの資金が引きあげられると、銀行とファンドはそれが払えず、破産します。
銀行には、預金額に見合う現金はないからです。
2012年3月には、この含み損を計上せざるを得ないでしょう。
あるいは政府が、特別に「ドル債の時価計上の停止」を発動します。
計上しなくても、オリンバスの1300億円の証券での飛ばし損失のように、実体は、おなじです。
物価が10倍、100倍になるハイパーインフレは起こらないと思います。
多分、20%くらい物価が上がるインフレになる。
この時、暴落した債券や資産の買いで、巨大利益のチャンスが生まれます。
2.増え続けるデリバティブとその巨大損失
原資産(証券)から派生したデリバティブが、
2011年の6月には、10倍の$705兆(5京6400兆円:世界のGDP 5000兆円の11年分)という、
誰にとっても、全体像を描くイマジネーションを超える金額です。
金融機関に必要な自己資本をBISが示しているように、リスク資産の11%に上げると、
世界のマネー(=マネーサプライの総金額)は、8%÷11%=73%、
つまり27%も縮小に向かうことを迫られます。
総預金と銀行の運用可能額が27%減るという意味です。これは、
(1)銀行からの貸付金の回収、
(2)証券の売却、
(3)PIIGS債のようにリスク資産になった国債の、売却です。
BISの11%政策を、本当に世界で実行すれば、強烈なデフレ型の恐慌を生みます。
このため、本当には実行できない。
銀行は大丈夫ですよという見せかけです。
バランスシートからはオフ・バランス(負債や資産の切り離し)もできるデリバティブ化した金融では、
損失飛ばしを含むごまかしが、堂々と通用します。
BISの資本は、一般には知られていないデル・バンコ(ベネチア、スイス、ロンドンのシティ)が多く、
その資本をたどると、ロスチャイルドの一族です。その資本の元は、ゴールドです。
3.BISの、最新のデリバティブ統計から読み取れること
BISは、2011年11月に、デリバティブの統計数値を更新し、最新データを、11年6月としています。
8月にこのBIS統計を読んで、その解釈から、$14.2兆(1136兆円)の損失が10年12月時点で生じ、
それが現在、主に米欧の金融機関とファンドの含み損になっていると示しました。
この損の1136兆円余の損が、何らかの形で、300兆円くらいに薄められないと(それでも大きいのですが)、
世界の金融機関とファンドの損から、
・世界の金融の大収縮(デ・レバレッジ=マネー・ストックの急減少)に向かい、
・流通できるお金がなくなると、
・商品と不動産の商取引が減って、実体経済の恐慌と政府財政の破産になります。
11年6月の、デリバティブがかかった対象金融資産の$707兆は、邦貨で5京6560兆円に相当します。
これは、世界の金融資産(1京5000兆円)の3.7倍です。
10〜100倍のレバレッジがかかるため、
現物取引よりはるかに多い先物取引(対象は通貨先物、金利先物、株価先物、商品先物、CDS等)も、
デリバティブです。
低い金利のときCDSを買っておいた人は、国債を含む証券の下落(金利の高騰)があると、
巨大利益を得ます。
4.BISのデリバティブ統計から推察できるのが、金融機関の、デリバティブの保有での巨大含み損
損の金額が、$15.8兆(1264兆円)と大きすぎます。
世界の政府・中央銀行では、救済資金を出すにも、出せない金額です。
欧州で600兆円、米国で600兆円は隠れているはずです。
5.EU当局(政府)の、金融面では愚かな対策の三連発
(1)空売りを禁止する愚かさ:先物売りとプット・オプションに利益の機会を与えるだけのことになる。
●当局が「空売りを禁止する」理由は、市場に、相場が下がるという見込みがあるからです。
空売りが禁止されたら、即刻、上記の、
(1)国債の先物売り、
(2)または、オプションの売り、をしかければいい。ほぼ確実な利益が上がります。
別の方法で、イタリア国債のCDSを、プレミアム(保険料)を払って買ってもいい。
イタリア国債が下がれば、そのCDS証券の価格が上がって利益が出るからです。
以上のように、当局の空売り禁止策は、市場に対し、無効です。
むしろ、安値を予想した「売り」に、利益の機会を与えてしまいます。
2011年10月と11月に、日本政府が、二度のドル買い介入(ドル買い・円売り)を、
10兆円(貴重な日本のマネー)を使って行っています。
これも市場の餌です。1日の外為取引は、500兆円もあります。バケツの一滴にしかならない。
1週間くらいは、ドルの追随買いが起こって、円安・ドル高に振れるでしょう。その後、また元に戻ります。
事実、そうなっています。
「断固たる措置」としか答えない、現代金融と経済の知識がない安住財務大臣をもったことを哀しみます。
(2)CDSの発動を禁止した愚かさ:国債売りに拍車をかける
ところが、EU当局は、「ギリシア国債の償還金の50%gへの減額は、
その国債をもつ金融機関とファンドが、自主的に、申し入れたものである。
従って、CDSの適用には当たらない」としています(2011年11月)。
これは、「とんでもないこと」です。金融市場では、どういった動きになるか?
CDSをかけておいても保証がない。
危険だから、手持ちのPIIGS債、特に、巨額のイタリア債(総額200兆円)を、
減額されないうちに売っておこうとなります。
誰でもこれを行うでしょう。
これがイタリア国債を200兆円もつ、フランス、ドイツ、英国の金融機関とファンド、および個人投資家の、
200兆円×21%=42兆円の新たな損になっているはずです。
短期債が30%くらいはあるでしょうから、35兆円くらいの損でしょうか。
イタリアの金利が7%に上がって、
フランスの国債の金利も上がった(フランス債が売られて下がった)のは、これが理由です。
フランスの銀行が、もっとも多く、イタリア国債を買っているからです。
(3)欧州金融安定基金1兆ユーロ(105兆円)を、新興国からの資金拠出に頼った愚かさ
:ユーロ売りに拍車をかける
BRICsからは、欧州の銀行が資金を引きあげつつあります。その上に、金融安定基金債を買えと言う。
BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)が、
今後の、一層のユーロ安で、買えば損をすることが想定される、
ユーロ建ての金融安定基金債(長期債)を買うはずもないでしょう。
このため、欧州には、金融安定化のための基金がないと見なされるようになったのです。
三重に愚策を重ねる統一政府に呆(あき)れます。
EUがこうした「相場を一層下げる3つの愚策」をとる理由は、本当は、
裏でユーロを崩壊させ、通貨と国債の崩壊後に安価に買い占めて、
その後の金融を支配することをねらう金融勢力があるのではないか、とも感じるくらいです。
相場は、「羊は太らせて、売って価格を崩壊させ、その後に食え」です。
結論を言えば、PIIGS債の満期償還が増える2012年1月が、まず、ひどく危ない。
これを乗り切っても、次は2012年3月、6月が危機です。
ユーロは、1月危機になると見ています。
ファンドへの投資資金の引き揚げには、普通、45日前の通告が必要です。
2011年10月15日には、8月、9月の暴落で解約申し込みが殺到したと思えます。
その償還期が、2011年12月末です。
このときは、ヘッジ・ファンドは、手持ちの証券を、
売れる物から投げ売りして、現金化の必要が出ます。
これが、まず、ユーロ債の暴落を示すのです。
〔貴金属〕
今週の金の値動き |
||||
|
12月限(当限) |
前日比 |
10月限(先限) |
前日比 |
11月28日 |
\4,259 |
65 |
\4,260 |
65 |
11月29日 |
\4,296 |
37 |
\4,292 |
32 |
11月30日 |
\4,311 |
15 |
\4,310 |
18 |
12月1日 |
\4,360 |
49 |
\4,362 |
52 |
12月2日 |
\4,369 |
9 |
\4,372 |
10 |
金相場は、先週号においては『欧州経済危機は買い材料にされたり、売り材料にされたりである。よって突っ込みは買い、戻りは売りが妥当な戦略だろう』とコメントした。
今週の相場展開は、急反騰に転じた相場が週末には4,388円(12/2)まで記録。(夜間ではなお続伸して、4,422円まで記録している)
○東京金日足
…削除済み…
4,510円(11/9)→4,130円(11/22)まで380円の下げた相場は、4,130円→4,422円まで292円の反騰である。
欧州経済危機への対応で、日米欧の中央銀行がドル資金の供給を大幅に増やした事、新興国が利下げに踏み切った事、などが材料視されての急反騰である。
チャートでは再び雲の上に抜けており、今週の相場展開で一気に押し目買いを示唆するものへと変化している。
ただし年末が近づけば、またファンドの換金売り懸念も出るのかもしれず、現状での相場判断は非常に難しい場面だ。
とにかく誰もが判っているのは、…中略…
これこそ神のみぞ知る話なのだろうが、それだけで済ませてはレポートの意味がなくなってしまう。
当方の基本的な考え方は、誰にもどっちとも決められないわけだから、逆張りの対処が良し。おそらく買い材料と売り材料が交互に出て、乱高下するのだろうとの考え方だ。
なお一代の動きは以下のとおり。
東京金一代の動き |
|
|
|
|
|
|
|
|
始値 |
|
高値 |
|
安値 |
|
現在値 |
2011年12月 |
\3,719 |
12月24日 |
\4,745 |
9月7日 |
\3,479 |
1月31日 |
\4,369 |
2012年2月 |
\3,763 |
2月24日 |
\4,750 |
9月7日 |
\3,535 |
3月18日 |
\4,371 |
2012年4月 |
\3,970 |
4月26日 |
\4,751 |
9月7日 |
\3,828 |
5月9日 |
\4,370 |
2012年6月 |
\3,909 |
6月28日 |
\4,754 |
9月7日 |
\3,850 |
9月26日 |
\4,371 |
2012年8月 |
\4,506 |
8月29日 |
\4,754 |
9月7日 |
\3,851 |
9月26日 |
\4,371 |
2012年10月 |
\4,229 |
10月27日 |
\4,510 |
11月9日 |
\4,130 |
11月22日 |
\4,372 |
○NY金日足(12/1現在)
…削除済み…
週末12/2のNY市場は、前日比11.7ドル高の1747.0ドル。高値は1762.9ドルまであったため、東京の夜間取引では4,200円台に乗せたわけだ。
1804.4ドル(11/8)→1667.1ドル(11/21)まで137.3ドル下げて、そこから1762.9ドルまで95.8ドルの戻りである。
チャートでは、再び雲の上に抜けて来た格好である。
CFTC発表の11/29現在のファンドのポジションは、…中略…
また12/2現在のETF残高は、…中略…
結論として当方の相場観は、値幅は大きいものの、基本的には逆張りのもみ合いだろう。300円単位での上下の乱高下と見ている。
今週のプラチナの値動き |
||||
|
12月限(当限) |
前日比 |
10月限(先限) |
前日比 |
11月28日 |
\3,886 |
60 |
\3,894 |
59 |
11月29日 |
\3,878 |
-8 |
\3,895 |
1 |
11月30日 |
\3,837 |
-41 |
\3,838 |
-57 |
12月1日 |
\3,890 |
53 |
\3,902 |
64 |
12月2日 |
\3,912 |
22 |
\3,921 |
19 |
プラチナ相場は、先週号においては『現状の商品市況が欧州経済危機を材料に動いている限り、どうしても景気に敏感なプラチナ価格の頭は重そうだ。金よりも弱含む情勢は続きそうだ』とコメントした。
今週の相場展開は、金が200円以上の上昇を演じる中でプラチナは出遅れ、半分以下の上昇にとどまった。やっと3,900円台に戻した姿である。
○東京プラチナ日足
…削除済み…
金が上がる中で、プラチナは3,806円(12/1)まで先物は下落。これで一代安値を更新し、その後に3,946円(12/2)まで戻した格好だ。
夜間取引では3,953円まで切り返したが、その後にまた値を消してマイナスであり、相変わらず金に比べて頭の重い展開が続いている。
先週号の予測通りだと言えるものの、金との逆ざやは更に拡大。チャートでも金は雲の上に抜けているが、プラチナは雲の下で阻まれている格好だ。
現在の商品市況が…中略…
ただしトレンドが買いになるかどうかは、チャートの好転を待つ必要があり、単に金よりも安いから買う…だけでは力不足の気がする。
一代の動きは以下のとおり。
東京プラチナ一代の動き |
|
|
|
|
|
|
|
|
始値 |
|
高値 |
|
安値 |
|
現在値 |
2011年12月 |
\4,702 |
12月24日 |
\5,015 |
2月16日 |
\3,535 |
10月5日 |
\3,912 |
2012年2月 |
\4,817 |
2月24日 |
\4,997 |
4月11日 |
\3,541 |
10月5日 |
\3,905 |
2012年4月 |
\4,826 |
4月26日 |
\4,921 |
5月6日 |
\3,550 |
10月5日 |
\3,920 |
2012年6月 |
\4,445 |
6月28日 |
\4,770 |
8月23日 |
\3,554 |
10月5日 |
\3,920 |
2012年8月 |
\4,581 |
8月29日 |
\4,726 |
9月7日 |
\3,558 |
10月5日 |
\3,921 |
2012年10月 |
\3,918 |
10月27日 |
\4,199 |
11月9日 |
\3,806 |
12月1日 |
\3,921 |
先物のみ一代安値の更新である。
○白金−金価格差日足
…削除済み…
週末現在のサヤは、3,921円(プラチナ)−4,372円(金)=−451円。夜間取引ではなお逆ザヤが拡大し、−489円で引けている。
−456円(10/5)→−202円(10/31)まで戻した後、底割れしている状況だ。倍返しなら−700円まで逆ザヤが進行してもおかしくないわけで、プラチナの割安時代はまだまだ続きそうだ。
結論として当方の相場観は、プラチナのみ頭の重い状況は続きそうだが、それでもさすがに金だけ急騰、プラチナだけ急落という事態までにはならないか。値固め〜チャートの好転を待つ必要があるだろう。
〔穀物〕
今週のコーンの値動き |
||||
|
11月限(当限) |
前日比 |
9月限(先限) |
前日比 |
11月28日 |
\22,880 |
180 |
\21,680 |
170 |
11月29日 |
\23,220 |
340 |
\22,200 |
520 |
11月30日 |
\23,210 |
-10 |
\22,350 |
150 |
12月1日 |
\23,070 |
-140 |
\22,580 |
230 |
12月2日 |
\22,900 |
-170 |
\22,580 |
0 |
まずはコーンから…
先週号においては『戻り待ちに戻りなしで下げている相場であるが、方針としてはともかく反発したら売るというもの。最大で2,000円程度の戻りがあったとしても、年内にトレンドが変わるのは難しいだろう』とコメントした。
今週の相場展開は、週明けまでの新安値更新の流れから反発に転じた相場が、週末には安値から1,500円ほどの上昇。22,000円台半ばまでは戻した。
○ 東京コーン日足
…削除済み…
21,110円(11/28)まで下げていたところからは、1,500円ほど戻した。その抜けしていたチャートも、相対力指数で42ポイント台までは戻した。
投げ一巡からの自立反発であろうが、問題はここからだ。株価も急反騰するなど外部要因には好転の兆しも見えるが、コーン自体に買い材料はまだない。
先週号でも「最大で2,000円程度の戻り」は予想していたわけで、それ以上戻るためには何らかの買い材料が出ないと難しいだろう。
逆に市場は次回の米農務省報告での…中略…
となると、23,000円近辺は一度売ってみた方が面白いかもしれない。
なお一代の動きは以下のとおり。
東京コーン一代の動き |
|
|
|
|
|
|
|
|
始値 |
|
高値 |
|
安値 |
|
現在値 |
2012年1月 |
\23,730 |
12月16日 |
\28,410 |
4月11日 |
\21,850 |
10月4日 |
\22,900 |
2012年3月 |
\26,850 |
2月16日 |
\28,980 |
4月11日 |
\22,050 |
11月28日 |
\23,780 |
2012年5月 |
\27,970 |
4月18日 |
\29,360 |
4月21日 |
\22,000 |
11月28日 |
\23,400 |
2012年7月 |
\28,180 |
6月16日 |
\28,560 |
8月30日 |
\22,170 |
11月28日 |
\23,530 |
2012年9月 |
\27,440 |
8月16日 |
\28,550 |
9月13日 |
\21,930 |
11月28日 |
\23,440 |
2012年11月 |
\24,400 |
10月17日 |
\24,750 |
11月10日 |
\21,110 |
11月28日 |
\22,580 |
当きりを除いて、今週も週明けまで一代安値の更新である。その後に反騰したわけだ。
○シカゴコーン日足(12/1現在)
…削除済み…
週末12/2のシカゴ市場は、12月限で8.25セント安の586.50セント。国内換算では150円安である。
直近の高値666セント(11/9)→580.50セント(11/25)まで85.50セント下げて、そこからは小反発である。
今回の安値580.50セントは、…中略…
なおCFTC発表の11/29現在のファンドのポジションは、…中略…
オプションを含めた12/2現在のポジションでは、…中略…
結論として当方の相場観は、自立反発の戻りはもうすぐ終了するだろう。戻り売り方針で、再度の安値更新を狙う相場であろうと見る。
今週の一般大豆の値動き |
||||
|
10月限(当限) |
前日比 |
8月限(先限) |
前日比 |
11月28日 |
\30,200 |
1490 |
\37,770 |
470 |
11月29日 |
\30,500 |
300 |
\38,370 |
600 |
11月30日 |
\31,000 |
500 |
\38,240 |
-130 |
12月1日 |
\30,800 |
-200 |
\38,980 |
740 |
12月2日 |
\30,080 |
-720 |
\39,180 |
200 |
続いて一般大豆です…
先週号においては『戻り売り相場からの脱却は難しいだろう。年内は更に下げる可能性も高く、とにかく戻りは売っておくのがベターだろう』とコメントした。
今週の相場展開は、週明けには安値更新で36,610円まで記録するものの、その後は急反騰。安値からは2,500円ほどの戻りとなった。
○東京大豆日足
…削除済み…
戻り高値の44,250円(10/17)→36,610円(11/28)まで大きく叩き込まれたところからは戻したが、7,600円以上も下げた相場だ。3分の1戻しでも2,500円はある。それが出たということだ。
今回の戻りは、…中略…
なお一代の動きは以下のとおり。
東京一般大豆一代の動き |
|
|
|
|
|
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|
始値 |
|
高値 |
|
安値 |
|
現在値 |
2011年12月 |
\47,540 |
12月16日 |
\52,520 |
4月11日 |
\28,100 |
11月28日 |
\30,080 |
2012年2月 |
\51,280 |
2月16日 |
\52,780 |
4月11日 |
\31,400 |
11月28日 |
\33,400 |
2012年4月 |
\50,170 |
4月18日 |
\51,180 |
4月21日 |
\32,640 |
11月28日 |
\34,430 |
2012年6月 |
\49,820 |
6月16日 |
\49,910 |
9月5日 |
\34,400 |
11月28日 |
\36,300 |
2012年8月 |
\47,450 |
8月16日 |
\50,110 |
9月5日 |
\36,630 |
11月28日 |
\39,030 |
2012年10月 |
\44,250 |
10月17日 |
\44,250 |
10月17日 |
\36,610 |
11月28日 |
\39,180 |
全限月が一代安値の更新の後、急反騰したわけだ。
○シカゴ大豆日足(12/1現在)
…削除済み…
週末12/2のシカゴ市場は、1月限で7.25セント高の1135.75セント。国内換算では180円高である。
直近の高値1275.75セント(10/14)→1102.75セント(11/25)まで173セント下げた後、若干反発している。
チャートでは…中略…
次回の米農務省報告では、輸出制約高の下方修正も予想されており、仮に再び売り材料が出た場合には、11/25の安値は底ではなかったという事になるかもしれない。
なおCFTC発表の11/29現在のファンドのポジションは、…中略…
オプションを含めた12/2現在のポジションでは、…中略…
結論として当方の相場観は、自立反発の戻りは出たが、外部要因だけで大豆自体には買い材料が無い状況には変化なし。戻りが終われば、再度の安値更新は十分に有り得るだろう。戻り売りである。
〔ゴム〕
今週のゴムの値動き |
||||
|
12月限(当限) |
前日比 |
5月限(先限) |
前日比 |
11月28日 |
253.6 |
5.6 |
269.0 |
6.0 |
11月29日 |
253.5 |
-0.1 |
271.6 |
2.6 |
11月30日 |
251.0 |
-2.5 |
267.4 |
-4.2 |
12月1日 |
262.3 |
11.3 |
280.8 |
13.4 |
12月2日 |
259.2 |
-3.1 |
280.8 |
0.0 |
先週号においては『最大で30円〜40円戻したとしても、結局はまた安値更新をする相場展開が続くだろう。まずは生産国の防衛ラインである230円が下値の目処だろう』とコメントした。
今週の相場展開は、反発に転じた相場が12/1には日米欧のドル資金供給増加の報を受けて急騰。285.7円までの戻りを演じた。
○東京ゴム日足
…削除済み…
255.5円(11/22)→285.7円(12/1)まで30.2円の戻りである。
この戻りは11/11の安値248.6円を割り込まずに反発したもので、前回戻りの281.4円(11/18)の戻り高値を抜いたものでもある。
よってチャートの格好は若干良くなったと言えるわけだが、さてどこまで戻せるか? 相対力指数も50ポイントまで戻しているわけで、30円の戻りもすでに演じている中では、もうすでに戻りいっぱいか、あってもしれているという事も十分に考えられる。
相場と幽霊は淋しい方に出る…というのは相場の真理ゆえ…中略…
いずれにせよ30円戻したのだから、ここからはまたどこで売るかを探す場面であろう。
なお一代の動きは以下のとおり。
東京ゴム一代の動き |
|
|
|
|
|
|
|
|
始値 |
|
高値 |
|
安値 |
|
現在値 |
2011年12月 |
353.0 |
6月27日 |
394.0 |
7月27日 |
241.5
|
11月22日 |
259.2
|
2012年1月 |
383.8 |
7月26日 |
396.5 |
7月27日 |
244.0
|
11月11日 |
264.0
|
2012年2月 |
362.2 |
8月26日 |
379.0 |
8月31日 |
246.0
|
11月11日 |
269.1
|
2012年3月 |
318.7 |
9月27日 |
327.9 |
10月17日 |
247.5
|
11月11日 |
274.5
|
2012年4月 |
292.5 |
10月26日 |
316.2 |
10月28日 |
248.6
|
11月11日 |
278.2
|
2012年5月 |
266.0 |
11月25日 |
285.7 |
12月1日 |
260.5
|
11月28日 |
280.8
|
当先のサヤは、12月限259.2円〜5月限280.8円と21.6円の順ザヤ。順ザヤ幅は拡大である。
週末現在の輸入採算価格は、…中略…
国内営業倉庫在庫は、11/20現在で125トン増の12,661トン。3旬ぶりの増加である。
11/18の上海ゴム在庫は、…中略…
上海ゴム価格は、1日には急騰して2万6000元台に上がったが、基本的にはもみ合い状態。
中国は利下げに踏み切ったが、車自体の売れ行きは低下しているため、ゴムにはまだ中立材料だろう。
結論として当方の相場観は、安値から30円戻した相場であるが、所詮はどこまで戻れるかの相場であろう。自立反発が終われば、また安値追いをするだろうから、どこで売るかの相場であろう。
〔石油製品〕
今週の原油の値動き |
||||
|
11月限(当限) |
前日比 |
4月限(先限) |
前日比 |
11月28日 |
\53,300 |
10 |
\50,300 |
280 |
11月29日 |
\53,390 |
90 |
\50,830 |
530 |
11月30日 |
\53,300 |
-90 |
\51,350 |
520 |
|
12月限(当限) |
前日比 |
5月限(先限) |
前日比 |
12月1日 |
\53,650 |
610 |
\51,750 |
|
12月2日 |
\53,300 |
-350 |
\51,410 |
-340 |
まずは原油から…
先週号においては『5万円台は売り上がり方針である。上げても51,000円台がせいぜいと見ており、いずれ下に抜けるだろうとの考え方である』とコメントした。
今週の相場展開は、NY原油は101.75ドル(11/30)まで反騰。95ドル割れから、再び100ドル台に戻して3日間推移している状況。
東京原油は、51,870円(11/30)まで戻り、週末の夜間取引では51,910円の高値まで記録である。
○NY原油日足(12/1現在)
…削除済み…
週末12/2のNY市場は、前日比0.76ドル高の100.96ドルで終了。国内換算では15時30分比440円高である。
103.37ドル(11/17)→94.99ドル(11/25)まで押した相場は、再び100ドル台に乗せて来ている。
10/4の安値74.95ドルから30ドル近くも上がった相場であるが、この戻りが2番天井になるのかどうかは、来週の動き次第か。
現状ではまだ…中略…
ここまで原油が強い背景には、ドルがどうだ、ユーロがどうだと言っても根底にある通貨への不信任と、イランを中心とした中東の地政学的リスクがなかなか払拭されないからだろう。
現状での世界景気の動向から考えれば、そんなに需給逼迫にならない=原油価格は高過ぎるのではないかとも考えられるのだが、まだ大きく崩れないのは前述の材料が背景にあるからだろう。
そうは言っても、やはり100ドル台の原油はどこかで売りたい。崩れ始めたら、やはり売りから仕掛けるのがベターではあるまいか?
なお週末のロンドンブレントは110ドル前後、ドバイ原油は107ドル台であり、101ドルのNY原油とのサヤは詰まり気味だ。中東産の東京原油がNY原油ほど上がらないのは、このサヤが詰まっているためである。
11/29現在のファンドのポジションは、…中略…
○東京原油日足
…削除済み…
52,850円(11/9)→49,200円(11/22)まで3,650円下げて、そこから51,870円(11/30)まで2,670円戻した相場である。
材料を無視してチャートだけで判断した場合は、現状の価格から53,000円と来ればもみ合い上放れ。逆に49,000円を割り込んでゆくようなら、底抜けである。
再び株価が暴落したりすれば底抜けするのだろうが、現状ではまだその判断は出来ない。3,000円幅程度のもみ合いと考えるのが、無難ではあるまいか?
なお一代の動きは以下のとおり。
東京原油一代の動き |
|
|
|
|
|
|
|
|
始値 |
|
高値 |
|
安値 |
|
現在値 |
2011年11月 |
\56,450 |
6月1日 |
\58,130 |
7月11日 |
\45,980 |
10月4日 |
\53,300 |
2011年12月 |
\54,250 |
7月1日 |
\58,330 |
7月11日 |
\45,210 |
10月5日 |
\53,300 |
2012年1月 |
\54,590 |
8月1日 |
\55,780 |
8月2日 |
\44,840 |
10月5日 |
\52,490 |
2012年2月 |
\52,500 |
9月1日 |
\53,540 |
9月8日 |
\44,550 |
10月5日 |
\52,090 |
2012年3月 |
\45,770 |
10月3日 |
\53,100 |
11月9日 |
\44,390 |
10月5日 |
\51,850 |
2012年4月 |
\50,630 |
11月1日 |
\52,850 |
11月9日 |
\49,030 |
11月2日 |
\51,620 |
2012年5月 |
\51,720 |
12月1日 |
\51,770 |
12月1日 |
\50,750 |
12月2日 |
\51,410 |
結論として当方の相場観は、上放れにも底抜けにも決め手が薄い状況であろう。材料は盛り沢山だが、しばらくは逆張りの展開が続くのではないかと予想する。
今週のガソリンの値動き |
||||
|
1月限(当限) |
前日比 |
6月限(先限) |
前日比 |
11月28日 |
\62,990 |
350 |
\61,390 |
|
11月29日 |
\63,690 |
700 |
\62,070 |
680 |
11月30日 |
\64,360 |
670 |
\62,970 |
900 |
12月1日 |
\64,890 |
530 |
\64,000 |
1030 |
12月2日 |
\64,440 |
-450 |
\63,930 |
-70 |
続いてガソリンです…先週号においては『戻り売り方針の継続であろう。買い目があるとすれば、原油・灯油に対して割安な場合のみだが、単独での買いは危険だろう』とコメントした。
今週の相場展開は、雲の下に出た11/22の6万円割れからは大きく切り返し、先物は64,180円(12/1)まで上昇。夜間取引では64,500円の高値まで示現している。
○東京ガソリン日足
…削除済み…
66,110円(11/9)→59,350円(11/22)までは6,760円の下落した相場は、そこから64,500円まで5,150円の戻りである。
NY原油が再び100ドル台を回復したことで、東京原油も大きく戻った格好である。
チャートではちょうど一目均衡表の雲を下抜いて、再び大きく戻した展開だ。11/9の高値を抜くようなら再び青天井となるが、そこまでなるかどうかは大いに疑問。現状の上昇は2番天井取りの動きと考えているが、あまり決めつけると大曲りの原因となるため、その可能性が強いと考えておくに止めたい。
なお原油が2,670円戻す中で、ガソリンの戻りは5,150円と倍近い動きになっており、クラックスプレッドは拡大した。
下げた時には倍下げたのだから、戻りも倍になるのは当然の話であろう。
一代の推移は、以下のとおり。
東京ガソリン一代の動き |
|
|
|
|
|
|
|
|
始値 |
|
高値 |
|
安値 |
|
現在値 |
2012年1月 |
\61,260 |
6月27日 |
\68,700 |
7月11日 |
\55,620 |
8月9日 |
\64,440 |
2012年2月 |
\66,600 |
7月26日 |
\66,800 |
7月27日 |
\55,500 |
10月5日 |
\63,370 |
2012年3月 |
\61,280 |
8月26日 |
\64,740 |
9月8日 |
\55,800 |
10月5日 |
\63,030 |
2012年4月 |
\58,900 |
9月26日 |
\65,580 |
11月9日 |
\57,260 |
10月5日 |
\64,150 |
2012年5月 |
\62,380 |
10月26日 |
\66,110 |
11月9日 |
\59,350 |
11月22日 |
\64,260 |
2012年6月 |
\61,020 |
11月28日 |
\64,180 |
12月1日 |
\60,850 |
11月28日 |
\63,930 |
6月きりはもっと順ザヤに買われても良いと思っており、そういう意味ではまだ戻り余地はありそうな気もする。
12/2現在の業者間転売価格は、…中略…
11/26現在のガソリン在庫は、…中略…
結論として当方の相場観は、安値から5,000円超戻したことで売り場が接近していると思われるが、先物はもっと順ザヤでもよいはず。引き付けての売りを考えたい。
今週の灯油の値動き |
||||
|
1月限(当限) |
前日比 |
6月限(先限) |
前日比 |
11月28日 |
\67,160 |
370 |
\62,760 |
|
11月29日 |
\68,230 |
1070 |
\63,140 |
380 |
11月30日 |
\68,540 |
310 |
\63,870 |
730 |
12月1日 |
\69,110 |
570 |
\64,620 |
750 |
12月2日 |
\68,150 |
-960 |
\63,950 |
-670 |
最後に灯油です…先週号においては『戻り売り一貫の相場であろう。出来れば63,000円台以上で売りたいところだが、戻せば戻すだけ悪い相場であろう』とコメントした。
今週の相場展開は、安値からは3,000円近くの戻りで64,000円台後半まで戻すものの、週末には再び売られるなど、頭の重い展開。
○東京灯油日足
…削除済み…
概ね原油・ガソリンの変動と同様であるが、若干頭が重いのは先物に不需要期が建っているため。
最大需要期の1月きりと先物6月きりが逆ざやなのは当たり前であり、価格だけを見て先物が安いと考えるのはナンセンス。
問題は現在でもダブダブの在庫が果たして春までに捌けるのか? そんなことに関係なく、原油価格がもしも更なる上昇となれば、灯油もやっぱり上がるのか?という事だろう。
なお一代の推移は、以下のとおり。
東京灯油一代の動き |
|
|
|
|
|
|
|
|
始値 |
|
高値 |
|
安値 |
|
現在値 |
2012年1月 |
\65,090 |
6月27日 |
\72,530 |
7月11日 |
\60,160 |
10月5日 |
\68,150 |
2012年2月 |
\69,790 |
7月26日 |
\69,840 |
7月26日 |
\59,980 |
10月5日 |
\67,690 |
2012年3月 |
\64,150 |
8月26日 |
\67,880 |
11月9日 |
\58,670 |
9月26日 |
\66,010 |
2012年4月 |
\59,490 |
9月26日 |
\66,770 |
11月9日 |
\57,250 |
10月5日 |
\64,790 |
2012年5月 |
\61,740 |
10月26日 |
\66,310 |
11月9日 |
\61,110 |
10月27日 |
\64,050 |
2012年6月 |
\62,400 |
11月28日 |
\64,750 |
12月1日 |
\62,320 |
11月26日 |
\63,950 |
12/2現在の業者間転売価格は、…中略…
11/26現在の灯油在庫は、…中略…
結論として当方の相場観は、在庫はダブダブであり、いずれは投げ売りになるだろうとの判断は変わらない。ただし原油価格の高騰があれば別なので、灯油売り・原油買いなどの戦略が有効なのではあるまいか。
〔為替〕
○ ドル/円相場日足
…削除済み…
8月、10月の2度の派手な介入は全く効果がなかったが、11月後半からの自立反発でチャートは久々に変化の兆しを見せている。
というのは、一目均衡表の雲の上に出て来ているわけで、今後78円台を維持し、79円と来ればトレンドが円安に転換するわけだ。
あくまでもこれは他の要因をすべて無視したチャートだけの判断であるが、材料は後から付いてくるというのも相場ゆえに、これから年末までの為替相場は注目だろう。
○ ユーロ/円相場日足
…削除済み…
ユーロ/円も102.51円(11/25)から戻り始めているが、商品価格の反騰はこの円安が主因だろう。
ただしドル/円とは違い、まだ一目均衡表の雲の上に出るのは遠い。107円台まで円安となるようならそうなるわけで、その場合には商品価格も水準を切り上げているだろう。
○ ユーロ/ドル相場日足
…削除済み…
欧州経済危機対策で日米欧はドルの供給拡大、新興国は利下げとしているわけだが、チャートを見てもわかる通りに、ユーロの反発はまだ限定的なものにとどまっている。
欧州経済危機対策でドルの供給を拡大してどうなるの?という人は、銀行の仕組みをよく考えて見ればよい。(冒頭の吉田繁治氏のレポートを参考にどうぞ)
これはドイツ・フランスの銀行救済であるわけだが、根本的な欧州経済の立て直しには無関係なので、株は戻してもユーロが戻らないという図式になっているわけだ。
このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。
内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。
(当たり前ですが念のため)
ひげの中ちゃん相場情報
中田幸一郎
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