商品市況展望     平成12年7月2日記

 海外市場の入電は金・銀が確りしていたものの、プラチナ・パラが下落。石油製品も安いですね。穀物関係もまたまた下落。コーヒーも安いし、砂糖も暴落しております。為替相場が若干の円安ですから、国内価格は多少の下支えはあるでしょうが…

 NY市場、米国独立記念日の連休に入りますが、連休明けからはたして今までの流れに変化が生じるのか?『期待は常に裏切られるためにある』と相場の世界では教えますが…

〔石油製品〕

 ますはガソリンから…先週は火曜日の急騰の後、高値もみ合い場面となっていますが、トレンドは相変わらず上昇波動を描いたまま。いつ新高値を更新してもおかしくは無い状況です。一つだけ気になるとすれば、今まで売りだと騒いでいた人でさえも買いだといい始めたこと。相場っていうのは皮肉なもんで、全員が買いだと言った時は上がらないものです。今週のガソリンがそうだとは、必ずしも言えませんが…

 自己玉の取り組みは、23日売り31,534枚・買い23,971枚から先週末30日は売り28,017枚・買い27,135枚となっており、売り越しが大幅に減ってきております。ちょっと新規に売れる状況の取り組み状態ではありません。個別の取引員の売買状況は、伊藤忠・住友に対して岡地・豊が向かう展開が続いていますが、今のところうまく泳いでいるのは後者です。

 次に灯油ですが…ガソリン以上に強い相場です。先週は新高値更新を果たしました。もちろん先週レポートにて、急騰場面ありとの予告済みですが。新高値更新を果たしたという事での達成感から多少の押し目形成場面があるかもしれませんが、取り組み的には何の変化も無し。代表的なところで岡地・豊の買いに対する太平洋・伊藤忠の売りの図式を調べてみてください。

 さて原油相場の多少の上下やNY市場のガソリン・灯油の動向は長期的にはともかくとして、短期的には国内市場には何の影響も与えません。前々から言っていることですが、アメリカでガソリンが安いからといってあなたの自動車にそのガソリンを入れられますか?ということ。あなたが入れられるガソリンは近所のガソリンスタンドのものであり、あなたが取引している相場は東京のものだという事。外電の動向にあまりナーバスにならない様に…

〔貴金属〕

 まずは金から…1000円に接近したところは売り、950円割れから買いを考える相場であり、今のところそれ以上でもそれ以下でもない相場でしょう。先週の動きで目立ったものは、梅田筋が4000枚の買い玉をすべて売ったこと。ただそれでどうなるという相場ではないような気がしますが。

 続いて白金ですが…『逆鞘に売り無し』の相場展開は相変わらず。29日の先物価格1692円は引け値ベースでは約2年ぶりの高値という事。27日には自己玉の売り越し幅が急速に詰まり、あわや買い越しに転じるのかという状況でしたが、その後の動きを見ると以外と冷静な相場でした。しかしブル・ベア指数は全員買いの100%。全員が買いだと言う時は、相場は往々にしてそのとおりにはならないものです。商社はほとんどが売り越しポジションでしたが、ついに買い方だったニチメンも売り越しに転じてきておりそろそろ一度天井を付けてもいい頃でしょう。ただし売り玉を長く持たされたら負けですが…

〔コーン〕

 日々雑感でも書きましたが、おいしいところは終わった相場です。今更ここで高いだ、安いだと騒いでもしょうがない。このままシカゴが大豊作ペースであれば、当先1600円のサヤ滑り狙いの売り玉維持。天候相場第2ラウンドが始まったならばそれはその時のこと。

 こんなところでドタバタしたら、一部の取引員の様に底を打ったと思って買えば安い、まだダメだと思って売れば高いの『両建て両損』の展開になるでしょう。

〔ゴム〕

 相場に対する勢いというか、人気が全く出てこないゴム相場です。大阪市場でTSRが新規上場しましたが、今後の季節的要因等を考えるとTSRの買い・RSSの売りが鞘取りとして良さそうとの思惑もあり、東京市場のRSSゴムには下げ要因として残りそう

 かつて5月29日の72.5円は底値としてファンドが売り玉を踏むまで高いしましたが、80円台乗せが一瞬でその後のチャートの悪化から途転売りの相場観になっているのはご承知のとおり。買い方は限月を先物に乗り換えて戦線の延長を図っていますが、80円台乗せから一気に買い上げられなかったことはサヤ滑りの延長をまた先送りしただけか。なんか銀行の不良債券問題みたいになってきました。処理しても処理してもまた新たな物が出てくる、そごうみたいに。ゴムも納会しても納会しても、またサヤ滑りする。

〔コーヒー〕

 つい2・3日前に東京の本日2日の天気は雨だといっていましたが、なんのことはない、からっと晴れています。今日は非常に暑い…こんな狭い日本の天気が、優秀な?気象庁の予測が当らないのに、ブラジルの天気なんか誰にわかるかい。霜は降りるかもしれないし、降りないかもしれない。一度霜が降りればNY市場はぶっ飛ぶだろうし、東京もストップ高必至。しかし霜がなければ上がる材料なんて何も無いのも事実。コインでも投げてみますか?

 確実なものは当先のサヤ。コーヒーはその性質上、鞘取り狙いの受けを一般投資家が行うことは実質不可能です。参加商社は三井物産・カーギルの2社のみ、受け方当業者は現在3社ですが50枚の受けが上限。要は納会で物産が何を渡すのか、渡さないのか…NY市場との逆鞘は材料的には何の意味も持たず、国内の納会事情からの当先のサヤ変化のみが確実なこと。これを考えた場合、しばらくは戻り売り一貫に分がありそう。

 

このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL0356438509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

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