商品市況展望   平成12年5月13日記

 ガソリン・灯油はサヤに注目。コーン・コーヒーは天候相場本番への準備中です。この時期、安易な売りは避けるべし。

〔石油製品〕

 まずはガソリンから…チャート的には427日の先限25840円で目先の天井を確認しているはずだが逆鞘相場は売りこめないと前回レポートしましたが、やはりサヤ調整の動きからきつい切り返しが来てます。

 当限6月限は58日に30980円の高値を記録、翌9日には7月限も30360円と3万円王台を記録。完全に大衆筋の踏み上げ相場をしたところで、商社の利食い売り・新規売りがはまりましたね。この8日の時点での当先のサヤは、5530円でしたが、週末12日は3470円とわずか4日で2060円のサヤ調整。7月限・8月限売りの10月限・11月限買いの梅田筋のオペレーションは見事なものでしたね。

 伊藤忠・住商・太陽石油の売り買いに振りまわされる展開が続いておりますが、そりゃ業転価格よりも大幅に安ければ買うだろうし、行過ぎれば売るのは当たり前。業転価格はこのところ若干下げ気味になってきていますが、原油価格は逆にまた上昇しています。大手元売は全く参入していない東工取ですが、価格を引き上げたいはずの元売に歯向かって売っても結果は目に見えています。(それでもずーっと大衆の売り越し状態が続けば、第二のパラになる。)

 ちなみに12日週末はついに自己玉も買い越しになりました。この買い越し状態が2,3日続く様なら、先物ベースでの新値更新もありえる。期近は28000円台での推移が妥当でしょうが、当先のサヤはまだまだ詰まるでしょう。

 続いて灯油は…夏場の不需要期を迎えるからとの思惑からか、大衆筋の売りが多く(太平洋・太陽ゼネなど)伊藤忠がちょっと売ればまたみんなで売る状態が続いています。当然、自己玉は大幅買い越しのまま。業転価格はガソリンと比較して500円から1000円程度しか安くない、という現実を考えれば10月限ベースで正常。先物11月限は需要期入りなのでガソリンよりも高くなっていますが、その他の限月は売り込まれ過ぎのとがめが出始めています。大衆筋の総踏み上げ状態が出なければ、結局相場は大きくは下げないのでは。

〔白金〕

 前回『ロングスタンスでは買い方が有利か』としましたが、連休中の営業日である51日に、いきなりのストップ高。しかし取り組み的には何の変化もありませんね。ロシアのことなんか誰にも判らないし、ディーラーに任せて私は何もする気にはなりませんね。

 ついでに金のコメントも少々…総取り組み高約27万枚に対して自己玉の売り越しは10万枚。買い越し店52店に対して、売り越し店は12店のみ。片建て玉6万枚中、三井物産の売り2万枚・住友商事の売り17千枚…金をやっている人はこれが何を意味するのかを一度研究してみてください。

〔コーン〕

 商社ポジションは岡地・豊・第一商品などの片建てを見て判る通りに売りとなってはいますが、商社は東京市場で売りポジションでもシカゴで買っている場合も多く当てにならない部分も多いのでは?

 自己玉・玄人筋は若干の踏みを見せたりするものの、ここは多少下げるのではないかという時は、すかさず売り乗せてくるところは本当にしぶといとしか言いようがない。岡地・フジ・明治・山前は、大型大衆店オムニコが買うと、すぐに向かって売りますね。それでも結局値段は下がらない。

 作付け進捗率では、コーンはほぼ終了。大豆に関しても過去最高のペース。またNASAと日本の気象庁はラニーニャの終息宣言を発表しており、この1週間の取り組み高の激増は買われ過ぎを暗示し始めています。それでも価格は下がらない?

 米国中西部では依然土壌水分の不足が懸念されており、作付けをハイピッチで進めたのもその不安の裏返しですし…

 いずれにしても、そうそうたるメンバーの売り方をもってしても相場を下げトレンドの持っていけない現在の状況では、相変わらず押し目買い方針に変化はない。ましてや大手売り方にしても納会で現物を渡すなんてことは出来ないのだから、納会で現物を受けられない大衆筋と基本的には大差ないのだから。

〔ゴム〕

 『チャート的にはここから下げたってたいした事はない。』との見方で、買った玉はすべてつかまっています。この相場に対する格言で有効なのは『鬼より怖いサヤ滑り』ではないでしょうか?

 現物需要が好転しない限り、相場が立ち直れるはずがない。もっともこの1,2週間は手数料抜けがやっとの相場展開ですから、売り方・買い方ともにやるだけ無駄の相場ですが…

 そんな中で太陽ゼネは、3000枚の買い玉を投げてまた1500枚買うなんて常軌を逸しているとしか言い様がない。取引されている一般投資家の皆さん!御愁傷様です。

〔コーヒー〕

 4月半ばの17000円台割れで大底確認とし、産地ブラジルの天候相場期入りからの大幅高を期待しているコーヒーですが、17日に納会を迎える当限5月限の大下げはショックの一言。ロブスタコーヒーに至っては、一万円の王台割れ。

 取り組み的には商社機関店岡地・岡藤・小林洋行の大幅売り越しと、自己玉の大幅売り越しで仕方のない面もありますが…ただし先物はあまり下げていませんね。ただ当先のサヤの拡大は今後の不安要因。商社にしたって、サヤが拡大すれば当然先物に売り繋ぐはず。

 ここは何としてもNY市場からの急騰に期待するしかありませんね。はたして今年は霜が降るのかどうなのか?ただ現在NY市場では産地ブラジルの天候問題は全く話題にも上っておらず、コーヒー生産連合(ACPC)の在庫留保問題ばかり。大体がこんな問題を討議するということは、在庫がいっぱいあるということで、ゴムのINROのときもそうだった様に、市場原理に任せておけば早く底打ちするのにね。ということで、ACPCの状況がどうであれ相場には関係ないと個人的には考えています。問題は天候よ。

〔粗糖・小豆・国際生糸〕

 粗糖は手口・材料ともに全く見ていませんが(ガソリンの日計りが忙しくて)423日号でRSI70ポイントオーバーで推移の相場は、もっと上があるだろうと単純にコメントしました。そのときの価格が大体16500円くらいでしたが、もう18000円に近いところまで上がっていますね。こんなに上がるのなら買っておけば良かった…やっていない相場は当るものです。

 小豆は投資日報の風林が強気ですね。13500円の抵抗ライン突破なら14800円としています。一方ノボル・トレーディングは13500円はすでに凶作相場を示元しており、売りあがりに分があるとしています。どうなるんでしょうねえ。私は単なる傍観者です…

 生糸は京都の大手呉服問屋の「丸勝」が負債100億円で倒産。世の中から生糸の需要が全くなくなるわけじゃないでしょうから、生糸価格がタダになるというもんでもないでしょうが、少なくとも着物の売れ行きは全く回復はしていないということは事実ですね。国際生糸は上場初日にはストップ高まで買われましたが、週末すぐに暴落するところを見る限り、2000円から2500円が地相場なんだという売り方の言うとおりなんでしょうね。

 

 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL0356438509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

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