商品市況展望

平成12年7月30日記

 

 先週より『ゴムは仕手戦』嵐の前の静けさとしてきましたが、

予告通り急騰し始めてきております。

 登り列車はスタートしました。早く飛び乗れ!

 

 

〔石油製品〕

 

今週のガソリンの値動き

 

9月限(当限)

前日比 

2月限(先限)

前日比 

7月24日

\28,190

L600

\26,600

L600

7月25日

\28,390

200

\26,730

130

7月26日

\28,400

10

\26,640

-90

7月27日

\28,510

110

\26,800

160

7月28日

\28,750

240

\26,820

20

 

 まずはガソリンから…

先週レポートにて、みんなが強気になったところは急落もあり得るとしましたが、

早速の24日(月)ストップ安の急落。

 しかし基本的には押し目買いに変化のない状態と言っているとおり、

すぐに戻り歩調となり週末を終えております。

 来週の相場展開も基本的には『押し目買いに変化無し』元売り各社は販売価格の上昇を望んでおり、

今月10日過ぎにはあっという高値を示現している可能性もあります。

大体、買い筆頭の岡地の買い越しが3000枚以上と圧倒的なボリュームを維持している限り、

相場が崩れるなんてことは想定しずらいのよ。

 

今週の灯油の値動き

 

9月限(当限)

前日比 

2月限(先限)

前日比 

7月24日

\26,550

-230

\27,080

-420

7月25日

\26,770

220

\27,480

400

7月26日

\26,840

70

\27,340

-140

7月27日

\26,880

40

\27,330

-10

7月28日

\26,700

-180

\27,320

-10

 

 続いて灯油ですが…

伊藤忠の先物2月限への300枚売りで冷やされた今週の相場でしたが、

それでも強い相場展開を見せているところに将来の大相場を期待させるものがあります。

 安易な売りは、決してすべきではないでしょう。

伊藤忠に提灯を付けてもその場限りの儲けにしかならないし、ある日、突然裏切られることも…

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

8月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

7月24日

\1,970

-40

\1,878

-28

7月25日

\1,966

-4

\1,900

22

7月26日

\1,935

-31

\1,851

-49

7月27日

\1,937

2

\1,845

-6

7月28日

\1,939

2

\1,856

11

 

 貴金属市場は金はほとんど動意が無く、

銀・パラジウムは出来高が少なすぎてスムーズな値決めが出来ない状態ですから、

白金しかできる状態ではありません。

 その白金ですが、先週大風呂敷を広げて『2400円台もあり得る』なんてぶち上げたもんだから、

相場の神様が怒って調整局面入りとなった模様。

しかしその下げも60円程度の小さなものに留まった状況は、

まだまだ相場が大天井を付けていないと言っているようです。

(天井を付けたのなら、こんな下げでは終わっていないはずですから)

 適当な押し目を入れて相場の過熱感を冷やす事は買い方にとって有利な展開であり、

やはり今後の相場展開に期待が持てると思う。

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

9月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

7月24日

\10,120

170

\11,950

300

7月25日

\9,830

-290

\11,810

-140

7月26日

\9,850

20

\11,770

-40

7月27日

\9,690

-160

\11,670

-100

7月28日

\9,650

-40

\11,600

-70

 

 先週より『豊作に売り無し』をスローガンに押し目買い方針に転換しております。

 確かに2000年の米国コーンの生産高は100億ブッシェルを越える大豊作になるのはほぼ確実視されており、

シカゴ市場はしばらく反騰の兆しは無いものと思われます。

その上、国内市場の内部要因は商社や玄人筋、自己玉の圧倒的な売り越し。

戻ったところは、大量に売りを浴びるのは必至の情勢。

 それでも押し目買いとするのはシカゴ市場180セント割れ、

国内11000円台割れがそんなに長期に渡って続く事は、過去の経験からいって考えづらいから。

 ただし、買ってもすぐに結果を求めてはいけない。

需給相場期にならなければ(産地収穫後の10月頃)仮に上昇したとしても、

その上げは限定的なはず。

ただ売ってもそんなに下がないだろう、というのが今の相場観。

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

7月限(当限)

前日比

12月限

前日比

7月24日

67.8

-0.1

78.0

0.7

7月25日

67.0

-0.8

83.0

5.0

 

8月限(当限)

 

1月限(先限)

 

7月26日

77.3

0.7

84.7

*1.7

7月27日

77.4

0.1

83.7

-1.0

7月28日

79.9

2.5

86.8

3.1

 

 先週より買い推奨しております!

 その前までは、こんな相場は『銀行の不良債券』のようなもので、

次から次へと忘れた頃に悪い材料が出てくる…としていましたが、

仕手筋オールキャストの買い参入はそれを一変させております。

 過去95年には梅田筋がゴムを買い上げ、夏場の100円相場が180円まで上昇した経緯がありますが、

今回の仕手戦はそれ以来のゴム市場への仕手参入となります。

ちょっと上がってきましたが、5円・10円上がっただけで終わる様なら初めから仕手戦なんてしないでしょう?

納会ですでに近江筋が300枚現物を受けているわけですし…

 売り方筆頭の岡地は、丸紅・加商(現在は合併で豊田通商)・産地シッパーの売りあがりで

1万枚の売り越しへ近づこうとしている状態。

売り方筆頭の店が買い仕手の機関店なんて、面白い状況ですが…仕手筋のとってはいい隠れ蓑。

 その他、岡藤も8000枚超の売り越し、

ダイワF5000枚、コムテックス5000枚売り越しと商社機関店が総売り状態ですが、

難平売り上がりが幸を奏するかは現物入荷で納会渡しきりができるかどうか次第。

 加商が産地で2万トンを買いつけ、次の納会には間に合うとか…

在庫が減っていないといか…

弱気の材料が吹聴されていますが、例えば2万トンといったってたかが4000枚よ。

 さらにタイ・マレーシア・インドネシアの3国は、

東京市場の価格高騰から産地価格も上昇すれば安値で契約した現物は契約不履行する可能性もある。

(ゴムではよくある事)

たとえノンデリまでいかなくても、配船遅れや積み込みの遅延なんてことは十二分にあるでしょう。

 もしそうなったら、高値が荷を呼ぶとしている売り方はあわてるでしょうし、

商社筋もオーバーヘッジ分は踏まされる展開もありえる。

さらに安値で売りこんだファンドは(大体75円どころを大量に売っているはず)

そろそろ踏まざるを得ない状況になるのではないでしょうか?

 

 ともかく上昇へのスタートのテープはもう切られた。

安いうちに早く飛び乗っておけば、秋には思わぬ利益につながると信じます。

第一、仮にこの値位置から仕手戦失敗となっても、損は高が知れてるでしょう?

 

 

〔アラビカコーヒー〕

今週のアラビカコーヒーの動き

 

9月限(当限)

前日比 

7月限(先限)

前日比

7月24日

\14,760

L900

\18,200

L900

7月25日

\13,860

L900

\17,300

L900

7月26日

\12,960

L900

\16,400

L900

7月27日

\12,060

L900

\15,680

-720

7月28日

\12,190

130

\15,680

0

 

 週末にやっと今までのキチガイ相場が一服しましたが、ストップ連発の嵐のような相場でした。

9日間連続のストップ高・ストップ安の嵐だったのですが、皆さん生き残っているでしょうか?

買い方も売り方も周りを見渡せば、ほとんどがふらふら状態ですからねえ。

 ストップ幅の900円の値動きというのは、1枚当たり6万円の証拠金に付き45000円の値動きですから、

2日も逆方向だったらすぐに足ですから。

 

 まずはこの相場の動きを冷静に振り返ってみたい。

 5月中は大体18000円を中心に推移していた相場は、

産地ブラジルの豊作予想や消費地在庫の増大を受けて下落を続けるNY市場の影響と

国内内部要因(商社売り・仕手筋売りや大幅順ザヤなど)を受け

6月には一気に下落に転じました。

 最終的には7月10日の史上最安値、13550円まで約4000円以上の急落となり、

当限に至っては受け手の不在から1万円の王台割れとなっていました。

 15000円台割れ辺りから、NY市場に対する割安感から若干の商社の買い戻し等もありましたが、

市場は売り圧力に屈する形で下げ続けたわけです。

NY市場も100セント割れから80セント台へと下落、市場予想はなお弱気でした。

(なおNY市場の過去最安値はずいぶん前ですが50セント割れ)

 この大底値?をつける直前での特筆する面は、なんの意味かはわかりませんが、

三井物産が機関店数社で大量バイカイをした事と

梅田筋が6月末の14500円どころで推定14000枚の両建てバイカイを岡地・マルモトにて行った事。

 

 7月10日の大底値13550円からの切り返しは、

11日の600円のストップ高、さらに翌12日の900円のストップ高で始まりました。

(コーヒー市場はストップ幅が通常600円で、1回ストップを付けたら翌日から900円幅に拡大されます。

900円のストップ幅拡大後の翌日に600円幅以内の変動でしたら、またストップ幅は600円に戻ります。

なおNY市場においてはストップ制限はありません。

ですから円換算でいきなり5000円もの動きが出る事もあるわけです。)

 しかしさらに翌日の13日にはすぐに反落しており、この時は産地ブラジルに降霜があるかもしれない…

というのが買い材料でありましたが、

実際には降霜はなく市場は単なる一過性の戻りであろうと受けとめていました。

 

 本当の狂乱相場が始まったのは、14日の金曜日から。

(『13日の金曜日』の方がさらに絵になっただろうが…)

 この日は東京市場の7月限納会日。

ついにブラジルでの降霜があり、NY市場は一気の暴騰。

円換算で4000円近い暴騰だった為、当然先物は600円のストップ高。

ちょうど納会日を迎えていた当限は、前日比4600円高の急騰納会。

 前日までは現物を渡し切るはずだったカーギルは、NY市場の高騰を見て渡し枚数を絞り、

トーメンの煽りの買いの手に暴騰したのです。

 

 翌週、17日は当然のごとく900円のストップ高。

さらに18日、19日と連続のストップ高。

結局、わずか4日間で3300円もの急騰を演じる事となったわけです。

さらにこの間もNY市場は上昇を続け、80セント台だった価格は120セントに近いところまで上げつづけたのです。

 ブラジルの降霜は、コーヒー生産には壊滅的な打撃を与える事があり、

かつては80セント辺りから一気に200セント、あるいは300セントと上昇を演じた過去があります。

在庫が多量にあるとはいえ、降霜の被害状況が確認されない限り潜在的にこの恐さがあるわけで、市場はほとんど麻痺状態でした。

 しかし自己玉は、果敢に売りあがりましたね。

暴騰開始以前に売り26000枚対買い11000枚の差し引き15000枚の売り越しが、

7月19日の18200円の時点では売り41000枚対買い1万枚の差し引き31000枚の売り越しへ。

 ストップ高連発で市場を撤退したい大衆売り方の手仕舞い買いに向かうのには、

自己玉が合わせて売る以外はなかった、という面もありますが…

 

 20日の東京市場は休日のため、21日はNY市場の外電が2日分入電したのですが、

これがなんと一転の暴落。

ブラジルの降霜は今後しばらくはないということと、被害状況は以外とたいしたことはないとの憶測から売られました。

 ともかくNY市場関係者も東京市場関係者も、ブラジルのコーヒー産地なんか行って見た人なんていないでしょう。

どんなコメントも、いわゆる『見てきたような話』なのですから…

 21日の東京市場は、前日までのストップ高連発から一転の900円のストップ安でした。

 

 続く週明けの24日は、NY市場の下落にもかかわらずさらに一転のストップ高。

な、なんなんだ…東京市場はNY市場が上げ続けたときには、

ストップ制限でついて行かなかったから割安である、との見方だったが…

 

 NY市場はその後も下げつづけ、結局はブラジル降霜懸念のスタート前の価格に『往って来い』。

東京市場は25日・26日・27日と連続3連発のストップ安。

 今度は買い方が、徹底的にダメージを受ける事となったわけです。

 

 週末28日は、東京市場はとりあえずの下げ止まりでしたが、今後はどのような展開になるのでしょうか?

長くなりましたので、今後の展開は次回に譲るとして2,3のヒントを…

 自己玉は27日現在で売り25600枚対買い18000枚の差し引き7600枚の売り越し。

商社は東京市場の順ザヤを見て、先物売りの傾向。梅田筋は26日から両建ての売り玉を買戻しへ…

 

 

〔粗糖〕

 

 粗糖に関してはあまりレポートする事はありませんでしたが、久々にしてみたいと思います。

 粗糖相場は、今年の3月8日13610円の市場最安値から半年近く上げつづけ、

価格は現在26000円台と2倍となっております。

仮に1万円を利益にしたら、1枚当たり50万円の利益。

 ブラジルでの旱魃を材料としたNY市場の高騰は、

東京市場では万年売り方の三井物産に対してカーギルの買いで上昇を続けてきました。

 しかし現在は買い方大手のカーギルはすべて利食いを済ませており、

残る買い方は三菱商事のみ。

売り方商社は、未だにタイ粗糖のプレミアムの高騰で売り乗せが困難な状況でありますが、

相場の上昇率と時間はもうすでに一相場終わった状態です。

 買い方最後の砦の三菱商事が利食いをしてきたら、一転の暴落となる事でしょう。

(まだ先の事かと思われますが…)

ここからは売りあがりに分があるものと思います。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

 

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