商品市況展望

平成12年10月15日記

 

 12日のNY市場は、中東情勢の緊迫化を受けて原油急騰、金価格急騰、そして株式は暴落となりました。

そして週末…13日の金曜日、さらに満月…NYにはジェイソンも狼男も出なかった。

原油・金は軟化し、株は急速に戻った。

 ただし、中東情勢の緊迫化はまだまだこれからかもしれない。

2000年以上ももめている宗教問題が、たかだか100人程度の犠牲で解決するとは思えない。

これからどうなって行くものやら…

 

 それにしてもノーベル平和賞というのは当てにならないもんだ。

今回は韓国の金大中大統領が受賞しましたが、かつては中東和平でアラファトだとかベギンだとかも受賞していたはず。

受賞者の何人かは暗殺され、アラファトは今回の騒動を収拾できないでいる。

 その他、ダライ・ラマも受賞者だが、チベットは中国の侵攻を受けたままであり、アウン・サン・スーチーはいったい何を成し遂げたのやら…

 南北朝鮮問題も解決するかどうかは、まだまだ先の話。

それに統一が果たされたとしても心情的には良い事だろうが、経済的にはどうなるのか?

かえって不安定なアジアの大国?ができるだけかも…

多分北の人達は仕事も無く、貧富の差が激しくなって、今でも有る差別問題がクローズアップされる事でしょう。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週のガソリンの値動き

 

11月限(当限)

前日比 

4月限(先限)

前日比 

10月10日

\31,790

410

\30,610

370

10月11日

\31,760

-30

\30,580

-30

10月12日

\31,720

-40

\30,780

200

10月13日

\32,600

880

\31,480

H700

 

今週の灯油の値動き

 

11月限(当限)

前日比 

4月限(先限)

前日比 

10月10日

\33,950

460

\32,050

H700

10月11日

\33,930

-20

\32,400

350

10月12日

\33,700

-230

\31,820

-580

10月13日

\34,890

1190

\32,520

H700

 

 13日のNY市場は、原油・ガソリンが前日の急騰の半値押し、灯油が往って来いの急落でした。

灯油は、米国政府が輸出の停止を打ち出したのが急落の発端となったようです。

アメリカで下げたからといって、国内でも下がるかどうかはまだ判らない。

 各社の相場観を見ても弱気のところは全く無く、すべての材料は買いを暗示しております。

不安があるとすればそれだけ。

あまりにもみんなが強気になってしまったことと、買い材料がそろいすぎている事。

それでも、天邪鬼で売るのはためらわれますが…

 

 まずはガソリンから

チャートは三角持ち合いを完全に上放れ!33600円があると読めるようになってきた。

ここからまだ2000円以上あるってこと???

 先週10日には一時買い越しになった自己玉は、

週末のバリバリのストップ高時点では5000枚ほど売ったが、

これは委託玉の足の発生を押さえるためか?

調整局面では、再度買い戻しに動いてくるだろう。

 すごかったのは梅田筋の大量買い!

岡地は先週には500枚程度の売り越しだったのを11日1600枚の売り越しまで一気に増やした後、

12日には1000枚の買い戻し、そしてストップ高の13日は2000枚ほど買って差し引き1400枚の買い越しポジションへ。

朝一番で大量の成り行き買い注文を入れたため、他の店やお客さんは手仕舞い買いさえ出来なかった模様。

(取引所のシステムは注文時間が優先なので、8時30分の時報とともに大量の成行買いを入れたら、

その注文がすべて消化できないと次の注文は成立しません。

8時30分10秒の買い注文は、終日成立しないと言う事。)

 豊も梅田筋と見られる注文で、先週の260枚の買い越しから一気に買いポジションを膨らまし、

週末には何と3400枚の買い越しへ!

その他買い越し店は、

岡藤576枚・小林洋行266枚・東ゼネ251枚・三井物産212枚・太陽石油76枚・伊藤忠商事41枚など。

 一方の売り方は、

先々週までは買い方だったエース交易が12日(ストップ高の前日)に売り越し分を増加させ2100枚の売り越し。

その他、太平洋728枚・太陽ゼネ497枚・住友商事132枚などどなっております。

太平洋と太陽ゼネは13日のストップ高での大幅売りなので、一概に曲がりやとは言えませんが、

それにしても勇気のある行動?でした。

 個人的には、取り組み上では買い方有利と思えます。

 

 続いて灯油です

自己玉はガソリン同様に、買い越しポジションから13日には2000枚ほど売って3500枚ほどの売り越しへ。

主な取引員の片建てもガソリンほどは極端ではありません。

 週末のポジションは、

買い方三井F1363枚・岡地546枚・岡藤483枚・東ゼネ363枚・豊330枚・住友161枚など

となっております。

 一方

売り方は、太平洋739枚・伊藤忠674枚・日商F657枚・エース443枚・ダイワF328枚など

となっております。

 やっぱり買い方有利に見えますが…

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

10月10日

\2,016

7

\1,819

-5

10月11日

\2,005

-11

\1,820

1

10月12日

\2,005

0

\1,822

2

10月13日

\2,020

15

\1,838

16

 

 中東情勢の緊迫化を受けて久々に金も上昇しましたが、原油価格の落ち着きを見てNY市場ではすぐに反落。

せめて1000円台を付けに行く相場展開となって欲しいのですが、有事の金買いはほとんど死語となっていますから…

 今後の推移を見守りましょう。

 

 白金については個人的に強気をしています。

NY市場での株価崩壊に繋がらなかったのも、白金の実需にとってはかえって良いことだったと思われます。

貴金属の中でも白金系は工業用需要が多くを占めるために、

株価の急落時はヘッジ買いよりも売られるケースが多いからです。

 取り組み上でも、一時の住商のキチガイみたいなヘッジ売り?は減少しており、

ニチメンに見られるような実需を背景とした買いポジションが膨らんできている状況は強気有利と考えています。

 さらに何よりも『逆鞘に売り無し』の逆鞘幅が、200円近くまで拡大している中では売り方は時間との戦い。

後は人気の回復を待つだけか。

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

10月10日

\11,860

200

\12,170

-70

10月11日

\11,830

-30

\12,160

-10

10月12日

\11,790

-40

\12,340

180

10月13日

\11,960

170

\12,480

140

 

 『豊作に売り無し』のコーンも、安値からは1000円以上上がってきました。

上がってくると高く見えて買えないのもまた心情。

 米国農務省の発表では、コーンの生産高は相変わらず史上最高にもかかわらず以前の予測よりは減ったとか、

中国での凶作が世界在庫を減少させるとか、相場が転換してくるときは今までの話しは何だったの?というような展開になるもの。

 週末は12,400円の壁を突破したものの、売り方穀物筋はさらに売り乗せ、自己玉も全く踏んでこない。

三菱Fより3500枚ものファンド筋と見られる買いが週末は入りましたが、三菱本体は売っていたし。

 ファンドの大量買いが当ってしまうような展開になれば、恐い相場になってくるのでしょうが…

今更高いところで買えるか!というのがこちらのスタンス。

乗り遅れた列車は、次の列車を待つしかないか。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

10月限(当限)

前日比 

3月限(先限)

前日比 

10月10日

86.4

-0.5

93.0

1.3

10月11日

85.4

-1.0

90.7

-2.3

10月12日

83.3

-2.1

88.5

-2.2

10月13日

85.4

2.1

90.9

2.4

 

 豊商事の買い越しが1万枚を突破し、自己玉の大量売り越しがほとんど踏まされたところは、

やはり調整局面入りとなりました。満を持してのカーギルの売りも出ましたし。

 週末にまた切り返したのは押し目が終了したのか、あるいは他商品の全面高につられただけなのかは、

来週の動きをみなければ何とも言えない。

 70円そこそこの値段は大底であろうし(その頃は徹底的に買い推奨していました。過去の商品市況展望を見てください。)

かつては150円、200円という値段も有ったわけで、90円が馬鹿高いとは思えません。

しかし、実需が本当に回復していない限りは高いような気もすれば、

買い仕手がいつか売り仕手に変化するのではとの疑念も捨てきれません。

 東京市場も大阪指数市場も仕手機関店が買い煽っている間は高いが、

手が止まると価格も下げてくるのが市場の印象。

個人的には見送り、見送りです。

でも仕手相場というのは市場の内外ともに面白いですから、みんなついつい手を出してしまうのでしょうね。

みなさん、怪我の無いように頑張ってください。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

11月限(当限)

前日比 

9月限(先限)

前日比

10月10日

\12,190

-400

\14,490

150

10月11日

\12,100

-90

\14,500

10

10月12日

\12,020

-80

\14,820

320

10月13日

\11,600

-420

\14,820

0

 

 泣く子も黙る梅田筋の大量買い居座りとチャートの線形の良さから、

強材料には敏感で弱材料には鈍感な相場展開が続いています。

(ネット上で梅田筋って何?みたいなコメントや大した事ないとかの話をよく目にしますが、

総建て玉10万枚のビッグプレイヤーを無視して相場は張れないでしょ。)

 それでも売りあがりに分があると考えているのは、コーヒーの順ザヤ幅の拡大と受け渡しの特殊性。

実需のルートが確保できない限りは、コーヒーは受けても使い道が無い。

さらに一般投資家が品渡しするのは困難。

 本当に大相場になるときは、

ブラジルでの冷害で生産が壊滅的な打撃を受けた場合のみ(来年の話)と考え、

在庫が大量に有る限り戻り売り有利と思うのだが。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

1月限(当限)

前日比 

11月限(先限)

前日比

10月10日

\25,690

H1000

\24,380

920

10月11日

\26,280

590

\24,380

0

10月12日

\26,680

400

\24,890

510

10月13日

\26,680

0

\25,050

160

 

 先物ベースで25,000円台を回復した相場は、いよいよ大相場の到来を予感させますが、

一気呵成に27,000円へあるいは30,000円へとはいかないでしょう。

人気を強くさせたら一度急落が入り、またダメかと思わせて急伸するというパターンか。

 そう言えば、原油価格の上昇が砂糖価格を押し上げるといったコメントを見かけました。

忙しかったから中身は見ていないのですが、ひょっとしてブラジルのアルコール燃料のこと?

インフレの事なら砂糖じゃなくてもそうでしょうし…

なんでも上げ材料に結びつけたら、相場は短命に終わります。

風が吹いても桶屋は儲からないから…気を付けましょう。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

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