商品市況展望

平成13年1月7日記

 

 今回より何回かに分けて、商品先物取引に関する基礎知識について解説をして行きたいと思います。

誰でも最初は初心者であり、ネット隆盛の時流の中で新たな参加者が増えてくれる事は喜ばしい事。

しかし正しい基礎知識を身につけて市場参加をしてくれる事を望みます。

ただし、フルコミの解説はちょっと辛口かもね!

 

第1回 価格はどのようにして決まるのか?

 東工取の貴金属・石油製品などのザラバ取引

その他の商品の板寄せ取引があるという事をまずは憶えていただきたい。

 ゴムや粗糖・穀物商品などは板寄せ取引。

それぞれに立会時間が決まっていて

(例えば東京ゴムなら前場1節9時45分スタート、2節10時45分、

後場1節1時45分、2節2時45分、3節3時半となっている)

期近限月から期先限月に向かって順番にセリを行って行きます。

 買い玉が多ければセリ値を引き上げて行き、

売り玉が多くなればセリ値を引き下げて行きながら、

売り買い同枚数となったところで価格が決定!

もちろん最後まで買い枚数が多ければストップ高まで行ってしまうし、

逆なら当然ストップ安。

よく『買いが多かったから上がったのでしょう』とか言う人がいますが、そんな事は無い。

値段が決まっている限り、買いも売りも同数に決まっています。

 それぞれの市場参加者の思惑により、適正な?価格で決定するわけです。

需給や材料で上がり下がりする?

それは当然真実ですが、誰も買わなきゃ上がらないし、誰も売らなきゃ下がらない…

要はあくまでも売り買いの枚数が決定しなきゃ価格は決まらない。

 決まった価格はその節のその限月に対しては1つしか存在せず、

セリ中の値動きはすべて1つの価格の中に集約されることとなります。

 値動きは次の節のスタートまではありませんから、

一日中目を皿にして見ておく必要はありませんが、

その間に大きな材料が出現しても対応をする事は出来ません。

まあどうなることやら待ってましょ、となるわけです。

 次回はザラバ取引について…さらには裏技の話も追々に。

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週のガソリンの値動き

 

2月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

12月25日

\25,930

480

\22,570

60

12月26日

\25,920

-10

\22,680

110

12月27日

\26,780

860

\23,420

740

12月28日

\27,000

220

\24,280

760

1月4日

\27,650

650

\24,760

480

1月5日

\26,810

-840

\23,710

L1050

 

今週の灯油の値動き

 

2月限(当限)

前日比

7月限(先限)

前日比

12月25日

\27,810

640

\20,700

70

12月26日

\28,020

190

\20,680

-20

12月27日

\29,000

980

\21,720

1040

12月28日

\29,310

310

\22,640

920

1月4日

\29,460

150

\22,700

60

1月5日

\28,400

-1060

\21,650

L1050

 

 昨年1枚当りで軽く100万円をオーバーする値動きを見せた石油製品ですが、

本年も大発会翌日の5日には早くもストップ安をつけ、

今年1年も相変わらず大きな値動きが期待される状況です。

さらに今年は、中東原油や軽油も上場が予定されており

(クリアリンクハウスの問題で、上場時期が遅れる可能性はあるものの)

それもまた楽しみです。

灯油買いの軽油売り、なんて戦略も取れることになるでしょうし、

戦略オプションが増える事となります。

 

 それではまずはガソリンから…

昨年高値10月23日の32,640円から12月21日の安値21,220円までは、

先物引継ぎ足でなんと11,420円の下げ幅を記録!

下げ途中において28,000円からの3分の1戻しを入れた以外は、暴落に継ぐ暴落の展開でした。

 12月21日の安値21,220円から大発会の25,000円までの戻りは約3800円。

やはり大勢波動の3分の1程の戻りを入れての翌5日のストップ安は、

下げるために戻しているとしてきた戻りが終了した事を予感させます。

RSI指数も50ポイント回復を目前にしての反落は、悪質下げ相場の典型的なパターン。

 取り組み上では自己玉売り16,452枚、買い12,306枚と相変わらず売り越しのまま。

 主な取引員の片建ては、昨年12月に大量売りしていたエースが年末大量利食いした以外は、特筆すべきものは無し。

 再度戻して25,000円オーバーなれば地合いも変化するだろうが、

そこは売り玉損切りのラインとしてまずは売り仕掛けたい。

 

 続いて灯油です…

昨年高値9月20日の34,630円から12月21日の安値19,130円までは、

なんと15,500円の下げ幅を記録!

これから春を迎えて不需要期となったら、一体いくらまで行くのか全く予断を許さない。

いずれにしたって本格回復が有り得るとしたら、

需要期限月の11月限辺りが発会するまでは無理なのでは?後数ヶ月は先の話。

 12月21日の安値19,130円から大発会の高値23,300円まで4,170円の戻りを入れたが、

ガソリン同様翌5日は早速のストップ安。

 自己玉は売り13,695枚、買い9,309枚で売り越しには変化は無し。

戻る時には必ず最低スクエアの状態になっているのが今までのパターンだったのだから、

先行きの状況は推して量るべし。

 主な取引員の片建ては、ガソリン同様エースの年末の買戻しが目についた。

ガソリン売り・灯油買い、あるいはガソリン買い・灯油売りの鞘取りポジションが多いために、

突出した買い越し店・売り越し店はガソリン同様に無い様子。

 売買方針としては、まずは売ってから考えるのが良しとみる。

これからの売買手口に注目しながらですが。

主な取引員の片建ても、ガソリン同様エースの年末の利食いが目につく。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

2月限(当限)

前日比

12月限(先限)

前日比

12月25日

\2,250

50

\2,093

28

12月26日

\2,230

-20

\2,082

-11

12月27日

\2,228

-2

\2,089

7

12月28日

\2,248

20

\2,107

18

1月4日

\2,310

62

\2,165

58

1月5日

\2,322

12

\2,165

0

 

 東京プラチナ相場は、1月4日の大発会において前回高値の2,140円(12月13日)を上抜き、

さらに翌5日には2,200円台乗せとなるも大出来高を伴ってザラバで100円以上の乱高下を行う展開でスタートした。

 2,050円以上での大出来高出現場面は売り方針としてきた当方だが、

年末年始の連休中でも海外市場はオープンしているため、

安全を考えて建て玉を整理中だったのが幸いしたパターン。

 今後の展開について結論から先に言うと、しばらくは新規売りは危険であろう。

5日の後場からの急落場面においても、弱い相場であればそのまま安値引けしていたに違いない。

それが6日移動平均線にぶつかった所での反発は、今後も押し目買いに有利であると言えよう。

 2,000円の大台割れは考えづらいため、

いや2,100円割れすら厳しいかもしれないと思えるために、

2,140円以下はとりあえず買い玉を仕込みたい。

ただし天井打ち〜暴落のシナリオが出現しても痛手の無い額で仕掛けたいが…

現在の所では上値目標値は設定できない。

仮に上昇局面が続くのであれば、価格は青天井になる可能性も想定されるからだ。

 世の中不景気だ何だと言っても、

このプラチナ相場に関してはまたまたバブルが起きるのかもしれない。

資産運用の世界では、常に何かを仕掛けなければならない

ファンドなどの運用資金が存在するのだから…

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

3月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

12月25日

\13,700

380

\14,160

270

12月26日

\13,710

10

\14,110

-50

12月27日

\13,580

-130

\14,040

-70

12月28日

\13,600

20

\14,330

290

1月4日

\13,660

60

\14,410

80

1月5日

\13,790

130

\14,620

210

 

 昨年11月27日の13,490円から12月8日の12,440円まで1,050円の調整安を入れた後、

地場筋の期近からの買い策動によってあれよあれよと言う間に倍返しの14,540円を5日にクリア!

 ただし取り組み上で分析すると、先物価格はここで目先の天井を確認したと思われる。

少なくても14,000円割れ程度までは再度の調整安が入り、

高値で買い付いた大衆筋の玉整理と自己玉救済に向かうものと思われる。

 しかしこれで天井かどうかは予断を許さない。

相変わらず当限3月限〜9月限は地場筋の買いが嵌っているために、

応分の押し目からはまた買われる事も有り得る。

 買いで見るのであれば7月限を中心に買い仕込み、先物は売り方針が良いでしょう。

売りで見るのであれば、当然先物1本を売るべし!

安全策を取るのであれば組み合わせれば良い。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

1月限(当限)

前日比 

6月限(先限)

前日比 

12月25日

67.4

2.8

72.8

1.1

12月26日

66.7

-0.7

72.0

-0.8

12月27日

68.0

1.3

73.0

1.0

12月28日

68.7

0.7

72.7

-0.3

1月4日

62.7

L6.0

68.2

-4.5

1月5日

59.0

-3.7

69.1

0.9

 

 長く続いた近江筋・ノボル筋の買占め相場は、

昨年12月納会をもってめでたく?終了致しました。

1月限の大発会からの12円近い暴落は、売り方の目標値50円台の出現を持って感謝の利食い。

 しかしながら先物の70円そこそこの価格は、

一般大衆投資家にとってかなり割安に見えるらしく、

エースの7940枚の買い越しを筆頭に太陽ゼネ2361枚、カネツ1416枚など…

投げも出るには出たが、先物に関しては新規買いも引きも切らず。

そう言えば梅田筋も5日には先物を大量買いしていました。

 それでも仕手筋保有の現物は、定期市場での換金渡し以外には処分の手段があるとは思えず、

仕手戦での商社輸入の現物だぶつきは7万トン以上の在庫となって存在している。

 値頃感のみでこの相場を強気してどうなると言うのだろう。

今後の展開は『トコロテン式にサヤ滑りが発生する』だけの、

下に下にの大名行列が続くだけだと想定される。

在庫がはけるまでは、延々と参勤交代が繰り返される面白みの無い相場展開でしょう。

 期待して買っても取れるとは思えず、

面白くなくても一時的に買われた所を定期預金のつもりで売っておき、

その売り玉を長く持つ以外に儲ける手はないと考える。

スリルとサスペンスだけが相場ではない。儲けは別の話。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

1月限(当限)

前日比 

11月限(先限)

前日比 

12月25日

\10,480

-60

\12,530

40

12月26日

\10,290

-190

\12,360

-170

12月27日

\10,700

410

\12,780

420

12月28日

\10,650

-50

\12,830

50

1月4日

\10,500

-150

\12,260

-570

1月5日

\10,650

150

\12,260

0

 

 弱い相場の典型であるコーヒー相場は、大発会において早速の暴落スタートとなった。

しかし値段が値段であり、ここから切り返しが起きればW底型のチャート線形となるために、

テクニカル重視の?大衆筋の先物1本の買いが報われるのかどうか?

エース、協栄、三晃、豊などの買い方に期待をしている。

 なんせせめて13,000円どころ、願わくば14,000円辺りまで戻ってくれなくては、

売り方としても売り妙味が無い。

だからと言って買い相場を演出する気は全く無いが…

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

3月限(当限)

前日比 

1月限(先限)

前日比 

12月25日

\26,450

340

\23,420

560

12月26日

\26,560

110

\23,520

100

12月27日

\27,010

450

\23,920

400

12月28日

\27,620

610

\24,400

480

1月4日

\27,520

-100

\24,370

-30

1月5日

\28,610

1090

\25,210

840

 

 昨年より自信を持って買える相場は粗糖のみとしてきましたが、

12月18日の21,110円から年明け5日の25,230円まで一気の4,210円の急騰!

 1枚当り20万円以上の利食いは、

やはり大手穀物メジャーや当業者に逆らっても相場は取れないことを実証した。

 今年も大きな上げ相場が期待できる商品の筆頭は、

逆鞘相場の典型であるこの粗糖相場ではないかと考えます。

しかし5日の高値場面では当業者筋の利食いが目につき、

RSI指数の70ポイントオーバーや移動平均線との乖離を考えても、

目先の天井を打ったのかもしれないと考えます。

 23,000円台への押し目を待って買い方針が良いか。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

 

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