商品市況展望

平成13年3月25日記

2回 テクニカルについて

 まずはチャートの個人的な一考察から…

ただし前回も言ったとおり、こういう線が出たら買いですよ!形式の具体的な話は書かないつもりです。

そんな物を書いたら本1冊分になってしまいますし、

前回述べた通り本でも買って自分で勉強した方が良いと思いますから。

 チャートには代表的なものとして日足・週足・月足とありますが、

先物市場で有効なのは日足であり、週足・月足はあまり役には立たない気がしています。

(最近の日はかりディーリングをする人は、分足といって1分とか5分程度で1本を記入するものも使うでしょうが、それは例外として)…個人的には日足以外はほとんど見ません。

 理由は簡単!

例えば今一番ホットな石油製品相場の場合、

この商品は6ヶ月先物まで取引をしているわけですが、

新甫発会からスタートして日足の本数120本程度(=120営業日と言う事)で納会を迎えるのです

取引をしていたら、本当にあっという間に終わってしまうと言う気がするものです。

週足・月足じゃトレンドが変化する前に、自分の持ってるものが納会を迎えてしまいます。

 国内市場は一般に先物引継ぎ足を、

海外市場は当限の引継ぎ足を使いますが、

株式市場の様に同じものが延々と続いて行くのならば普通のチャートで良いだろうが、

先物市場の場合は今ポジションがあるものは半年後、あるいは長いもので1年後には必ず決済を迎えます。

 現在安値低迷を続けるゴム相場…

さすがにクリスマスの頃には上がっているんじゃないかなと思いますが、

今の先物は9月限!全然間に合わないじゃない?なんてケースが良くあります。

ですから本当に重要なのは、

限月ごとの一代チャート

(発会〜納会までの同一限月のチャート)なのです

 ですがたまには大きな目で見なければ、相場のレンジを突破した場合の対処を間違いますから、週足・月足を使います。

 70年代から80年代の壮烈なインフレ相場時は、

上場してあるすべての商品が今の価格帯とは全く違った位置まで上がったこともあるのですから…

最近の相場しか知らなければ信じられないでしょうが、

170円ほどの銀が3000円以上とか、25,000円ほどの粗糖が30万円以上とか…

このところのパラジウムなんてかわいいもの。

 現在のデフレ相場は、逆にその頃の価格を知っている人にとっては異常に思えるかも。

金が3,000円から6,000円まで上がって、それが1000円を割れるようになるなんて、想像も出来なかったでしょう。

 『値頃感を持つ事無かれ』を忘れぬ様に…もちろん『歴史は繰り返す』も!

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週のガソリンの値動き

 

4月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

3月19日

\29,200

800

\27,160

560

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

3月21日

\28,710

-300

\26,350

*-810

3月22日

\29,000

290

\26,890

540

3月23日

\28,820

-180

\26,960

70

 

今週の灯油の値動き

 

4月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

3月19日

\24,500

-960

\26,110

H700

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

3月21日

\24,530

-470

\27,120

*1010

3月22日

\24,480

-50

\27,700

580

3月23日

\24,310

-170

\27,470

-230

 

 後からチャートを眺めて見れば、こんな単純な事だったのか!とさえ見える石油製品相場だが、

日中の1,000円幅も上下しようという荒い展開には、誰もがじっとして居れなくなり、

高値買いの安値売り〜両建てで身動きが出来ぬ様に縛られる。

魔性の女か?SMの女王かといった相場だ。

 国内相場に海外安も海外高も関係無い!

と判っていても、ついつい見てしまうと動きたくなるのが心情だろう。

しかも我々が100円幅を狙っている最中に、

ディーリングが5回も6回もくるくる回ってハイエナの様に市場から資金を吸い上げて行く。

 この相場に手を出す事は、新宿歌舞伎町の知らない店に飛込みではいる事と同じだってこと判っています?

すごく楽しい事も有るかもしれんが、ぼったくりにも会う可能性も…

 

 まずはガソリンから…

19日の当限納会は急騰納会で、21日の新甫は10月限が逆鞘に叩かれての発会。

灯油とのサヤは5〜7月限は順ザヤキープだが、8月・9月限は順ザヤ縮小へ、10月限は逆鞘状態。

 業転価格と比較しても、

期近限月の29,000円どころは買われ過ぎの感が否めないが、

逆鞘発会の先物が『逆鞘に売り無し』で変われるのかどうか?

このまま一気に上に抜けて行くとは、どうも考えづらい気はするが…

 週末現在の自己玉は売り29,298枚、買い19,487枚となっており、若干ながら売り越し幅は増加傾向である。

 主な取引員の片建ては

売り方豊3030枚、岡地2298枚、岡藤592枚、三井F553枚、三井物産454枚など

一方買い方はエース3198枚、太平洋1308枚、ユニコム761枚、太陽ゼネ620枚、住友商事568枚など

今週は岡地が一気に売りを増やし、エースが買いを増やした。

さて、どっちが当るのでしょう?

もちろん灯油との絡みで考える必要もあるだろうが…

 

 続いて灯油です…

19日の当限納会は暴落納会で、21日の新甫は需要期限月入りとの思惑で大幅順ザヤ発会。

先物引継ぎ足では、一気に上放れた型となった。

 当限納会値は安過ぎた感は否めないが、

これから本格的に不需要期を迎える限月は順ザヤからのサヤ滑りがあるのか?

理屈では8月・9月限が買われる道理が無いのだが、

大衆筋の売りが完全に捕まってきており

(ガソリン買い・灯油売りのサヤ取り売買の玉も含めて)

買い方大手の煽り次第では、踏み上げ相場に発展する可能性も…

 週末現在の自己玉は売り11,093枚、買い20,222枚となっており、

買い越し状態に変化がないという事は、やはり大衆筋の売り玉が捕まっている展開か。

 主な取引員の片建ては売り方豊2149枚、ひまわり1045枚、太陽ゼネ683枚、三菱F319枚など

一方買い方は岡地4224枚、エース2460枚、住友商事242枚など

圧倒的に売り越し店数が多いが、買い方岡地・エースの買い越し枚数もまた圧倒的。

岡地は降りる気配無しで買い越し枚数を増加、

エースも買いを増やしてきている。やはり踏み上げ相場を狙っているのか?

 

 相場はある時期は『需給等の理屈で動き』ある時は『チャートに従い』またある時は『人気で動く』

 踏み上げ相場とは、

価格上昇によって売り方に何度も追証が掛かる事によって資金ショートが発生し、

売り方の損を承知の手仕舞い買いが殺到し、さらに相場が上がる状態を言います。

 この読者の方々は、くれぐれもケツの毛まで抜かれる状態に陥らぬ様に…

相場はいつでもあるのですから。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

4月限(当限)

前日比

2月限(先限)

前日比

3月19日

\2,386

4

\2,117

-3

3月21日

\2,380

-6

\2,112

-5

3月22日

\2,277

-3

\2,103

-9

3月23日

\2,257

-20

\2,079

-24

 

 週末現在の自己玉は売り60,800枚、買い30,157枚となっており、

今年の自己売りのピーク時の売り83,436枚、買い28,765枚1月30日、終値2,177円)から見れば、

まだ買いの2倍売っているとはいえ、ずいぶんと売り越し分は減ってきた。 

 また商社ヘッジ玉も、例えば万年売り方である住友商事などは、

かつては1万枚近い売り越しであり、今年に入ってからも5,000枚程度は売り越していたものが、

週末現在でたったの195枚売りまでに減少してきている。

 一方、買い方大衆筋の雄エースは、5,000枚程度の買い越しから途転売りに廻ったりしながら、

現在は164枚の買い越しとポジションが無くなっている。

そう言えば週末は、もう1つの買い方大衆店の雄第一商品も一気に2,700枚を売り、

買い越し分を大幅に減少させていた。

ユニコムも同日1,000枚近く売りましたしね。

 ホンダの貴金属使用量を大幅に削減する新触媒の開発のニュースや、

米国の株安からの自動車産業不振の予測など、

ロシア関連のニュースが乏しい中での弱い材料の出現は、大衆筋の手仕舞い売りを加速させたのか?

 当方はへそ曲がりにつき、判り易い売り材料で売るのは嫌いなために様子見である。

ニュースよりも、取り組み・手口の変化が気になってしょうがない。

 どーんと1,800円台くらいまで下がってくれた方が、買うにしても買い易くて良いと思うけど…果たして?

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

5月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

3月19日

\13,350

80

\14,190

130

3月21日

\13,540

190

\14,260

70

3月22日

\13,440

-100

\14,270

10

3月23日

\13,100

-340

\13,870

L400

 

 3月13日の天井予告からの急落、

さらに曲がり屋が売った事からの反発予告までも的中。

しかし週末は一気のストップ安急落であり、

これはまたしても口蹄疫問題からのシカゴ市場安に端を発したもの。

 為替相場も122円台へと円安一服の動きを見せるや、

売り方地場筋がここぞとばかりに乾坤一擲の売り浴びせの展開でした。

(そう言えば、大豆もバンバン叩いてましたね)

 チャート的には

1月11日の14,840円と3月13日の14,740円Wトップを形成

からの下落は、圧倒的に売り方有利の展開へ!

売り方目標値は、当然2月2日安値13,290円と言う事になろう。

 ただし…30日には米国農務省発表による作付け意向面積の発表が行われる。

どの程度の量になるのかは予断を許さないが、

民間予測は前年の7950万エーカーを大きく下回った予測が出されている。

パークス社の7734万エーカーよりも下回る様ならば、展開ががらっと変わる可能性も…

しかし農家にしても、種まき前に口蹄疫やらスターリンクやらで

2セントそこそこに下落じゃ、やる気がなくなるんとちゃう?

 当方は作付け〜天候相場期入りを期待して、

中物限月の押し目買い方針に変化はなし。

皆が弱気になればなるほど良しで、この時期の安値は大歓迎である。

ただし今回の様にチャートが悪化すれば、先物に繋ぎ売りを入れる作戦を取る。

これもずっと言い続けている事だが。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

3月限(当限)

前日比 

8月限(先限)

前日比 

3月19日

55.6

-0.8

69.1

-1.1

3月21日

55.1

-0.5

68.9

-0.2

3月22日

55.0

-0.1

69.2

0.3

3月23日

54.0

-1.0

69.2

-1.0

 

 週明け26日は3月限納会日

27日の9月限発会において、また恒例のサヤ滑りが見られるでしょう。

今月納会が終わっても、仕手筋保有の現物はまだある。

 在庫はピーク時の8万トン近いところから、

6万3,474トン15,000トン以上の減少を見せてはいるが、

適正水準在庫3万〜3.5万トンにはまだかけ離れている。

上昇相場のスタートは5万トンの大台を割り込んだ辺りからか?

まだまだ先の話です。

 総取り組み高の大幅減少に見られるとおり、

買い方大衆筋の投げに合わせて売り方玄人筋も手仕舞いに動いてはいますが、

それでもなお商社売り対受ける事の出来ぬ大衆筋の買いの図式には変化はなし。

 60円のゴムを売りで取れ!と言っても、売れる人はほとんどいないでしょうな。

それゆえこの相場は、まだ大底を打っていない。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

5月限(当限)

前日比 

3月限(先限)

前日比 

3月19日

\13,040

-10

\14,280

350

3月21日

\13,250

210

\14,240

-40

3月22日

\13,410

160

\14,270

30

3月23日

\12,940

-470

\13,890

-380

 

 先週に14,610円は天井ではないかとしたアラビカコーヒーは、

週末に再度14,000円台を割り込んだ

まだ完全には売りトレンド転換とはなっていないものの、

14,000円台を飛び付き買いするのは時期尚早と言う事。

皆が強気になった相場は買いたくないの天邪鬼作戦成功!

 NY市場はちょろちょろした材料に終始しているため、まだしばらくは大きくは動けまい。

何度も言うが、産地ブラジルでの霜害でもないかぎり劇的に需給関係が変わる事はないのだから、

わいわい騒ぐのはまだ先の話。

現在はブラジルの生産高予想が3200万袋の豊作予想が出されるなど、

むしろ天候相場期前の一段の調整局面入りの方が懸念される状況となっている。

 ただし国内市場は大底は確認している相場ゆえ、安値を売り叩いて行くのはどうか?

週末の急落場面においては、ひまわりからファンド筋と見られる売りや

三菱Fから外資系商社と見られる売りが出るなど、

為替の円安傾向に歯止めがかかったことも材料にしてか、

安くなると商社・有力筋が叩いてくる。

売り方は余程近江筋憎し!なのか?

 高い場面では買い方・近江筋が煽ってくるし、安い場面では売り屋が叩くじゃ、

ムードに左右されては安値売りの高値買いになってしまう。

冷静に逆張りを続ける局面ではないだろうか。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

5月限(当限)

前日比 

3月限(先限)

前日比 

3月19日

\27,290

100

\23,660

-60

3月21日

\26,500

-790

\23,360

-300

3月22日

\26,320

-180

\23,510

150

3月23日

\25,990

-330

\23,050

-460

 

 NY砂糖のチャートは、底抜け状態となってしまっている。

ロシアや中国の買い付けはどこへ行ったやら…

ブラジルの通貨レアル安も弱材料として浮上してくる始末。

 しかし国内市場のチャートは、海外市場よりは悪くは無い。

逆鞘推移により当方の建て玉も、買い一貫の推奨にもかかわらず損失は少ない。

不幸中の幸い?それともここから悪くなる?

 30日の東京市場5月限納会が注目だが、NY市場との比較では割安である。

当方は、売りハナ納会からの再度のサヤ出世を予測している。

つまりは先物価格が500円ほど下げても、既存の限月には影響はなしと見ている。

 『井戸を掘るなら、水が出るまで掘れ!』との格言も有ることですし、

ここは今しばらく我慢の一手で望みたい。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

 

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