商品市況展望

平成13年5月20日記

 

 緊急特別企画 外貨証拠金取引について

 現在外貨証拠金取引は、為替の円安傾向とスワップ金利による高利回りに対する人気を呼び、このところ盛んになっている。

ところが、この将来的にも有望な取引に対して『ソブリン事件』と呼ばれる詐欺事件が発生し、

顧客の資金が戻ってこないかもしれない事態となっている。

 事の顛末を簡単に記すと、

ソブリンインターナショナル東京支店(本社香港)は、

ソブリングループ(オフショアの信託銀行)の一員ではあるが、

その業務はいわゆる『のれん貸し』のサービスを営んでいる。

ここにモリソンキャピタルホールディングス社日本駐在員事務所(持ち株会社の所在地は米国デラウェア州)

を設立した人間(日本人)がおり、

その人間が顧客資金を横領したという事。

行方不明の金額は約6〜7億円といわれている。

 モリソン社は実質的に前記の人間の個人会社でありソブリン社とは資本関係はないが、

ソブリン社の『のれん貸し』サービスにより、

本来関係のない?ソブリン社の在日代表を名乗るとともに、

ソブリン社の名刺を持ち歩いていたという。

 小林洋行・フジトミ2社はこのソブリン社とIB業務を結んで、顧客からの注文を執行していた。

しかし今回のモリソン社の詐欺事件で、ソブリン社は顧客に対する資金返還要求に答える能力がなく、

小林洋行・フジトミの2社もIB契約時の保証金6700万円余りの返還をめぐって、東京地裁で係争中である。

また、東陽レックスも保証金約1500万円の返還をめぐって係争中との事。

 さてこの事件において、商品取引員8社がソブリン社の顧客であったとされているが、

ソブリン社に関する取引遅延の噂で即座に契約を解除し、難を逃れた会社もあったらしい。

 そもそもIB業務とは、客からの売買注文等をブローカーに取り次ぐもので、売買契約の当事者はブローカーと顧客である。

それゆえ小林洋行・フジトミの2社は、会社も被害者であり顧客は直接ソブリン社に対して返還要求を出すべきとの姿勢であるらしい。

 それに対して、顧客との契約をいったん自社で受けた後にブローカーに注文を出すプリンシバルという形式もある。

この場合は、商品取引員自体に責任が生じる事になるだろうが…

 いずれにしても外貨証拠金取引を委託する場合は、IB契約なのか?あるいはプリンシバルなのか?

そして一番重要なのは、取引先の信用状況をよく調べて取引をせねばなりません。

(とは言っても、個人がそれをできるかどうかは疑問があるが…)

 この『ソブリン事件』については、

金融庁は「外貨証拠金取引は金融商品等販売法に定める金融商品にはあたらない」との見解である

前記の法律は、個人投資家の保護を目的にリスクの説明義務などを定めたものだが、

要はその保護は受けられないと言う事。

 また金融先物取引法・外為法・商品取引所法にも外貨証拠金取引を規制・監督・保護する法律はなく、

与信管理が不充分な会社に対する懸念は、まだまだ続く可能性がある。

 さて、当社・岡地は大丈夫かって?大丈夫じゃなけりゃ、こんなコメントは書きません。

それに当方は外務員につき、怪しい取引には顧客を誘導しませんし、

ダメならこっちも逃げ出さないといけませんので…

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週のガソリンの値動き

 

6月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

5月14日

\29,850

170

\27,790

90

5月15日

\29,910

60

\27,590

-200

5月16日

\29,880

-30

\27,630

40

5月17日

\29,990

110

\27,650

20

5月18日

\31,000

1010

\27,820

170

 

今週の灯油の値動き

 

6月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

5月14日

\26,050

-90

\29,900

-20

5月15日

\25,990

-60

\28,520

-380

5月16日

\25,850

-140

\29,580

60

5月17日

\26,350

500

\29,610

30

5月18日

\26,730

380

\29,660

50

 

 週末に空売り筋の買戻し〜10枚の売りハナで急騰納会で終了したガソリン相場は、

納会後には逆に10枚の成り行き売り注文で大幅下落

納会終了後の価格変動は、実際に現物を持つ筋以外は参加できず、

一般投資家には関係がない事ではあるが、

実際にその変動を見せつけられると先物を売りたくなった人も多かったのでは?

 たかが10枚、されど10枚のこの玉は、一般投資家の買い玉を投げさせるための作為的なもの???

 週明けは海外市場高と12月限の発会で、逆鞘のガソリン・順ザヤの灯油がどの様に動くか?

相変わらず不透明な展開が続く…

 石油製品相場の今までの特徴は、因果玉はほとんど助からないといったもの…

引かされたら、早めの処分が肝要である!

 

 まずはガソリンから…

先物チャート上では5月1日の28,090円をトップにして上げもだえの展開に見えてはいるが、

なんせ逆鞘相場は時間の経過と共にサヤ出世の展開が続いている。

週明けの12月限がまた逆鞘で発会するのか?それとも11月限よりも上ザヤになるのか?

 仮に12月限が上サヤ発会となったならば、サヤ形態は『おかめザヤ』となり、

チャートトレンドも決して売りを暗示していない事にも支援され、

一気に売り方の踏みを誘う展開になるかもしれない。

 週末現在の自己玉は売り45,536枚、買い19,037枚となっており、

相変わらず大幅売り越しに変化はない。

これが素直に『逆鞘に売り無し』の相場格言を信じて、

買い進む姿勢をためらわせるところとなっている。

自己玉の大幅売り越しは、逆にいうと大衆筋の大幅買い越しを示唆しており、

大衆は常に間違っている』という相場格言から言うと買えない相場なのだが…

このところの大衆は、相場がうまくなった?

 主な取引員の片建ては

売り方岡地9436枚、エース474枚、三井F434枚、三井物産301枚など。

一方買い方は太陽ゼネ1619枚、太平洋1521枚、ユニコム974枚、岡藤809枚など。

岡地の売り玉は、週末には1万枚の大台を割り込んだとは言うものの、

相変わらずの圧倒的な売り越しであり、買い越し店が圧倒的多数である事に変化はない。

週末の手口での注目点は、

エースが途転売りへ変化した事、岡藤の買い、住商も若干途転売りへといったところ。

 個人的には、4分6で来週の高値は2番天井の戻り売り狙いに分があるような気がするが…市場人気は逆でしょう。

 

 続いて灯油です…

ガソリンの急騰納会の影に隠れてはいたが、こちらも高納会となった納会後に反落の動きである。

不需要期にも係らず強行に現受けを敢行した伊藤忠の135枚の玉が目に付くが、

伊藤忠は8月・9月に売りポジションを持っており、これは順ザヤ環境下の中での鞘取りか?

6月限と8月限に1000円以上ものサヤがあったことを考えれば、1枚当り10万円の儲けはおいしいのかもしれない。

もっとも、現受け敢行の鞘取りは出来ない我々一般投資家には、関係にない話だが…

 週末現在の自己玉は売り9,401枚、買い25,721枚となっており、ガソリンと正反対の展開は続く。

ガソリン買い・灯油売りの戦略で臨んでいる大衆筋が、いかに多いかという現れである。

 主な取引員の片建ては

売り方太陽ゼネ1287枚、三井F1125枚、GLB1108枚など多数。

一方買い方は岡地9739枚、豊1282枚、岡藤510枚、住商252枚など。

16日にエースが売り越しになった以外は、基本的に何も変わっていない。

 チャートトレンドは6日移動平均線が下向きになるなど、

3万円での上値つかえが現れては来ているものの、

12月限発会で順ザヤ発会〜新値更新となればまたどうなるか判らん。

 灯油を大幅に買い越す自己玉と梅田筋は、

ガソリン・灯油のどっちがメインなのかは判らぬが、

両商品が正反対の方に動く事だけは無さそうである。

どっちかが儲かれば、どっちかを損切りして納める戦法なのだろう。

両商品とも買いとか売りでは、大当たりすれば儲かるのは確かだが、長く生き残れるかどうかわからん。

梅田筋は大玉での鞘取りを信条に生き残ってきた相場師ですから。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

6月限(当限)

前日比

4月限(先限)

前日比

5月14日

\2,400

5

\2,277

7

5月15日

\2,404

4

\2,264

-15

5月16日

\2,400

-4

\2,267

3

5月17日

\2,413

13

\2,279

12

5月18日

\2,440

27

\2,283

4

 

 注目のJ・マッセイ社の需給報告は、

白金で供給が3.7トン減・需要が2.8トン減の発表で、

市場は材料視せず。

予想レンジは550〜625ドルとしており、現在の水準を踏襲したもの。

一方パラジウムの予想レンジは550〜750ドルとしており、

現在の650ドルはその中間点であり、これも材料にはならん。

両商品ともに、逆張りでの対応が良いと思われる環境である。

 さて、動意づいたのは金相場である!

1,010円台〜1,040円台でのレンジ相場で推移していたものが、

1,070円とレンジ幅分だけ上方に離れたかと思っていたら、

週末のNY市場は270ドル台〜280ドル台へ一気に13ドル高の急騰である。

週明けの国内市場は、久々に1,100円どころへの上昇となり、騒がれる事となるであろう。

 1,000円台をキープしながら動いていた相場は、

一度は高い場面の出現があるだろうと思ってはいたが…

しかし個人的には、今回の上昇も一時的なものであり、

早晩また下がってしまうのでは?と考える。

 しかし相場界全体の事を考えるならば、

金が上がれば投機意欲の活性化が期待できるため

たまには1,300円程度まで大きく上がって行ってもらいたいものです。

俺は買わんけど、頑張れよ金!

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

7月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

5月14日

\12,440

-40

\13,670

-60

5月15日

\12,660

220

\13,840

170

5月16日

\12,780

120

\13,830

-10

5月17日

\12,940

160

\13,860

30

5月18日

\12,870

-70

\13,960

100

 

 売り方の意見は、先物の14,000円は戻りいっぱいの水準で、まずは13,500円程度までの下落。

そこからファンドの投げが入り、第一目標値は2月2日の安値13,290円!

後は豊作ならば、相場は奈落の底との考え方であろう。

 一方買い方は、5月11日の13,640円は底値確認の可能性大で、

天候相場はまだまだ続く…

作付け面積減を過小評価し、さらには天候プレミアムを無視して売り込む売り方ファンドは、

早晩買戻しを強いられるであろうとの見方。

 まだまだ色々な意見があるだろうが、集約すれば現在のところはこんなところであろう。

ファンドも有力仕手筋も強弱真っ二つに分かれての攻防戦である!

 シカゴ市場の期近7月限は、現在200セントを挟んだ攻防戦だが、

週明け発表のミネソタ州の進捗率の状況いかんによって動意があるか?

その後は作付け面積の確定と、実際の生育状況が材料視されるようになり、

いよいよ天候相場第2ラウンドの開始である。

 コーンの作柄決定は、7月のシルキングの時期の天候如何に大きく左右されるため、

勝負の行方はまだまだ判らない。

売り方・買い方双方とも、その時期の天候をにらんでの駆け引きが続き、

目先は190セント台〜210セント辺りのレンジ取引を大きく放れる事は困難だろう。

 国内市場においても、目先の材料に一喜一憂することなく、逆張りを中心に売買する事がベターか。

 米国中西部が天候不良〜凶作となれば、最低でも250セント〜280セントへの急騰となり、

逆に天候良好〜豊作となれば、165セント〜180セントへの下落となる事だけは、

頭に入れておいた方が良い。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

5月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

5月14日

69.9

1.2

81.7

1.6

5月15日

69.7

-0.2

80.8

-0.9

5月16日

70.6

0.9

81.3

0.5

5月17日

69.9

-0.7

80.1

-1.2

5月18日

69.2

-0.7

81.0

0.9

 

 先物70円割れという超安値時代はもうないだろうが、

5月14日の81.7円は目先の天井確認と見る

25日の納会が予想外に急騰するなどの事態となれば、

もう一度高値更新から85円辺りの相場出現となるかもしれないが、

需給の好転等の新たな強材料が出現しない限り、本格的な上昇など望むべくもない。

 今回の底値からの上昇相場の過程では、

大衆筋もあつものに懲りてなます吹くの状態で、

新規買いを入れるどころかやれやれの手仕舞い売りに動いている状態であり、取組高も減少中。

 商社筋・有力玄人筋は売り一貫で、

唯一買い方として気を吐くのは安値売り玉踏み〜途転買いとなったファンドのみ。

ゴムが欲しいのではなく、値幅が欲しいだけのファンド筋は、所詮大衆投機家と同じである。

 新規材料が出るまでは、

72円〜82円辺りの行ったり来りの相場展開であろうと判断する。

目先は戻り売りに分があり!

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

5月限(当限)

前日比 

3月限(先限)

前日比 

5月14日

\14,370

-640

\14,410

-180

5月15日

\13,480

-890

\14,010

-400

5月16日

\13,380

-100

\14,200

190

5月17日

\12,300

-1080

\14,070

-130

 

7月限(当限)

前日比 

5月限(先限)

前日比 

5月18日

\12,800

170

\14,560

*490

 

 国内内部要因を見ると、

買い仕手は依然として買い居座っており、

売り方有力筋も売り上がり方針堅持、

ファンドは一度踏んでからの売り直し状態である。

 国内外市場ともに、産地ブラジルの降霜懸念を囃すには1ヶ月程早すぎるという見方が主流だが、

かといってこの時期にこの歴史的な安値水準から売り込むのも躊躇われるといった展開である。

 納会終了後の新甫5月限は、14,560円と順ザヤに買われたものの、

前回5月11日に続いて3月7日の高値14,610円をクリアできていない。

しかし天候相場には若干早いものの、

売りから入るのは危険との判断と

NY市場の認証在庫がやっと減少に転じてきたという報が

大供給過剰時代の終焉との思惑を呼んで、

早晩上抜けるのではないだろうか。

 そうなれば、売り方商社・ファンド・玄人筋・自己玉等の壮絶な踏み上げ相場に移行するのではないか?

というのが当方の判断である。

 霜は降っても降らんでも期待が相場を押し上げる。

5月限発会で当先のサヤが2,000円近くに開いてはいるが、

売り売りの時代の3,000円以上サヤがあった時代とは明らかに違っている。

ここは徹底的に買い方針を貫く時期と見る。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

7月限(当限)

前日比 

5月限(先限)

前日比 

5月14日

\27,460

110

\24,640

-60

5月15日

\26,960

-500

\24,510

-130

5月16日

\27,000

40

\24,980

470

5月17日

\26,390

-610

\24,750

-230

5月18日

\26,060

-330

\24,600

-150

 

 先週号にて『材料は出たら終い』と、ここからの高値は売り!とした。

そして今週は、先物で25,000円ジャストを記録するもののそこから反落。

納会を月末に控えた当限からの反落が激しい。

苦労した粗糖相場の曲がり屋を、当方もやっと卒業できるか?

 当限の下落から長期間にわたって続いている逆鞘相場が終焉するのかどうかは、

まだしばらく様子を見なければ判らぬ。

しかし、目先は先物25,000円での天井という可能性が大である。

 24,000円辺りまで反落を期待した後に、

再度の大型上昇相場となるかどうかは、来週の動きと納会動向を見ての判断としたい。

ただいま曲がり屋からの脱却中につき、ここは焦らず慎重に対処したいと思うため…

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

 

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