商品市況展望

平成13年9月2日記

 

 原油先物取引が、いよいよ9月10日(月)にスタート!

 もうすぐ始まる原油先物取引について、基本的な事を解説したいと思います。

おそらく大型上場商品のスタートという事で、多くの皆さんが興味を持って見ているはず。

上がる下がるは別にして、まずは最低限、知っておかなければならない事から…

 この原油先物取引は現金決済先物取引であり、

当限納会日にはその時点の現物価格に基づいて算出された価格で、すべて決済されます。

つまりは納会当日のスクイズや売り崩し等は出来ない事になります。

ただし石油メジャーが現物自体を買占めするような事態にでもなれば、

スクイズと同じような事になる事態も有り得なくはありませんが…

(膨大な資金が掛かるのでしょうが、

比較的流通量の少ないオマーン原油は買占めが起こり得るとの指摘もあるので、その点は注意しましょう。)

しかし東工取自体では、買占めは起こり様がないという事であり、

納会日だから何かが起きるという事はありません。

 上場品は中東産原油(ドバイ原油及びオマーン原油)となります。

NY市場に上場されているWTI原油と比較した場合、2〜3ドル程度安値で推移しているようです。

NY市場はNY市場の事情で動き、ドバイはドバイの事情があるでしょうから、

外電も重要でしょうがスポット価格の動向に注意が必要かも…

 最終決済価格は、価格報告機関が最も船積月が近いドバイ原油及びオマーン原油を対象として発表した価格を、

取引所が納会日の前営業日に採取し、平均を求め、

同日の為替相場(東京三菱銀行の第1次TTM)で円換算した中東産原油価格となります。

 価格報告機関は、ブルームバーグ・ニュース社、Bridge Information Systems,Inc、

ICIS−LOR Group Ltd、Petroleum Argus社、ロイター・ジャパン株、リム情報開発株の6社です。

 ドバイ・オマーン原油価格の平均が24ドルで為替が120円だとしたならば、

24×120.00÷0.1590で国内円建て価格が算出され、18,110円がその価格となります。

バレル当り1ドルの変動で約700円〜800円程度の変動となり、

為替の1円の動きで130円ほどの変動となります。(おおよその計算ですが)

 取引単位呼び値の単位はガソリン・灯油と同じ。

一般委託手数量の片道3,800円は、往復で抜け幅80円でこれも同様。日バカリは半額です。

立会時間・方式も、もちろんガソリン・灯油と同じ。

 委託証拠金は標準価格によって変動しますが、上場開始時は1枚当り14万円と決定!

ストップ制限は700円幅となり、1回ストップが来れば1,5倍になるか、反対に来れば追証です。

為替の変動が無くて、1ドル動いたらほぼストップですね。

 結構動きそうな予感もあり、せっかくの大型上場商品のスタートなのですから、

とりあえずは参加して見なければなるまい。

次回にまた続きを…次回の更新翌日には、発会ですけどね。

 

 

 

〔石油製品〕

 

 9月には入ればOPECが減産に入るという事や、

米国内の精油所トラブルからのガソリン在庫の減少によって、

NY原油相場は比較的底堅い展開で推移中である。

中東情勢にしても、緊迫感は漂ったままであるし…

 それでも所詮は27ドル前後の水準での推移という事もあり、上放れの可能性となると疑問符が付く。

NYダウ1万ドル割れからの世界同時株安〜更なる景気後退懸念〜デフレの悪化は、

如何に原油価格の高止まりを画策するOPECだろうがブッシュだろうが全てを飲みこんで、

国際金融資本による売り浴びせが出る可能性も否定できないのではないだろうか?

 相場が上昇する時は膨大なエネルギーが必要だが、下げる時はなんとなく下がり、

いったん下がり始めたらスピードも速いのは、相場の宿命だからねえ。

 

今週のガソリンの値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

8月27日

\26,410

160

\25,120

190

8月28日

\26,330

-80

\25,050

-70

8月29日

\26,390

60

\25,320

270

8月30日

\26,330

-60

\25,060

-260

8月31日

\25,950

-380

\24,380

-680

 

今週の灯油の値動き

 

10月限(当限)

前日比

3月限(先限)

前日比

8月27日

\28,110

-10

\26,750

100

8月28日

\28,110

0

\26,570

-180

8月29日

\28,140

30

\26,690

120

8月30日

\28,080

-60

\26,440

-250

8月31日

\27,800

-280

\25,740

L700

 

 まずはガソリンから…

戻り売り一貫を主張していた当方の相場観は、

25,000円台で一進一退を続けていた後の週末の急落で、一気に報われる事となった。

先物3月限はこれで一気に新安値更新(週末安値24,360円であり、

逆鞘相場のため1月限・2月限など安値を記録した限月は、まだ新安値更新には至らないが、風前の灯火の感がある。

2月限の一代の安値24,390円(週末の安値は24,410円を記録)、

1月限の一代の安値24,150円(同じく週末安値は24,630円)となっているが、

早晩下放れ相場となって行くのではないか?

米国では精油所のトラブルから在庫減少となっているが、

国内でガソリンが不足しているなどと言う話は、全く聞こえてこないのだから…

 問題はこのまま暴落して行くのか、それともまた戻ったりするのか?という事だけであろう。

どんなチャート線形を描きながら推移して行くのかは神のみぞ知る話だが、

当方の相場観では行きつく先は22,000円どころまでの下落と考えているが、果たして?

 週末現在の自己玉は売り34,453枚、買い11,074枚となっており、

週末の暴落局面でも自己玉の利入れは出ていない。

逆にいえば、大衆筋は投げるどころか押し目買い方針らしい。

 主な取引員の片建ては

売り方岡地2086枚、豊1736枚、三菱F1147枚、住友608枚、三井F435枚、エース319枚など。

毎度の話だが住商がバタバタしていることと、三菱Fが売り姿勢を強めてきている事が注目される。

一方買い方は太陽ゼネ1257枚、ひまわり1060枚、太平洋881枚、ユニコム797枚、岡藤665枚、伊藤忠F360枚など。

投げたような店もあるが、買い越しを増やしている店も…

当方には、内部要因は売り方有利としか見えないが。

 

 続いて灯油です…

夏も終わり秋の気配を感じる季節となったが、

これから本格的な需要期を迎える灯油相場は、スポット市場では堅調な推移となっており、

これを手掛かりに先高予想を唱える向きもある。

ただし不需要期限月が先物に建っている東工取市場では、チャートはきれいな3段下げ目に突入中。

3段目の下げは大きいとの相場ジンクスもあり、相対力指数など20ポイント割れで売られ過ぎを暗示するものの、

先のプラチナ相場の暴落の例の通り、指数の異常な低下はそれだけ相場が悪質だとも考えられる。

 10月限〜12月限の期近需要期限月ならば、突っ込みは買い方針でも報われるかもしれないが、

先物は利食い買いならともかく値頃感からの新規買いはまだまだ危険ではないだろうか?

 週末現在の自己玉は売り15,034枚、買い16,854枚となっており、

週末の急落場面で自己は利入れを進めて、再び買い越しへ。

 主な取引員の片建ては

売り方エース1939枚、三菱F1170枚、ひまわり841枚、岡藤566枚、住友565枚、三井物産362枚、小林洋行351枚など。

こちらも三菱Fが売り姿勢を強め、住商は前日の1400枚の大量売り〜利入れへ。

一方買い方は豊3869枚、岡地3109枚、GLB644枚、伊藤忠F398枚、伊藤忠265枚、太陽石油140枚など。

相変らず大量の買い玉を保有する豊・岡地だが、新規買いはせずに降りて来ている様子である。

特筆すべきは、週末に伊藤忠が前日の235枚の売り越し〜途転買いに廻った事か。

 内部要因やチャートから判断するに、突っ込み売りは避けて、戻りを待っての売り直しが良しと見えるが。

自己玉が戻り場面で再び売ってくるかどうかが、今後の焦点となるだろう。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

8月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

8月27日

\1,786

16

\1,656

6

8月28日

\1,756

-20

\1,659

3

 

10月限(当限)

前日比

8月限(先限)

前日比

8月29日

\1,792

15

\1,655

*-4

8月30日

\1,744

-48

\1,575

L80

8月31日

\1,689

-55

\1,550

-25

 

 基本的な相場観は、前回・前々回号と全く変わっていない。

どうだったっけ?と言う方は、読み返して頂く事を希望します。

 今週の動きは、8月24日の1,703円の戻りからの上げもだえ場面が、

30日・31日の急落局面を演出したという事であると考えている。

 『売るのが恐いところを売る!買うのが恐いところを買う!』の方式で行けば、

週末の1,505円という買うには恐い所が、目先の買い場だったという事になるかもしれない。

2番底確認か!の機運が高まり、買われた所はまた売りとなるだろうと予測する。

日中の変動幅が大きいため、朝のうちからある程度大胆な所に指し値を入れておくのが戦法としては良いだろう。

 ロシアがどうしたとか、NY市場がどうだとか、誰にも判らんことをあれこれ悩むよりも、

自己玉の動向と有力取引員の動向を注視する方が役に立つだろう。

当方が注目しているのは13店ほどである。

どこなのかは、企業秘密!

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

8月27日

\13,630

-60

\13,970

-50

8月28日

\13,810

180

\14,200

230

8月29日

\13,690

-120

\14,050

-150

8月30日

\13,780

90

\14,050

0

8月31日

\13,660

-120

\13,950

-100

 

 米国穀倉地帯において、南部からコーンの収穫作業が始まった。

大豆はまだ天候相場期がしばらく続くが、コーンの天候相場期は終了である。

今後は需給相場期の相場展開となるわけだが、

生産高の下方修正が予測される12日の米農務省発表へ向け強気筋は強気筋の思惑があり、

一方ハーベスト・プレッシャーを期待する弱気筋には弱気筋の思惑が…

 当方は前回号で述べた通り、生産高の減少と需要の増加からの在庫率減少は強材料であり、

需給相場期の上昇相場も有り得るとの考え方だが、

だからと言って闇雲に買い方針とするには若干の不安がるため、

どちらかと言えばもう少し様子を見たい気分である。

 さて当先のサヤは、300円程度の順ザヤ推移となっており、

サヤ滑りを狙う売り方針は、今の所無理な展開である。

ただし商社筋のポジションから考えると、

当方の今までの主張である需給相場期の上昇を引っ張る逆鞘推移は、ちょっと困難かもしれない。

むしろ、大手商社の丸紅が新穀の非遺伝子組替えコーンの別途輸入を発表する動きなどを見る限り、

買うのならば新穀の買い!方針であろう。

 4分6で若干買い方有利かなと思われる市場であるが、

現在の14,000円どころの水準は、今年の高値15,220円と安値12,860円のほぼ中間地点である。

つまりは、買い方・売り方双方ともまだがっぷり四つの展開であり、

どちらに転ぶか予断を許さない。サヤもほぼ同ザヤなわけですし…

 昨年は高値と安値の幅が3,490円であり、一昨年は3,740円であった。

今年は今の所2,360円幅にとどまっている。

仮に今年も3,500円幅の変動が起きた場合には、

もし5月31日の12,860円が底値だったら高値は16,360円へ!

逆に7月17日の15,220円が天井だったら安値は11,720円へ!

 今回は、こんな考え方もあると言う事で。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

8月限(先限)

前日比

1月限(先限)

前日比

8月27日

76.6

-0.6

74.0

-0.7

 

9月限(先限)

前日比

2月限(先限)

前日比

8月28日

72.9

-1.4

74.3

0.3

8月29日

72.2

-0.7

74.2

-0.1

8月30日

68.3

-3.9

71.1

-3.1

8月31日

65.9

-2.4

71.0

-0.1

 

 この暴落ゴム相場を長期にわたって強気方針をして参りましたが、

当方の買い方針メイン限月の8月限が76.6円で納会し(これは今となっては、助かったくらいの値段だったのね)、

さらには30日の丸紅売りからの暴落で、その他の限月もとどめを刺されました。

80円台の買い玉はほとんど持っておりませんでしたので、それが救いといえば救いですが…

 チャート通りに6月25日85.0円での2番天井確認からは、

その前の天井後の押し目である6月15日77.9円を割り込んだ時点の7月末から、

売り方針へ転換とすべき所でありました。

しかし、内部要因から買い方針維持とした事で、皆様方には多大なるご迷惑をおかけしました。

回りの悪い時は、なぜか当っている商品はあまり仕掛けてなく、

なぜか大曲り商品が主力となっていたりするものです。参った、参ったです。

 さて曲がり屋の相場観を聞きたい人は、当方に向って儲けた筋の人達だけでしょうが、敢えて申し上げれば…

@当先のサヤは、今後6円〜7円程度の順ザヤで推移して行く事になるだろう。逆鞘への買い上げは困難である。

A長期方針で見て、先物の70円前後は底値であろう。目標値云々は言える状況ではないが、今後は上記のサヤ滑り対長期買い方針の戦いとなるだろう。

B当限9月限〜11月限の浮上は困難であろうが、納会値は65円辺りは維持できるだろう。

曲がり屋の戯言と受けとって頂いて結構ですが…恥の上塗りを覚悟での相場観であります。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

9月限(当限)

前日比 

7月限(先限)

前日比 

8月27日

\10,270

-170

\11,550

-440

8月28日

\10,330

60

\11,680

130

8月29日

\10,010

-320

\11,380

-300

8月30日

\9,980

-30

\11,510

130

8月31日

\9,660

-320

\11,380

-130

 

 8月16日に10,910円の安値を記録したアラビカコーヒーは、

12,000円近くまで急激な反発を見せるもののそこをクリア出来ず反落。

一時は1,000円程度まで詰まる動きを見せていた当先のサヤも、

納会を意識した当限の反落幅が大きいために再び拡大傾向である。

 国内外市場において、極論を言えば何も強材料がない状態である。

それが逆に敢えて強材料と言えば強材料かと思える程度の展開である。

相場が底打ちをする時は、すべてが弱材料の中で起こり得るからである。

 あまり安値を売るのはどうかと思われるが、それでも現在のファンダメンタルズと内部要因を見る限り

先物チャートは別としても当限に廻れば9,000円割れも有り得るとの展開に変化はないであろう。

 8月30日現在の自己玉は売り29,394枚、買い9,996枚となっており、

未だ圧倒的な売り越し状態に変化はない。

 週末現在の主な取引員の片建ては

売り方三菱F2,995枚、フジF1279枚、山前1259枚、岡地744枚、小林洋行604枚、ひまわり478枚、岡藤246枚など。

一方買い方はマルモト3369枚、豊601枚が突出である。

一見した所、ファンド筋・商社筋売り・穀物筋売りのオンパレードであり、

梅田筋はじっと我慢の子状態である。

何せコーヒーの受け渡しは、商社・当業者以外は実質参加できない状態のため、

如何に梅田筋とは言え起死回生の当限操作は難しい。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

11月限(当限)

前日比

9月限(先限)

前日比

8月27日

\23,970

400

\22,310

460

8月28日

\23,880

-90

\22,240

-70

8月29日

\23,280

-600

\21,880

-360

8月30日

\23,260

-20

\21,750

-130

8月31日

\22,350

-910

\20,950

-800

 

 中国・ロシアの買い付け期待やらで、高値25,000円以上で推移しながらも、

逆鞘から更なる上昇も…としていた頃は、いったいどこへ行ったやら?

市場の材料を見渡すに、ファンダメンタルズからの強材料はほぼ皆無の状態である。

唯一の強材料がNY市場における売り過ぎのファンドの買い戻し期待では、

仮にそれで戻ったとして、その後はどうなるというのだろう?

当方は7月8日号にて7月2日25,700円天井説主張から、基本的に弱気一貫である。

 週末現在の主な取引員の片建ては

売り方岡地608枚、小林洋行583枚、岡藤317枚、関東砂糖257枚、三菱F160枚、三井F159枚、豊58枚、パール29枚など。

一方買い方はエース845枚、オムニコ222枚、サンワード166枚、山前156枚など。

 取組みの小さい市場だが、商社機関店や当業者筋などは軒並み売り越し状態である。

カーギルの買いが○○枚以上だ!何て騒いでいた頃の面影もない。

 週末の東京市場の下げは、株式市場の暴落や他商品安に過敏に反応した感もあるが、

戻りは叩いておけば何事もないのではないか?

忘れてならないのは、昨年の大相場出現前の価格は、何と14,000円程度だったと言う事だ。

別にそこまで行くと言っているわけではないが、行かないとも限らんのが相場なのだから…

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

 

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