商品市況展望

平成13年12月16日記

 

 商品市況展望は来週号で年内終了となります。

なお、日々雑感も12月21日付にて年内は終了とさせて頂きます。

年明けは1月4日より日々雑感をスタート!

商品市況展望は1月13日よりのスタートとなりますので、よろしくお願い致します。

 

 今年の立会も、残すところ後2週間となった。

毎週末には週間足を眺めているが、後2本記入したら終了かと思うと

長かったような、あっという間だったような…この1年を振り返ってみると、

 ドル円相場は、年初115円辺りから4月には126円台の円安に…

その後9月には116円台まで円高に反転したものの、年末に来てまた円の安値更新である。

対ユーロに対しても円安は進んでおり、ドル以上に有利な金利が人気となっている。

 金相場は、ジグザグの展開ながらも右肩上がりの上昇トレンドだった。

安値947円、高値1,127円は高低差180円のおとなしい相場展開であった。

もちろん後2週間で大幅な円安が進めば、新高値更新もあるやもしれぬが…

 銀相場は180円どころと、160円どころの往ったり来りの相場展開だった。

逆張り派には取り易い展開だったかもしれない。

 プラチナ相場は、夏場に大暴落を演じた。

1,000円近い暴落を演じた後、秋からは400円ほどの戻りを演じているが…

貴金属の中では、やはり投機の王様であろう。毎年の事だが、良く動く銘柄である。

 パラジウム相場は1月に3700円台で天井確認した後は2,500円もの大暴落をした。

出来高・取組高ともに薄い銘柄でスムーズな商いが出来ない難点はあったが、

これを黙って売り続けて財を成した人も多かったと聞く。

現在はプラチナの後追いで反発中であるが。

 アルミ相場は、プラチナ相場とチャート線形が同じような展開であった。

夏場の暴落〜秋の急反発である。

パラジウム同様に出来高・取組高は薄いが、良く動く銘柄である。

 原油相場は上場から日は浅いが、上場時にテロ勃発で19,000円台に上昇し、

その後は7,000円以上の大暴落を演じるなど、来年も大変動を予感させる銘柄である。

 ガソリン相場の値動きもまた大きかった。

昨年よりは上下幅は小さかったが5,000円上げて8,000円下げる展開は、

時には1日の中で1,000円幅にも及ぶ変動があり、ボラティリティの高さと共に出来高の王様であった。

 灯油相場の変動は、今年も凄まじかった。

年前半は1万円の大暴騰で、後半は13,000円の大暴落である。

季節要因の強い銘柄だけに、また来年も動く事だろう。

ガソリンとの鞘取りや、東京市場と中部市場での鞘取りで成功した人も多かったと聞く。

 ゴム相場は、年前半高の後半安であった。

60円台から80円台の動きの相場はそこそこの変動と言えなくも無いが、

かつて200円台での大変動相場時代を知っているだけに、

20円幅の値動きはオールドファンにとっては相場が無かったのと同様であった。

 その他の商品については、次回にまた…

 

 

 

〔石油製品〕

 

今週の原油の動き

 

12月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

12月10日

\13,700

80

\13,520

-60

12月11日

\13,480

-220

\13,590

70

12月12日

\13,330

-150

\13,440

-150

12月13日

\13,330

0

\13,440

0

12月14日

\13,570

240

\13,550

110

 

 まずは原油から…

12,000円台から14,000円台へと反発に転じた後の今週の相場は、

13,000円台半ばでのもみ合い局面入りをしている。

移動平均線もデット・クロスをしてきており、上値が重くなってきた展開であったが…

 ところが週末のNY市場は、アンゴラが25,000バレルの減産の用意があるとの報と

ロシアのカシヤノフ首相が原油価格を20〜25ドルで安定させる事を目指すとのコメントに急騰、

前日比1ドル以上の上げで19ドル台を回復して引けている。

大した材料とは思えぬが、また口先介入での週末の戻りである。

 NY市場においては、依然18ドル〜20ドルのもみ合い局面の範囲ではあるが、

このところ強材料に敏感に反応し、弱材料には鈍感な東京市場の週明けが、売り方にとっては恐い所である。

仮にストップ高をしても、前回戻り高値の14,370円を上抜くわけではないが、嫌な気分には変わりは無い。

そこを抜けて行く展開が出る様であれば、当然トレンドは転換すると判断せざるを得ないだろうし。

 週末現在の自己玉は売り13,391枚、買い5,906枚となっており、大幅売り越し状態に変化はない。

と言うよりも、前週よりも売り越しは増加しているが…4月限の買い越し状態も変化無しである。

 主な取引員の片建ては

売り方岡地1721枚、豊1415枚、エース550枚、伊藤忠450枚、岡藤245枚など。

一方買い方は丸紅947枚、三井物産466枚、東ゼネ403枚、ユニコム343枚、ひまわり297枚、太陽ゼネ249枚など。

週末にかけて梅田筋が本格的に売ってきている様である。

週明けの東京市場で、同筋はどのような対処をするのか?

 OPEC減産があろうが無かろうが、実際には協定破りの生産が行われている状況であり、

大きな相場トレンドの流れは下向きのままであるのだから、

いずれは内部要因の悪さも見直されて再度の下落へ…となるであろうが、

目先は売り方苦難の展開が続く。

踏む時は踏めば良か候であるが、自分の売り玉は踏めぬもの…

 

 

今週のガソリンの値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

12月10日

\21,810

-10

\22,800

-70

12月11日

\21,730

-80

\22,820

20

12月12日

\22,180

450

\22,960

140

12月13日

\22,260

80

\23,040

80

12月14日

\22,430

170

\23,340

300

 

 次ぎにガソリンです…

元々東京市場のガソリンとNY市場のガソリン相場の連動性は薄いと判っていても

NY市場がほぼ安値圏でのもみ合いに終始しているにもかかわらず、

東京市場が強調場面を続ける展開は嫌なものである。

相場が当たって入る時は、NY市場など関係無いや!で通せるのだが、

曲がり屋の部類に入った方は外電を気にしてしまう傾向は今までもあったが…

しかしこれで週末のNY市場高に素直に反応する様であれば、

売り方は一度踏まされる展開になるかもしれない。

 輸入採算価格は21,000円台ではあるが、業転価格は22,000円台をキープ。

スポット市場の価格は上昇はして来ていないが、当限価格はすでにそれを突破している。

 週末現在の自己玉は売り22,941枚、買い12,965枚となっており、

日々の増減はあるものの基本的には変化無し。

今週は自己玉の売りが増加しても、相場は下がらん展開が多かった。

勢いづく買い方大衆筋に対し、自己玉もメロメロの状態である。

 主な取引員の片建ては

売り方豊2188枚、三菱F888枚、岡地758枚、三井F237枚、エース219枚など。

一方買い方はひまわり1257枚、太平洋929枚、伊藤忠670枚、岡藤486枚、三井物産461枚、住商323枚など。

注目は先週まで買い越しだった岡地が途転の売り越しへ。

豊の売り玉はそのままなだけに、満を持して梅田筋の売り攻勢か?

 先限チャートでは24,000円は大きな壁であると考え、

週明けの上昇局面は一度売って見たい場面ではある。

ただしそこをあっさりクリアする様ならば、売り方としては白旗降参も考えねばなるまいが。

 

 

今週の灯油の値動き

 

1月限(当限)

前日比

6月限(先限)

前日比

12月10日

\24,170

220

\20,700

-40

12月11日

\24,580

410

\20,780

80

12月12日

\24,980

400

\21,000

220

12月13日

\24,930

-50

\21,150

150

12月14日

\25,000

70

\21,490

340

 

 最後に灯油です…

業転価格は24,600円で横ばいを続けており、

25,000円台に乗せた当限価格はすでにそれをオーバーしている。

輸入採算価格は23,000円台であるが国内のタンクは在庫がダブダブの状態であるとされ、

割安な輸入物を持って来たくても持って来れない状態であると聞く。

 寒波を材料に強含む相場展開ではあるが、

北海道地区のスポット価格は在庫が捌ける事によって割安な輸入物の入荷ができるとの連想から、

軟化し始めている様である。

来週納会する1月限は3万円台から暴落してきた限月であり、

安値23,000円割れからの戻りを演じているが、ほぼ納会値は織り込んだのではないか?

 しかし問題は、1月限〜3月限辺りの高値から暴落を演じた需要期限月ではなく、

売買高の多い不需要期限月の4月限〜6月限である。

本来関係の無い寒波を材料として、

18,000円台の安値から22,000円台〜21,000円台に水準を切り上げる様は、

買い方の勢いを感じさせる展開である。

 週末現在の自己玉は売り22,260枚、買い11,029枚となっており、大幅な売り越しには変化はないが、

売っても下がらぬ相場に苦戦中の状況が見て取れる。

 主な取引員の片建ては

売り方豊1266枚、小林洋行806枚、岡藤674枚、三菱F558枚、丸紅499枚、三井物産448枚、ひまわり460枚など。

一方買い方は太陽ゼネ1421枚、岡地846枚、伊藤忠520枚、伊藤忠F323枚、ユニコム311枚など。

豊は先週末から週明けにドカンと売ったが、週末には調整した。

小林洋行が売り姿勢を強め、三菱Fのファンド?はまた売り玉を半減させた。

一方買い方大衆筋の雄太陽ゼネは、乗せ乗せの展開と見える。

 チャートパターンは押し目買い有利の図式が続き、先限22,000円クリアで上値抵抗線突破である。

そこをクリアすれば、次ぎの目標は24,000円となる。

もちろんその前に応分の押しはあるだろうが、

2万円割れはあっても新値更新は無いとの見方で望む必要があるかもしれない。

原油が下げても、海外が下げても、国内製品相場は別物との恐れもあり、売り方苦難の道が続く。

 

 

 

〔貴金属〕

 

今週の白金の値動き

 

12月限(当限)

前日比

10月限(先限)

前日比

12月10日

\1,905

35

\1,785

35

12月11日

\1,872

-33

\1,756

-29

12月12日

\1,873

1

\1,776

20

12月13日

\1,867

-6

\1,767

-9

12月14日

\1,897

30

\1,777

10

 

 127円台半ばへの大幅な円安となった事を受けて、金相場がまた上昇してきた。

構造改革には熱心でも経済政策に無関心な?小泉内閣の元では、

円安阻止に向けての介入の噂すら聞こえてこない。

このまま放置すれば130円台も有り得るのか?

それとも相対力指数も23ポイント台に突っ込んでいるため、そろそろ反転するのか?

 NY市場においても、ドルが対ユーロで下落しているために、週末は久々の4.1ドル高の急騰である。

 金独自の買い材料は無いと思われるが、

為替動向によっては意外な高値に走る可能性もある。

新規売りはしばらく避けるのが良いだろう。

 

 メインのプラチナ相場は今週の1,800円台でほぼ天井を打っていると見ている。

12月7日に途転売りとなった自己玉は、週末現在で売り48,651枚、買い41,456枚となっており、

売り越し幅は小さいものの買い転換はしていない。

 もし円安が進む様であれば、一時的にまた買われる場面も無しとはしないが、

週末の東京市場・NY市場ともに為替には反応が鈍い展開である。

 元々1,500円台のもみ合い局面から現在に至る上昇相場は、別段買い材料があったわけではなく、

大衆筋の売り込み過ぎ〜自己玉の買い越し〜踏み上げ相場の展開であり、

安値での買い推奨はもう過去の話である。

 ここからの高値は、何らかの要因で買われたとしても、また戻ってくるものと考えている。

為替の円安を予測する向きは新規売りはしづらいだろうが、

高値飛び付き買いだけは避けるべきではないか?

 プラチナ−金の価格差が700円近くある現状では、

意外と短期的なプラチナ売り・金買いの鞘取りも面白いかもしれない。

為替のリスクは回避できるし…

 

 

 

〔コーン〕

 

今週のコーンの値動き

 

1月限(当限)

前日比

11月限(先限)

前日比

12月10日

\12,560

-120

\14,040

190

12月11日

\12,560

0

\14,300

260

12月12日

\12,570

10

\14,080

-220

12月13日

\12,750

180

\14,150

70

12月14日

\12,000

-750

\14,420

270

 

 週末の納会は12,000円ジャストで、前日比750円安の急落納会であった。

売り方商社が機関店である岡地から渡し切りの戦略に出たのが、その暴落の原因であった。

 しかし相場はそれで灰汁抜けとなったのか、週末の後場からの円安進行を手掛かりに急騰となった。

週末高値の14,430円は安値から2,310円の上昇幅であり、7月からの暴落分の74%を回復している。

前週号において、14,120円を早めに抜けなければ危険との指摘の水準もあっさりとクリアしている。

 相場の節目節目で調整を入れるものの、依然買い方ペースで進む相場展開であるが、

それでも円安だけを手掛かりにこれ以上の大幅高は困難になると見ている。

相場の流れを見るに敏な売り方玄人筋は、早めの踏み(売り玉の買戻し)を敢行しており、

相場の突発高を演出する踏み残しは減少しているからだ。

その他にも、各社ともポジションの変化は激しい展開である。

 週明けの新甫1月限発会の動向を見ながら、目先は売り場探しが良いのでは?

ただしトレンドは買いのままであるため、安値を売ると苦労しそうな相場展開ではある。

 

 

 

〔ゴム〕

 

今週のゴムの値動き

 

12月限(当限)

前日比

5月限(先限)

前日比

12月10日

55.6

-1.1

63.0

-0.3

12月11日

55.0

-0.6

62.7

-0.3

12月12日

56.4

1.4

64.8

2.1

12月13日

58.0

1.6

66.0

1.2

12月14日

56.4

-1.6

65.3

-0.7

 

 先週号、先々週号でのそろそろ戻るだろうとの指摘通り、

相場は底入れ〜浮上の展開となっている。

しかし大した戻りではないとの指摘通り、週末の円安には反応せずに、

業者筋の利食い売りに反落症状となっている。

 13日現在の自己玉は売り30,315枚、買い5,089枚となっており、

異常なほどの自己玉の売り越しは続く。

この反発局面においても、自己は売り上がり姿勢と見える。

 相場が底入れ気運〜上昇を開始して大衆筋が買い付いた局面では、

すかさず商社筋・産地シッパー・自己玉・有力売り方玄人筋が売り叩いて高値を抑える展開では、

底入れ確認とは言え高値を追いかけて買うわけにはいかない。

 円安や主要生産国であるタイ・マレーシア・インドネシアの生産・輸出削減合意と言う

大衆筋に判り易い買い材料が出現した状態では、材料は出たら終いということになろう。

先週指摘のシンガポール市場の取組高の急増は、これがあったのかと納得した次第である。

 納会後のサヤ滑りも念頭に置きながら、

突っ込みだけを買って小さな利幅狙いに撤するのが良しと見る。

 

 

 

〔アラビカコーヒー〕

 

今週のアラビカコーヒーの動き

 

1月限(当限)

前日比 

11月限(先限)

前日比 

12月10日

\8,820

20

\9,540

60

12月11日

\8,960

140

\9,560

20

12月12日

\9,170

210

\9,720

160

12月13日

\9,340

170

\10,000

280

12月14日

\9,480

140

\10,230

230

 

 このところのコーヒー相場は、当方にとって相性が悪い様だ。

9,000円台での持ち合い〜弱含み推移を予測していたが、

円安を手掛かりに週末急騰であり、再度の1万円の大台を回復である。

 13日現在の自己玉は売り31,696枚、買い9,848枚となっており、未だに圧倒的な売り越しは続いている。

 商社機関店・売り方玄人筋機関店の売りも全く変化無く、

コーヒー独自の材料が無い中で円安からの上昇場面が出ているとしか言いようがない。

 余程の円安や買い材料の出現が無ければ、早晩2番天井確認と言う事になるだろう。

 

 

 

〔粗糖〕

 

今週の粗糖の動き

 

3月限(当限)

前日比

1月限(先限)

前日比

12月10日

\24,280

-70

\21,220

160

12月11日

\23,680

-600

\20,900

-320

12月12日

\23,240

-440

\20,490

-410

12月13日

\23,280

40

\20,740

250

12月14日

\23,690

410

\21,050

310

 

 今週12日の20,500円割れまでの下落の後、

週末にかけての円安を受けての反発局面は、もう少し上値を残しているかもしれない展開の様である。

 NY市場はWTO加盟から買い付けを期待された中国の動向で8セント近いところまでの上昇となっていたが、

この材料で年内中での急騰は期待薄としてきた。

案の定5日の7.81セントで反落となっており、

12日の7.18セントからはまた反発だが、大相場に繋がるのは無理であろう。

 東京市場の先物価格はあって22,000円どころであると考え、売り場狙いを継続したい。

 余談だが、粗糖の値段とチャートは灯油に似ているねえ…自己玉の比率も似ているし。

 

 

 


 

 このレポートは、私が個人的な判断で書いたものです。

内容の責任はすべて私に帰するものですが、取引に対する利益を保証するものでは在りません。

(当たり前ですが念のため)

 

 

 

 

        岡地株式会社 営業第一部 コモディティアドバイザー

                       中田幸一郎

        TEL:03−5643−8509 直通

        メールアドレス aag73520@pop02.odn.ne.jp

 

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